カレンダーも早や、五月の大型連休に入って……
もっかのところ、平和そのものと言ってよい北海道千歳市。
ここ、「宙マンハウス」のある千歳市ほんわか町5丁目もまた
その例外ではない……と、言いたいところだが。
穏やかな陽気と平穏の中、降ってわいたかのようなひと騒動。
それを知らせに来たのは、これまたお馴染み・この人であった。
「おお~いっ、大変だよ!
宙マンさん、宙マンさ~んっ!!」
宙マン「やぁ、どうも、こんにちは!」
落合さん「あら、これはこれは……
私どもの良き知人にして、千歳市内で農業を営んでおられる
熊澤農場の経営者たる熊澤さまではございませんか!」
ビーコン「……えーと、その説明台詞、いま必要っスか?(汗)」
落合さん「何を仰います、今日がお初となる読者様のためにも
こういうささやかなサービスが、案外重要なんですのよ?」
ビーコン「う~ん、なるほどっス!」
宙マン「と、まぁ、それは一旦置いといて。……
……どうしました熊澤さん、そんなに慌てて?」
熊澤さん「ああ、そうそう、そうだった!
や、どうもこうもないよ。ケンカだよ、喧嘩!」
宙マン「喧嘩?」
熊澤さん「4丁目の児童公園で、ボコスカやりあってるよ。
あれじゃね、とてもじゃないけど危なっかしくて……
うっかり子どもらを遊ばせることも出来やしないよ!」
落合さん「……あらまぁ、それは由々しき事態ですわねぇ」
ピグモン「えう~、公園で遊べないのは困るの~」
ビーコン「どこの誰か知らないスけど、困ったもんスねぇ!」
宙マン「まずはひとつ、様子を見てくる必要がありそうだね。
……4丁目だったね。じゃ、ちょっと行ってみるよ!」
落合さん「あら、お殿様、どうぞお気をつけて!」
ビーコン「いえっふ~、頼んだっスよ、アニキ!」
家人に見送られ、宙マンの向かった先は児童公園。
そして、その公園があるほんわか町4丁目においては……
今まさに、想像以上の大変な事態が巻き起こっていたのであった!
「んごあぁぁ~っ!!」
「シェシェシェシェ……!」
人っ子ひとりいない公園を、我が物顔で闊歩する二大怪獣……
片や地底怪獣テレスドン、片や宇宙の忍者ゴドラ。
三度の飯より喧嘩好きというこの二匹が顔を合わせたからには
これはもう、どう転んでも只で済む道理はない。
テレスドン「んごぁぁ~っ、やいやいゴドラ、この野郎っ!
俺ァな、前々からお前のことが気にくわなかったんだ!」
ゴドラ「面白い、ならば腕ずくで決着をつけるとするかな!?」
テレスドン「んごぁぁ~っ、上等だァ!」
かくしてここに、二大怪獣の大バトルが勃発!
凶暴な本能を全開に、真っ向からぶつかり合うテレスドンとゴドラ。
テレスドン「んごぁぁ~っ、オラオラオラぁっ!」
ゴドラ「シェシェシェ、なんのそれしき!」
お互い、血を見ない事にはおさまらず……
もちろん地球人が、生半可に近づけるはずもない。
だが――
そんな二大怪獣の激闘の中に、割って入ろうとする者が一人。
言うまでもなく正義の味方、ご存じ宙マン・その人である。
宙マン「あ~あ……全くもう、しょうがないなぁ!」
宙マン「はーい、はいはい……両方、そこまで、そこまでっ!」
テレスドン「(ジト目)……んごぁぁ~?」」
ゴドラ「なんだ、お前は!?」
宙マン「なんだもかんだも、ここの近所の住人さ。
……まぁ、何があったかは知らないけれどもね?
まずは落ち着こう、お互いにいったん頭を冷やして……」
ゴドラ「シェシェシェ……うるさい、この野郎っ!」
が す っ !
宙マン「あ痛てて……な、何を乱暴するんだね!?」
グロッケン「カカカカ……まんまとかかったな、宙マン!
この喧嘩騒ぎは、最初からお前を誘い出す罠なんだよ!」
グロッケン「テレスドンとゴドラ、二大怪獣の挟み撃ちだぜ。
もはや万が一にもお前の勝ち目はねぇよ、宙マン!」
イフ「今日がお前の命日と知れ、宙マン!」
テレスドン「んごぁぁ~っ、そう言うこった!」
ゴドラ「シェシェシェ、我ら二人に勝てるわけはないのだ!」
宙マン「卑怯なやつらめ……もう許さんぞ!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ!
テレスドン「んごぁぁ~っ、怪獣タッグの強さ、見せてやるぜ!」
ゴドラ「シェシェシェ、謝っても許してやんないぞォ!?」
宙マン「負けてたまるか、どこからでもかかって来い!」
激突、宙マン対二大怪獣!
ゴドラとテレスドンの極悪タッグが、左右からヒーローを挟撃。
ゴドラ「シェシェシェ! 死ねぃっ、宙マン!」
両手の鋏を鈍器として用い、宙マンに殴り掛かってくるゴドラ。
だが、その打撃を冷静に見切り、かわして……
逆に豪快なパワー技で、ゴドラを投げ飛ばしてしまう宙マン!
ゴドラ「(地面に叩きつけられ)がハァぁぁ……っ!」
宙マン「見たか! これが宙マン・リフターだ!」
テレスドン「んごぁぁ~っ、よっくもゴドラちゃんを!」
宙マン「お次はお前か、テレスドン!」
今度は、宙マンとテレスドンが真っ向からの対決!
がっちり組み合い、体の向きを入れ替えながらの大格闘。
ヒーローと地底怪獣、両者のパワー戦が展開される中……
態勢を立て直したゴドラが、宙マンの背後に迫りつつあった。
ゴドラ「シェシェシェ……これでも、くらえィッ!」
バ キ ィ ッ !
テレスドン「んごぁぁ~っ、ナイスだぜぇ、ゴドラちゃん!」
挟撃、二大怪獣!
左右から宙マンに襲いかかってのタコ殴り、滅多打ちである。
宙マン「(怯んで)……う、うおっ!?」
ゴドラ「シェシェシェ……そぉら、そぉら!」」
テレスドン「いつもスカしやがって、思い知ったか宙マン!」
ドッシャァァーっ!
さしもの宙マンも、二対一では分が悪い。
相手のなすがままに殴られ続けて、とうとう地面に倒されてしまう。
テレスドン「んごぁぁ~っ、いよいよ最後だな、宙マンよぉ!」
ゴドラ「シェシェシェ……これでとどめだ!」
「なんの……負ける、もの、かぁぁっ!」
右手の鋏から連射される恐怖の破壊砲、ゴドラガン!
その光弾をひらりとかわして、大空に舞いあがる宙マンの体。
ゴドラ「な、何っ!?」
宙マン「行くぞゴドラ、これを受けてみろ!」
宙マン「エイヤァァーっ!
宙マン・ミラクル・キック!!」
ゴドラ「うぎゃあぁぁっ、効く効くぅぅ~っ!」
出た、電光石火の必殺ミラクルキック!
正義の一撃を食らって、大爆発とともにダウンするゴドラ。
テレスドン「(狼狽)ご、ゴドラちゃんっ!?」
宙マン「お前には、これだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、テレスドンを直撃!!
テレスドン「く、悔しいぐらいに強すぎるぜぇぇ~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
イフ「うううっ……おのれ、またしても宙マンめが!
よくも、このワシと怪獣軍団の顔に泥を塗ってくれたな。
だが忘れるな……ワシらは決して、地球征服を諦めはせん!
よいか宙マン! 覚えておれ、覚えておれよ……!」
……などと言う、いつもの負け惜しみはさて置いて。
かくして宙マンの活躍により、二大怪獣は撃退され……
ほんわか町4丁目公園は、地域の児童らや市民の憩いの場として
「あるべき姿」を取り戻したのであった。
落合さん「これでどうやら、一件落着ですわね!」
ビーコン「やっぱこういう時、アニキは頼りになるっスね~!」
ピグモン「これでピグちゃんたちも、安心して遊べるの~」
みくるん「どうもありがとうございますぅ、宙マンさん!」
宙マン「はっはっはっはっ。……
さぁ、今日もいい天気だよ、うんと遊んでおいで!」
みんなの憩いと、笑顔のために……
今日も行く行く、地域の味方。
ありがとう宙マン、また次回も頼んだぞ!