晴れ渡った青空、情熱的に照りつける太陽。
最早どの角度からどう見ても……北海道、今まさに夏・まっさかり!
そんな暑さに誘われて、生命力が沸き立つ季節。
空の青さと太陽の眩しさ、夏ならではのエネルギッシュな空気に誘われては
誰も彼も、じっとしていられるはずもない。
……という大前提のもと、今回の『宙マン』もまた、7月も下旬に入った
ここ・北海道千歳市から物語を始めることとしよう。
みくるん「ふぅ~、美味しかったですぅ~!」
ながもん「ランチタイム、サービスの……海鮮丼……」
宙マン「たっぷりの新鮮食材が、惜しげもなく盛り込まれての10種類。
あれで1200円と言うのは、いや実に!」
落合さん「本マグロ、白身魚、サーモン、カンパチ、サバ……」
宙マン「ホタテ、タコ、エビ、トビッコ……」
ビーコン「そしてそして、忘れちゃいけないホッキ貝っスよ!」
ピグモン「はうはう~、とってもおいしかったの~♪」
宙マン「いやぁ、みくるんちゃん、ながもんちゃん。
またいいお店を教わっちゃったねぇ、ホントにありがとう!」
ながもん「まかして……ヴイッ(無表情にピースサイン)」
みくるん「でも、ランチのすぐ後で気が早い気もしますけど……
お魚のあとは、やっぱりお肉、行きたいですよねぇ~」
落合さん「もうすぐ連休にも突入することですし、ね。
屋外で頂くお肉料理、堪えられないはずですわ」
ビーコン「ヒヒヒ、いいっスねぇ、バーベキュー!
ただ、いつもみてーに、怪獣だの宇宙人だの空飛ぶ円盤だのが
空気読まずに出てこなきゃいいんスけど……」
……と、ビーコンが言ったその矢先。
おや、これはどうしたことだろう?
それまでの真夏の青空を遮るかのように、妖しげな霧が沸き立って
急速に千歳の周囲へと広がり始めていったではないか。
宙マン「ウムッ、おかしいな……急に霧が出てくるなんて……」
落合さん「(ジト目)もう、ビーコンさんが余計なコト仰るから!」
ビーコン「(憤慨)……ちょ、オイラのせいっスかぁ!?」
みくるん「って言うか……この霧、なんかヘンですぅ!
妙にケモノ臭いって言うか、生暖かいって言うか……」
あまりにも不穏、あまりにも気味の悪い謎の霧。
しかも、よく耳を澄ませてみれば……
「……ギョゴゴゴぉぉぉ……」
ながもん「……唸り、声?」
ピグモン「はわわわ、まさか……」
落合さん「……本当に、怪獣……!?(汗)」
ビーコン「い、いやいやまさかっス!
怪獣なんかじゃないっスよ、きっとタダの風の音……(汗)」
……だが、そんなビーコンの一縷の望みを打ち砕くように!
宙マンたちの眼前で、めきめきと音を立てて割れ裂ける大地。
土砂を激しく巻き上げ、地上にその姿を現したのは!?
「ギョゴォォォ~っ!!」
低く、ビリビリと震えるような咆哮とともに立ち上がる巨躯。
怪獣軍団の一員、吸血怪獣ギマイラだ!
みくるん「ふぇぇん、やっぱりです、やっぱりぃ!(涙目)」
ながもん「オウ……悪い、予想ほど……よく、当たる」
ピグモン「きゃああん、おっかないの~!」
ビーコン「っがー、毎回毎回、懲りもせずに……っスねぇ!」
落合さん「たまにはもう少し、穏便フレンドリーに……と言いますか、
平和的に……って気にはなりません!?」
ギマイラ「ギョゴゴゴ~、な~にが平和的だ!
今の俺は、とびきり機嫌が悪いんだ……
うかつに触れりゃ、火傷どころじゃ済まないぜってか!」
ビーコン「って言うか、アンタ……」
落合さん「一体何を、そんなに怒ってらっしゃいますの?」
そう、そもそもこのギマイラは……
「吸血怪獣」の異名を取るだけあって、生物の生血は勿論のこと
血の滴るような肉料理が何よりの大好物。……だったのだが。
ギマイラ「それが、夏の宇宙定期健康診断に引っかかっちまって
この俺様が食事制限、ときたもんだ。
好きなものを好きな時に食えない……
……分かるか? 俺の苦しみが!!」
サンドロス「をほほほ、どうドロスか、あ~た?
医者に食事制限を指示され、欲求不満が溜まっている状態……
今のギマイラちゃんこそ、最も危険な破壊者ドロスわよ!」
サンドロス「この際、地球で大いにストレス発散してもらうドロス~♪」
イフ「ううむっ、なるほど……
流石は我が妻、素晴らしい人材起用……もとい、怪獣起用術よな。
よし、遠慮は無用じゃ、思い切り暴れろギマイラ!」
ギマイラ「ギョゴゴゴ、やったるで~、ってか!」
怪獣魔王の命を受け、猛然と進撃開始のギマイラ!
迫り来る巨体を前に、悲鳴をあげて逃げ惑う人々である。
ビーコン「どひ~っ、せっかくいい天気だってのに……(汗)」
落合さん「能天気には、させてもらえそうにないですわねぇ!(汗)」
おお、今まさに千歳の危機!
ギマイラのこれ以上の進撃を阻むべく、千歳基地の陸の精鋭らが
最新鋭の戦闘車両とともに出動した。
ピグモン「あっ、防衛隊のおじさんたちなの!」
ビーコン「頼んだっスよ~、今回こそはマジで!」
落合さん「えぇ、それなりに期待はさせてもらっておりますので!」
怪獣めがけ、ロケット砲の一斉砲火が雨あられと叩きこまれるが
ギマイラの皮膚は、それらをことごとく跳ね返してしまう!
「なっ、効いてない……だと……!?」
ギマイラ「ギョゴゴゴ! お遊びはココまで、ってか!」
ギマイラの口から、勢いよく吐き出される白色ガス!
出現時に発生する不気味な霧を収束して、一気に叩きつけてくる
その威力の前には、最新の戦闘車両とてひとたまりもない。
みくるん「ああっ、やられちゃったぁ!」
ビーコン「どひ~っ、もうダメっス、おしまいっス!」
落合さん「ちょ、落ち着きなさいまし、ビーコンさんっ!(汗)」
ながもん「ここは、一発……ヒーローの……出番」
ピグモン「宙マン、宙マン、今日もたよりにしてるの~」
宙マン「(頷き)ようし、やるぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、敢然とギマイラの前に舞い降りる!
宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上!
これ以上の理不尽な八つ当たりは、この私が許さないぞ!」
ズ、ズーンっ!!
みくるん「よろしくお願い致しますね、宙マンさん!」
ながもん「みんな、バッチリ……応援……してる」
ビーコン「こうなったらもう、アニキだけが頼みの綱っス!」
ギマイラ「ギョゴゴゴ~、出たな宙マン、ってか。
気の毒だけどな、手加減はしねぇぞ……
さっきも話した通り、今日の俺はとびきり機嫌が悪いんだ!」
宙マン「手加減できないのは私も同じさ、ギマイラ君。
……きかん坊の子守り、なんて柄じゃないのでね!」
全身にみなぎる怒りを力に変え……
ファイティングポーズをとって、敢然と身構える宙マン。
ギマイラ「ギョゴゴゴ~、ほざいたな、この野郎っ!」
宙マン「さぁ、どこからでもかかって来い!」
激突、宙マン対ギマイラ!
人々がハラハラと見守る中、巨大な正邪の死闘が展開される。
雄叫びをあげつつ、突進攻撃の吸血怪獣。
巨大な一本角ばかりではなく、怪力を秘めた二本の太い腕もまた
ギマイラならではの厄介な武器である。
押して、押して、押しまくるギマイラ!
だが、宙マンとて、決してやられっ放しなわけではない。
宙マン「そうれっ、こんなのはどうだ!?」
ギマイラ「ぎょ、ギョゴゴゴっ!」
軽快なステップのフェイントと足技で、ギマイラを翻弄する宙マン。
このままヒーローのペースに持ち込める、かと思いきや!
ギマイラ「ギョゴゴゴ~、そうは問屋が卸すかい、ってか!」
怒りの咆哮とともに、宙マンめがけて突進してくるギマイラ。
その角が、宙マンの胸板を捉えたその瞬間!
バリバリバリバリっ!
宙マン「……う、 うわぁぁぁぁ……っ!!」
みくるん「ああっ、宙マンさんが!」
落合さん「いけませんわ、これは……」
ビーコン「いろんな意味で、とにかくヤバすぎっス!」
ピグモン「はわわわ、宙マン、まけないでなの~!」
ながもん「(口の中で)……ファイツっ」
サンドロス「をほほほ、いかがドロスか、あ~た。
逆恨みと欲求不満に燃えた、今のギマイラちゃんにかかれば……
銀河連邦の元・英雄相手でも、赤子の手を捻るも同然ドロスわよっ!」
イフ「ううむっ、見事じゃギマイラ、天晴である!
そのまま一気に、宙マンなど叩き潰してしまえ!」
宙マン「(苦悶)うう……うっ……!」
ギマイラ「ギョゴゴゴ~、死んでもらうぜってか、宙マン。
この俺が、体中の血を吸い尽くしてやるぜ!」
「なんの……負けて、たまる、かァァッ!」
宙マン、パワー全開!
ギマイラの吐き出した白色ガスを、ジャンプでかわして大空へ。
宙マン「エイヤァァーっ!
宙マン・ミラクル・キック!!」
出た、電光石火の必殺キック!
燃える足先を受け、ギマイラがドーッと倒れたところへ――
宙マン「とどめだ! 宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、ギマイラを直撃!!
ギマイラ「ギョゴぉぉ、結局こうなっちゃうのね……ってか~!?」
やったぞ宙マン、大勝利!
みくるん「やった、やりましたぁ、宙マンさんがやりました!」
ながもん「さすが宙マン……またまた……グッジョヴ」
ピグモン「はうはう~、宙マン、かっこよかったの~♪」
イフ「ぐむむむっ……おのれェェ、またしても宙マンめが!
見ておれよ、この屈辱は必ずや百倍返しにしてくれる!
怪獣軍団の恐ろしさ、思い知らせてくれるわァァ……ッ!!」
……な~んて言う、いつもの負け惜しみはさて置いて。
かくして我らが宙マンの活躍により、恐るべき吸血怪獣ギマイラは
見事に撃退され、千歳の平和は守り抜かれたのであった。
落合さん「どうもお疲れ様でした、お殿様!」
ビーコン「これでまた、枕を高くして昼寝が出来るっスよ!」
宙マン「はっはっはっ、昼寝もいいけどね……
私はそれ以上に、もっと大事で楽しいことの打ち合わせをしておきたいね」
みくるん「あ、お外でのお食事会のことですね?」
宙マン「頷き)天気のこともそうだし、当日の具体的なスタイルなんかも……
ピクニックも良いし、個人的にはバーベキューも捨てがたいよねぇ」
ながもん「オウ、何と言う……そそる響き……じゅるりっ」
ピグモン「はうはう~、ピグちゃんも今から楽しみなの~♪
ビーコン「うんうん、そっちの方の準備はアニキたちに任せたっスよ!
オイラたちはオイラたちで、別の重要な準備に専念しなきゃならないんで……」
落合さん「重要な準備? そんなもの、何かございましたかしら」
ビーコン「ヒヒヒ、イヤっスねぇ、当日の予行演習に決まってるじゃないっスか!
と言いつつオイラはおもむろに、落合さんの豊満な胸へと手を伸ばし……」
げ し っ !
落合さん「ねーいっ、そんな如何わしい会合であるものですかっ!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、バーベキューばりに「焼き」入れられちゃったっスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
夏だ、千歳だ、怪獣だ――
そう来りゃ、もちろん宙マンの出番だ!
さァ、次回はどんな活躍を見せてくれるかな?