11月に入って寒さがいや増し、冬の気配がひしひしと迫りつつある
毎度お馴染みの舞台、北海道千歳市。
そんなある日の北海道千歳市、ほんわか町5丁目――
今回の『宙マン』も、またいつものように、お馴染み「宙マンハウス」から
物語を始めることにしよう。
落合さん「お殿様、お殿様っ!」
宙マン「んー、どうしたのかな、落合さん?」
落合さん「ちょうど今、お殿様宛てのお手紙が届いたところなのですけれど……
それが、この通り差出人さんのお名前が書かれていないものですから」
宙マン「ふむ……カミソリとかの嫌がらせ、ってわけではなさそうだね。
どれどれ……」
落合さんから茶封筒を受け取って、注意深く開封し……
中から出てきた手紙の文面に目を通した瞬間、宙マンの表情が鋭く変わった!
宙マン「むむっ、これは……!」
落合さん「どうかなさいましたか、お殿様」
ビーコン「まさか、何かの督促状とかそういうヤツっスか!?
アレっスよ、そういうのは大抵詐欺だから市役所窓口に相談を……」
宙マン「(苦笑)いやいや、そういうものではないよ。……
……それに、役所へ相談してどうこう出来る事案でもなさそうだ」
落合さん「と、申しますと……?」
宙マン「果たし状ってやつさ、怪獣軍団からのね。
指定の場所へ指定の時間までに来て、我々の挑戦を受けてもらうと――
しかもそれを受けなければ、すぐに千歳をミサイル攻撃する、ときた」
落合さん「あらまぁ、何てタチの悪い……」
ビーコン「で、アニキ、それに応じるんすか?」
宙マン「ああ、仮に悪戯だったとしても、一応確かめてみないことにはね。
……ちょっと出かけてくる、夕飯までには戻るから!」
落合さん「あ、ハイ、行ってらっしゃいませ!」
ビーコン「気ぃつけてっスよ、アニキ~!」
宙マン・ダッシュ!
家人の見送りを受け、勇んで出発していくご町内のヒーロー。
そして、怪獣軍団からの手紙による指定場所……
道内某所の“魔境岬”では、邪悪な気配が既に蠢き始めていた!
ゴゴゴゴ……グラグラグラグラッ!
魔境岬一帯が激しく揺れ、地面が割れ裂ける。
激しい土ぼこりを巻き上げて、地中からその姿を現した者とは!?
「ギェェェェーッ!!」
しなやかに引き締まった細身のボディに、何より特徴的な両腕の二条鞭。
そう、怪獣愛好家の読者諸氏にはお馴染みの顔……地底怪獣・グドンである。
イフ「おおっ、グドンよ、張り切っておるな!」
グドン「ギェェ~ッ、勿論ですとも、魔王様!」
グドン「今度こそこの魔境岬を、宙マンの墓場にしてご覧に入れましょう。
ま、もっとも宙マンが怖気づいていなければ、の話ですが……」
「見損なうな、私ならここにいるぞ!」
グドン「ムムッ!?」
不意に響いてきた凛たる声に、驚いて振り返るグドン。
次の瞬間、華麗な空中回転とともに舞い降りてきたのは……もちろん!
宙マン「トゥアアーッ! 宙マン、参上!
怪獣軍団め、千歳中心部へのミサイル攻撃などは断じてさせん!」
グドン「ギェェ~ッ、さすがは宙マン、見上げた根性だな。
愛する街を守ろうってわけか、自分の命と引き換えに!」
宙マン「いいや、生憎だがそのつもりもないよ。
……わざわざふざけた手紙で呼びつけたんだ、只で済むと思うなよ!」
グドン「お前こそ見損なうな、宙マン!
呼び立てた客人のもてなしぐらい、心得ていない俺らじゃねぇぜ!?」
宙マン「いいだろう……さぁ来いっ、怪獣グドン!」
ファイティングポーズをとり、颯爽と身構える宙マン。
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトルの幕開けだ!
荒涼たる魔境岬に、鋭く響き渡る風切り音――
両手の二条鞭を振り回して、宙マンに襲い掛かってくるグドン。
ヒュン! ヒュンっ!
叩きつけられる鞭を巧みに見切り、かいくぐりながら、宙マンも怯むことなく
果敢に接近戦を挑んでいく。
グドン「むううっ、やるな!?」
宙マン「グドンよ、貴様の力はその程度か!」
グドン「ギェェェーッ、なめるなっ!」
宙マンの挑発に怒り、更に激しく鞭を打ち振るグドン。
そこに生じた隙を突き、懐に入り込んで攻撃をかける宙マンだったが……。
グドン「ギェェェーッ! なめるなと言ったはずだぞ!?」
グドンの頭突きが炸裂!
鋭い二本の角の威力も相まって、これにはたまらず吹っ飛ぶ宙マンである。
宙マン「う、うわあぁぁぁ……っ!」
グドン「ギェェェーッ! どうだィ、思い知ったか宙マンめ!」
イフ「わーはははは! いいぞ、その調子だグドン!
鍛え抜かれたお前の鞭さばきに、勝てるものなど居はしない――
そうとも、例えそれが銀河連邦の元・英雄と呼ばれた男だろうとな!」
イフ「さぁ、やってしまえ、奴に反撃のチャンスを与えてはならん。
必殺二条鞭で、今度こそ恨み重なる宙マンにとどめを刺すのだ!」
グドン「ギェェェーッ! お任せ下さい、魔王様!」
グドン「魔王様のご命令だ、今度こそ死んでもらうぞ宙マン!」
宙マン「なんの……負けて、たまるかッ!」
岸壁に激しく荒波が叩きつける中、宙マンもまた敢然と立ちあがる。
一気呵成の突進で、グドンの内懐に飛び込み……
「エェェーイっ! 宙マン・リフター!!」
宙マンの豪快な投げ技が炸裂!
グドンの巨体を高々と抱え上げ、地面へと一気に叩きつける。
宙マン「よし、今だ! 宙マン・フラッシュボンバー!!」
シ ュ ッ パ ァ ァ ー ン ッ !!
右手に集中させた闘気を、裏拳とともに勢いよく解き放ち……
赤いエネルギー弾として、敵めがけて叩きこむ荒技。
フラッシュボンバーの一撃が、グドンに大炸裂!!
グドン「ギェェェ……なんたるちや、サンタルチアぁぁ~っ!」
とどめの一撃を受け、ぐらりと崩れ落ちて大爆発の地底怪獣グドン。
やったぞ宙マン、大勝利!
イフ「うぐぐぐっ……おのれおのれ、よくもやってくれたな宙マンめ!
だが、これで勝ったと思ったら大間違いだぞ――見よ!」
そんな怪獣魔王の言葉を裏付けるように……
ズシーン、ズシーンと、打楽器の音色のように重々しく響いてくる足音。
迫る気配を察して振り返った宙マンの眼前……崖の上に姿を現したのは!
「ぐわぉぉーっ、俺様だァ!!」
「宙マン、今度はこの俺様が相手ンなってやるぜィ!」
宙マン「(拳を握りしめ)どくろ怪獣、レッドキング……!」
一難去って、また一難……
グドンを降した宙マンの前に、またも現れた強敵!
無双の怪力を相手に、宙マンはどう戦うか?