さて、今回ご紹介させていただく「小さな出発」……
この曲はもともと、円谷プロ作品のファンにとっては説明不要の満田かずほ氏が
ご友人の結婚を祝う意味で作詞し、これまた説明不要の子門真人氏が曲をつけて
そのご友人にプレゼントされた、という極めてプライベートな楽曲だったそうです。
その後、このままで終わらせてしまうのは勿体ない、ということで……
本曲を1973年のヤマハ・第6回ポプコンに応募したところ、ヤマハ会長賞である
「川上賞」をみごとに獲得。
そしてその際に、後の“葛城ユキ”こと朝霧マチ氏のヴォーカルを得ることによって
ヤマハ音楽振興会から正式にレコード化がなされた、という次第。
本曲を聞くたびに思い出すのは、何と申しましても……
作詞者・満田監督ご自身の選曲によるという、1977年の円谷プロ作品
『恐竜大戦争アイゼンボーグ』の最終回・ラストシーンにおける挿入例ですね。
長く、苦しかった全ての戦いに終止符を打ち、サイボーグである自身の肉体を
今度は全宇宙の……そして、自分たちの輝かしい未来を切り開くために活かすべく
宇宙ロケットに乗り、自らの意思で無限の世界へと出発していく善・愛ら立花兄妹の
明るい希望に満ち満ちた、晴れがましい決意の姿……
そんな「誓いの兄妹」たちの、これからの長き人生に幸多かれ、とばかりに
抜群の声量と存在感による、朝霧氏のハスキーボイスが画面に重なっていった際の
あの絶大なる、『アイゼン』最終回の感興。
リアルタイム視聴者としての贔屓目フィルター、というのも勿論あるにせよ
今でもなお、最終回を見返すたび……そしてこの曲を改めて聞き返すたびに、
「あの時」の感動が鮮やかに蘇って、いつも胸がじんわり熱くなってしまうのです。