“アニメーション紀行”と銘打って、豊富に挿入される実写ドキュメンタリー映像と
セルアニメーション・パートの折衷という新機軸を前面に押し出す形で製作された
1979年放映のテレビアニメ『マルコ・ポーロの冒険』。
マルコ・ポーロの「東方見聞録」を下敷きとした、よく抑制がきいて格調高い
その作品世界に相応しい、美しくもロマンあふれる番組主題歌がこちら、
今回ご紹介させて頂く「いつの日か旅する者よ」。
歌うは当時大人気を誇ったシンガーソングライター、小椋佳氏です。
映画『宇宙戦艦ヤマト』をはじめとするアニメ映画の大ヒットと幅広い層への人気、
折からのリバイバル・ブームにも後押しされて、アニメとテレビを子守唄に育った
高年齢のファン層が続々と名乗りをあげ、現在にも通ずるファンダムを形成するなど
ただ単に「子どものもの」としてではない、アニメがより普遍的な表現手段としての
裾野の広がりを見せはじめていた、アニメブームまっただ中の1979年……
そんな時期だけに、アニメ主題歌もより「大人の鑑賞に耐えうる完成度」を求めて
一般歌謡曲やフォークソング界などの新しい血を積極的に自らの中へと導入して
新時代へ向けての更なる進化を遂げようとしていたのは間違いありません。
未来を見据えた大いなる飛翔に向けての「はばたきの時代」を彩った一曲として
この歌もまた自分にとっては忘れがたい、とても大切なナンバーなのです。