遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

せめて、御隠居らしくの巻

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日に日に、寒さが深まってきて……

いよいよ、秋から冬へと移り変わる足音が聞こえ始めてきた。

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そんな秋色模様の北海道千歳市、ほんわか町5丁目。

今回もまた、毎度おなじみの『宙マンハウス』から物語を始めよう。

 

 

「あ゛ぁ……ん゛ん~~」

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開幕早々、穏やかではない感じの唸り声をあげたのはこの人。

ここ『宙マンハウス』の世帯主にして、現役引退組ヒーローの宙マンである。

 

で、そんな彼の声を聞いて駆け寄ってきたのは、これまたお馴染みの……。

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落合さん「あらあら、どうかなさいまして、お殿様!?」

ビーコン「なんスかアニキ、そんなおかしな声出して?」

宙マン「ん?……ああ、いやいや、別になんでもないんだよ。

 ただちょっと最近、なんかこう妙に肩が凝ってしまってねぇ」

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落合さん「肩凝り、ですか? ちょっと失礼……

 (宙マンの肩に触れてみて)……あらほんと、凄く凝ってますわね!」

宙マン「そんなにかね?」

落合さん「ええ、もう、凝りっ凝りを超えたゴリッゴリですわ」

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落合さん「それにしても、どうしてこんなにお肩が?」

宙マン「うん、その辺が我ながら不思議なんだよねぇ。

 とっくに現役は退いて、毎日気楽に暮らす身だって言うのに……」

ビーコン「チチチ、判ってないっスねぇ、アニキは」

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宙マン「えっ?」

ビーコン「(呆れて)“えっ”じゃないっスよ、“えっ”じゃ」

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ビーコン「現役引退とは名ばかりで、怪獣が出たらすぐ自分から飛び出して、

 なんかおかしなことが起ころうもんなら、自分からホイホイ首を突っ込んで、

 でもって鉄火場ともなりゃ「ファイト・ゴー!」で巨大化っしょ?

 正直アニキのフル回転ぶりは、なまじの現役ヒーロー顔負けなんスよ」

落合さん「確かに、そう言われてみれば……」

宙マン「(きょとんとして)……そんなものかねぇ?」

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ビーコン「そんなもんスよ、そんなもん。

 オイラから見りゃ、アニキはワーカホリックもいいとこっス!」

落合さん「(ジト目)そりゃ、ビーコンさん基準なら大抵の方はそうでしょうとも」

ビーコン「(汗)……と、とにかくっスね、オイラが言いたいのは!

 怪獣退治はこれから、防衛隊みたいな専門組織や現役のヒーローに任せて

 アニキはあくまで、隠居の身としてのんびり構えてろってことっスよ」

宙マン「のんびりと……ねぇ?

 や、今でも充分にのんびりさせてもらってるつもりだが……」

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ビーコン「いやいや、それに輪をかけてまったりするくらいで丁度いいんスよ。

 わざわざ公式に引退宣言出してるアニキがしゃしゃり出て行かなくたって

 ヒーロー大国の日本にゃあ、いろんなヒーローが佃煮に出来るほどいるんスから

 その人らに任せときゃ全然モンダイないんスよ~。

 ……だいたい大怪我したって、公的な労災もつかないんスよ?」

落合さん「……今回ばかりは、私もビーコンさんのご意見に頷かざるを得ませんわ」

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落合さん「お殿様は現役時代、充分すぎるほど使命を全うされたんですもの……

 あとは一切荒事にかかわらず、のんびりお過ごしになられたのだとしても

 誰にも文句を言われる筋合いはないはずですわ」

ビーコン「そうそう、御隠居さんは御隠居さんらしくっスよ!」

宙マン「う~む、隠居らしくか……そう言われてもねぇ(汗)」

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ビーコン「と、言うわけで、読者の皆さん!

 これからの『飛び出せ!! 宙マン』は、装いも新たにリニューアル!

 怪獣退治とか悪の陰謀とか、そのヘンの描写は一切合財オミットして……

 ひたすら食べ歩きとかレジャー情報とか、そういうお気楽ゴクラクな内容の

 まったり路線に徹するっス!」

落合さん「荒事への介入もなくなれば、お殿様の肩凝りもすっきり解消……

 ああ、これで万事めでたしめでたしですわねぇ!」

宙マン「そう……なのかなぁ?(首を傾げる)」

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『宙マン』シリーズ、ここにきて劇的過ぎる路線変更宣言!

……だが、そう簡単には問屋が卸してくれるはずもなく……。

 

ピカッ、ゴロゴロドドーンっ!

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それまで晴れ渡っていた空が、にわかにどす黒くかき曇り……

異様な邪気を孕んだ稲妻が、地上へと向けて降り注いでくる。

そしてそれは、何事かと家から飛び出してきた宙マンたちの眼前で!

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「ギャヴォヴォヴォ~ンっ!!」

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迸る青白いスパークとともに、空中で実体化した巨大な影。

言うまでもなく、暗黒星雲から送りこまれた怪獣軍団の一員……

「超合成獣」の異名をとるサンダーダランビアだ!

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落合さん「あらあらまぁまぁ、何てことでしょう!?」

ビーコン「っがー、ほんとに懲りない奴らっスねぇ!」

サンダーダランビア「ギャヴォヴォヴォ~!
 只今ナレーションでのご紹介に与りました、サンダーダランビアですッ。
 ……今からこの俺の力で、千歳の街を徹底的にブッ壊してやるからな!」

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宙マン「なんの、そうはさせるか! この私がいる限り……」

落合さん「ちょっ、いけませんわ、お殿様!

 そんな事なさったら、また肩凝りが一段と酷く……」

ビーコン「隠居は隠居らしくっスよ、アニキ! もう忘れたっスか!?」

宙マン「……あ、ああ、そうだったっけねぇ(苦笑)」

 

サンダーダランビア「(怪訝な顔で)あァん、なんだなんだ、訳アリかぁ?

 ……まぁ何だっていいやな、俺は俺の仕事をするだけだ!」

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イフ「わははは、そうだ! それでいいのだ、サンダーダランビア。

 文明などと称した、地球人どものたわけた寄木細工を綺麗に掃除し……

 その廃墟の上に、ワシら怪獣軍団の地球征服前線基地を築くのだ!」

サンダーダランビア「ギャヴォヴォヴォ、合点承知でさ、魔王様~!」

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怪獣魔王の命を受け、進撃開始するサンダーダランビア!

大パニックに陥り、右往左往して逃げ惑う千歳の人々。

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ビーコン「あっ、アニキってば、なにウズウズしてんスかぁ!?

 ダメっスよ、ダメ、ここは自重してもらわなきゃ困るっス!」

落合さん「そうですわ、もっとご自分を労わって下さいませんと!」

宙マン「しかし、そう言われてもだね……」

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落合さん「いえいえ、お殿様、ご心配には及びませんわ。

 ……ホラッ、ごらん下さいまし、航空防衛隊ですわ!」

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人々を追い散らし、我が物顔で突き進むサンダーダランビア!

その暴虐を阻まんと、直ちに戦闘機隊がスクランブルをかけた。

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雨あられと叩きこまれる、戦闘機隊のロケット砲攻撃!

それらの直撃を受けても、全くびくともしないサンダーダランビア。

 

サンダーダランビア「うるせェぞ虫ケラども、大人しくしてやがれ!」

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合成獣の背中から突き出た、巨大なコイル状の角がスパークを放つや

凄まじい勢いで空中に迸る、超高圧電流ビーム!

その一閃になぎ払われて、一機、また一機と撃墜されていく戦闘機。

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「う、うひゃぁぁぁっ……!!」

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ビーコン「だーっ、全部まとめて返り討ちにされちまったっスよ!(汗)」

落合さん「手も足も出ない防衛隊、毎度のこととは言いながら……

 せめて今回ばかりは、もう少し頑張って欲しかったですわねぇ!(汗)」

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……などと言っている間にも、ますます荒れ狂うサンダーダランビア。

迸る超高圧電流ビームの一閃が、街をなぎ払って次々にビルを破壊していき

状況を見守っていた落合さんたちも、慌てて逃げ出さざるを得なくなる。

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爆発! 炎上!

燃え盛る炎の中を突き進み、更なる破壊活動に邁進する超合成獣……

今や千歳市は、一刻の猶予とてない「絶対の危機」に晒されていた!

 

宙マン「いかん、このままでは……!」

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ビーコン「だーかーらー、アニキ! 自重っスよ自重!

 今のアニキには、わざわざ危険に身を晒す義務なんてないんスから!」

落合さん「ええ、そうですとも、お殿様!

 もうすぐどなたか、現役のヒーローさんが助けに来て下さるはずですわ。

 あの怪獣の相手は、そちらの方に一任するのが賢明かと……」

宙マン「うん、そうだよね……それでいい、はずなんだよね。

 引退した身の私なんだから、出しゃばる必要も義務もないんだ――」

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宙マン「でも、簡単にそうできるんなら、誰も苦労はしないよねェ!?(苦笑)」

落合さん「……お、お殿様っ!?」

ビーコン「ちょ、ダッシュでどこ行くっスかアニキ! アニキってばーっ!!(汗)」

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宙マン「……さァて、今日もいっちょやろうかね! 

 宙マン・ファイト・ゴー!!」 

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閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。

悪を許さぬ決意も固く、サンダーダランビアの前に敢然と立ちはだかった!

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サンダーダランビア「出たな宙マン、ご期待通りに只今参上ってか!?」

宙マン「ああ、みんなのご期待通り、速攻でお前を片付けてやるさ!」

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ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――

さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ!

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サンダーダランビア「(激怒)……ほ、ほざくなゴラーッ!!」

宙マン「さぁ来い、勝負だ!」

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激突、宙マン対サンダーダランビア!

千歳の街を激しく揺るがし、真っ向からぶつかりあう二つの巨体。

 

ビーコン「あ~あ……結局は、こうなっちまうんスねぇ!?(呆)」

落合さん「仕方ありませんわ、今はお殿様を応援致しましょう!」

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磨きぬかれた格闘技の冴えをみせ、パンチやチョップを連打する宙マン!

だが、全身が硬質の岩石によって形成されているサンダーダランビアの強固さは

それらの度重なる直撃にも、しぶとく耐え続けている。

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落合さん「そこです、お殿様、手を緩めずに連続攻撃あるのみですわ!」

ビーコン「アニキ~! ファイト、ファイトっス~!」

 

落合さんたちの熱い声援を受け、更にヒートアップしていく巨大バトル。

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ガンガン攻めまくる宙マンだが、サンダーダランビアもさるもの……

このまま好き勝手にはさせじとばかり、怪力で宙マンの攻撃を押し返し

すかさず、得意技の超高圧電流ビームを叩きこんできた!

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宙マン「(苦悶)ぐ、ぐわぁぁぁぁっ……!」

サンダーダランビア「ギャヴォヴォ! どうだ、シビれちまうだろ~!?」

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嘗め回すような、超高圧電流ビームの洗礼!

そのしつこい攻撃に耐え切れず、遂にドドーッと倒れこんでしまう宙マンの巨体。

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落合さん「(驚愕)……お、お殿様っ!?」

ビーコン「こ、このままじゃアニキが!(汗)」

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宙マン「う、ううっ……!」

サンダーダランビア「ギャヴォヴォヴォ! お前の負けだ、覚悟しやがれ!」

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闘牛場の雄牛のように、猛然と突進してくるサンダーダランビア!

辛くも受け止めた宙マンではあったが、その猛パワーたるや凄まじく

踏みこんだ宙マンの踵が、ガガッと地を削る。

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ビーコン「ど、どひ~っ!

 ますますヤバいっスよ、完全に奴のペースじゃないっスか!?」

落合さん「なんの……これしきのことで、私たちのお殿様が負けるものですか!」

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「ああーーそうともっ!」

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宙マン、パワー全開!

至近距離からのハイキックで、サンダーダランビアを吹っ飛ばす。

よろめいた超合成獣に駆け寄って、軽々とその巨体を抱えあげ……

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出た! 豪快な投げ技、ダメ押しとばかりの宙マン・リフター!

激しく地面に叩きつけられ、超合成獣がフラフラになったところへ――

 

宙マン「とどめだ! 宙マン・エクシードフラッシュ!!

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全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……

エクシードフラッシュの一閃が、サンダーダランビアを直撃!!

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サンダーダランビア「……ぎゃ、ギャヴォヴォ、強すぎだぜ宙マン~っ!」

やったぞ宙マン、大勝利!

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かくして宙マンの活躍により、千歳を襲ったサンダーダランビアは撃退され……

ひとつの戦いを終えた宙マンは、巨大化を解いて元の大きさに戻ったのであった。

 

宙マン「いやー、みんな、どうもお待たせェ!」

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ビーコン「あー、全くもう、アニキにゃホトホト呆れるっスよ!

 御隠居らしくおっとり構えてりゃいいのに、結局はこれっスもん。

 また今度の戦いで、肩凝りが一段と酷くなったらどうすんスかぁ!?」

宙マン「はっはっはっ、それがね、案外そうでもないんだよ。

 なんか不思議と今は、肩の凝りがほぐれてるようでねェ――

 あの怪獣の電流攻撃が、マッサージの役割でも果たしてくれたかな?」

落合さん「もう! お殿様ったら、ご冗談ばっかり……(泣き笑い)」

宙マン「はっはっはっはっ」

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和やかな宙マンファミリーのやりとりで、今日もこれにて一件落着。

……かと、思いきや!?

 

 「お~い、宙マンさん、宙マンさ~んっ!」

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宙マン「おや、熊澤さん、こんにちは!」

落合さん「どうなさいましたの、そんなに慌てて?」

熊澤さん「や、どうもこうもないですよ、大変なんだよ宙マンさん――

 今度は富丘1丁目に、また別の怪獣が現れたんだ!!

ビーコン「げげっ、マジっスか!?」

 

そう、本気と書いて「マジ」と読むくらいの大マジであった――

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サンダーダランビアを撃退してひと安心かと思いきや、すかさず今度は

千歳市の別の場所を、円盤生物ロベルガーが襲っていたという次第。

又しても訪れた危機を前に、宙マンの助けを求めて続々やってくる人々。

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熊澤さん「あのままじゃ、千歳がホントの焼け野原になってしまうよ!」

宇佐美さん「こんな時に頼れるのは、やっぱり宙マンさんだけだ!」

みくるん「ふぇぇん、お願いです宙マンさん、街を守って下さいぃ~(涙目)」

宙マン「ええ、勿論ですとも、任せておいて下さい!」

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落合さんとビーコンが、静止する間もあればこそ……

またまた、ロベルガー出現の現場へとダッシュしていく宙マンであった。

 

ビーコン「……結局、アニキのあの性分は変えようがないんスかねぇ(呆)」

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落合さん「でも、あれがお殿様なんですのよねぇ。

 ……私は、そんなお殿様にお仕え出来るのが心から誇らしいですわ!」

ビーコン「なるほどね~、なんかイイ話っぽくまとまってきたっスね!

 んじゃオイラも、変わることなく今まで通りのオイラでいくっスよ!

 そして落合さんは、そんなオイラを愛すればいい……おお、完璧っスね!!」

 

むにゅん、ふにふにっ

 

落合さん「(赤面)……きゃ、きゃああああっ!?」

 げ し っ !

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落合さん「ねーいっ! アナタは自重なさい、徹底的に猛省なさいっ!!(怒)」

ビーコン「どひ~っ、そういう落合さんも少しは手心加えて欲しいっスぅぅ~」

 

……などという、極楽コンビの「いつも通り」な実のないやりとりの一方で。

我らが宙マンも「いつも通り」に、怪獣騒ぎの現場へと駆けつけていた。

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宙マン「待てぃっ、それ以上の傍若無人な真似は許さないぞ!」

ロベルガー「グモモモ、出て来たであるな、宙マン!

 今度こそ、怪獣軍団の威力を思い知らせてやるのである!」

宙マン「行くぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!」 

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北海道千歳市・ほんわか町5丁目在住、プラネット星人の宙マン。

ヒーローとしての現役を引退した彼に、地球防衛や怪獣退治の義務はない。

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だが、彼は戦う――

 

泣いている人の側に寄り添い、困っている人に手を差し伸べるように

「そうすること」は彼にとって、ごく自然なことだからなのである。

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そして、円盤生物ロベルガーとの戦いもまた……

我らが宙マンの勝利に終わった、と言う事実のみをごく簡潔に申し添えて

本エピソード・第54話の締めくくりに代えさせて頂こう。

 

ではまた、次回まで。

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今日もホントにありがとう。

そして明日も頼むぞ、地域のヒーロー!

さァて、次回はどんな活躍を見せてくれるかな?