暗黒星雲・怪獣軍団の怪獣魔王イフ。
異次元空間に君臨し、超獣たちを操る異次元人・ヤプールの怨念。
そして、今またここに、地球を狙う新たな巨悪の影があった――
別宇宙の支配者として君臨し、今また地球をもその毒牙にかけんと
侵略の魔手を延ばしつつある魔界の帝王、ロード・ゼッド。
邪悪な魔城を打ち立て、怪獣軍団やヤプールに先んじるかたちで
地球征服を成し遂げんと、その野望に燃えていたのであった――
エンケラドゥスの白く凍てつく地表……
その極寒の中に、忽然とそびえる鉤爪上の超巨大オブジェ。
まさにそれこそ、悪の帝王ロード・ゼッドの居城。
そしてゼッドは絶対の支配者として、玉座につき君臨しつつ
今日もまた、地球攻撃の機会を伺っていたのであった――
……と言う割には、本年1月2日更新分のエピソード・第75話以来
実に久しぶりの登場となるゼッドである。
ロード・ゼッド「ぐぁぼははは……
それまでの間、我輩が一体何をしておったか、だと?
まぁ慌てるでない、今から我輩が直々に言って聞かすがゆえに!」
ロード・ゼッド「まぁ、離せばいろいろ長くはなるのだが……
結論から先に言うなれば、旅行だなっ。
この偉大なる帝王ゼッド、悪のハイソサエティーたるに相応しく……
第71あれい状星雲で、大いに寛ぎ、楽しんできたところよ!」
ロード・ゼッド「当地の観光名所をきままに巡り、逗留先の温泉に浸かり……
いやいやはやはや、今思い返してみても実に楽しい旅行であったことよ。
そして旅先における最大のお楽しみ、と言えばだな……」
ロード・ゼッド「左様、左様!
当地の名物料理の数々よ、むしろ他に何がある!?
と、言うわけでだな」
ロード・ゼッド「ぐぁぼははは、ここからはだな……
まるまる一話分じっくりかけての料理レビュー、またの名を飯テロによって
読者諸君を羨望と煩悶の只中へと……
……え、なになに?
“そんなのどうでも良いから、早く本題に入れ”だとぉ……!?」
ロード・ゼッド「おのれ、おのれっ、ちょっと甘い顔を見せればなんだッ!
……あぁ、いいだろう、ならば望み通り本題に入ろうではないか……
我輩にとっての本題、すなわち地球攻撃になぁ!」
ロード・ゼッド「どぉれ、今回はあの古き時代の遺物……
アレを使って、地球人諸君を恐怖のドツボに叩きこんで進ぜよう。
……よーく見ておれ、ロード・ゼッドの偉大なる魔力!」
エンケラドゥスからも地球の万物を見ることが出来る、ゼッドの千里眼が
今また、地球侵略のために「狙い」を定めた。
「ウソル・デラピダトーレ・テンタトーレ・ソイナトーレ……
デボラトーレ・マンシトーレ・エシェデュクトーレェ……
朽ち果てし万物の精霊よ、大気に遍く邪悪の意思よ!」
「悪の心を呼び醒まし、魔可異の姿を創り出せ!
カァァーッ!!」
Zスタッフから迸る、邪悪そのもののエネルギー!
それは宇宙空間を飛び越え、エンケラドゥスから一気に地球へ、
北海道某所・とある公園施設へと達し……
その敷地内に展示保存されていた蒸気機関車を触媒に増幅しながら
みるみるうちに邪悪なモンスターを創造、実体化させていく。
「シュシュシュ……シュポォォーッ!!」
ピグモン「あっ、なんか出てきたの!」
宙マン「う~ん、今度のやつは「怪獣」と言うよりも……」
落合さん「……ロボット、と言う感じでしょうか?」
ビーコン「(頷き)しかもあの、これ見よがしなディテール……
まるで機関車が、まんまロボになったみてーな奴っス!」
ロード・ゼッド「ぐぁぼははは……そうとも!
これぞ名付けて無頼驀進獣・バトレインC-3!」
落合さん「あらまぁ、疾風とかサスライ……では、ございませんでしたの?」
ビーコン「シーッ、落合さん! 話が長くなるから、ひとまずソレは措いとくっス!(汗)」
ロード・ゼッド「ぐぁぼはは、度肝を抜かれているようだな、無理もあるまい。
蒸気機関車とか言う、無骨極まりない過去の遺物でさえも……
我輩の魔力にかかれば、このように素晴らしいモンスターへと生まれ変わる」
バトレインC-3のスピーカーから、朗々と街に響き渡るゼッドの声。
ロード・ゼッド「このバトレインC-3が為すべきこと、ただひとつ。
すなわち地球征服、そのための徹底破壊である!」
落合さん「あらあらまぁまぁ、結局のところは……」
ビーコン「今回もまたまた、こうなっちまうんスねぇ!?(汗)」
宙マン「この悪党め……貴重な北海道の歴史遺産を何だと思ってる!」
ロード・ゼッド「ぐぁぼははは、そんなもの我輩の知ったことか!
さぁ進撃開始せよ、無頼驀進獣・バトレインC-3!
お前の猛パワーで、千歳の全てを叩き潰して更地に変えてしまうのじゃ! 行け!」
バトレインC-3「シュポォォーッ!!」
鳴り渡る汽笛のような咆哮とともに、動き出すバトレインC-3!
迫る鋼の巨体を前にして、なすすべもなく逃げまどう人々。
ビーコン「どひ~っ、いつもに増してヤバい流れっスね~!」
落合さん「言葉が通じない相手なのが、何と言っても厄介ですわ!」
宙マン「通じたところで、果たして話し合いになるのかどうか……!」
おお……北海道千歳市、早くも絶体絶命の大ピンチ!
だが、しかし。
鉄の怪物のこれ以上の進撃を阻むべく、直ちに千歳基地の駐屯所から
陸の精鋭たちが出動したのであった。
「GO! GO! GO! GO!!」
勇ましい号令一下……
タクティカル・スーツに身を固め、おのおの得意の武器を携えて
続々と車両から飛び出してくる防衛隊員たち。
ピグモン「あっ、防衛隊のおじさんたちなの!」
落合さん「また、心憎いタイミングで来て下さいましたこと!」
ビーコン「タイミング「は」絶妙なんスけどねぇ、毎度毎度!?」
巨大ロボ相手に一歩も退かず、勇敢に立ち向かっていく地上部隊。
専用のレーザーガンが、バトレインC-3を牽制し……
更に別の一方からバズーカ砲撃も加わり、凄まじいばかりの地上の砲火が
次々とバトレインC-3のボディへと叩きこまれていく。
……が、奴は動じない、無頼驀進獣は全くもって怯まない!
バトレインC-3「ドッドッドッドッ……シュポォーッ!」
バトレインC-3の腕から、連続発射される破壊光弾!
その直撃を受けたビルが、瞬時に粉砕されてけしとんでいく。
ビーコン「どひ~、あんなのに当たったらおしまいっスよ~!(涙目)」
落合さん「ここはもう、ひたすら逃げの一手ですわ!(汗)」
ピグモン「はわわわ……宙マン、宙マン、何とかしてなの~」
宙マン「(頷き)おのれ、もう許さんぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、荒れ狂うバトレインC-3の前に舞い降りる!
宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上!
ロード・ゼッドの邪悪な手先め、やんちゃはそこまでだ!」
ズ、ズーンっ!!
ビーコン「ああ、やっぱここ一番で頼りになるのはアニキっスよねぇ!」
落合さん「えぇ、安心の度合いが全然違っておりますわ!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」
宙マン「心を持たない鉄の塊……
蒸気機関車の化け物め、この私が打ち倒してやる!」
バトレインC-3「ドルルル……ドルルルッ……」
全身にみなぎる怒りを力に変え……
ファイティングポーズをとって、敢然と身構える我らが宙マン。
バトレインC-3「シュシュシュ……シュポォォォーッ!!」
宙マン「さぁ来い、勝負だ!」
同時に駆け寄り、真っ向激突する両者!!
落合さんたちが見守る中、宙マンとバトレインC-3の戦いが始まった。
太く、巨大な両腕をうちふり、猛然と襲い来る無頼驀進獣!
蒸気機関車の出自を持つバトレインC-3の自慢はと言えば、やはりまずは
何を置いても、その桁外れの怪力とスタミナである。
だが、宙マンもまた怯まない。
敵の隙を突き、攻撃のチャンスを見出さんと、冷静さと闘志との
絶妙なバランスを保ちつつ接近戦を挑んでいく。
宙マン「ようし……そこだッ!」
鞭のようなしなやかさで叩きつけられる、宙マンの浴びせ蹴り!
さしものバトレインも、ぐらりとよろめき後退したかに思えた。
バトレインC-3「シュポポポォォッ……」
宙マン「くらえ――宙マン・閃光波!」
ピッキュィィーンっ!
高らかな音とともに、宙マンの手にストロボ状の発光が生じ……
次の瞬間、バトレインC-3のボディで激しい爆発が起こる。
……が、全くびくともしないバトレインC-3!
宙マン「バカな……閃光波が効かない!?」
バトレインC-3「シュポーッ! シュポーッ!」
バトレインC-3、破壊光弾連射!
宙マンの周囲に次々と炸裂し、凄まじい爆発が巻き起こる。
更に、体内のボイラから噴射する灼熱火焔!
次から次に、宙マンめがけて炸裂するバトレインの凶悪武器!
ズガーン! グワーンっ!
「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」
落合さん「ああっ、お殿様!?」
ビーコン「シャクだけど……あの連続攻撃は強烈すぎるっス!」
ピグモン「はわわわ、宙マン、負けないでなの~!」
宙マン「(苦悶)うう……うっ……!」
バトレインC-3「ドッドッドッドッ……シュポォォーッ!!」
「なんの、これしき……本当の戦いは、ここからだッ!
怒れ稲妻! 宙マン・ボルトサンダー!!」
ピカッ、ゴロゴロドドーンっ!
宙マンの気合とともに、念動力で発生させる正義の稲妻!
まばゆい閃光と共に、バトレインを直撃したボルトサンダーが
無頼驀進獣の内部メカを猛然と駆け巡り、機能を麻痺させる。
宙マン「とどめだ! 宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、バトレインC-3を直撃!!
バトレインC-3「ぷしゅるるる……シュピ~ッ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
ビーコン「いえっふ~、さっすがアニキ、そうこなくっちゃっス!」
落合さん「今日もまたまたお見事でしたわ、お殿様!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~♪」
かくして我らが宙マンの活躍により、ロード・ゼッドの尖兵となって
千歳を急襲した無頼驀進獣・バトレインC-3は撃退された。
それとともに、ロード・ゼッドの悪しき魔力から解放された蒸気機関車も
再び、元の「あるべき場所」に還ったことは言うまでもないだろう。
ロード・ゼッド「う、うがぉぉっ……おにょ~れッ、宙マン!!」
ロード・ゼッド「よくも我輩の傑作、バトレインC-3を!
だが、忘れるではないぞ、宙マン。
我輩がこうして表舞台に戻ってきた以上、お前に安息の時はないのだ」
ロード・ゼッド「ああ、そうとも……
暗黒の支配者、偉大なるゼッドの名のもとに今こそ予告しておこう。
もう間もなく、諸君らが度肝を抜く大計画をやってのける……とな!」
ロード・ゼッド「「やる」と言ったら断固やる……
それが我輩、悪の帝王ロード・ゼッドなのだ。
楽しみにまっておるが良い、その日は近いぞ!
ぐふふふ、ぐぁぼはははは……!!」
宇宙を揺るがす、ゼッドの叫び。
単なるハッタリか……それとも、或いは……!?