前回・第1話の戦いから一年後……
と言う、それまでのウルトラマンシリーズにはなかった展開で、のっけから視聴者に
軽いパンチを入れてきた(笑)『ウルトラマンデッカー』2話。
春公開の映画『トリガー エピソードZ』が二年後、そこからまた七年が経過した
『デッカー』1話、そしてさらにまた一年後となる今話……
と言うわけで、実質的に前作『トリガー』TVシリーズから
10年の歳月が経過していることとなっている『デッカー』の世界線。
ここまでの時間をかけて防衛チームの再編、主人公のカナタたちが訓練を経て
正式に新生GUTS-SELECTのメンバーとして選ばれる過程を丁寧に描くというのは
シリーズにおいて最も経糸のドラマが重視されていた2004年放映の野心作
『ウルトラマンネクサス』以来かなり久々の感があり、番組展開的には
ややもすればスロースタートの感もあるものの、現実に即して考えるならば
前回、総崩れとなった組織の再編にはそれくらいの時間を要するのがむしろ当然で……
そういう「やらねばならない当たり前のこと」を確実に抑え、しっかり描写する様は
(こういう物言いをお許し頂けるのであれば)「ロボットアニメみたいなウルトラマン
」、さらに正確を期すなら「リアルロボットアニメ的」だな、と。
で、「スフィアのバリヤーで地球全体が覆われ、地球から外に出られなくなった」閉塞的状況が続く中で、いつしかそれを人々が日常のものとして受け入れつつもあるという一年にお劇中時間……その中で改めて示される、カナタとイチカ、それぞれの思い……おそらくはシリーズを通しての芯ともなっていくであろうネオフロンティア・スピリッツの片鱗。
そんな中、おカタいエリート候補生と言う設定のリュウモン・ソウマが、(ややもすると綺麗事的でもある)カナタたちとの対比のために、やや憎まれ役的ポジションになってしまった感はありますが……なぁに、こういう憎まれ役ポジはね、長期シリーズにおいては同時に「もうけ役」でもありますから、そこはむしろ今後の展開における人間関係の化学変化などを楽しみに待つためのプラス要素(笑)。
そして今回のゲスト怪獣たるデスドラゴ。
劇中における出現は唐突過ぎるほど唐突(笑)ながらも「何かに怯え、威嚇を繰り返しているようだ」と言う本編の台詞から、劇中で一年間鳴りを潜めていたスフィアの侵略が再開されるであろう予兆として過不足なく機能していますし……
何よりウルトラマンデッカーとの痛快な戦闘シーンが盛り込まれることで、ヒーローものとしての爽快なカタルシスを担保してくれたお手柄が「デカい」ですね。
そしてそして、そんなデスドラゴ戦のトピックスとしては、デッカーをそれぞれの形で好アシストして彼の勝利に貢献してくれた新兵器・ガッツホークとディメンションカード怪獣・ミクラスの存在を忘れるわけにはいかないのですが……
ガッツホークはともかく、ミクラスについては誰でもいいから「出たこと」についてのリアクションぐらいはしてやれよ、とも思ったのですが(苦笑)。
とはいえ、それも劇中において「見せていかなければならないもの」のノルマがみっちみちに詰まり、番組の尺もギリギリなればこそ。
だからこそ、劇中における「まず、やらなければならないこと」をしっかり、堅実に……そして誠実にこなし、描写を積み重ねていってくれている現時点での『ウルトラマンデッカー』には、個人的にとても好感が持てますね。
故に、次回の第三話も勿論楽しみに待ちたいと思います!