自信をもって臨んだ自らの戦略を、ことごとく宙マンに叩き潰され……
怒り心頭に発した怪獣軍団の幹部候補生、バルタン星人Jr。
その切り札として登場した、「爆撃獣」グロイザーEXE(エグゼ)。
容赦ない空爆に晒され、クリスマスに浮かれる千歳市民の平和が脅かされた時
これ以上の暴虐は許さじと、我らがヒーロー・宙マンが立ち上がった!
バルタン星人Jr「フォッフォッ……出たな、宙マン。
この僕のグロイザーEXEを怖れない、命知らずの大馬鹿者!」
ビーコン「ああっ、アニキ……大丈夫っスかねぇ!?」
落合さん「信じましょう。……お殿様が、決して負けるはずありませんわ!」
ピグモン「宙マ~ン、がんばってなの~!」
宙マン「ああ、判っているとも――
千歳のみんなのクリスマスを、あんな悪党に踏みにじらせはしないッ!」
恐るべき空の巨艦、爆撃獣グロイザーEXEのコクピット……
巨大化した宙マンの出現にも、バルタン星人Jrは全く動じない。
バルタン星人Jr「フォッフォッフォッ……宙マン、来るなら来てみろ!」
宙マン「行くぞ、グロイザーEXE! トゥアーッ!」
持ち前の飛行能力で、一気に千歳上空へと舞い上がっていく宙マン。
地上の人々が見守る中、宙マンVS爆撃獣の大空中戦がその幕を開けた。
バルタン星人Jr[フォッフォッフォッ、潰れろ宙マン!」
宙マン「なんの、そうはいくか! 宙マン・ブリットフィンガー!」
飛行しながら右手を伸ばし、ブリットフィンガーを連射する宙マン。
だが、そ曳光弾の威力も、残念ながら爆撃獣の重装甲に対しては
いささかの痛痒も与えられない。
バルタン星人Jr「馬鹿め、それくらいで僕のグロイザーが止まるか!」
宙マン「うぬっ、これならどうだ!?」
伝家の宝刀、エクシードフラッシュを連射する宙マン。
しかしグロイザーEXEは、それすらものともせずに大空を突き進んでくる!
みくるん「うそっ、宙マンさんの技が効かないなんて!?」
ながもん「硬い。……硬すぎる……!」
宙マンの攻撃をことごとく巨体で受けながら、全く動じないグロイザーEXE!
バルタン星人Jrが「切り札」と謳う性能は、さすがに伊達ではない。
バルタン星人Jr「これで判ったろう、宙マン。
僕の頭脳と技術が生んだグロイザーの前には、お前の技など無力なのさ!」
バルタン星人Jr「フォッフォッ、次はどう来る! それとも大人しく諦めるか!?」
宙マン「諦める?……悪い冗談だな!」
宙マンを圧し潰さんばかりの勢いで、グロイザーの巨体が迫る。
だが宙マンもまた、真っ向からグロイザーEXEめがけて飛んでいく!
上空で激突、ゼロ距離で接触する両者!
グロイザーEXEの「首」を、がっちり掴んで離さない宙マンである。
バルタン星人Jr「ぬ、ぬあぁぁっ!?」
宙マン「さぁ――取らせてもらったぞ、マウントポジションだ!」
飛行するグロイザーEXEの機上へ、強引によじのぼった宙マン。
そのままパンチや手刀で、グロイザーに直接の打撃を浴びせかけていく。
きりもみ飛行により、どうにかこれを振り落とさんとするグロイザー。
宙マンもそうはさせじと、力いっぱいに爆撃獣の角を掴んでしがみつく――
大空の格闘戦、まさしく文字通りの意味での「ドッグファイト」である。
バルタン星人「お、おのれぇぇっ……
いい気になるなよ宙マン! タキオン・スパークだ!」
バルタンJrのスイッチ操作で、機体表面に流されるエネルギー衝撃波……
タキオン・スパークの洗礼が、凄まじいダメージを宙マンの体に叩きこむ。
宙マン「ぅぐ、ううぁぁぁぁっ!?」
たまらずよろめき、グロイザーの機上から振り落とされる宙マン。
そのまま落下し、地上に叩きつけられてしまう。
みくるん「ああっ、宙マンさんが!」
ながもん「これは……強烈」
ビーコン「飛び道具もダメ、ゼロ距離でもダメ、無理ゲーすぎるっス!」
ピグモン「はわわ、宙マン、負けないでなの~」
落合さん「(息を呑み)……お殿様……っ!」
我が物顔で大空を往く、恐怖の爆撃獣グロイザーEXE!
立ち上がりかけた宙マンめがけて、更に容赦ない攻撃をかけていく。
宙マン「う、うおおおっ!?」
バルタン星人Jr「フォッフォッ、まだだよ、お次はこうだ!」
タキオン光線、爆弾投下……
宙マンに反撃のチャンスを与えまいと、次から次へと叩きこまれる猛攻撃!
激しく巻き起こる爆発に煽られ、翻弄される一方の宙マンである。
グワーン! ズガガガガーンっ!
「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」
またも大爆発に吹っ飛ばされ、地に叩きつけられる宙マン。
爆撃獣グロイザーの威力を前にして、もはやなす術もないといった感である。
バルタン星人Jr「フォッフォッ、それでも銀河連邦の元・英雄かぁ!?
脆い、あまりにも不甲斐なさすぎるよ宙マン!」
宙マン「(苦悶)く、くそぉっ……」
イフ「おおっ、なんと素晴らしい!
この圧倒的勝利の光景を、何度夢に見たことか……!」
サンドロス「をほほほ、ガツンと決めちゃうドロスわよ、バルタンJrちゃん!」
バルタン星人Jr「承知しました、魔王様に奥方様!」
バルタン星人Jr「さぁ、一気にとどめを刺してやる! 怪獣軍団の勝利だ!!」
ビーコン「どひ~っ、ま、マジっスか!?(汗)」
ピグモン「いやぁん、ホントに宙マンがやられちゃうの~!(涙)」
落合さん「(蒼白)お、お殿様っ……!!」
もはや、どうすることも出来ない――
戦いを見守る人々の誰もが、そんな絶望に覆われかけた時!
ズグワァァーンっ!
不意に、「何か」がグロイザーEXEの翼端へと炸裂!
堅牢そのものな爆撃獣の巨躯を、空中でぐらりとよろめかせたではないか。
バルタン星人Jr「うわぁぁぁぁっ……!
な、何だって言うんだ、一体……!?」
そして、地上の宙マンもまた同様に驚いた。
何故なら、鋭いジェット音とともに千歳の上空へ飛来してきたのは……!
宙マン「(目を見張り)おおっ。……あれは!」
ながもん「(ボソッと)……スカイエース……」
ビーコン「(面食らって)スカイ……な、なんスか?」
みくるん「知ってるの、ながもん!?」
ながもん「(頷き)スカイエース。……ジャッカー電撃隊の、空の要塞……!」
5人のサイボーグ戦士により編成された、国際科学特捜隊の最精鋭部隊。
かつて巨大犯罪シンジケート「クライム」を死闘の末に壊滅させ、また近年では
かの“レジェンド大戦”における活躍ぶりも記憶に新しい歴戦の勇者たち――
そんな彼らのことを、人は「ジャッカー電撃隊」と呼ぶ。
そしてこれが、彼らジャッカーの誇る大型戦闘機・スカイエース。
我らが宙マンを救うべく、いま千歳の空へと駆けつけてきたのだ!
宙マンのもとに現れた「正義の切り札」……
噂のJAKQ、ジャッカー電撃隊!
頼もしい味方を得ての反撃や、いかに!?