秋から冬へ、そして来たる年末へ……
街を吹き抜けて行く風も、日に日に冷たさが増しつつある北海道。
だが、そんな季節の空っ風に晒されながらも、北海道千歳市の住人たちは
それに負けないの明るさで、日々の暮らしを満喫中であった。
宙マン「いやぁ~、11月には珍しいくらいの良い天気になってくれたねぇ!」
ピグモン「はうはう~、風もすっごく気持ちいいの~」
落合さん「お出かけするもよし、家でのんびりするもよし……」
ビーコン「そしてそして、何つっても平和そのものっス!」
みくるん「ほ~んと、凄く良い一日になりそうな予感ですぅ」
ながもん「今日は、みんなで……のんびり、まったり」
ビーコン「……って言うか、っスね、今日。
まったりどころか、異様に暑くないっスか!?」
落合さん「えぇ、この暑さ……
つい何か月か前の、真夏日の猛暑に勝るとも劣りませんわっ」
宙マン「ううむっ、確かに、11月の北海道にしては異常だねぇ」
ピグモン「はわわ、どうしたのかしら~、急に?」
みくるん「(驚愕)……ああっ!!」
……と、このタイミングで、みくるんが思わず叫んだのも無理はない。
ビーコン「……うっわ、なんスかこりゃ!?」
ながもん「噴水の、水が……フットー、してる」
宙マン「いくら急な暑さでも、こりゃ急すぎだよ!」
ピグモン「えう~、暑過ぎるのは嫌~んなの~」
「グワッカカカ、だったら……
今度は、うんと温度を下げてやろうかァ……?」
落合さん「はいはい、是非ともお願い致します……
(ハッと気づいて)……へっ!?」
不意に聞こえてきた声に、一同が驚きかけた次の瞬間。
千歳市街地の真下から、今度は猛烈な冷気の柱が迸った!
宙マン「う、うぉぉぉっ!?」
みくるん「こ、今度は寒いです、寒すぎですぅ~っ!」
ビーコン「ハンニャラ、ヒ~っ……」
ピグモン「はわわ、ビーコンちゃん、しっかりしてなの~」
ながもん「おおっ、これは……まさか、怪獣の……?」
そう、残念ながら……今回も、またまたその通り!
「悪い予感」に限って、バッチリ的中してしまうのが人の世の常。
大地を荒々しく引き裂き、轟然とその姿を現わしたのは!?
「グワッカカカカぁぁ~っ!!」
ピグモン「きゃあぁんっ、怪獣だったの、やっぱりなの~!(涙目)」
みくるん「あれは……カニ? それとも、エビ?」
ながもん「多分、その……どちらでも……ない」
「グワッカカカ、分かってるじゃねぇか! その通りよ!」
そう、彼こそは地球上の生物にあらず。
かつてその同族が、かのウルトラマンダイナを死の淵まで追い込んだ
怪獣軍団の暴れ者、宇宙海獣レイキュバスだ!
落合さん「えぇ、その辺は割とどうでもいいんですけど……」
落合さん「ですが、急に暑過ぎたり、寒すぎたり。
こういう両極端は、さすがにご勘弁いただけません!?」
ビーコン「そうっスよ、風邪でもひいたらどうするんスか!」
レイキュバス「グワッカカカ、それよ、そいつが狙いよ!」
落合さん「ええっ!?」
イフ「レイキュバスの力による直接破壊……
今回の作戦、それ以外にもまだ隠し玉があると言うのか!」
ゾネンゲ博士「(頷き)ぬふふ、左様にございます、魔王様」
ゾネンゲ博士「オホンっ、つまりですな!
暑過ぎ・寒すぎの両極端によって、地球人どもの体調を崩せば
地球征服などは赤子の手を捻るようなもの――」
ゾネンゲ博士「「そして然る後に、地球人どもへ風邪薬を売りつければ……
地球人どもは、我らの事を神か仏のように崇め奉り、敬うばかりか
我が軍団の大金庫も潤い、正に一石二鳥でございます!」
イフ「うむっ、見事なり! 流石はゾネンゲ博士、怪獣軍団きっての知恵者よ!」
ビーコン「(思わずズッコケ)……く、くっだらねぇ~っス!」
落合さん「……ですが、それなりに狙いは的確ですわ」
ピグモン「はわわ、ピグちゃん、とにかく怖いの~」
ゾネンゲ博士「さぁ、頼んだぞレイキュバス!
この作戦の成功は、ひとえにお前にかかっておるからにして!」
イフ「思う存分に力を奮うがよいぞ、レイキュバス!」
レイキュバス「グワッカカカ、お任せ下さいですぜ、魔王様~っ!」
怪獣魔王の命を受け、進撃開始するレイキュバス!
迫り来る巨体を前に、なすすべもなく逃げ惑う人々。
ビーコン「どひ~っ、熱かったり寒かったり、身も細る思いっス!」
落合さん「こんなダイエット、絶対カラダに悪いですわよねぇ!?」
宙マン「ボヤきは後回しだよ、とにかく急いで逃げるんだ!」
おお、何ということであろう――
平和だった千歳市が、一瞬で洒落にならない大ピンチ!
宇宙海獣の暴虐、もはや断じて許すまじ。
千歳の平和を守るべく、航空防衛隊が直ちに出撃した。
ビーコン「おおっ、航空防衛隊のお歴々っスよ!」
落合さん「タイミング「は」、いつも絶妙なのですけれど……(汗)」
ピグモン「はうはう~、おじさんたち、しっかりなの~!」
「ようし……全機、怪獣に一斉攻撃だっ!」
レイキュバスめがけて、一斉に攻撃をかける戦闘機!
だが、その凄まじい弾着も、大怪獣を怯ませるには至らない。
レイキュバス「グワッカカカ……お呼びじゃないぜ、消えな!」
「う、うわぁぁぁっ……!!」
レイキュバスの口から吐き出される高熱火球!
その洗礼を受け、一機、また一機と撃ち落されていく戦闘機。
みくるん「ああっ、やられちゃったぁ!」
ながもん「さすが、つわもの……一筋縄じゃ……いかない」
ビーコン「って、感心してる場合じゃないっスよ!(汗)」
レイキュバス「グワッカカカ、お次は凍結地獄を見せちゃるぜ!」
レイキュバスの口から、続けて吐き出されたのは冷凍ガス!
高熱と冷気を同時に操る、彼ならではの贅沢な攻撃法だ。
瞬時に凍りついた街で、道路がスケートリンクのように凍りつき
運転中の車が次々にスリップし、衝突事故を引き起こす!
レイキュバス「グワッカカカ~、ど~んなもんだィ!」
ビーコン「どひ~っ、アイツ、すっかり得意顔っスよ!(汗)」
ピグモン「はわわ……宙マン、宙マン、なんとかしてなの~」
宙マン「(頷き)おのれ、もう許さんぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、レイキュバスの前へと舞い降りる!
宙マン「トゥアーっ! 宙マン、参上!
怪獣軍団の小悪党め、もう好き勝手はさせないぞ!」
ズ、ズーンっ!!
ビーコン「いよっしゃ! アニキの十八番が出たっスよ!」
落合さん「ああ、やはり素敵ですわ、お殿様っ!(うっとり)」
ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」
レイキュバス「グワッカカカカ、死にに来たか宙マン!」
宙マン「いいや、お前を懲らしめに来たのさ!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
バトルのテンションは、一気呵成にヒートアップ!
レイキュバス「大口を叩きゃがって! 行くぜ行くぜェッ!」
宙マン「来るなら来てみろ、レイキュバス!」
真っ向激突、宙マン対レイキュバス!
落合さんたちが見守る中、ダイナミックに展開される死闘。
宙マン、殴る蹴るの猛攻!
だが、レイキュバスもさるもの……驚異的な耐久力とスタミナで、
ヒーローの攻撃をまともに受けながら一歩も引かない。
レイキュバス「グワッカカカ、そんなものか宙マン!?」
巨大な鋏を鈍器のように用い、レイキュバスもまた猛攻!
その攻撃をかいくぐりつつ、冷静に相手のすきを伺う宙マン。
宙マン「そぉれっ、これならどうだ!」
宙マンの回し蹴りが、レイキュバスの脇腹にヒット!
比較的やわらかい場所を責められ、さしもの海獣もよろめく。
宙マン「さぁ、大人しく暗黒星雲に帰るがいい!」
レイキュバス「グガガガッ……なめるなーッ!!」
ボッ! ボッ! ボウッ!
レイキュバスの怒りそのもののように、連続炸裂する火球!
宙マンがよろめいた隙を逃さず、猛然と海獣が突撃していく。
レイキュバス「グワッカカカカ、くらえ宙マン!
これぞレイキュバス様の必殺・万力締めっ!」
巨大な鋏で、宙マンの首を容赦なく締め上げるレイキュバス!
凄まじい力により、鋏の棘が宙マンに食い込んでいく。
宙マン「ぐうっ……ぬおおおっ!?」
そのまま一気に、肩腕一本で宙マンを投げ飛ばしてしまう怪力!
ヒーローの巨体が、激しく地面に叩きつけられる。
みくるん「ああっ、宙マンさんが!」
ビーコン「ヤバいっスよアイツ、とんでもない強さっス!」
ながもん「ダイナが……苦戦するのも……よく、わかる」
ピグモン「えう~、納得してる場合でもないと思うの~」
落合さん「お殿様……頑張って下さい、お殿様!」
宙マン「(苦悶)うう……うっ!」
レイキュバス「グワッカカカカ、とどめを刺してやるぜ!」
「なんの、まだまだ……勝負は、ここからだッ!」
宙マン、パワー全開!
レイキュバスの吐き出した冷気を、プロテクションで無力化――
そしてそのままの勢いで、大空高くへとジャンプ!
レイキュバスめがけて急降下していく宙マン。
ダイナミックな空中回転とともに、繰り出すその技の名は!
宙マン「エイヤァァーっ!
宙マン・ミラクル・キック!!」
電光石火の必殺キックが、レイキュバスの鼻っ面に炸裂!
怪獣がもんどりうって倒れ、大ダメージを受けたところへ――
宙マン「とどめだ! 宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、レイキュバスを直撃!!
レイキュバス「あばばばっ、こ、こりゃたまら~んっ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
ピグモン「はうはう~、やったのやったの、宙マンの勝ちなの~!」
みくるん「よかったぁ、やっぱり宙マンさんは無敵ですぅ!」
ながもん「お見事……グッジョヴ」
ビーコン「アニキ、今日もお疲れさんっした~!」
イフ「ぐうっ! うぬぬぬっ、またしても宙マンめが!
この次こそは、必ずこの仕返しをしてやるからな……
よいか、必ずだぞ! 覚えておれ、覚えておれ~っ!」
……などと言う、いつもの負け惜しみはさて置いて。
かくして我らが宙マンの活躍により、宇宙海獣レイキュバスは倒され
千歳市は、灼熱・寒波の二大地獄から解放されたのであった。
ビーコン「どもども~、お帰りなさいっス、アニキ!」
みくるん「みんなが助かりました、宙マンさんのおかげですぅ!」
宙マン「いやぁ、一時はどうなるかと思ったけどねぇ。
何とか勝てたのは、みんなが応援してくれたからこそだよ」
ながもん「おう……またまた……ご謙遜」
ピグモン「ピグちゃん、そんな宙マンがだいすきなの~♪」
落合さん「暑過ぎたり、寒過ぎたり、怪獣のタチが悪すぎたり……
今日はもう、いろんな汗をかき過ぎちゃいましたわねぇ」
ビーコン「いえっふ~、いやいや、まだまだ。
落合さんにはまだこれから、うんといい汗かいてもらうっスよ!」
落合さん「……はい?」
ビーコン「ヒヒヒ、な~にを今更カマトトぶってんスか!
落合さんにはオイラとの、「愛の熱帯夜」が待って……」
げ し っ !
落合さん「ねーいっ、エロ怪獣! アナタは少し頭を冷やしなさいっ!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、この鉄拳も相変わらずHOT過ぎるっスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
みんなの平和を乱す者……
許しちゃおかない、正義の味方。
さァて、次回はどんな活躍を見せてくれるかな?