無限に広がる大宇宙、暗黒星雲の奥深くから……
あくなき執念で地球を狙い続けているのは、泣く子も黙る怪獣軍団。
そんな怪獣軍団が本拠地を置いている、荒涼たる惑星の一角において
今、恐るべきひとつの実験が行われようとしていた。
ズガガガガガっ!
おお――見よ! 驚愕せよ、この破壊力!
左右一対・二連装の銃口から断続的に発射されたロケット弾が、巨大な岩をも
一瞬のうちに、跡形もなく粉砕してしまったではないか。
果たして、この恐るべき秘密兵器を操る、今回のキャラクターとはいかに!?
ゾネンゲ博士「フフフ……お判り頂けましたでしょうか、魔王様!」
ゾネンゲ博士「発砲怪人・グロテス星人の二連装銃を、私の科学技術によって
10倍にパワーアップした、新型グロテス・ガンのテストは大成功……
その威力は、ただいま魔王様がご覧の通りでございます」
イフ「うむ、見事だ!」
イフ「この破壊力があれば、地球征服も……
そして今度こそ、怨み重なる宙マンめの打倒も夢ではない。
グロテス星人よ、その大いなる使命を果たす名誉はお前に与えよう」
グロテス星人「へへへェッ、有難き幸せにございます!」
グロテス星人「そのご命令を待ちわびておりましたぜ、魔王様。
宙マン打倒は……地獄の狙撃手・このグロテス星人が必ず!」
イフ「うむうむっ、その意気やよし、実によし――」
イフ「ならば直ちに行けいっ、鉄は熱いうちに何とやらじゃ!」
グロテス星人「ぐははは、万事この私にお任せを~!」
恐怖の武器、新型グロテス・ガンを携えて……
怪獣軍団の新たなる刺客・グロテス星人が、地球を目指して飛び立った。
そして、ここまでの流れで既にお察しの通り。
平和を愛する多くの千歳市民にとって、この突然すぎる無法星人襲来は
まさしく「寝耳に水」の出来事に他ならなかったのであった!
「ブふふふ……ふははははぁぁ~っ!」
ビーコン「どひ~っ、なんかヤなタイミングでお出ましっスねぇ!?」
落合さん「(頷き)それも、一番来てほしくないような感じの方が!」
ピグモン「はうはう~、おじさん、一体どこのどちら様なの~?」
グロテス星人「ブふふふ、我は怪獣軍団の一員、グロテス星人――」
グロテス星人「目的その他は今回の話の前段、参照のこと!
以上、説明終わりだ、ここからはサクサク話を進めるぞ~!」
ビーコン「ひぇぇ、何つー強引な!(汗)」
ピグモン「んーと、ピグちゃん、よくわかんないんだけど……」
落合さん「……どの道これは、例によってろくでもない事になる流れですわ!」
イフ「わははは、さぁ行け、グロテス星人よ!
新型中の威力を、全宇宙に轟かせてやるのだ!」
グロテス星人「ブははは……やってやりますぜ、魔王様!」
怪獣魔王の命を受け、進撃開始するグロテス星人!
たちまち大パニックに陥り、右往左往して散り散りに逃げまどう人々。
ビーコン「だーっ、全くぅ! よりにもよって、アニキがいないこんな時に……」
ピグモン「はわっ、待って!……でも、防衛隊のおじさんたちが来てくれたの!」
落合さん「ああ、これぞまさしく天の助けと言うものですわ!」
「GO! GO! GO! GO!!」
勇ましい号令一下……
タクティカル・スーツに身を固め、おのおの得意の武器を携えて
続々と車両から飛び出してくる防衛隊員たち。
発砲怪人相手に一歩も退かず、勇敢に立ち向かっていく地上部隊。
唸りをあげるレーザーガン、バズーカ砲!
地上部隊の携行火器が、グロテス星人めがけて次々に炸裂。
……だが、そんな猛攻に晒されながらも、星人は止まらない。
「くそうっ、何て奴だ!」
グロテス星人「ブははははっ! 当たり前、当然、そして常識――
それっ、グロテス・ガンの威力を思い知るがいい!」
ズガガガガガッ!
ビーコン「ど、ど、どっひ~っ!(汗)」
落合さん「あらあらまぁまぁ、何てことでしょう!?(汗)」
ピグモン「きゃああんっ、怖いの~!(涙目)」
おお、見よ! そして戦慄せよ、グロテス・ガンのこの威力!
断続的に連射される弾丸が、千歳市内の建築物を次々に破壊していく。
北海道千歳市、絶体絶命の大ピンチ!
と、そこへひょっこり顔を見せたのは……
町内会関連の用事を済ませ、のんびり帰ってきたばかりの宙マンであった。
宙マン「やぁやぁ、ただいま~。
……っていったい全体、これは何の騒ぎだね!?」
ピグモン「あっ、宙マン!」
落合さん「あのですね、お殿様、実はかくかくしかじかで……」
ビーコン「……って言うか、この様子を見てもらうのが一番早いスけどねぇ(汗)」
宙マン「(苦々しげに)……ああ、いろいろと察したよ」
ピグモン「はわわ、宙マン、なんとかしてなの~」
落合さん「お疲れのところ、心苦しくはあるのですが……」
宙マン「いやいや、こればっかりは見過ごせないさ――
さぁて、やろうかね! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、グロテス星人の前へと舞い降りる!
宙マン「トゥアーっ! 宙マン、参上!
平和を乱す暴れ者め、乱暴狼藉もそこまでだ――くらえ!」
グロテス星人「ぬ、ぬぐぉぉっ!?」
宙マンの空中キックが炸裂!
その先制打をまともに受けて、吹っ飛び倒れるグロテス星人。
ビーコン「っしゃ! さすがアニキ、今のは上手いっス!」
落合さん「お殿様が起って下さったなら、これでもう一安心ですわ!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」
グロテス星人「ぬうううっ、宙マンめ……のっけから、やってくれたな!?」
宙マン「随分と私の街で、ヤンチャをしてくれたようだからね――
さっきのキックは、ほんの御挨拶代わりさ!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
今日もまたまた、世紀のスーパーバトル開幕だ!
グロテス星人「ナメた口を叩きやがるぜ、宙マン!
その減らず口ごと、グロテス・ガンで蜂の巣にしてやる!」
宙マン「さぁ来い、グロテス星人!」
真っ向激突、宙マン対グロテス星人!
人々が固唾を呑んで見守る中、巨大宇宙人が攻防戦の火花を散らす。
グロテス星人「ブははは、それそれ、行くぞ宙マン!」
宙マン「上等だ!」
まずは、小手調べの格闘戦……
取るに足らない三下奴かと思いきや、自ら前線に出るだけあり
戦士としてはなかなかの技量で、意外に手ごわいグロテス星人。
だが、積み上げてきた経験と技量であれば、我らがヒーローもまた
決して無法星人にひけを取るものではない。
宙マン「それっ、こいつを受けてみろ!」
鋭く決まった、宙マン得意の浴びせ蹴り!
痛烈な一打をビシッと脇腹に食らって、たまらず後退する星人である。
宙マン「どうだグロテス星人、正義の力を思い知ったか!」
グロテス星人「ぐぅぅぅっ……な、なめんなよ~っ!?」
シュバッ! シュババババババッ!
星人の奥の手、強化グロテス・ガンからの凄まじい発砲。
だが宙マンは、それらの凶弾を素早くかわして跳躍!
グロテス星人「(驚愕)な、何っ!?」
宙マン「受けてみろ、グロテス星人!」
驚異的なジャンプ力で、一瞬のうちに大空へ舞う宙マン。
急降下の勢いとともに、星人めがけて繰り出す技の名は!
「ドゥリャアァーッ! 宙マン・合掌打ち!!」
出た! 宙マンの大技、「合掌打ち」!
両の拳を握り合わせ、高空からグロテス星人の脳天へ叩きつけた
強力なパンチ攻撃が、凄絶な死闘を制する決定打となった。
グロテス星人「はにゃあぁぁっ……お星さま、ぐ~るぐる~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
ピグモン「はうはう~、やったのやったの、宙マンの勝ちなの~!」
ビーコン「いえっふ~! いつもながら、流石アニキっスねぇ!」
落合さん「今日も素晴らしゅうございました、お殿様……♪(うっとり)」
イフ「うぐぐぐっ……おのれ、またしても宙マンめが!
だが覚えておれよ、次は、この次こそは……っ!」
……などと言う、毎度毎度の負け惜しみはさて置いて。
かくて宙マンの活躍により、地獄の狙撃手・グロテス星人は倒され
またまた千歳の平和は守られたのであった。
ピグモン「はうはう~、宙マン、お疲れ様なの~」
落合さん「お帰りになったばかりのところ、一服する間もないままに
あの「大仕事」ですもの……、
お殿様のお働きには、不肖落合、ただただ頭の下がる思いですわ」
宙マン「いやいや、ホントに今日はもうヘトヘトだよ~。
……しかし、平和は良いね。みんな、思い思いの暮らしが出来る!」
ピグモン「はうはう~、平和がいちばんなの~♪」
ビーコン「ヒヒヒ、いやぁ、全く全く、平和サイコーっスよね!
好きな時に寝て、好きな時に起きて、飯が食えて……
そんでもって、思い立ったら即・セクハラだって思いのままっス!」
落合さん「(ジト目)……はァ……!?」
げ し っ !
落合さん「ねーいっ、そんな無法はこの私がのさばらせませんっ!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、今度こそ上手くいくかと思ったのにぃぃ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
秋風の冷たさも、しぶとい悪も……
元気パワーで、エイッと乗り切る正義の味方。
頑張れ宙マン、次回も千歳を頼んだぞ!