うららか陽気に暖められた、ほんわか平和な空気。
多くの人々が呑気に、楽しく暮らす街、ここは北海道千歳市である。
そして、そんな良いお天気であるからには……
もうどうにも、じっとしていられないのが既にお馴染み・この面々。
と言う訳で、幕を開けた『飛び出せ!! 宙マン』。
今回は、揃って街に繰り出してきた宙マンファミリーにスポットを当て
物語を始めることとしよう。
「ようようよう、宙マンさんじゃないですか~!」
宙マン「おや、誰かと思えば熊澤さん!」
ビーコン「こんなところで会うなんて、奇遇っスね~」
落合さん「本日は気温も快適、とても良いお日和で……」
ピグモン「はうはう~、熊澤のおじさん、こんにちはなの~」
「空港のまち」「基地のまち」として知られる、北海道千歳市。
だが、その一方で千歳は、かつての開拓者たちによって培われてきた
「農業(酪農)のまち」でもある。
たった今、宙マンに声をかけてきた「彼」こと熊澤さんもまた、
この千歳市内において農業を営む「熊澤農場」の経営者なのであった。
宙マン「我々は例によって、のんびりぶらぶら散歩中なんですけど……
熊澤さんは、何か街の方に用事でも?」
熊澤さん「わっはっはっ、そうそう、それそれ。
ちょうど今さっきねぇ、「道の駅」の直売所に、年間契約の更新がてら
ウチの農場で採れた野菜を卸してきたところなんだよ」
ビーコン「へぇ、商売繁盛でケッコーなことじゃないっスか!」
落合さん「美味しいですものねぇ、熊澤農場のお野菜は」
熊澤さん「へへへっ、近いうち、宙マンさんちにも差し入れすっからね~」
宙マン「いやぁ、毎年毎年、本当にかたじけない!」
ピグモン「はうはう~、お野菜食べるの、今から楽しみなの~♪」
何しろ明朗快活な宙マンなので、知人と会えばたちまち談笑が花と咲く。
そんなのどかなひとときが、いつまでも続くかのように思われたが……。
「ギェヘヘヘ……そうは問屋が卸すかィ!」
宙マン「ムッ、今の声は!」
熊澤さん「(ガタガタ震えて)こ、こいつァひょっとして、ひょっとするとさぁ……」
落合さん「まさか、またまた大怪獣……ですの!?(汗)」
そう、結論から先に言うなれば……まさしくその通り!
人の世に情けはあれど、怪獣軍団に「自重」の二文字はない。
次の瞬間、千歳市内の一角から、爆発かと思われる勢いで噴き上がってくる
凄まじいばかりの土砂の柱!
ビーコン「ずげっ、こいつァ……
何かまたまた、来ちまってる感アリアリっスよ!?(汗)」
大地が揺れ、舗装道路がメリメリと割れ裂ける。
夥しい土砂を巻き上げ、地中から立ち上がった巨体とは!?
「ギェェェェーッ!!」
熊澤さん「(その場にへたりこんで)……ひぇぇ、やっぱりだよ、やっぱりぃ!」
落合さん「もう、毎度毎度……本当に「分かりやすい」方たちですこと!」
ビーコン「でも、出来れば分かりたくなんてねぇっスよねぇ!?(汗)」
「ギェェ~っ、そう言うこった。
察しが早くて助かるぜ、それじゃさっさと始めようか――
この地底怪獣・グドン様による、華麗なブッ壊しの祭典をな!」
ビーコン「ひぇぇ、しかもヤな方向にヤル気まんまんっスし!」
落合さん「これはもう、考えうる限り最悪の流れですわね!」
宙マン「……うぬっ!」
イフ「わはは……さぁ行け、思い切り暴れろグドンよ!
人間どもが小賢しくも築き上げた、文明と言う名の寄木細工……
お前の鞭で、徹底的に破壊しつくしてしまうのだ!」
グドン「ギェェ~っ、お安い御用ですぜ、魔王様!」
高らかな咆哮とともに、進撃を開始するグドン!
迫り来る巨体を前に、逃げ惑う人々の悲鳴が交錯する。
ビーコン「どひ~っ、やっぱりっスよ、やっぱりぃ!」
落合さん「本当に、怪獣軍団の方々はコレですから……!」
熊澤さん「ボヤいてる間に逃げなきゃだよ、チャッチャと!(汗)」
おお……北海道千歳市、早くも絶体絶命の大ピンチ!
だが、しかし。
怪獣のこれ以上の進撃を阻むべく、直ちに千歳基地の駐屯所から
陸の精鋭たちが出動したのであった。
「GO! GO! GO! GO!!」
勇ましい号令一下……
タクティカル・スーツに身を固め、おのおの得意の武器を携えて
続々と車両から飛び出してくる防衛隊員たち。
ピグモン「あっ、防衛隊のおじさんたちなの!」
落合さん「また、心憎いタイミングで来て下さいましたこと!」
ビーコン「今度こそは頼んだっスよ~、いろんな意味で!」
怪獣相手に一歩も退かず、勇敢に立ち向かっていく地上部隊。
専用のレーザーガンが、グドンを牽制し……
更に別の一方から、バズーカ砲撃が、マシンガンの連続発射が
次々とグドンのボディへと叩きこまれていく。
熊澤さん「うひょひょ……これぞまさしく、勇猛果敢だねぇ!」
落合さん「ですが正直、まったく効いてないような気が……(汗)」
ビーコン「奇遇っスねぇ、オイラにもそう見えるっスよ!(汗)」
「ちょっと、そこ! 丸聞こえだよっ!?」
落合さん「(慌てて口を抑え)……あらまっ、これはとんだ失礼をば」
「ううむっ、認めちゃうのはシャクだけど……
こんだけの攻撃が、どうしてこうも「通らない」かなぁ!?」
グドン「ギェェ~ンっ、俺が強すぎるからに決まってンだろうが~!」
防衛隊の攻撃をものともせず、我がもの顔で大暴れのグドン!
その進撃で、平和な街がみるみる炎に包まれていく。
ビーコン「どひ~っ、アンニャロ、完全にチョーシくれてるっス!」
落合さん「このままでは、冗談抜きで千歳の大ピンチですわ!」
ピグモン「はわわわ……宙マン、宙マン、何とかしてなの~」
宙マン「(頷き)おのれ、もう許さんぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、荒れ狂うグドンの前に舞い降りる!
宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上!
平和を乱す者には容赦せんぞ、思い知らせてやる!」
ズ、ズーンっ!!
ビーコン「よっしゃ、アニキが出張ってくれればもう安心っス!」
落合さん「お殿様、今日もまたまた素敵です……♪(うっとり)」
ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」
グドン「グドン「ギェェェェーッ、かっこつけて出てきやがったな、宙マン。
そんなにこの俺の鞭で叩きのめされたいかァ!?」
宙マン「最初に言ったはずだ、私は決して容赦しないと……!」
ファイティングポーズを取り、敢然と身構える宙マン。
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトルの幕開けだ!
グドン「ギエェ~ン、大口叩きやがって、気に食わねぇぜ!」
宙マン「勝負だ、地底怪獣グドン!」
真っ向激突、宙マン対グドン!
人々が見守る中、両者の死闘はのっけからヒートアップ。
ビュン、ビュンと鋭い風切り音を響かせながら……
両手の鞭を振り回して、容赦なく宙マンへと迫るグドン!
だが、そこは宙マンもさるもの。
敵の鞭打をかわし、かいくぐって、果敢にグドンへ肉薄していく。
グドン「ギエェェーッ、流石にやりやがるなぁ!?」
宙マン「ふふん、まだまだ――どんどん行くぞ!」
宙マンのストレートパンチ、そしてキック!
勢いの乗った「重い」連撃に、さしもの大怪獣もズズッと後退。
宙マン「どうだ、参ったか!」
グドン「ギエェェーッ……調子づいてんじゃ、ねぇーッ!」
「ぐ、ぐわぁぁぁぁ……っ!」
グドンの怒りとともに、激しく唸りをあげる両手の鞭!
その凄まじい打撃を食らって、今度は宙マンが倒れ伏す。
熊澤さん「ま……まずくないかなぁ、この展開!?(汗)」
ビーコン「あのままやられたんじゃ、いくらアニキでも……!」
落合さん「いいえ……お殿様に限って、そのような事は!」
ピグモン「はわわ……宙マン、まけないでなの~!」
宙マン「(苦悶)う、うう……っ!」
グドン「ギエェェ~ンっ、嬲り殺しにしてやるぜ!」
持ち前の嗜虐性を全開に、両手の鞭を振り回して迫るグドン。
だが、宙マンもまた……気力を振り絞り、パワー全開!
宙マン「くらえ――宙マン・閃光波!」
ピッキュィィーンっ!
高らかな音とともに、宙マンの手にストロボ状の発光が生じ……
次の瞬間、グドンのボディで激しい爆発が起こる。
熊澤さん「うーっし、うっし……上手いよぉ、宙マンさん!」
落合さん「今がチャンスですわ、お殿様!」
宙マン「(頷き)おうっ!」
グドンが怯んだその隙に、大地を蹴って素早いジャンプ!
青空高く、宙マンの巨体が舞いあがる。
グドン「(驚き)ぎ、ギェおォォォッ!?」
宙マン「そォれっ、今度はこっちがお返しだ!」
宙マン「エイヤァァーっ! 宙マン・ミラクル・キック!」
出た、電光石火の必殺技!
ミラクルキックの直撃を受け、グドンが派手にブッ倒れたところへ――
宙マン「とどめだ! 宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、グドンを直撃!!
グドン「ひ、ひギィィィッ……そ、そんなバカなぁぁ~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
ビーコン「いえっふ~、今回も見事にアニキの勝ちっス!」
落合さん「やりましたわ、お殿様! 流石です!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~♪」
イフ「うぐぐぐっ……またしても、またしても宙マンめが!
覚えておれよ、この次こそは必ずお前に赤っ恥をかかせてやるからな!
よいか、必ずだぞ! 必ずだからな!?」
……などと言う、怪獣魔王の負け惜しみはさて置いて。
かくして、今回もまた宙マンの活躍により……
獰猛な地底怪獣グドンは倒され、千歳の街に再び平和が蘇ったのであった。
熊澤さん「やぁやぁ、ありがとありがと! 流石だねぇ、やっぱり!
それにしても宙マンさんは強いねぇ、その秘密を知りたいよ」
宙マン「はっはっはっ、いやぁ……テレるなぁ」
宙マン「でも、強いて言うなら、何でも好き嫌いせずモリモリ食べること……
熊澤農場の新鮮野菜も、私の血肉になってくれてるから……かな?」
ピグモン「はうはう~、ピグちゃんもおじさんちのお野菜、大好きなの~」
宙マン「(うんうんと頷き)美味しいものねぇ、何と言っても!」
熊澤さん「わはは……何だか、テレるなぁ☆」
ビーコン「ヒヒヒ、そう言うコトならオイラも、美味しいもんバリバリ食って
よりデリシャスでスペシャルなビーコンちゃんへと生まれ変わるっスよ!
てなわけで落合さん、今すぐこの場でパンツを脱いで……」
げ し っ !
落合さん「ねーいっ、全くもう! 毎度毎度、このエロ怪獣ときたらっ!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、落合さんの愛の鞭は相変わらず痛烈っスぅぅ~」
落合さん「……いえ、「愛」なんてありませんから!(汗)」
宙マン「はっはっはっはっ」
恐怖の鞭も、魔の挑戦もなんのその……
悪い奴には、キツーイお灸の宙マン流。
さァて、次回はどんな活躍を見せてくれるかな?