北海道の空の玄関口、千歳市……
この平和で自然豊かな街は、地球征服を狙う怪獣軍団の魔手から
常に狙われ続けている。
今日もまた、この和やかな時間を破り……
恐るべき悪の尖兵は、今まさに行動を開始しようとしていた。
おお、読者諸賢よ。
「それ」が来るのは……もう間もなくのことなのだ!
……と、ひとまずそれはそれとして。
落合さん「改めまして、こんにちは。
「宙マンハウス」の家事一切をお預かりする、美人メイドの落合でございます♪」
ビーコン「いえっふ~、そしてオイラは……もう知ってるっスよね?
良い子と悪い子のマブダチ、ビーコンちゃんっスよ~。
……と、ご挨拶も済んだとこで!」
落合さん「はい、済みましたところで!」
ビーコン「ここからは、オイラによるセクハラフルコースっスよ~!
さぁ落合さん、今すぐおっぱい吸わせるか揉ませるか……
さもなきゃ上目遣いでお股を広げるか、どれかひとつ選ぶっス!」
落合さん「……(ぷ ち っ !)」
げ し っ !
ビーコン「ハンニャラ、ヒ~っ……」
落合さん「ねーい、全くホントに、貴方って怪獣(ひと)はっ!
毎度毎度「何なんだ」って感じのネタ振りですが……
今回は特に何なんですか、のっけから!(怒)」
ビーコン「まーまー落合さん、怒ると美人が台無しっスよ?」
落合さん「心配ご無用、怒ってもなお美人と評判ですので!」
ビーコン「っかー、このオネーチャンは、いけしゃあしゃあと!」
落合さん「貴方にだけは言われたくありませんっ!!」
ピグモン「えう~、落合さんとビーコンちゃんったら、また……」
宙マン「(苦笑)毎度とは言え、困ったものだねぇ」
ピグモン「二人とも、毎日よく飽きないの~(呆れ)」
そんな、騒がしいながらも平和な千歳の日々。
だが、それは間もなく破られることとなる――
突如、宇宙の彼方から……耳をつんざく飛来音とともに
轟然と飛来してきた、巨大な赤い光球によって!
ゴ ウ ン ッ !
ビーコン「(思わず呆然)……へっ?」
落合さん「(冷や汗)い、今のは……一体……!?」
ズゴゴゴグワーンっ!
地面に激突、大爆発を起こす赤い球体。
濛々と吹き上がる赤い噴煙の中から立ち上がったのは!?
「しゃぎゃぎゃあぁ~っ!!」
ピグモン「あっ、怪獣が出てきたの!」
宙マン「う~ん、この感じ……」
ビーコン「どー考えても、友好的なムードじゃないっスねぇ」
落合さん「……では、またまた怪獣軍団の!?」
「しゃぎゃぎゃぎゃっ、大・正・解~!
この俺は生まれも育ちもケンドロス星……
その名も高き植物怪獣・ケンドロス様だ!」
ビーコン「おおっ!
よかったっスねぇ落合さん、ズバリ賞っスよ!?」
落合さん「う~ん、全く感慨が沸いてきませんわ(汗)」
ケンドロス「まぁ見てくれや、この見事な咲き誇り具合……
俺の故郷、ケンドロス星の地獄花・剣輪草(けんりんそう)。
ここまで育てるには、そりゃもう手間がかかったぜ――」
ケンドロス「そして、そしてよ、ここまで見事に育った剣輪草と
こうして「合体」し、カラダの一部にしたからにゃあ
もはや、全宇宙に俺の敵はねぇぜ」
宙マン「……暗黒星雲からわざわざ、花自慢にお出ましかね?」
ケンドロス「(しれっと)ま、そんなとこさ」
ケンドロス「俺様自慢の剣輪草、その見事さを示すため……
いっちょこれから、思いっきり暴れさせてもらうんで!」
ビーコン「どひ~っ、結局やるこたソレっスか~!?(汗)」
ピグモン「えう~、酷い事するなんて嫌~んなの~(涙目)」
宙マン「……うぬっ!」
イフ「わはは! さぁ行け、思い切り暴れろケンドロス!
地球征服の第一歩として、まずは千歳の街を徹底破壊し……
全宇宙に見事、悪の花を咲き誇らせるのだ!」
ケンドロス「しゃぎゃぎゃ~、魔王様も上手いコト仰いますねぇ♪」
怪獣魔王の命を受け、進撃開始するケンドロス!
迫り来る巨体を前に、悲鳴をあげながら逃げ惑う人々。
ケンドロス「しゃぎゃぎゃ~、怯えろ、騒げ、地球人ども!」
ケンドロスの指先から、連続発射されるロケット弾!
その威力によって、早くも建物が次々に破壊されていく。
ビーコン「どひ~っ、えらいこっちゃっス~!」
落合さん「ビーコンさんの世迷言も大概ですけれど……
こっちもこっちで、いろいろ洒落になりませんわねぇ!」
ピグモン「きゃああんっ、おっかないの~!(涙目)」
怪獣ケンドロスの出現により、たちまち大パニックの千歳市!
だが、こんな緊急事態を、航空防衛隊は放置などしない。
直ちに空の精鋭たちが、最新鋭の戦闘機でスクランブル!
ビーコン「ひゃ~、マジで助かったっスよ!」
落合さん「さぁ、今のうちに安全な場所へ!
そして、その上でかけるべき言葉は、勿論……」
ピグモン「(頷いて)防衛隊のおじさんたち、がんばってなの~!」
「ようし……我々の力を示す絶好の機会だ、気合入れて行くぞ!
全機、一斉攻撃開始っ!」
高火力のロケット弾が、矢継ぎ早やに叩きこまれる――
だが、戦闘機隊の奮戦にも、全く動じる様子を見せない怪獣。
ケンドロス「しゃぎゃぎゃぎゃっ、ちょこざいな!」
「(驚愕)な、何っ!?」
おお、見よ! 戦慄せよ!
嘲笑めいた咆哮とともに、ケンドロスの体の上部にセットされた
「剣輪草」が高速回転し……次の瞬間、その花びらの一枚一枚が
まるでブーメランのように連続発射されたではないか――
そして、その威力たるや!?
「……う、うああぁぁぁ~っ!!」
これぞケンドロスの奥義、恐怖の剣輪草ブーメラン!
その鋭利さの前に、次々と撃墜されていく戦闘機隊である。
ピグモン「ああっ、やられちゃったの!」
ビーコン「アチャ~ッ、またっスか!(汗)」
落合さん「今回は、危ないところを助けて頂けましたから……
出来れば、腐したくはないんですけれどもねぇ!?(汗)」
……などと、落合さんたちがボヤいているその間にも。
ケンドロスの大暴れによって、今や千歳の街は大混乱!
ビーコン「それよか何よか、コレを何とかしなきゃっスよ!(汗)」
落合さん「お殿様、今日もまた……お願いできますか!?」
宙マン「仕方ない、やるしかないか! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
荒れ狂うケンドロスの前へ、敢然と立ちはだかるこの雄姿!
ビーコン「いよっ、待ってたっス、プラネット星の色男!」
落合さん「男前なだけじゃございませんわ……
何と言ってもお殿様は、銀河連邦の元・英雄ですもの!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」
ケンドロス「しゃぎゃぎゃぎゃっ、出たな宙マン。
このケンドロス様が、お前の死に花を咲かせてやるぜ!」
宙マン「いいや、悪いがお断りさせてもらうよ。
……千歳の街に似合うのは、正義と平和の花だけさ!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ。
ケンドロス「しゃぎゃぎゃぎゃっ、抜かせや!」
ケンドロス、先制のロケット弾攻撃!
だが、ヒーローは空間そのものを湾曲させて形成する防御壁、
宙マン・プロテクションで見事にこれを無力化してみせる。
宙マン「ケンドロス、小手先の技など私には通用しないぞ!」
ケンドロス「しゃぎゃあぁぁ~っ、コンニャロめが~っ!」
真っ向激突、宙マン対ケンドロス。
落合さんたちが見守る中、巨大戦は一気にヒートアップ!
猛然たる突進戦法で襲いくるケンドロス!
その重量級ボディそのものが、既に恐るべき凶器である。
だが……
凶暴な本能のまま攻めるケンドロスに、一瞬「押され」はすれど
決してそこで怯んだり、後に退くような宙マンではない。
宙マン「それっ、これでもくらえ!」
怪獣の脇腹めがけて、宙マンの鋭いストレートキックが炸裂!
その威力に、さしものケンドロスも大きくよろめいた。
ケンドロス「ぐふぅぅ……っ!」
宙マン「さぁて、一気にとどめと行かせてもらおうかね!」
態勢を立て直す暇など与えまいと、怪獣めがけて果敢に躍りかかり
猛然と接近戦を挑んでいく宙マン。
このままヒーロー側のターン……かと、思いきや!?
ケンドロス「しゃぎゃあぁぁ~っ、甘く見るなよ、宙マン!」
怒りの雄叫びとともに、ケンドロス上部の「剣輪草」が高速回転。
宙マンのスーパーボディを、のこぎりのように切り裂いた!
宙マン「……う、うわぁぁぁぁ……っ!」
ズ、ズーンっ!
落合さん「……お、お殿様っ!?」
ビーコン「どひ~っ、確かに厄介な花っスねぇ、剣輪草!」
落合さん「えぇ、怪獣さんが自慢なさるだけはありますわ!」
ピグモン「……って二人とも、感心してる場合じゃないの~!(汗)」
剣輪草カッターの切れ味に、決して小さくないダメージを負いつつ
それでも気力を振り絞り、よろめきつつ立ち上がる宙マン。
が、そんな彼の前に、ケンドロスが容赦なく迫ってくる!
宙マン「(苦悶)うう……うっ!」
ケンドロス「くくく、剣輪草の威力を知るのはこれからだぜ。
そして、そいつを知った瞬間がお前の命日だ――
オリャアァッ、死ね死ね死ねぇっ!」
遂に出た、出てしまった悪の奥の手。
剣輪草の花びらが鋭利なブーメラン・カッターとして射出され
ヒーローめがけて猛スピードで襲いかかってくる!
宙マン「――来るかッ!」
だが、こんな時にこそ必要とされるのは沈着冷静な判断力。
それを何より分かっている宙マンだからこそ、精神を研ぎ澄まし
得意の回転戦法で、剣輪草ブーメランを回避していく。
シュパーッ! シュパパーッ!
目にも止まらぬスピードと、嵐の激しさで繰り出される連続攻撃。
襲い来る切っ先を、宙マンはジャンプでかわして大空へ!
ケンドロス「しゃぎゃあぁぁ~っ、逃げられると思うなよ!」
ブーメラン攻撃を回避する、宙マンの華麗なる空中連続回転。
それはさながら、極上の軽業ショーのようでさえある。
宙マン「くらえ――宙マン・閃光波!」
ピッキュィィーンっ!
高らかな音とともに、宙マンの手にストロボ状の発光が生じ……
次の瞬間、剣輪草ブーメランは次々に空中で爆砕されていく。
宙マン「エイヤッ、こんな物騒なおもちゃはお返しするよ!」
ケンドロス「そ、そんな……そんなバカなぁぁ~っ!?」
宙マンに蹴り返されたブーメランが、ケンドロスの脳天に炸裂!
ケンドロス「(悶絶)う、うごごご……こりゃ、効いたぁぁ~っ!」
自らの武器で、爆発と共にダメージを負った植物怪獣――
その隙に、宙マンは華麗な空中回転とともに着地を決めた。
ズ、ズーンっ!
ケンドロス「だ、だがな、これしきの事で俺は……俺は……っ!」
宙マン「とどめだ! 宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、ケンドロスを直撃!!
ケンドロス「ちょ……さ、最後まで言わせてよぉ、台詞ぅぅ~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
ビーコン「アニキ~、やっぱさっすがっスねぇ!」
落合さん「相も変わらずお見事でしたわ、お殿様♪(うっとり)」
ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~」
イフ「うぐぐぐっ、おのれおのれ、またしても宙マンめが!
だが、この仕返しは必ずしてやるからな……
お前に安息の時などないのだ、忘れるでないぞ!」
……などと言う、もはや毎度の負け惜しみはさて置いて。
かくして、今回もまたまた……
我らが宙マンの活躍によって、千歳の危機は去ったのであった。
ピグモン「はうはう~、宙マン、おつかれさまなの~」
ビーコン「アニキのおかげで、ほっと一安心っス!」
落合さん「これで改めて、普段通りの日常を満喫できますわ」
ビーコン「ヒヒヒ、いいっスよねぇ、普段通り――」
ビーコン「オイラたちにとっての、普段通りの日常。
……となりゃ、何たってエロスっスよねぇ!?
一にセクハラ、二にセクハラ、三四はカツラで五もセクハラ……」
落合さん「っがー、全くもう、このエロ怪獣はっ!
大体オイラ「たち」って何です、「たち」って――
さも当然のように、私を巻き込まないで下さいなっ!」
ビーコン「ヒヒヒ、それは「揉め」って合図っスね!?
イエス・マム、そりゃもうねっとりと愛をこめて……」
落合さん「ねーいっ、いい加減になさいビーコンさんっ!
良いですか、それ以上仰ったら……(指をボキボキ)」
宙マン「たっはっはっ……まぁまぁ、落合さん。
ここは私に免じて、ひとまず矛を収めてくれないかな」
落合さん「……まぁ、お殿様のお申し出なら是非もございませんが。
とは言うものの、これでは私の憤りの納まりどころが……」
ビーコン「そうそう、オイラの劣情の納まりどころも……」
落合さん「(ジト目)……だからどうして一言余計なんですッ」
宙マン「うんうん、二人とも言いたいとこはあるだろうけど……
まずはクールダウン、そして気分転換といこうじゃないか。
それには何たって、美味しい物を食べるのが一番さ」
ピグモン「はうはう~、おいしいもの、おいしいものなの~♪」
ビーコン「……ま、腹が減ってるのも事実っスし……」
落合さん「……お断りの理由も、見つかりませんわねぇ(苦笑)」
宙マン「うんうん、どうやら流れは決まったみたいだね。
さぁて、それじゃあ……出発進行だ!」
ピグモン「はうはう~、レッツラ・ゴーなの~☆」
ひとつの危機は去った……
だが、怪獣軍団の野望は未だ尽きない。
さぁ、次回はどうなるかな?