気候も穏やかになり、食べ物もまた美味しく……
この日の北海道千歳市は、抜けるように青い秋晴れであった。
宙マン「いやぁ~、いいお天気になってくれてよかったねぇ!」
ピグモン「はうはう~、風もすっごく気持ちいいの~」
落合さん「お出かけするもよし、家でのんびりするもよし……」
ビーコン「そしてそして、何つっても平和そのものっス!」
みくるん「ほ~んと、凄く良い一日になりそうな予感ですぅ」
ながもん「今日は、みんなで……のんびり、まったり」
ビーコン「いやいや~、でも、適度に刺激もなくちゃつまんないスよ。
景気づけに、ドーンと一発ド派手な花火でも……」
ビーコン「なんたって、今は秋のイベント・シーズンっスもんねぇ!」
落合さん「ちょっ、およしになって下さいまし、ビーコンさん。
また、そんなこと言って……
悪い怪獣でも出てきたら、どうするおつもりですの?」
ビーコン「ヒヒヒ、落合さんは心配性っスね~。
そんな大事件なんて、そうそう毎度起こるワケ……」
……と、その時である!
ズゴゴゴグワーンッ!!
おお、見よ! 驚愕せよ!
何の前触れもなしに……
突如、落合さんたちの背後に上がった巨大な火の手!
落合さん「ほぉら見なさいな、言わないことじゃない!」
ビーコン「お、オイラのせいっスかぁ!?(汗)」
爆発! 炎上!
そして、事態はただそれだけにとどまらず――
ながもん「(一方を凝視)おおっ。……あれ」
みくるん「(も振り返って)……えっ!?」
大爆発の起こった場所から、もうもうと立ち昇る黒煙……
それも、尋常な煙ではない。
むくむくと、巨大な塔のように膨れ上がり、そびえ……
……そして、その中から姿を現した異形とは!?
「グオッホッホッホッ……!」
みくるん「(涙目)ああっ、やっぱり今日も怪獣ですぅ!」
ながもん「あれは、確か……前に……宙マンが、言ってた……」
宙マン「(頷き)ああ、先月戦った奴だよ。……鋼鉄竜・アイアンだ!」
ピグモン「はわわ、なんでもいいけど、とにかく怖いの~!」
ドスのきいた哄笑とともに、煙の中から忽然と姿を現したのは……
「影の国」惑星X出身、鋼鉄竜アイアン。
言うまでもなく、暗黒星雲に巣食う怪獣軍団の一員だ!
宙マン「前にやられて、まだ懲りていなかったのかね!?」
落合さん「ちょ、お殿様、懲らしめられて頭を冷やせる方でしたら……」
ビーコン「(頷き)そー言うのは、そもそも悪党稼業なんてやってないっス!」
アイアン「グオッホホホ、ズバリ賞だぜ、地球人ども!」
落合さん「あらまぁ、嬉しくない正解をしてしまいましたわ!」
ビーコン「ひぇぇ、どうせ商品もロクでもないんスよ、きっと!」
みくるん「ふぇぇん、あんまり想像したくないですけど~!(涙目)」
スライ「んー、ふふふ……
正解の商品はズバリ、千歳の徹底破壊! これですよ!
んー、何と美しい流れ、何と無理のない展開!」
イフ「これこれ……自画自賛が過ぎるぞ、“魔導の”スライ!」
イフ「とは言え……鋼鉄竜アイアン、そなたには期待しておるぞ。
持ち前のパワーと暴れっぷり、しかとワシに見せてみよ!」
スライ「ザッツ・破壊のエンターテインメント!」
アイアン「グオッホッホ~、お任せ下さいませ、魔王様~!」
怪獣魔王の命を受け、猛然と進撃開始する鋼鉄竜アイアン!
迫り来る巨体を前に、人々は逃げ惑うより他に術がない。
ビーコン「どひ~っ、今日もエラいことになっちまったっスねぇ!」
落合さん「のっけからコレですもの、参りますわねぇ!」
宙マン「いいから、逃げるんだ――さぁ、早く!」
おお――北海道千歳市、早くも大ピンチ!
異次元怪獣の暴虐、もはや断じて許すまじ。
千歳の平和を守るべく、航空防衛隊が直ちに出撃した。
ながもん「おおっ。……ナイス……タイミング」
ビーコン「頼んだっスよ~、航空防衛隊!」
落合さん「頑張って下さいませ、応援しておりますわ!」
「ようし! 今回こそ、今回こそはやったるぞ――
さぁ、全機・一斉攻撃開始っ!」
激しいアタックをかける戦闘機隊!
持てる火力の全てが、怒濤のごとく異次元怪獣へ叩きこまれる。
……が、全くびくともしないアイアン!
アイアン「グオッホッホッ、我が“鋼鉄竜”の異名は伊達ではないぞ!」
「……ど、どわぁぁぁ~っ!?」
アイアンの目から放たれるアイビーム!
その洗礼を受け、一機、また一機と撃ち落されていく戦闘機。
みくるん「ああっ、やられちゃったぁ!」
ながもん「……のは、いつもの……こと?」
ビーコン「だーっ、それは言わないお約束っスよ!(汗)」
アイアン「グオッホッホッ、どんどん、じゃんじゃん行こうかいの!」
勢いに乗り、アイビームを乱射しながら突き進むアイアン。
光線の直撃を受けた建物が、次々に爆散・炎上し……
平和だった千歳市は、たちまち混乱の巷と化していた!
アイアン「グオッホッホッ、俺の強さを思い知ったか!」
ビーコン「どひ~っ、こいつァまずいっス、マジヤバっス!(汗)」
落合さん「このままでは、千歳の街が瓦礫の山に……!」
ピグモン「はわわわ……宙マン、宙マン、何とかしてなの~」
宙マン「(頷き)おのれ、もう許さんぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、アイアンの前へと舞い降りる!
宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上!
鋼鉄竜アイアン、これ以上の無法な真似はさせんぞ!」
ズ、ズーンっ!!
ビーコン「いよっ、待ってましたっス、アニキの十八番!」
落合さん「ああ、お殿様、素敵です……♪(うっとり)」
ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」
アイアン「グホッホッホッ……出てきおったな、宙マン!」
宙マン「この悪党怪獣め、改めてきっちりとお灸を据えてやる!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マンーー
さぁ、今日も世紀のビッグファイト開幕だ!
アイアン「ほざくな、宙マン!」
アイアンのアイビームを、プロテクションで無力化する宙マン。
そこに生じた激しい閃光が、戦いのゴングとなった。
アイアン「グホッホォォ~、こうなれば腕づくだ!
宙マン、ギッタギタのメッタメタに叩きのめしてやるぞ!」
宙マン「さぁ来い、アイアン!」
激突、宙マン対アイアン!
落合さんたちが見守る中、巨大戦がダイナミックに展開される。
「鋼鉄竜」を名乗るだけはあり、ボディの堅さと力の強さは折り紙つき。
邪悪な知性に裏打ちされた野獣性を全開にして、怜悧な技の冴えと
荒々しい突進戦法を両立させながら宙マンに迫るアイアン。
だが、磨き抜かれた格闘術ならば、宙マンも決して引けはとらない。
アイアンの繰り出す邪悪技を冷静・巧妙に受け止め、受け流し、
果敢に相手の内懐へと飛び込んでいく。
アイアン「グホッホッホッ、相変わらずちょこざいな!」
宙マン「隠居の身だと侮るなら、ただの火傷じゃ済まないぞ!?」
出た、宙マンの浴びせ蹴り!
鞭のような脚の一閃が、アイアンに炸裂してよろめかせる。
アイアン「うぐぐぐっ……貴様こそ舐めるなよ、宙マン!」
怒り、猛然と突進をかけてくるアイアン。
だが宙マンは、それをジャンプでひらりとかわして大空へ!
ながもん「おおっ……あの、技の……流れは」
みくるん「宙マンさんの得意技、ミラクル反転キックですぅ!」
ビーコン「っしゃ、これでもうアニキの勝ちっスよォ!」
そびえるビルの壁面を蹴り……その反動を利用して、再び空中へ。
ミラクル反転キックが、アイアンに炸裂せんとしたその時!
アイアン「グホッホッホッ、舐めるなと言ったはずだぞ!?」
「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」
ズ、ズーンっ!
出た、鋼鉄竜アイアンの奥の手!
新たにパワーアップ装備された、背中の甲羅の発光体より迸る収束ビームが
空中の宙マンを直撃!
みくるん「ああっ、ちゅ、宙マンさんが!」
ながもん「あの、光線は……強力」
ビーコン「どひ~っ、とんだ切り札隠してやがったっス!」
ピグモン「ふぇぇ、宙マン、まけないでなの~!(涙目)」
落合さん「(祈るように)……お殿様っ!」
宙マン「(苦悶)うう……うっ……!」
アイアン「グホッホッホッ、ざまぁないな、宙マン!
どうれ……このアイアン様が、今すぐに引導を渡してやる!」
勝利を確信し、猛然と突進してくるアイアンⅡ。
だが、しかし……
宙マンの闘志もまた、これしきの事では決して衰えない!
「なんの……やられて、たまるかッ!!」
宙マン「でりゃあーっ! 宙マン・ショット!!」
アイアン「(悶絶)ご、ごばぁぁぁっ!?」
気合とともに、不可視の破壊衝撃波を繰り出す宙マン!
正義の一撃をまともに受けて、鋼鉄竜の体のバランスが崩れた。
アイアン「お……おのれ、宙マンめぇぇ……っ!」
宙マン「くらえ! 宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、アイアンを直撃!
アイアン「な、なんの、これしき……ッ!」
だが、アイアンもさるもの……
フラッシュの直撃を受けながら、意地と気迫で踏みとどまってみせた。
宙マン「やるな……だったら、これでどうだ!」
「唸れ、一閃!
スーパー剣、スーパークラッシュ!!」
伝説のスーパー剣で、必殺の剣技を炸裂させる宙マン。
鋼鉄竜の堅牢なボディをも、みごと袈裟がけに切り裂いた!
アイアン「あびゃあぁっ……な、何と言うダメ押し~っ!?」
やったぞ宙マン、大勝利!
みくるん「わぁっ、やりましたぁ、宙マンさんの勝ちですぅ!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、かっこよかったの~♪」
ながもん「……グッジョヴ」
ビーコン「いえっふ~、やっぱアニキっスよねぇ、鮮やかっス!」
落合さん「えぇ、本当にお見事でしたわ、お殿様!」
イフ「おのれ! おのれおのれ、またしても!
だが見ておれ、怪獣軍団の真の威力を知るのはここからだ。
よいか、この次こそがお前の最期だぞ、宙マン……!」
……などと言う、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。
かくて宙マンの活躍により、鋼鉄竜アイアンの大逆襲ば退けられ
千歳の街に、再び平和が蘇ったのであった。
ピグモン「はうはう~、宙マン、おつかれさまなの~♪」
宙マン「いやぁ、ひと汗かいたらお腹ペコペコだ――
早いトコお昼にしようじゃないか、お昼に」
ながもん「宙マンは、何が……食べたい?」
宙マン「う~ん、そうだねぇ……
やっぱり疲れた時には肉を入れたいね、肉料理!」
みくるん「うふふ、それなら焼肉にでもしましょっか?
それと一緒にお子様はジュース、大人はお酒で乾杯してぇ……
秋のイベント気分で、う~んと盛り上がっちゃう方向で!」
宙マン「おおっ、いいね、いいねぇ、全くもって異議なしだよ!」
ビーコン「ヒヒヒ……いいっスねぇ、秋の実りの収穫祭気分!!
でもって、食後には落合さんとオイラのおっぱい祭り……」
むにゅん、ふにふにっ
落合さん「(赤面)……きゃ、きゃあああああっ!?」
げ し っ !
落合さん「このエロ怪獣っ、どうして隙あらばいやらしいんですっ!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、オイラは愛の怪獣花火っスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
今年の秋も、例により……
毎度の怪獣退治は、宙マンが引き受けた!
さて、この次はどんな活躍を見せてくれるかな?