遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

泥にまみれた恨み節の巻

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210701220114j:plain

渦巻く暗黒星雲の奥深く、怪獣軍団の本拠地では……

今日も今日とて、地球征服のための悪企みが進行中。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426115252j:plain

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426115259j:plain

イフ「おのれ、宙マン……にっくき奴め。

 彼奴ひとりのために、絶対の自信をもって臨んだ作戦が次々に砕かれ

 どれほど数限りなく、ワシらの面子が潰されてきたことか!」

イフ「今度こそ宙マンを倒し、地球を怪獣軍団のものにする。

 ……その輝かしい第一歩を示す、悪の勇者はいないのか!?」

 

 

「ぴゃいぃぃ~んっ、魔王様、魔王様!

 なら、この俺がやらせてもらいますぜ!」

怪獣魔王の飛ばした檄に、素早く反応し……

今ここに、一頭の怪獣が出陣の名乗りを上げた。

 

イフ「おおっ、見上げた心構えじゃ!

 そのやる気溢れる姿勢は感心だぞ、エレキング

エレックス「え~っとですね、魔王様、申し上げにくいんですが…

 俺はエレキングじゃなくて、エレックスですんで。

 全く別の怪獣ですんで、そこんとこ、どうか!」

イフ「おっと、いかんいかん……そうであったな(汗)」

エレックス「ホント、よろしくお願いしますね?

 そう言う細かいトコが、仕事のモチベーションに影響してくるんで」

イフ「ううむっ……わかったわかった、判ったから行くのだ!(汗)」

エレックス「アイアイ、かしこまりィ~!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426122355j:plain

かくて、怪獣軍団の新たな刺客として選ばれ……

暗黒星雲から、地球を目指して飛び立った怪獣エレックス。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210428010428j:plain

目指すは千歳市、そして宙マン。

真っ赤に燃える光の球は、地上目指して急降下し、そして!

ズゴゴゴグワーンっ!

 

濛々たる煙と土砂の中から姿を現したのは……勿論!

「ぴゃいぃぃ~んっ!!」

 

ピグモン「ああっ、お空から怪獣が降ってきたの!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211227030348j:plain

ビーコン「どひ~っ、あの姿にルックス、どう見ても……」

落合さん「宇宙怪獣エレキングさんです、間違いありませんわ!」

エレックス「ね~い、それはもうエエっちゅーねん!」

ではここで改めて、読者諸賢にご説明せねばなるまい――

彼の名は、塑像怪獣・エレックス

 

古の文献に曰く、かつて火星の衛星に文明を築いたフォボス星人が

フォボス星を守るため、土で作り上げた怪獣なのだ、という。

エレックス「全くよぉ、こんな姿で生み出されたばっかりに……

 会うヤツら、みんなエレキングエレキング言いやがって!

 それだけならまだしも、こないだの宇宙合コンの時なんか……」

「あら、エレックスさんってピット星のご出身じゃなかったんですか?

 私、パチモンの怪獣さんはちょっと……ぷぷっ♪

 

エレックス「……なーんて鼻で笑われて、空しく恋が消えたときの

 あの悔しさ、みじめさ、やりきれなさっ!(泣)

 大暴れでもせなんだら、腹の虫がおさまらんのじゃ!!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210514145750j:plain

ビーコン「……な、なんつー下らない八つ当たりっスか!?」

宙マン「そんな理由で暴れられては、堪ったものじゃないよ!」

エレックス「ぴゃいぃぃ~んっ、問答無用だぁ!」

「そうだ、頑張れエレックス!」

「少なくとも、俺らは……」

「怪獣軍団の怪獣は、み~んなお前の味方だぞっ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210514145901p:plain

イフ「そうだともエレックス、だから思い切りやれ!

 お前の暴れっぷり、ワシらがしかと見届ける!」

エレックス「ぴゃいぃぃ~んっ! 魔王様、有難き幸せ!」

魔王イフと怪獣仲間の激励を受け、俄然奮い立つエレックス!

迫る巨体を前にして、人々はただ逃げ惑うより他に術がない。

落合さん「ああ、もうっ、結局こうなっちゃうんですのねぇ!」

ビーコン「ああなると、何言っても止まりそうにないっスよ~!(汗)」

ピグモン「はわわわ、タイヘンなことになっちゃったの~」

 

北海道千歳市、早くも危機切迫!

だが、この緊急事態を座して見ている防衛隊ではない。

直ちに空の精鋭たちが、塑像怪獣めがけてスクランブルをかけた。

ビーコン「おおっ、防衛隊のお歴々っス!」

落合さん「果たして、今日こそは大丈夫でしょうか!?」

ピグモン「はうはう~、おじさんたち、頑張ってなの~」

「ようし……怪獣への攻撃開始だっ!

戦闘機隊のレーザー攻撃!

が、度重なる爆発や直撃にも、エレックスの勢いは止まらない。

「……何て奴だ、びくともしないぞ!?」

エレックス「ぴゃいぃぃ~んっ、シャラ臭ぇっ!」

「……の、のわぁぁぁ~っ!?」

エレックスの口から吐き出される、強力無比の原子分解光線!

その威力の前に、戦闘機は敢えなく撃墜されていく。

 

ピグモン「ああっ、やられちゃったの!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211227023742j:plain

ビーコン「あぁ、今回もまた……」

落合さん「……ぜんぜん、大丈夫ではなかったですわねぇ」

ビーコン「……とか、黄昏てる場合じゃないっスよ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211130103844j:plain

そう、今この瞬間にも、エレックスの大暴れは続き……

千歳市は炎に包まれ、絶対の危機を迎えていた!

 

ピグモン「はわわわ、街が、街があぶないの~!」

ビーコン「こうなるともう、いろんな意味でお手上げっスよ~!」

落合さん「あとはまた、お殿様におすがりするより他には……」

宙マン「ああ、やるとも! 宙マン・ファイト・ゴー!!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430202106j:plain

閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。

華麗な空中回転とともに、エレックスの前に舞い降りる!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426145936j:plain

宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上!

 これ以上暴れるつもりなら、私が許しておかないぞ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426150029j:plain

ズ、ズーンっ!!

落合さん「よろしくお願い致しますわね、お殿様!」

ビーコン「こうなったらもう、アニキだけが頼みの綱っス!」

ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」

エレックス「ぴゃいぃぃ~んっ、出たな宙マン!

 邪魔するなら容赦しねぇぞ、かかって来いやァ!」

宙マン「ほほう、なかなかに肝が据わってるじゃないか。

 ……だが、褒めてなんてあげないけれどもね!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426151041j:plain

ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――

さぁ、今日も世紀のビッグファイト開幕だ!

イフ「わははは……さぁやれ、全力で戦うのだエレックス!

 お前がただの紛い物ではない、一箇の誇り高き大怪獣なのだと

 宙マンを倒して、全宇宙に証明してみせるがよい!」

エレックス「ぴゃいぃぃ~んっ、俺はやりますぜィ、魔王様!」

宙マン「ようし、真っ向勝負か! 受けて立つぞ!」

激突、宙マン対エレックス!

巨大サイズの戦いが、千歳の大地を揺さぶる。

持ち前の獰猛さを全開にして、宙マンめがけて突進し……

二本の腕で、パンチ攻撃を仕掛けてくるエレックス。

だが、力任せの打撃戦なら、宙マンもむしろ得手。

猛然、ボクシングのタイトルマッチもかくやの激しい打ち合いに。

燃える闘魂、揺るぎなき正義。

長年の経験によって磨き抜かれた技の、的確な冴えとも相まって

次第、次第に、宙マンのペースになっていく。

宙マン「えい、やぁっ、どうだ……これでもか!?」

エレックス「ぴゃいぃぃ~んっ、調子コイてんじゃねぇぞ~っ!」

エレックスの口から放たれる原子分解光線。

宙マンの周囲に炸裂し、凄まじい爆発を生じさせる!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426151907j:plain

グワーン! ズガガガガーンっ!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210508155037j:plain

「う、うわぁぁぁぁ……っ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210429162343j:plain

ピグモン「はわわわ……ちゅ、宙マンっ!?」

ビーコン「ヤバい威力っスよ、原子分解光線……」

落合さん「一発でも直撃を受ければ、いかにお殿様でも……!(汗)」

宙マン「(苦悶)う……ううっ!」

エレックス「ぴゃいぃぃ~んっ、次で終わりにしてやるぜ!」

宙マンにとどめを刺すべく、猛然と迫るエレックス。

だが、これしきのことで……ヒーローの闘志は衰えない!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210504002554j:plain

「なんの、これしき……負けて、たまるかッ!

 

エレックス「ぴゃいぃぃ~んっ! 死ねや、宙マン!」

宙マン、とっさのパワー全開!

エレックスの原子分解光線を、ひらりとかわして大空へ。

エレックス「(驚愕)……な、何ぃっ!?」

宙マン「行くぞ、エレックス!」

宙マン「エイヤァァーっ!

 宙マン・ミラクル・キック!!

出た、電光石火の必殺キック!

ラクルキックの一撃に、エレックスがブッ倒れたところへ――

 

宙マン「とどめだ!

 宙マン・エクシードフラッシュ!!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210507004404j:plain

全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……

エクシードフラッシュの一閃が、エレックスを直撃!!

エレックス「ひょんげぇぇ~っ、きょ、キョウレツぅぅ~っ!」

やったぞ宙マン、大勝利!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210504104655j:plain

ビーコン「いえっふ~、さっすがアニキ、そうこなくっちゃっス!」

落合さん「お見事でしたわ、お殿様!」

ピグモン「はうはう~、宙マン、かっこよかったの~♪」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210503104342j:plain

仲間たちの歓声を受け、すっくと立つ宙マンの巨体。

陽の光を浴びた精悍なる雄姿は、どこまでも頼もしかった。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426153009j:plain

イフ「うぐぐぐっ……またしても、またしても宙マンめが!

 だが、この次こそはお前を必ず倒してやるからな!

 覚えておれ、覚えておれ~っ!!」

 

……などと言う、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。

我らが宙マンの活躍によって、塑像怪獣エレックスは撃退され

千歳には再び平和な時間が戻ってきたのであった。

 

ピグモン「はうはう~、宙マン、おつかれさまなの~♪」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210429165645j:plain

ビーコン「にしても、とんだお騒がせ怪獣だったっスね~」

落合さん「一日を楽しむはずが、興を削がれてしまいましたわねぇ」

宙マン「はっはっはっ、なぁに……

 それくらいは、今から幾らでも取り返しが効くってものさ。

 これからうんと楽しんで、埋め合わせしようじゃないか!」

ビーコン「いえっふ~、さっすがアニキ、良いコト言うっスねぇ!

 そうなりゃオイラの成すべき事は、もちろん落合さんへのセクハラ一択……」

落合さん「(困惑&赤面)……は、はぁっ!?」

ビーコン「ちょ、「はぁ?」じゃないっスよ、「はぁ?」じゃ!

 さぁモタモタしてねぇで、いつもみてーにパンツ脱いで……」

 げ し っ !

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210428011630j:plain

落合さん「ねーい、毎度毎度の世迷言ばかりっ!(怒)」

ビーコン「どひ~っ、毎度のごとくお仕置きされちまったっスぅぅ~」

宙マン「はっはっはっはっ」

 

かくして今日も一件落着、めでたしめでたしの流れ。

だが、賢明なる読者諸氏は、既にもうお察しであるかもしれない——

そう、ここ数回分の『宙マン』シリーズがそうであったように。

どこからともなく、音もなく。

エレックスと宙マンとの激闘を、じっと見守り続けている異形の影、

不気味な悪意に満ちた視線が、今回もまた確かに「在った」のだ。

何を狙うか、巨大な一つ目。

そして、今またここに姿を現した者……それは!?

「ふふふふふ……

 よしよし、ご苦労。その調子だ……!」

「ふふふ、今に見ているがいい、宙マン。

 この次の戦いこそ……お前のラスト・バトルになるのだ……!」

まさしく不敵!

突如現れた甲冑の魔人、果たしてその正体とは!?

激動必至の次回を待て!