遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

うごめく湖底の叫び声の巻

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今夏の猛暑とともに、今年の「搔き入れ時」も一段落し……

道内各地の観光名所も、まずはホッと一息、と言ったところ。

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ここ・千歳市の重要観光スポットのひとつにして、日本一の水質透明度を誇る

国立公園「支笏湖」も、またその例外ではない――

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と言うわけで、今回の『宙マン』はここ、夏の観光シーズンが去り

穏やかな空気が漂う、支笏湖畔から物語を始めよう。

 

 

みくるん「ふぅ~。

 やっぱり今の時期の支笏湖は、静かでいいですねぇ!」

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落合さん「夏休み中の賑やかさも、一つの風情ですけれど……」

宙マン「それが過ぎ去ったあとに訪れる、この落ち着いた空気。

 これもまた、実に素敵なものだよねぇ」

ビーコン「ヒヒヒ、ちょっと現金な気もするっスけどねぇ♪」

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ながもん「それじゃ、ここからは……気合を、入れて」

ビーコン「激旨チップ料理、またまた頂いちゃうっスよ~!」

宙マン「時期的に、今年最後のチップ……だねぇ」

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チップとは本州で言うところの「ヒメマス」のことであり、

アイヌ語の「カパ・チェップ(薄い体、平たい魚)」から来ている愛称。

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ここ・支笏湖においては、6月~8月の期間だけ漁が解禁され、

様々なチップ料理を味わう事が出来ていた――

 

そう、漁解禁期間の終了とともに、支笏湖畔でチップを楽しめるのも

いよいよ今年はこれが最後、と言うところまで来ていたのである。

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みくるん「長いようで、あっという間の二か月でしたねぇ~(しみじみ)

ながもん「今年の、チップは……脂の、乗りも……上々」

ビーコン「うんうん、マジで旨かったっスもんねぇ!」

宙マン「(頷き)あぁ、だからこそ――」

ピグモン「また来年を楽しみに、今年の食べおさめなの~♪」

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などと言いつつ、宙マンたちが食堂に向かおうとしていた時。

……ふと、ながもんの足がぴたりと止まった。

 

ながもん「(湖面のほうを見つめて)……」」

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ながもん「(ボソッと)……光った」

みくるん「ふえっ?」

ビーコン「急にどうしたっスか、ながもんちゃん?」

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ながもん「湖が……急に、光った。……ほら、また光った……!」

 

眼鏡の少女が支笏湖を指差し、今度は一同も確かに見た――

支笏湖の湖面が、本来ありえない不気味な青白いスパークを放つ光景を。

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 ビーコン「うげげっ、マジっスよ、ほんとに光ってるっス!(汗)」

宙マン「まさか、これは……!」

 

そして次の瞬間、にわかに湖面が激しく泡立ちはじめて……!?

 

ながもん「(ボソッと)……来た……!」」

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「ガルルッ、ゲルルぅ~っ!!」

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甲高い咆哮とともに、飛沫をあげて湖底から立ち上がる巨体。

怪獣軍団よりの使者、赤脳恐獣ゲルデラーだ!

 

みくるん「ああっ、怪獣さんですぅ!」

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ながもん「(ボソッと)……あれは、恐獣。……恐獣、ゲルデラー」

ピグモン「えう~、どっちでもいいけど怖いの~!(涙目)」

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ゲルデラー「ゲルル~、その通り!

 この俺様は、ガロガバラン星出身の恐獣ゲルデラー!

 くどいようだが、怪獣じゃなくて“恐獣”ね――

 覚えとこうね、ここテストに出るよっ!」

ビーコン「や、そういうこだわりは割とどうでもいいんスけど……」

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ビーコン「今回出てきたのも、どうせロクでもない理由っしょ!?」

ゲルデラー「ゲルルル、聞き捨てならんな!?

 俺たち恐獣にとっての檜舞台……

 地球侵略と破壊活動を、ロクでもないたァ何だ!」

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落合さん「あぁ、やっぱり! 極めつけにロクでもないですわ!(汗)」

宙マン「……うぬッ!」

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イフ「わはははは……行けぃ、ゲルデラー!

 地球征服の第一歩は、支笏湖の完全制圧からだ!」

ゲルデラー「ゲルル~、お任せオッケーですよ、魔王様!」

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怪獣魔王の命を受け、俄然奮い立ち……

巨体を唸らせながら、支笏湖畔への上陸を果たすゲルデラー。

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ビーコン「ひぇぇ、あのまま進んでった先にゃ……」

落合さん「キャンプ場も、観光街もあるじゃないですか!」

宙マン「怪獣……

 ……いや、恐獣め、もとよりそれが狙いってわけか!」

のどかだった支笏湖畔が、一転して剣呑な空気に包まれる!

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一方、支笏湖観光協会からの緊急通報を受け……

直ちに航空自衛隊が、ゲルデラーめがけてスクランブルをかけた。

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ながもん「おおっ。……こんなに、早く……来てくれた」

ピグモン「おじさんたち、グッドタイミングなの~」

落合さん「基地の街たる、この千歳市内で……

 地元の事件に後れを取っては、防衛隊の名折れですものねぇ」

ビーコン「(ボソッ)……骨折れじゃなきゃいいんスけどねぇ!?」

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「……なんか好き勝手言われてる気がするが、気にせずいくぞ――

 それっ、全機・一斉攻撃開始っ!!」

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激しいアタックをかける戦闘機隊!

持てる火力の全てが、怒濤のごとく恐獣へと叩きこまれる。

 

ゲルデラー「ゲルルルっ、そんな程度でこのゲルデラー様が止まるかァ!」

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「ど、どわぁぁぁ~っ!?」

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ゲルデラーの口から吐き出される赤色破壊光線!

その直撃を受け、一機、また一機と撃ち落されていく戦闘機。

 

みくるん「ああっ、やられちゃったぁ!」

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ながもん「敢えて……やっぱり、とは……言わない、自制心」

ビーコン「うんうん、賢明っスね、実に賢明っスよ――

 でも、今はそんな風に悟ってる場合じゃないっス~!(汗)」

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落合さん「このままでは、チップ料理を味わうどころか……

 私たち自身が、真っ黒焦げになりかねませんわ!」

ピグモン「はわわ……宙マン、宙マン、なんとかしてなの~」

宙マン「(頷き)おのれ、もう許さんぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!

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閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。

華麗な空中回転とともに、荒れ狂うゲルデラーの前に舞い降りる!

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宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上! 

 ゲルデラー、平和な湖畔でのお騒がせはご遠慮願おうか!」

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ズ、ズーンっ!!

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ビーコン「うんうん、やっぱこういう時に頼りになるのは……」

落合さん「お殿様をおいて、他にはいらっしゃいませんわねぇ!」

ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」

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ゲルデラー「ゲルルル~、やっぱり出てきたな、宙マン!

 ガロガ恐獣の底力、バッチリ・ガッツリ思い知らせてやるぜ!」

宙マン「なんの、正義のパワーで返り討ちだ!」

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ファイティングポーズを取り、敢然と身構える宙マン。

さぁ、今こそ、世紀のスーパーバトル開幕だ!

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激突、宙マン対ゲルデラー!

落合さんたちが見守る中、支笏湖畔は神々の決戦場と化した。

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両手の鋭利な爪を奮い、接近戦を仕掛けてくるゲルデラー。

その切っ先をかいくぐりつつ、宙マンも果敢に肉薄していく。

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力と力、技と技!

巨体に秘められたポテンシャルが拮抗し、熱くぶつかりながら

千歳の大地を激しく揺さぶらずにはおかない。

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お互いの気迫とともに繰り出される鉄拳、手刀、正面蹴り!

いつ果てるともしれない、凄まじいばかりの格闘戦である。

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宙マン「ぬうっ、なかなかやるな!?」

ゲルデラー「ゲルルル~、俺は強いぜ、強すぎるぜぇ!」

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くんずほぐれつ、揉みあって、再び離れる両者――

そのチャンスを逃さず、ゲルデラーが赤色光線を吐き出した!

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ズガーン! グワーンっ!

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「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」

 

みくるん「ああっ……ちゅ、宙マンさんが!」

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ビーコン「いくらアニキでも、このままじゃマジでヤバかもしれねっス!」

落合さん「……ちょ、ビーコンさん、縁起でもないですっ(汗)!」

ビーコン「オイラだって言いたかないっスよ、でも……!(汗)」

ピグモン「はわわわ……がんばって、宙マン! まけないでなの~!」

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「いよっしゃ! こうなりゃ完全にゲルデラーのペースだぜ!」

「このまま一気に、宙マンなんざ畳んじまえ!」

「うひょひょ、今夜は戦勝祝いの大パーティーだぜィ!」

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宙マン「(苦悶)う……うう……っ!」

ゲルデラー「ゲルルル~、勝ち星はこの俺様が貰って行くぜィ!」

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宙マンにとどめを刺すべく、迫り来るゲルデラー!

だが、これしきで萎えるような、宙マンの闘志ではない――

 

「ああ、そうとも……本当の戦いは、ここからだ!!

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宙マン、パワー全開!

気力を振り絞り、ゲルデラーの赤色光線をかわしてジャンプ!

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 宙マン「エイヤァァーっ!

 宙マン・ミラクル・キック!!

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出た! 伝家の宝刀、ミラクルキック!

痛撃を受け、たまらずゲルデラーが倒れたところへ――

 

 宙マン「とどめだ! 宙マン・エクシードフラッシュ!!

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全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……

エクシードフラッシュの一閃が、ゲルデラーを直撃!!

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ゲルデラー「ゲルルルっ、やっぱこうなっちゃうのねぇぇ~っ!?」

やったぞ宙マン、大勝利!

 

みくるん「わぁっ、やっぱり宙マンさんは強いですぅ!」

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ながもん「やっぱり、宙マン……安心感が……段違い」

ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~♪」

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イフ「ぐ、ぐばばばばばっ……おのれおのれ、またしても!

 だが、ワシら怪獣軍団は、あくまで地球を諦めん決意だ。

 この次こそはお前の最期だぞ、見ておれ宙マン!」

 

……などと言う、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。

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かくして、宙マンの活躍により……

恐獣ゲルデラーは撃退され、湖畔に平穏が戻ったのであった。

 

みくるん「うふふっ、どうもお疲れ様でした、宙マンさん!」

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宙マン「やぁやぁ、お待たせ、お待たせ!」

ながもん「これで、安心して……お目当ての……」

ピグモン「はうはう~、チップ料理が食べられるの~♪」

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ビーコン「……そして、今年最後のチップ料理。なんスよねぇ」

落合さん「寂しいですが、こればかりは仕方ありませんわ。

 支笏湖の恵みに感謝しつつ、美味しく頂いて……

 その思いを抱きつつ、また来年の漁解禁を待ちましょう」

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ビーコン「いやいや、なぁに……

 そこまでしんみりするコトもないんスよ、落合さん!

 オイラの愛は、一年通していつだって熟れ頃の食べ頃で……」

 

むにゅんっ、ふにふにっ

 

落合さん「……きゃ、きゃああああっ!?」

 げ し っ !

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落合さん「ねーい、どこを触ってるんです、このエロ怪獣っ!(怒)」

ビーコン「どひ~っ、これから実りの秋ってコトでひとつぅぅ~」

宙マン「はっはっはっはっ」

 

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季節は移り、夏から秋へ……

宙マンファミリーの元気も、ますます絶好調。

さぁ、次回はどうなるかな?