「空の玄関口」である新千歳空港に対しての「海の玄関口」、
北海道を代表する、港湾・工業都市のひとつ。
それが、『宙マン』シリーズの舞台・千歳市の“おとなりさん”にあたる
こんち、お馴染み宙マンファミリー。
ビーコン「いえっふ~!
全国のよい子も悪い子も、元気にエロ妄想してるっスか~!?
みんなのアイドル、ビーコンちゃん参上っスよ~!」
落合さん「ねーいっ、開幕早々なんです、ビーコンさんったら!
……お殿様が見えませんから、今すぐそこをおどきなさいっ!
どかないというなら、力づくで……!」
ビーコン「いやん、エッチ、そんなとこ触らないでっス~☆」
落合さん「っがー、誤解を招く言動はおよしなさいっ!!(赤面)」
宙マン「はっはっはっ……まぁまぁ、二人とも♪」
宙マン「さてと、それはさておき!
今年お初の苫小牧……となれば、やっぱり」
ピグモン「はうはう~、何か美味しいもの食べたいの~♪」
宙マン「そうとも、ただでさえ美味しい物の多い街だ。
このまま素通りするなんて選択肢は、どこにもないよね!」
ビーコン「んじゃ、イオンモールで若鶏の半身揚げ、どうっスか?
皮はパリパリ、身はジューシーで肉汁ジュワリ……
っかー、こうやって解説してるだけでヨダレが、涎がッ!」
落合さん「ちょっと落ち着いて下さいな、ビーコンさん。
……お気持ちは、すごくよく分かりますけど!(苦笑)」
ピグモン「ピグちゃんはね、麺類も良いと思うの~」
宙マン「ラーメン……ちょっと捻って、ワンタン麺とかね。
ぷりっぷりの海老を内包したワンタンの滑らかな舌触り、
心地よい喉越しの麺、最後の一口までアツアツのスープ……
寒い冬には、何よりのご馳走だと思うよ?」
ビーコン「んー、それもごもっともなんスけど……」
ビーコン「でも、せっかく港町の苫小牧まで来たんスから。
そうなるとやっぱ海鮮いきたいっスね、海鮮!」
宙マン「なるほど、そいつは一理も二理もあるね!」
ピグモン「はうはう~、ピグちゃんお魚も大好物なの~!」
落合さん「と、なりますと……
今日のお昼は海鮮、と言う事で決まりですわね。
……ビーコンさんの提案なのが、少々シャクですけど!」
ビーコン「ヒヒヒ、出たっスね~、ツンデレ!?」
落合さん「 甚 だ し い 誤 解 ですっ!(汗)」
宙マン「よし、それじゃ漁港の方まで足を延ばすとしようか。
それでいいね、みんな?」
落合さん「えぇ、勿論ですわ、お殿様!」
ビーコン「オイラも異議なしっスよ、アニキ!」
ピグモン「港のほうへ、レッツゴーなの~♪」
と言うわけで、美味しい海鮮料理を求めて……
宙マンファミリーは一路、苫小牧漁港のある方へ。
波も静かで、平穏そのものに見えた海であっ
ピグモン「……あっ」
ビーコン「ちょ、ピグモン!
「あっ」て何なんスか、「あっ」って!?(汗)」
落合さん「まさか、またまた……!?(汗)」
ピグモンが野生の勘で察知した「嫌な予感」……
甚だ遺憾ではあるが、それは見事に的中することとなった。
海面を異様に泡立たせ、波しぶきとともに立ち上がったのは!?
「ボゴボゴボゴォぉぉ~っ!」
海底から現れた地獄の使者、巻貝怪獣カイバーク。
かつての高度経済成長時代、東京湾を汚染していたヘドロにより
巻貝の一種が突然変異を起こして巨大化した姿なのである。
宙マン「なんてこった……またまた怪獣かね!?」
ピグモン「ふぇぇん、やっぱりなの、やっぱり~!(涙目)」
ビーコン「ピグモンの勘の鋭さ、相変わらず流石っスけど……」
落合さん「ですが、願わくば外れて欲しかったものですわ!(汗)」
カイバーク「ボゴボゴぉ~、何をブツクサ抜かしてやがる。
この俺が来たからには、もうしっちゃかめっちゃかの大騒ぎ……
破壊のフェスタ、ゴキゲンなパーティの始まりだぜェ!?」
ビーコン「え~っと、本気でご遠慮願いたいんスけどぉ……」
ビーコン「……でもどうせ、聞いちゃくれないんスよねぇ!?」
カイバーク「ボゴボゴぉ~、ご理解ありがとう!
それじゃ、こっからはド派手に行かせてもらうぜェ~!」」
ビーコン「どひ~っ、居直りゃがったっスよ~!(汗)」
宙マン「……うヌッ!」
イフ「わはは……さぁ、思い切り暴れろカイバーク!
怠惰な平和を貪る地球人どもに、お前の力を見せてやれ!」
カイバーク「ボコボコボコ~、お任せ下さい、魔王様!」
怪獣魔王の命を受け、進撃開始するカイバーク!
迫り来る巨体を前に、悲鳴をあげて人々が逃げ惑う。
ピグモン「はわわ、大変なことになっちゃったの~!(涙目)」
落合さん「あぁもうっ、せっかくのランチタイムでしたのに……」
ビーコン「逃げ回らされて、ハラが減るばっかりっス!(汗)」
だが、こんな緊急事態を、航空防衛隊は放置などしない――
直ちに空の精鋭たちが、最新鋭の戦闘機でスクランブル!
ビーコン「おおっ、航空防衛隊っスよ!」
落合さん「いつもながら良いタイミングで!」
ピグモン「はうはう~、おじさんたち、しっかりなの~!」
「ようし……全機、一斉攻撃開始っ!」
戦闘機編隊から、雨あられとばかりに叩きこまれるロケット弾!
それらの猛攻撃をものともせず、怪獣は悠然と突き進んでくる。
カイバーク「ボゴボゴボゴ~、引っ込んでろや、三下!」
「……う、うわぁぁぁ~っ!?」
カイバークの口から吐き出される濃縮ヘドロ液の溶解力!
機体を溶かされ、戦闘機は次々に撃墜されていく――
その大爆発を横目に見つつ、我が物顔で暴れ回る大貝獣。
ビーコン「どひ~っ、もうダメっス、おしまいっス!」
落合さん「ああ、どうしましょう……
これではとても、お食事どころではございませんわ!」
ピグモン「えう~、せっかく来たのにそんなの嫌~んなの~」
宙マン「心配ない、私が何とかする! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、荒れ狂うカイバークの前へ舞い降りる!
宙マン「トゥアーっ! 宙マン、参上!
海の無法者め、これ以上の好き勝手はさせないぞ!」
ズ、ズーンっ!!
カイバーク「ボゴボゴボゴ……出やがったな、宙マン。
死にたくないなら、邪魔しない方が身のためだぜ!?」
宙マン「いいや、断固として邪魔させてもらう!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ!
真っ向激突、宙マン対カイバーク!
落合さんたちが見守る中、巨体と巨体が戦いの火花を散らす。
太い両腕をブンブン奮い、パンチ攻撃を仕掛けてくるカイバーク。
そのパワーに叩き潰されぬよう、油断なく神経を尖らせながら……
宙マンもまた、積極的に接近戦を挑んでいく。
ピグモン「がんばれ、がんばれ、宙マンがんばれなの~!」
ビーコン「さっすがアニキ、いい勝負してるっスねぇ!」
落合さん「一対一ならば、お殿様の前に敵はございません!」
じゃあ、二対一ならどうなるかなぁ……!?」
落合さん「……ちょ、ビーコンさんったら。
こんな時にふざけて、変な声色使わないで下さいな!」
ビーコン「お、オイラじゃないっスよぉ!?」
ぎゃあ! ぎゃあ!
さながら飢えた嬰児のように、けたたましい啼き声をあげて
港に集まっていたカモメたちが、一斉に空高く飛び立つ。
そして、それを合図に、再び海面が激しく泡立ち……
波しぶきとともに、海底から立ち上がった第二の影とは!?
「ガボボボぁぁ~っ!!」
港の別の一角から、苫小牧市に上陸してきた異形の巨体。
これもまた怪獣軍団の一員、トルトス海人だ!
ピグモン「ああっ、怪獣がもう一匹なの!」
落合さん「何て事でしょう、お殿様を挟み撃ちだなんて……」
ビーコン「絵に描いたみてーな最悪の事態っス!(汗)」
カイバーク「ボゴボゴ、有難ェ、これでもう勝ったも同然だぁ!」
宙マン「ふふん、何とも仲のいいことだね――」
宙マン「だが、二頭がかりでも私は負けないッ!」
トルトス海人「ガボボ~、デカい口を叩けるのも今だけだ!」
カイバーク「遺言代わりに聞いといてやるぜぇ、宙マン!」
カイバークとトルトス海人、二大怪獣の挟撃!
息をもつかせぬ連続アタックが、宙マンを容赦なく攻めたてていく。
どちらか一方との交戦だけに集中していれば、また別の一頭が
爪で、ハサミで宙マンに襲いかかってくる……と言うのが
ハンディキャップ・マッチの、実に厄介なところ。
トルトス海人「ガボボボ、そらそら、どうしたどうした!」
カイバーク「ボゴボゴ~、息が乱れてきたんじゃねぇのかぁ!?」
宙マン「なんの、まだまだ、これしきの事で――」
カイバーク「おおっと、隙アリだぜぇ!」
カイバークの吐き出す濃縮ヘドロ液!
一瞬の隙を突かれた宙マンは、これをまともに浴びてしまう。
宙マン「ぐ、うぅぅ……あ゛あぁぁ……っ!」
ヘドロ液の毒性と溶解力に、そのスーパーボディを苛まれ……
激しいダメージを受け、遂にドドーッと倒れ伏してしまう宙マン。
ピグモン「はわわわ、ちゅ、宙マンっ!?」
ビーコン「だ~っ、やっぱ二対一はアニキの分が悪いっス!」
落合さん「卑怯ですわよ、怪獣軍団の方々っ!」
イフ「わははは……何とでもほざくがよいわ!」
イフ「恨み重なる宙マンよ、貴様を倒すためならば……
そして地球を征服するためならば、手段は選ばぬわ。
怪獣軍団の恐ろしさ、その身でしかと思い知れ……!」
宙マン「(苦悶)……う、うう……っ!」
カイバーク「ボゴボゴ~、ざまぁねぇな、宙マン!」
トルトス海人「ガボボ~、次は俺にもやらせてくれや、カイバーク。
……宙マンの首、この俺が落とさせてもらうぜェッ!」
苦悶する宙マンに迫り、とどめを刺さんとハサミを振りかぶる海人。
……と、その時である!
ズガァァァーンっ!
トルトス海人「(驚き)!?」
おお、見よ、この雄姿!
タクティカルスーツに身を固めた防衛隊員が、レーザーガンや
バズーカ砲など、手持ちの火器で二大怪獣に攻撃をかけていく。
その威力だけでは、牽制がせいぜいといったところ――
だが、それは、濃縮ヘドロ液のダメージから立ち直った宙マンが
再び立ち上がり、態勢を立て直すには充分すぎる時間であった。
宙マン「(よろりと)ようし、いける……まだまだ、戦いはここからだとも!」
カイバーク「(慌てて)野郎、させるかよっ!」
宙マンめがけて、濃縮ヘドロ液を吐きかけるカイバーク。
だが宙マンは、その恐怖の液体を見事にかわして大ジャンプ!
カイバーク「ぬ、ぬぁんとっ!?」
宙マン「くらえ! 宙マン・アタックビーム!!」
空中高くジャンプし、敵の頭上から撃ちこむ強力破壊光弾……
宙マン・アタックビームが、カイバークを直撃!
宙マン「――どうだっ!」
カイバーク「(悶絶)あ、あぎゃっ、ぎょごぼぼぼ……」
カイバーク「……こ、こ、こんなのってないよォォ~ッ!」
大爆発! まずは一頭、カイバークを撃破。
トルトス海人「ガボボボ、よくもカイバークをやりやがったな!」
宙マン「それっ、こっちもとどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、トルトス海人を直撃!!
トルトス海人「ガボボ~、宙マン、強すぎだって~の~!」
やったぞ宙マン、大勝利!
落合さん「やりました……お見事ですわ、お殿様!」
ビーコン「いえっふ~、やっぱアニキ、任せて安心っス!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~♪」
落合さん「そして、今回は……
防衛隊の皆様にも、心より感謝しなくてはいけませんわね」
宙マン「ありがとうございます、おかげで助かりました!」
ピグモン「はうはう~、おじさんたちもカッコよかったの~」
ビーコン「日ぃ改めて、一杯おごらせてもらうっスよ~☆」
「げげっ、そんな……まさか!」
「あそこまで追い込んで、二頭がかりでも負けるなんて!?」
イフ「ぐぬぬぬ……おのれ、おのれ、またしても宙マンめが!」
イフ「よいか者ども、カイバークとトルトス海人の敗退をよき教訓とせよ。
いつまでも正月・おとそ気分で浮かれている場合ではないのだ!
今年は一層、気を引き締めて事にかかれ! 判ったか!?」
「「「「……は、ははぁぁーっ!!」」」」」
……と言う、怪獣軍団の内部事情はさて置いて。
かくて宙マンと防衛隊の活躍で、怪獣カイバークとトルトス海人は撃退され
苫小牧市には再び、元の平穏と活気が戻ったのであった。
ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~♪」
落合さん「今日も惚れ惚れするようなご活躍でしたわ、お殿様」
宙マン「いや~、一時はどうなることかと思ったけどね。
さてと、それじゃここからは改めて……」
ビーコン「(頷き)セクハラとエロスのつるべ打ちっスね!?」
落合さん「違いますっ!(赤面)」
宙マン「そうそう、まずはご飯だよ、ご飯っ。
苫小牧の旨いもの、存分に味わおうじゃないか!」
ビーコン「そうっスね、腹が減ってちゃ何事もままなんない……
戦いもそうだし、エッチもセクハラも!
……ね、そうっスよね、落合さん!?」
げ し っ !
落合さん「っがー、私に同意を求めるんじゃありませんっ!!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、定番オチにて今回もお開きっスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
1月も早や5日、そろそろ正月気分とはさよならだけれど……
宙マンファミリーはいつだって、この通りの賑やか珍道中なのであった。
北海道には、平和が似合う……
今年も頼むぞ、我らが宙マン!