遊びをせんとや生まれけり

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『ウルトラマンデッカー』11話、見ました!

玩具その他の関連商品販売スケジュールが事前にしっかり設定され、販促番組として

それらとの密接な連携を義務付けられる……のは、もはや好むと好まざるに関わらず

現在の体制下で『ウルトラ』のTVシリーズを製作するうえでの大前提なわけで。

そんな製作体制下のもとで撮影・オンエアに至った『デッカー』11話。

前々回あたりからその要素が匂わされ、今回でようやく初お目見えとなった

GUTS-SELECTの新兵器(にして、みんな大好き新おもちゃ)である対怪獣ロボ、

テラフェイザーが物語の主軸に据えられることとなりました。

ウルトラマンデッカー 電脳魔人 DXテラフェイザー

ウルトラマンデッカー 電脳魔人 DXテラフェイザー

 

ヒーロー側のメカと銘打ちながら、どこか禍々しさも感じられるデザインと

そのカラーリングに加え、発送上の出自が明らかに『ダイナ』劇場版に登場の

電脳魔神・デスフェイザー”であることから、口さがないファンの間では

「どうせ暴走するんでしょ?」とか「早くデッカーとの戦いが見たい」などなど

ヨコシマな期待とともに(笑い)語られていた本機。

 

そのデビューとなった本話では、あくまでも平和を守り、未来を拓く力として

テラフェイザーに寄せるアサカゲ博士やGUTS-SELECT若手メンバー三人組の

衒いなき期待や希望などを前向きな形で描き……その一方で、ムラホシ隊長の

「素人考え」による仮説として、地球にとっての危険な異物を排除しようという

生物的本能によってガゾート、ライバッサーらの怪獣が続けざまに攻撃してくる

劇中展開を通し、「大きすぎる力」の危うさをもさりげなく提示してくれる

丁寧さとバランス感覚は流石『デッカー』。

ウルトラ怪獣シリーズ 185 ライバッサー

ウルトラ怪獣シリーズ 185 ライバッサー

 

また劇中でのカナタたちへのアサカゲ博士の説明、という形をとって

テラフェイザーの開発糸の原点がそもそも『トリガー』時代における

闇の三巨人への対策に端を発していることや、『デッカー』の世界観における

10年前の史実として、『トリガー』でのキングジョーの存在が示されるなど

同一の世界観を共有し、それらの設定や要素が密接に連携しているということを

サラッとさりげなく見せてくれる作風は、1960~80年代のウルトラシリーズには

存在しえなかった、ある意味「ニュージェネ路線」以降の美点かもしれません。

ウルトラマン ウルトラ怪獣シリーズ 151 ガゾート

ウルトラマン ウルトラ怪獣シリーズ 151 ガゾート

 

で、そんな風にまずは新戦力(にして新商品)であるテラフェイザー

格好良く、印象的に見せることが大命題となった今回……

そんな商業的要求にこたえてテラフェイザーのメカ描写に腐心する一方で

それ以外の描写では、小型怪獣ヒナバッサーの群れを避けながら

アサカゲ博士と隊員たちが、ハネジローをラグビーボールのように

繋ぎパスで投げあいながら(!)テラフェイサーへと急いだり

等身大変身で降り立ったデッカーが「シュワッ! ダッ!」としか言えず

隊員たちとの意思疎通に四苦八苦(笑)するなどの「遊び」の要素が

随所に盛り込まれ、お話の中でのアクセントとなってくれています。

 

……正直なところを申しますと、ああ言ったギャグ交じりの描写によって

ウルトラマンの「人間臭さ」がコミカルな形で強調されてしまうのには、

何だか茶化されているような据わりの悪さも感じてしまったのですが……

思えばデッカーの原点たる『ダイナ』でもまた、前作『ティガ』の時よりも

更に一歩踏み込み、思い切った形で、ウルトラマンの「人間臭さ」と

特捜チームとの絆は強調されていましたので、好みの問題は勿論ありますものの

これはこれでひとつの果敢な、面白い試みではあったな、と。

ウルトラ怪獣シリーズ 186 スフィアネオメガス

ウルトラ怪獣シリーズ 186 スフィアネオメガス

 

そして次回、あのネオメガスがスフィアに憑依されることによって

さらに厄介な敵として再登場!

 

そんな難敵とテラフェイザーの戦いを真っ向から描き切る娯楽編になるか、

あるいは悪いファンが密かに期待している(笑)「暴走」の兆しを見せて

ドラマ全体のテーマ性に深い楔を打ち込んでくれるのか……

ウルトラマンデッカー DXウルトラディーフラッシャー (早期購入特典 金のウルトラディメンションカード3枚付き)

ウルトラマンデッカー DXウルトラディーフラッシャー (早期購入特典 金のウルトラディメンションカード3枚付き)

 

どちらに転んでも面白くなってくれる、そんな地固めをしっかりやってくれた

華々しくも楽しい、電脳魔人のデビュー戦でありました。まる。