悲喜こもごも、様々な出来事のあった2021年が終わり……
どうにかめでたく、新たな年である2022年を迎えるに至った日本列島。
そして、1月の北海道千歳市は、例年がそうであるように深い雪に覆われて
外はもう一面の銀世界。
そんな寒い千歳市の一角、ほんわか町5丁目の「宙マンハウス」。
おなじみの面々、宙マンファミリーの姿に目を向けてみよう。
落合さん「ほらほらっ、ピグモンちゃん!
お家の中ばかりにいると、体がなまってしまいますわよ――
さ、元気よくお外で遊んでいらっしゃいませ!」
ピグモン「え~? ピグちゃん、お外は寒いからいや~んなの~」
落合さん「まぁ……いつも元気な千歳っ子が、そんなことでどうしますの?」
落合さん「みんなの元気で寒さを吹き飛ばそう、このくらいの気持ちでなくては!
昔から、子どもは風の子などと申しまして……」
ピグモン「えう~、でもビーコンちゃんは、ずうっとおうちの中にいるの~」
ビーコン「ヒヒヒ、この寒い時期にオンモに出ようなんて奴は大馬鹿モンっスね!
そのテン賢くも美しいオイラは、家でぬくぬくとエロゲ三昧っス~。
げ し っ !
落合さん「……まったくもう、家の中に悪い見本があると困りますわねぇ!」
ビーコン「ちょほほ……い、いきなり酷いっスよ~。
そういう落合さんだって、オイラたちを体よく追い出したあとで
ぬくぬく昼ドラ三昧……ってハラなんじゃないんスかぁ?
もしくは二人っきりになって、あわよくばアニキとしっぽり……とか!」
落合さん「ねーい、お黙りんこっ、それは私のトップ・シークレットです!
……ささ、ピグモンちゃん。
今からビーコンさんが いいところへ連れて行ってくれるそうですわよ?」
ビーコン「だーっ! なに勝手に決めてるんスか、このオネーチャンは!?」
宙マン「お、相変わらずやってるね~。
みんなで楽しそうに、今日はいったい何の話だい?」
ビーコン「おほっ、アニキ! 話せば長いんスけどね、実は落合さんが……」
落合さん「だーっ、いちいち説明しなくてよろしいですっ!(汗)」
ピグモン「はうはう~、おかしな落合さんなの~♪」
……などと言う、相変わらずの賑やかな日常。
だが、その平穏もまた、例によって唐突に破られた!
ゴゴゴゴ……グラグラグラグラッ!
落合さん「……あ、あらあらあらっ、これは!?」
ビーコン「どひ~っ、今日もまたヤバげな揺れ方っスよぉ!?」
ピグモン「きゃあぁんっ、怖いの~!」
大量の土砂を天高く撒き上げ、舗装道路をもやすやすと引き裂いて
地の底から今また新たに、姿を現わさんとしている邪悪な影。
……果たして、それは何者なのか!?
「フォッフォッフォッ……!!」
落合さん「……あらまぁ! あれは確か、宇宙忍者の……」
ビーコン「(頷き)ば、バルタン星人Jrッス~!」
バルタン星人Jr「ああ、そうとも、バルタン星人Jrだ!
怪獣軍団の筆頭幹部候補生が、今ここに宣言する――
この地球は間もなく、我々怪獣軍団の手に堕ちるのだ!」
落合さん「まぁまぁ……大した気合の入りようですこと」
ビーコン「あれだけ何度も、ウチのアニキにしてやられて……
ま~だ懲りてないんスかぁ、バルタンJrさぁん?」
落合さん「失礼ながら今日もまた、オチは決まっているかと思いますので
千歳でラーメンでも食べて、そのままお帰りになられた方が……」
……ぷ ち っ !!
バルタン星人Jr「(憤慨)わ、わ、分かっちゃいたけどさァ……
ホンットに失礼だなぁ、君ら~っ!?」
辛口の一言が逆鱗に触れ、バルタンJr、たちまちブチ切れ!
荒れ狂うその巨体を前に、慌てて逃げ出す千歳の人々である。
落合さん「不覚です……ついうっかり、言葉が過ぎましたわね!」
ビーコン「口は災いのもと、昔の人は良く言ったもんスねぇ!」
ピグモン「はわわわ、いいから早く逃げなきゃなの~!(汗)」
寒いだけでも難儀なのに、まさか宇宙人まで現れるとは。
だからこそ……宇宙忍者の暴虐、許すまじ!
千歳の平和を守るべく、航空防衛隊が直ちに出撃した。
ビーコン「おおっ、今日も今日とて航空防衛隊っス!」
落合さん「お願いしましたわよ~、どうか今度こそは!」
ピグモン「防衛隊のおじさんたち、しっかりなの~!」
「ようし……全機、一斉攻撃開始っ!」
攻撃、攻撃、また攻撃!
バルタン星人Jrへと、嵐の激しさで叩きこまれる一斉砲火。
バルタン星人Jr「フォフォフォ……えぇい、引っ込んでいろ!」
「……う、うわぁぁぁぁ~っ!?」
バルタンJrの怒りそのもののように、鋏から迸る怪光線!
その直撃を受け、次から次に撃墜されていく戦闘機。
ある意味「いつも通り」なやられっぷりに、千歳の人々が
お互いに顔を見合わせ、がっくり肩を落とす今、この瞬間……
落合さん「こうなると、おすがり出来るのはお殿様のお力だけですわ!」
ビーコン「アニキ、毎度のアレ……一発お願いするっスよ!」
ピグモン「お願い宙マン、なんとかしてなの~!」
宙マン「ううむっ、やるしかないか! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、バルタン星人Jrの前へと舞い降りる!
宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上!
それ以上みんなに迷惑をかけるなら、この私が黙ってはいないぞ!」
ズ、ズーンっ!!
ビーコン「いえっふ~、アニキのコレを待ってたんスよ~!」
落合さん「ええ、その点だけは私も全く異論なしですわ!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」
バルタン星人Jr「出たな宙マン、今度こそは僕の手でお前を……!」
宙マン「いやいや、そうはいかんぞ、バルタン星人Jr!」
ファイティングポーズを取り、敢然と身構える宙マン。
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトルの幕開けだ!
激突、宙マン対バルタン星人Jr!
落合さんたちがハラハラと見守る中、巨大戦は一気にヒートアップ。
両手の鋏を振りかざし、猛然と襲いかかるバルタン星人Jr!
その攻撃を時に受け流し、時にかわしつつ、宙マンは冷静さを保って
相手の隙を伺っていく。
バルタン星人Jr「ガンガー、グローバー、そしてグロイザーEXE……
自信をもって臨んだ僕の作戦と、才能の結晶たる侵略メカの数々を
お前は今まで、どれだけ台無しにしてくれた?」
バルタン星人Jr「今までどれだけ、僕の面子を潰し……
筆頭幹部候補生の称号に泥を塗りつけてくれた!?
……ああ、もう恨みは骨の髄にまで達してるぞ、僕は!」
宙マン「いや、いきなりそんな恨み節を語られても……!(汗)」
バルタン星人Jr「お前に傷つけられた僕の面子とプライド……
その命で贖わせてやる、思い知れ宙マン!!」
怒りをこめ、バルタン星人Jrが放つ怪光線!
だがそれも、宙マン・プロテクションが完全に無力化だ。
バルタン星人Jr「く……おのれ、おのれぇぇっ!」
宙マン「悪さが過ぎる子には、大人がきっちりお仕置きだっ!」
敵の脳天めがけて振り下ろす、宙マン渾身の垂直空手チョップ!
痛烈な一撃を受け、バルタンJrがブッ倒れたところへ――
宙マン「とどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、バルタン星人Jrを直撃!!
バルタン星人Jr「ひょ、ひょえぇぇぇ~っ!
ちゅ、宙マンめ、今度こそは見てろよ……覚えてろ~っ!!」
やったぞ宙マン、大勝利!
落合さん「やりましたわね、流石お殿様です!」
ビーコン「これで千歳も一安心、あんがとさんっスアニキ~!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、だいすきなの~♪」
かくして今日も、我らが宙マンの活躍によって……
怪獣軍団の幹部候補生・バルタン星人Jrの挑戦は退けられた。
……そして。
勇戦空しく、またしても宙マンにしてやられたバルタン星人Jrは
全身にダメージを受け、ほうほうの体で暗黒星雲に帰ってきた。
イフ「おおっ、戻ったか、バルタン星人Jrよ!」
バルタン星人Jr「う、うううっ……申し訳ございません、魔王様」
バルタン星人Jr「ですが、今度こそ……この次こそは、必ず!
だからこそ魔王様、再度の出撃の機会をこの僕に――」
「ケッケッケッケッ、やめとけやめとけ……
また、無様にやられンのがオチだぜぇ!?」
バルタン星人Jr「(キッと振り返り)だ……誰だっ!
幹部候補生たる僕を侮辱するのは、一体どこのどいつだ!?」
不意に聞こえてきた、どこか嘲るようなその声の主は……
高らかに足音を響かせながら、軍団本拠の大広間に姿を現した!
イフ「おおっ、そなたは――」
「ぐぬぬぬっ、お、お前は……!?」
謎の影……
今またここに現れた、この不気味な存在は
千歳にどんな波乱を巻き起こすであろうか!?