遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

ライオンは寝ている、そしてゴメスは……? の巻

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遥かなる宇宙の彼方、暗黒星雲の奥深くから……

美しい緑の星・地球を我が物にせんと狙い続けている、恐怖の怪獣軍団。

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今日も配下の怪獣たちへと向けて、怪獣魔王・イフの檄が飛ぶ。

またしても恐るべき侵略の魔手が、我らの青い地球へ向けて伸びるのだ!

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イフ「うぐぐぐっ、それにつけても憎むべきは宙マンよ。

 ……奴さえおらなんだら、ワシらはとっくに地球を征服して

 あの美しく、青い星の支配者として君臨できていたものを!」

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イフ「栄えある我が軍団の筆頭幹部候補生、バルタン星人Jrよ……

 今度の怪獣こそ、間違いなく宙マンを倒せるのであろうな!?」

 

 

「フォッフォッフォッ……

それはもう絶対でございますとも、魔王様!」

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特徴的な「あの哄笑」とともに、怪獣魔王の前に進み出てきたのは

もはやお馴染み、幹部候補生筆頭ことバルタン星人Jrである。

バルタン星人Jr「獰猛・残忍が売りの、古代生物ゴメチウス……

  通称「古代怪獣ゴメス」にかかれば、さしもの宙マンと言えども

  赤子の手をひねるようなものでございましょう」

イフ「おおっ、それは実に頼もしいことよ!」

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イフ「で、そのゴメスは今どこでどうしておる?」

バルタン星人Jr「は、ははっ……それが、その……(汗)」

バルタンJrの返答の歯切れが、急激に悪くなったのも無理はない。

彼の放った古代怪獣ゴメスは、千歳の地底深くに身を潜め……

「ぐうすかピ~……(熟睡中)」

 

……寝ていた。

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イフ「お、おいっ、あやつのあのザマは何だ!

 二次元怪獣のガヴァドンや、メガトン怪獣スカイドンではあるまいし……」

バルタン星人Jr「はっ、何しろ別名が「古代怪獣」というぐらいですから。 

 数百万年単位の長きに渡る冬眠を続けているうち、すっかり体のほうに

 ぐうたらな居眠り癖が染み付いてしまったようでして……」

イフ「えぇい、冷静に分析などしとる場合か!

 今すぐ地球に行って、あの馬鹿者を叩き起こして参れ!」

バルタン星人Jr「は、ははーっ!」

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と、言う訳で……

大慌てで空間を転移し、地球へやってきたバルタン星人Jrである。

バルタン星人Jr「ああ、もう、全く……

 幹部候補生の僕に、こんな余計な手間をとらせるんだものなぁ!」

バルタン星人Jr「おい、こらっ、ゴメス! 怪獣魔王様がお怒りだぞ!

 さっさと起きて、お前の務めを果たさないかっ!」

ゴメス「う~ん……むにゃむにゃ、あと五分だけ~……」

こんな感じでの「攻防戦」が続くこと、実に15回!

さすがに若き幹部候補生も、どっと疲れが出てきた模様。

バルタン星人Jr「このままでは埒があかないし、かといって今のままで

 暗黒星雲に帰ったんじゃ、僕の面子にも関わるし……。

 はてさて、一体どうしたものか……」

 

ビーコン「あっれー、バルタン星人Jrクンじゃないっスか!」

落合さん「お困りのご様子ですけど、一体いかが致しましたか?」

星人が途方にくれていたところへ、気さくに声をかけてきたのは……

これまたお馴染み、落合さん&ビーコンの極楽コンビ。

 

バルタン星人Jr「おおっ、アンタたちかぁ。実はねぇ、かくかくしかじかで……」

悪の軍団の「守秘義務」という観点からすれば、あまり感心できない行為だが……

そこはそれ、今は藁にもすがる思いのバルタン星人Jr。

……肝心要のところは上手くごまかしつつ、状況説明と言った次第である。

ビーコン「ふんふん、な~るほど……そりゃ大変っスね~。

  でも大丈夫、そう言う事なら、このオイラに任せておくっス!」

バルタン星人Jr「おおっ、本当かい!?」

落合さん「ビーコンさんったら、そんな安請け合いして大丈夫ですの?」

ビーコン「百戦錬磨のオイラにかかれば、チョロいもんっスよ!」

バルタン星人Jr「ああ、この通りだ、よろしく頼むよ!」

ビーコン「ヒヒヒ、その代わりたんまり礼金は弾んでもらうっスよ~♪

 (すうっと大きく深呼吸して)……ほんじゃま!

ビーコン「(裏声で)ゴメスちゃん、いつまでグースカ寝こけてるの!

 プリキュア』始まってるわヨ!!

 

ゴメス「むにゃ……何っ、プリキュア……!?」

ビーコンのその一言に鋭く反応して、カッと目を見開く地底のゴメス。

 

バルタン星人Jr「おおっ、効果覿面!」

落合さん「まさか、そんなバカバカしい方法が「効く」なんて……!」

ビーコン「ヒヒヒ、ど~んなモンっスか、この鮮やかなる手際!

  お年頃男子の心理を的確に捉えた、オイラの洞察力の勝利……」

 

……だが、喜ぶのはまだ早かった!

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ゴゴゴゴ……グラグラグラグラッ!

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ビーコン「ど、どひ~っ!?」

落合さん「あらまぁ、何だか嫌な揺れ方ですこと!」

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そう!

彼ら怪獣軍団の本来の目的が、地球侵略と破壊である以上……

その尖兵たるゴメスが目を覚ました以上、只で済むはずもないのだ。

「うがぉぉぉ~んっ!!」

落合さん「あらまぁ、何てことでしょう!?」

ビーコン「どひ~っ、絵に描いたみてーな最悪の事態っス!(汗)」

 

ゴメス「うがぉ~っ、何だよ母ちゃん!

 『プリキュア』の日は、もっと早く起こしてって言ってるじゃん、もう~!!」

バルタン星人Jr「フォッフォッフォッ、ようやくやる気になってくれたな!

 お前のその獰猛さこそ、今の僕と怪獣軍団には必要なんだ――

 手加減は無用! 火を吐き、壊し、ぶっ飛ばせ!!

ビーコン「いや、ゴメスは口から火とか吐かないっスから」

落合さん「……な~んて冷静にツッコミ入れてる場合ですか、ビーコンさん!」

ビーコン「って言うか、礼金はどうなるんスか~!?(涙目)」

もはや長居は無用とばかり、極楽コンビには構わず……

再び空間転移によって、そそくさと暗黒星雲へ帰るバルタンJr。

 

ゴメス「うがぉぉ~、あんぎゃるぅぅ~っ!」

寝起きで機嫌が悪い上に、好きな番組を見損なった怒りも加わって

狂ったように大暴れを始めるゴメス!

落合さん「全くもう、あなたって怪獣(ひと)はっ!

  どうしてそう、毎度毎度よけいな事ばかりなさって……」

ビーコン「どひ~っ、落合さんも止めなかったじゃないっスかぁぁ~」

ビーコン「そんなことより、今はこの事態をどうやって収拾するかっス。

 過去を振り返るより、力強く未来を見据えるっス!」

落合さん「あなたの言えた台詞ですかっ!」

……などと、極楽コンビが不毛な掛け合いを続けている間にもゴメスは暴れ、

航空防衛隊も出動して、騒ぎはどんどん大きくなっていく。

「ようし……全機、怪獣への攻撃開始っ!

激しいアタックをかける、防衛隊の戦闘機!

持てる火力の全てが、怒濤のごとくゴメスへ叩きこまれる……が。

 

ゴメス「うがぉぉ~んっ!

 なんじゃその生ぬるさは、霧噴きでもしてるのかぁ!?」

「うぐぐぐっ、チクショウめ……

 たかだかバカでかいだけの哺乳類が、馬鹿にしくさって!」

ゴメス「うがぉぉ~んっ、俺には効かねぇんだよっ!」

戦闘機隊の攻撃をものともせず、傍若無人に進むゴメス。

その巨体が通過するだけで、人間たちの街は大混乱である。

 

落合さん「ここはやはり、お殿様にご出場願うよりほかには……」

ビーコン「アニキぃ~、助けてっス~!」

宙マン「ん~、私を呼んだかな?」

ピグモン「はうはう~、ピグちゃんもいっしょなの~♪」

落合さん「ああ、お殿様、良いタイミングでおいで下さいました!

 実はかくかくしかじかで……」

ビーコン「って言うか、あの状況見てもらった方が早いっスよね!?」

宙マン「ううむっ、なるほど、ストンと腑に落ちて納得したよ。

 それじゃ、やろうかね――宙マン・ファイト・ゴー!!

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閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。

さぁ、今日もまた正義の味方のお出ましだ!

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ビーコン「いよっ! 出たっス、アニキの十八番!」

落合さん「今日もまたまた、お見事に決まりましたわねぇ!」

ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」

宙マン「怪獣ゴメスよ、これ以上の乱暴狼藉はこの私が許さないぞ!」

ゴメス「うがぉ~っ、うるせぇ!」

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ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――

さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ!

宙マン「さぁ来いッ、ゴメス!」

ゴメス「うがぉぉ~んっ、死んでもらっちゃうぜィ!」

激突、宙マン対ゴメス!

千歳の人々が固唾を呑んで見守る中、豪快に華開く巨大戦。

地底を掘り進むために発達した、鋭利な爪と両腕の怪力……

こと戦いに転ずれば、それはそのままゴメスの強力な武器となる。

両手の爪を縦横に奮い、猛然と襲いかかってくる古代怪獣!

さしものヒーローとて、この一撃を食らえば只ではすまない――

爪攻撃をかいくぐりつつ、冷静に相手の隙を伺う宙マンである。

猛烈なパンチ攻撃で宙マンを攻めまくるゴメス――

だが、それにも怯まず、果敢に立ち向かっていく宙マン!

それ行け、我らのヒーロー!

ゴメス「うがぉぉ~、ロートルの癖して、やりやがるな!?」

宙マン「あぁ、現役時代の腕、まだ衰えていないつもりだよ!」

大地を揺るがし、岩をまきあげ……

ダイナミックに展開される、両者の巨大バトルである。

走り、跳び、跳ねる!

宙マンとゴメス、気迫とともに幾度も交錯する巨体。

だが、その瞬間――

宙マンへ僅かに生じた隙を、目ざといゴメスは見逃さなかった。

 

ゴメス「うがぉぉ~、こいつを受けてみやがれっ!」

炸裂、ゴメスのメガトン頭突き!

その威力をまともに受け、大きく吹っ飛ばされる宙マン。

ズ、ズーンっ!

 

落合さん「ああっ、お殿様が!」

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ビーコン「やばいっスよ、このままじゃマジヤバっス!(汗)」

ピグモン「はわわ……宙マン、ファイトなの~っ!」

宙マン「(苦悶)うう……うっ……!」

ゴメス「さぁ、ゴメス様がギッタギタに捻り潰してやるぜ!」

よろめく宙マンにとどめを刺すべく、突進してくるゴメス。

だが、これしきでやられるような彼ではない――

立ち上がりざまに素早く呼吸を整え、反撃に転じたのであった!

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「なんの……負けて、たまるかッ!

 どりゃぁぁーっ! 宙マン・ショット!

裂帛の気合と共に放つ、不可視の衝撃波……

宙マン・ショットが炸裂して、ゴメスをよろめかす!

更にそこで、反撃のペースを緩めることなく繰り出した技は――

宙マン「たぁーっ! 宙マン・ミラクル・キック!

出た、電光石火の必殺キック!

地面に叩きつけられ、ゴメスが大ダメージを受けたところへ――

 

宙マン「よしっ、とどめだ!」

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宙マン「せいやぁぁーっ! 

 宙マン・バーニング・パンチ!!

真っ赤に燃え上がった右の拳で繰り出す必殺パンチ!

その破壊力ゆえ、熱い鉄拳にこめられた膨大なエネルギーが

ゴメスのボディを貫通、火花となって背に抜けるほどである。

ゴメス「……お、俺はキュアスパイシーのここねちゃん派ぁぁ~っ!

やったぞ宙マン、大勝利!

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ビーコン「っしゃあ!!」

ピグモン「さっすが宙マンなの、やっぱりそう来なくっちゃなの~♪」

落合さん「いつもに増してお見事でしたわ、お殿様!(うっとり)」

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イフ「ぐぬぬぬ……またしても宙マンめが邪魔立てをっ!

 だが覚えておれよ、この仕返しは必ずしてやる……

 怪獣軍団のある限り宇宙の悪は滅びず、お前の安息の時もないのだ!!」

 

……などと言う、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。

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我らが宙マンの活躍によって、千歳市を急襲した古代怪獣ゴメスは

見事に撃退され、街に再び平和が蘇ったのであった。

 

ピグモン「はうはう~、宙マン、おつかれさまなの~」

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宙マン「いやぁ、今日もみんなの応援のおかげで勝てたんだよ。

 本当にありがとうね!」

ビーコン「っか~、アニキのその謙虚さ、そこにシビレる憧れるっス~」

落合さん「(ジト目)……と言いますか、シビレるのも結構ですけどね?」

落合さん「それ以前に、ビーコンさんが余計なことさえしなければ

 こんな大騒ぎにはならなかったんですっ。

 今回の一件、ビーコンさんにおかれましては是非とも真摯な自己批判

 深~い反省を願いたいものですわねっ!」

ビーコン「いやぁ面目ないっス、ガラにもなく仏心なんて出すモンじゃないっスね~。

  これからは、出すのは自前のホットカルピス(隠語)だけにして……」

 げ し っ !

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落合さん「ねーいっ、よくよく墓穴を掘るのがお好きなようですわね!?」

ビーコン「どひ~っ、オイラはジェントルーのあまねちゃん派……やだもぉぉ~っ!

宙マン「はっはっはっはっ」

 

日曜の朝のお楽しみ、

ヒーロータイムもプリキュアも……

みんな、しっかり早起きして見てくれよ、ナッ!