遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

君よ、あの森に何を見たの巻

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210502103843j:plain

遥かなる宇宙の彼方、暗黒星雲の奥深くから……

美しい緑の星・地球を我が物にせんと狙い続けている、恐怖の怪獣軍団。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426115252j:plain

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426115259j:plain

今日も配下の怪獣たちへと向けて、怪獣魔王・イフの檄が飛ぶ。

恐るべき侵略の魔手がまた、我らの青い地球へ向けて伸びるのだ!

イフ「時は来た! 今こそ地球征服の時だ!

 怪獣軍団の威力の前に、抗えるものは何もなし……

 屈強の戦士よ、さぁ行け! 行け! 行けーいっ!!」

 

 

そう、今まさに。

怪獣魔王の命を受けた悪の使者は、既に地球への侵入を果たし

ここ・北海道千歳市の原生林で、行動を開始しようとしていた!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426124850j:plain

ゴゴゴゴ……グラグラグラグラっ!

「ギャゴォォ~~ンッ!!」

原生林いっぱいに響き渡る、銅鑼の音のように野太い声。

怪獣軍団の一員、牙怪獣ウオグラーである!

ウオグラー「ギャゴォォ~ンっ、魔王様、怪獣魔王様!

 ウオグラー、お召しにより只今参上しやしたぜ!」

イフ「うむ、ご苦労である、ウオグラー!」

イフ「さて、既に分かっているとは思うが……

 この地球において、お前の果たすべき使命とは何であるか!?」

ウオグラー「(頷き)地球侵略前線基地の建設、でやしょ!」

イフ「おお、そうだとも、その通りだ!

 今まで幾度、怪獣たちの絶大なる期待とともに作戦が立案され

 そして、そのたびに計画が叩き潰されてきたことか!」

イフ「もはや、単なる作戦失敗と言うだけの話ではない。

 ……これは、ワシら怪獣軍団のメンツの問題なのだ」

イフ「全怪獣の意地にかけ、今度こそ……今度こそ!

 頼むぞウオグラーよ、全てはお前の働きにかかっておる!」

ウオグラー「ぬほほほ、お任せ下さい、魔王様!

 この俺の腕っぷしにかかりゃ、基地建設なんざァ朝飯前……」

 

「おおっと、そう上手くいくものかな!?」

ウオグラー「(驚き)ぬうっ、どこのどいつでぇ!?」

 

不意に響いてきた凛たる声に、慌てて振り返る牙怪獣。

確かな足取りと共に現れたのは、勿論この男・宙マンだ!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210722135238j:plain

ウオグラー「げげぇっ、宙マン!?」

宙マン「はっはっはっ、改めて自己紹介の必要はなさそうだね」

ウオグラー「ど、どうしてお前がここに!?」

宙マン「どうしてもこうしても……

 この暑い時期なんだ、そりゃもう答えは一つさ」

ウオグラー「(首を傾げて)……?」

宙マン「そう、夏と言えば何と言っても冷たい麺類……

 とりわけ冷水で洗われて、きりりと引き締まった盛り蕎麦の

 馥郁たる香りと喉越したるや、まさに格別だよねぇ」

宙マン「だからこそ、この近場においしい手打ち蕎麦の店があるとなれば

 ちょっと散歩がてら、出かけてみようって話になるわけで、ね」

ウオグラー「……“ね”じゃねぇんだよ、“ね”じゃっ!」

ウオグラー「ねーいっ、どこまでも緊張感のない野郎だな!

 てめぇなんざ、このウオグラー様が踏み潰してやるってんだ!」

宙マン「(慌てて)あわわっ、おいおい、乱暴するな!」

宙マンの制止も聞かず、猛然と進撃してくるウオグラー。

巨大な足が、宙マンを踏み潰すべく迫る!

 

宙マン「いいだろう、これもまた成り行きだ――

 宙マン・ファイト・ゴー!!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430202106j:plain

閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。

華麗な空中回転とともに、荒れ狂うウオグラーの前へ舞い降りる!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426145936j:plain

宙マン「トゥアーっ! 宙マン、参上!

 怪獣ウオグラー、この私が相手になってやる!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210825134232j:plain

ズ、ズーンっ!!

ウオグラー「喧嘩上等……邪魔者は潰すだけの話よ!」

宙マン「よりによって、千歳の山に前線基地だと?……

 ……せっかくの手打ち蕎麦に、生臭い悪の臭いが移ったらどうするんだ!」

ウオグラー「(呆れ)……だーかーらー、一旦そっから離れろっての!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426151041j:plain

経緯はどうあれ、こうなるともうやることは一つ。

ファイティングポーズをとり、敢然と身構える宙マン!

ウオグラー「ギャゴォォ~ンっ、思い知らせてやるぜ!」

宙マン「来い、ウオグラー!」

真っ向激突、宙マン対ウオグラー!

さぁ、今日もまた、時間無制限・一本勝負の幕開けだ。

自慢の腕っぷしにものを言わせ、隙あらば宙マンを鷲掴みにして

そのまま骨を砕いてやろう、と言わんばかりのウオグラー。

問答無用の打撃を前に、迎え撃つ宙マンも決して気は抜けない。

が――

このまま攻められっ放しでいるかとばかり、宙マンも果敢に反撃!

ウオグラーのパンチをかいくぐり、相手の内懐へ飛び込んでいく。

ビシッ! バシッ!

両者のテンション同様に、響き渡る打撃音も激しさを増す一方。

宙マン「ううむっ、しぶとい奴だな……まだ参らないか!」

ウオグラー「アホ抜かせ、誰が参るもんかよ!

 ……それに、俺にはこんな芸当もあるんだぜ……!」

「う、うわぁぁぁぁ……っ!!

 

ウオグラーの奥の手、口からの火球攻撃!

巻き起こった爆発と衝撃が、宙マンを横殴りに吹っ飛ばす。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210613015107p:plain

イフ「わははは! よしよし、その調子だウオグラー!

 ワシら怪獣軍団の悲願、前線基地建設の手始めに……

 にっくき宙マンめを倒して、その血と命で景気づけじゃ!」

宙マン「(苦悶)う……うう……っ!

ウオグラー「グワォォ~、これで最後にしてやるぜィ!」

「なんの……これしきで、負けてなるものかッ!

宙マン、土壇場でのパワー全開!

ウオグラーの火球連射を、ひらりとかわして大空へ。

ウオグラー「(驚き)ぎゃ、ギャゴッ!?」

宙マン「くらえ――宙マン・閃光波!

ピッキュイィィーンっ!

高らかな音とともに、宙マンの手にストロボ状の発光が生じ……

次の瞬間、ウオグラーのボディで激しい爆発が起こる。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211210110509j:plain

宙マン「――どうだッ!?」

ウオグラー「ぎゃぼぼぼっ……薬味の、辛味大根より辛口ぃぃ~っ!」

火花を散らして崩れ落ち、大爆発とともに吹っ飛ぶウオグラー。

やったぞ宙マン、大勝利!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426153009j:plain

イフ「ぐぬぬぬ、またしても宙マンめが!

 だが、決してこのままでは済まさん……

 怪獣軍団の真の威力、今に思い知らせてやるぞ~っ!」

 

……などと言う、いつもの負け惜しみはさて置いて。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210613012851j:plain

我らが宙マンの活躍によって、牙怪獣ウオグラーは撃退され

地域の平和は、無事に守り抜かれたのであった。

 

そして、平和を取り戻した原生林にやって来たのは……。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210722132558j:plain

ピグモン「はうはう~、宙マン、お待たせなの~!」

ビーコン「つーか、アニキ……

 巨大化なんてして、一体全体どうしたっスかぁ?」

落合さん「まさか、またまた何か事件でも……」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210613023248j:plain

宙マン「はっはっはっ、いやいや、何てことないさ。……

 さぁ、それよりもだよ、みんな。

 ここからは、大いに手打ち蕎麦を堪能しようじゃないか!」

落合さん「えぇ、勿論ですとも、お殿様!」

ピグモン「はうはう~、ピグちゃんもたのしみなの~♪」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210613023345j:plain

と、言うわけで……

食道楽に専念できるのも、地域の平和があったればこそ。

 

地元における「隠れ家」的名店としてひそかに名高いそのお店が

宙マンファミリーの期待に違わぬ手打ち蕎麦を供してくれたことは

この際、改めて語るまでもないだろう。

今日も本当にありがとう、宙マン!

だが、未だ怪獣軍団の野望は尽きない……

さて、次回はどんな活躍を見せてくれるかな?