希代の美食家・北大路魯山人氏の言葉を借りるならば……
“なにもかもが口に不味い時、盛夏のように食が進まぬとき、美食として働く”のが
所謂お茶漬け飯・汁かけ飯のたぐい。
この日は家の物置周りのペンキ塗り、その他の屋外作業で軽く一汗かいたので
冷や飯を水で洗い、冷水を注いで食べる「水飯(すいばん、みずまま)」と
葉ワサビのダシ醤油漬けで、ごくごくシンプルかつさっぱりめの昼餉です。
『枕草子』などにも登場する、伝統ある食べ方なのだと言う水飯。
単純極まりない一膳だけに、水の良しあしで味の優劣も決まってしまいますので
米を洗い、茶碗に注ぐ冷水は出来るだけよいものを――
今回のワタクシはと言えば、長沼町の天然湧き水でそのハードルをクリア。
今の季節は特にうれしい、喉越しの爽やかさが心地いいメニューです。