左右非対称の強烈なシルエットと、レッド&ブルーのビビッドカラーに彩られた
インパクト重視のルックスを、鬼才たる故・石ノ森章太郎氏のイマジネーションが
“不完全なメカニズムゆえの人間的苦悩の産物”として捉え、昇華したことにより
同時期にメガヒットを飛ばしていた『仮面ライダー』との作品的な差別化に成功し
今なお伝説のロボット・ヒーローとして語り継がれている『人造人間キカイダー』。
2014年5月公開の劇場映画『キカイダーREBOOT』と歩調を合わせる形で
バンダイのインターネット通販部門「プレミアムバンダイ・魂ウェブ商店」限定での
リリースとなった、この「S.H.フィギュアーツ」版のキカイダー。
何が嬉しいって――萬画(アニメ)版でも、ましてや最新の「REBOOT」版でもない
我々が親しんだ、1972年の実写TVシリーズ準拠での可動フィギュア化というのが
心の底から有難いことじゃないですか、ねぇ。
てなわけで、何はなくともさっそく開封。
レッド&ブルーのカラーリングが眩しい正義の人造人間、今こそ貴方の出番です。
本記事の冒頭でも軽く述べさせてもらいました通り、全身のディティールやイメージは
1972年放映の実写特撮TVシリーズ版『人造人間キカイダー』における主人公像を
踏襲するかたちをとってはいますが、プロポーションなどは現代のヒーローたちと
並び立たせて釣り合うよう、より頭身の高いスマートなデフォルメがなされていて
旧来のキカイダーファンと新規の若いユーザー層、そのどちらにも配慮した上での
それぞれの要素の折衷ぶりに苦心と吟味のあとが伺える本品。
とは言えそのどちらの要素をも突出させて、現代の目から見れば野暮ったかったり
或いは旧来ファンからするとスマート&シャープすぎて逆に違和感があったり、と
少なからず生じてくるであろう「ヒーロー像の現イメージからの乖離」というものを
必要最小限に抑え、幅広い世代にアピールしうる「最大公約数」的とも言うべき
ノーブルなキカイダー像として結実させた造形の絶妙な匙加減にまず拍手です。
そして何といっても「フィギュアーツ」ですから……
固定ポーズのリアル・フィギュアでは決して味わえない、関節の可動性能による
自在なポーズをとらせることが出来る、と言う最大のお楽しみが待っています。
全身を包む大型の縫いぐるみゆえに、派手なアクションシーンにはあまり適さない
敵方のダークロボットをフォローし、殺陣の鈍重なイメージを払拭する意味もあって
劇中においてはとにかくよく動く、アクロバティックなまでの軽快さが魅力だった
このキカイダーであるだけに、優れた造形に範囲の広い可動性能が加わることは
まさしく「ファンの夢の実現」であると言ってよいでしょう。
劇中においてキカイダーが見せてくれたあんなポーズ、こんなポーズ……
商品に付属しているオプション手首パーツも併用することにより、それらの多くを
ストレスなく、スムーズに決めることが出来るのはなかなかの快感です。
ダブルチョップに回転アタック、銀河ハリケーンに大車輪投げ。
それらのことごとくを再現可能なのは、2008年のリリース開始以来の歴史の中で
確実に蓄積され、洗練されてきた可動関節ギミックの賜物。
加えて本商品は、両肩部の関節が引き出し式の二重構造になっている事により
更に腕部ポージングの自由度が高まり、ポーズ決めの幅が増しています――
そう、幾多のダークロボットを粉砕した、キカイダーの必殺技だってこの通り!
「デンジ・エンド!!」
以上、今回は簡単ながら「フィギュアーツ」版キカイダー・初お遊びの巻でした。
よく動いて楽しいことに加え、昭和ライダーたちのフィギュアーツとは異なって
“うっかり触覚アンテナが折れてしまう”ことを気にせずに取り回せるというのも
プレイ派的には何気に有難かったりする(笑)本アイテム。
本商品を機に、これから“仮面ライダー以外”の、往年の東映特撮名キャラにも
敵・味方の別なくフィギュアーツ化のスポットが当たってほしいもんですね~。
“謎の秘密結社「ダーク」と戦うために生まれた
正義の戦士、キカイダー!
それを追う「ダーク破壊部隊」との恐るべき死闘の日々が
これから始まるのだ。
行け、キカイダー!
戦え、赤いギターの青年ジロー!”
(『人造人間キカイダー』第1話クロージング・ナレーション)