地球を狙って現れる、様々な「悪」……
どいつも、こいつも、一筋縄ではいかない曲者揃い。
そんな「危険なやつら」を迎え撃ち、平和を守ることができるのは
地球より1972万光年の彼方・プラネット星からやって来て
今は北海道千歳市に暮らす彼しかいない。
ご存じ宙マン、またまた颯爽の巨大化。
果たして今日の「お相手」は、いかなる悪党であろうか!?
「びゃわわぁぁ~んっ、やっぱり出てきたな、宙マン!
だが、そのでしゃばり癖がお前の命取りだぜぇ!」
「この液汁超獣・ハンザギラン様が、お前の息の根を止めてやるんだぜぇ。
そして千歳は勿論、地上の全てを破壊し尽くして……
この地球は俺たちの創造主、異次元人ヤプール様のものになるんだぜぇ!」
宙マン「大口を叩くのもそのくらいにしておけ、ハンザギラン――
決してそうならない事は、お前にも分かっているはずだぞ!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
今日もまたまた、世紀のスーパーバトル開幕だ!
ハンザギラン「びゃわわぁぁ~んっ、この野郎!
噂通りにムカつく野郎だぜぇ、宙マン!」
宙マン「さぁ来い、勝負だ、超獣ハンザギラン!」
激突、宙マン対ハンザギラン!
人々が固唾を呑んで見守る中、凄まじい攻防戦がその火花を散らす。
巨体に秘められた猛パワーに物を言わせ、角をふりかざしての突進!
頭突き戦法の衝撃に、宙マンもズズッと後退を余儀なくされるが……
ヒーローの闘志は衰えず、果敢にハンザギランへと挑んでいく。
ハンザギランとの距離を一気に詰め、火の出るようなパンチ、チョップ!
更に肘打ちまでもを、速攻で次から次へと超獣めがけて炸裂させる。
最も怖ろしい溶解液を吐く隙を与えまいと、攻めに攻めまくる宙マン。
執拗に叩きのめされながら、しかしハンザギランは……
じっと耐えつつ、溶解液をお見舞いするチャンスを待ち続けていた。
宙マン「えい、やぁっ!……参ったか、これでもか!」
ハンザギラン「宙マン! ナメんなよだぜ――びゃわわぁぁ~んっ!」
双方の間合いが離れた一瞬の隙を逃さず……
ついに自身の奥の手、魔の溶解液を吐き出して反撃するハンザギラン!
そして宙マンは、恐るべき液汁をまともに全身へ浴びてしまったではないか!?
ピグモン「(目を見開き)ちゅ、宙マンっ!?」
ビーコン「ヤバいっスよ、これじゃアニキでも……!」
落合さん「(祈るように)お殿様……お殿様っ!」
宙マン「(苦悶)ぐ……うう、う……っ!」
ハンザギラン「びゃわわぁぁ~んっ、苦しいかぁ?
……苦しいはずだぜ、宙マンちゃ~ん!(ニヤニヤ)」
みくるん「ひどいっ……苦しんでる宙マンさんに、追い打ちなんて!」
ながもん「さすが、超獣……根性悪」
ハンザギラン「びゃわわぁぁ~んっ、何とでもほざけだぜェ!
さぁ、宙マン、影も形もなくなっちまえだぜ!」
宙マンにとどめを刺すべく、猛然と突進してくるハンザギラン!
だが、宙マンも、苦しみながらよろりと立ち上がり……
「ぬうぅぅぅ……トゥアーッ!!」
宙マン、気力を振り絞ってパワー全開!
気合一閃、全身にまとわりつく溶解液を吹っ飛ばしてしまう。
ハンザギラン「(驚き)げ、ゲゲーッ!?」
宙マン「ハンザギランよ、悪の栄えた試しはないぞ!」
宙マンの右手から、素早く放たれる手裏剣ビーム!
ハンザギランの急所めがけて炸裂し、激しいスパークを散らせる。
ハンザギラン「さ、山椒魚は……悲しんだぁぁ~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
みくるん「やったぁ、宙マンさんの勝ちですぅ!」
ながもん「さっすが……安心と、信頼の……宙マン」
ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~☆」
宙マン「はっはっはっ、いやぁ、なんのなんの。……
それはさておき、ひと勝負終えたら一気にお腹が減ってきちゃったな!」
落合さん「それではそろそろ、どこかでお昼ご飯にしましょうか」
ピグモン「はうはう~、アレも食べたいし、これも食べたいし……
千歳は美味しいお店が多すぎて、目移りしちゃうの~」
ビーコン「ほーい、ほいほーいっ! アニキとみんなに提案っス!
今日のランチは、カレーラーメンなんてどうっスか!?」
宙マン「おおっ! 「味の大王」さんのかね!?」
ビーコン「そーっス、そーっス、さすがアニキっス!
カレーもラーメンも両方楽しめる、超お得っぷり……
今のオイラたちにゃ、まさにもってこいだと思わないっスか!?」
みくるん「確かに……美味しいですもんねぇ、あそこのカレーラーメン」
ピグモン「甘すぎないし、辛すぎないし……
だから、ピグちゃんでも安心して食べられるの~」
ながもん「スパイシーさとマイルドさの、絶妙なバランス……」
ながもん「適度なトロみで、麺によく絡み……
丼全体の……調和を、もたらす……
「カレーラーメンのスープ」としての……美しき、最適解」
宙マン「うはーっ、みんなの熱弁を聞いているだけで堪らないね!
今日のお昼はカレーラーメン、頭がもうそのつもりになっちゃったよ!」
ビーコン「っしゃあ! そんじゃ決まりっスね!」
ビーコン「よーし、そうとなりゃ善は急げっスよ~。
「味の大王」さん目指して、出発進行っス~!」
落合さん「そうですわね、食券の券売機が込み合う前に……!」
……と、その時である!
ズゴゴゴグワーンっ!!
おお、見よ! 驚愕せよ!
何の前触れもなしに……
突如、落合さんたちの背後に上がった巨大な火の手!
落合さん「あ、あらあらあらあらっ!?」
ビーコン「ど、どうなってるんスかぁ、コレってば!?(汗)」
みくるん「い、一体何が起こってるんですかぁ!?」
宙マン「ううむっ、こいつは只事じゃないぞ!」
「グァウウウ……まぁだ、まだまだ。
本当の「お楽しみ」は、これからだ……!」
突如として天から響いてきた、嘲るような唸り声。
そして……次の瞬間、凄まじいばかりの大爆発と巨大な火柱を伴って
宙マンたちの眼前に姿を現した「もの」は!?
「グゥオオオ~ンっ!」
ピグモン「はわわ、また何か出てきたの~!(汗)」
ビーコン「ひぇぇ、間髪入れずに新手っスかぁ!?」
ながもん「連戦は……かなり……厳しい、かも」
みくるん「ふぇぇん、一頭だけでも困るのに、二頭だなんて……」
ベロクロン「(ニヤニヤ)いやいや、今日は特別でね――
俺だけじゃないのさ、創造主様の大サービスは! 見な!」
みくるん「……えぇっ!?(汗)」
「ギニャアァァァ~ッ!!」
赤い瘴気に包まれながら、地中から姿を現した超獣キングクラブ。
更に間髪入れず、空中に出現した無数の妖光がひとつに結集して……!
「ゴワゥワゥゥゥゥ~ッ!!」
忽然とその姿を見せた、西洋の悪魔像を思わせる異形の巨体……
三番手は兇悪超獣・ブラックサタン!
ヤプール「フッフフフ、驚いたか宙マン、そして地球人ども!
ハンザギランは、このための尖兵に過ぎん……」
ヤプール「これが私のとびきりの趣向、超獣連合軍の総攻撃だ!」
宙マン「――何っ!?」
ブラックサタン「ハンザギランとの戦いで、既にエネルギーを消耗して
著しく疲弊しているはずのお前だ」
キングクラブ「ギニャニャニャ~、そこが俺らの狙い目さァ」
宙マン「なんの、この私がいる限り、お前たちの思惑通りには……!」
ベロクロン「(嘲笑)馬鹿が、その隙を与えるかって言ってんだよォ!」
ブラックサタン「ゴワゥゥゥ~ッ、くらえ!」
ブラックサタンの目から放たれる怪光線!
真っ向からの直撃を受け、宙マンの全身が麻痺したところへ……!
ベロクロン「グゥオォォ~ンっ、お次はこれだァ!」
「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」
みくるん「ああっ、宙マンさんが!」
ビーコン「えげつないっス、戦い終わったばかりのアニキに……」
落合さん「そこを狙って、三頭ががりで攻めてくるなんてっ!(汗)」
ピグモン「はわわわ、宙マンがんばって、負けないでなの~!」
ながもん「……(無言で拳を握りしめる)」
ヤプール「これで分かっただろう、地球人ども……
もはや宙マンなど、我がヤプール超獣連合軍の敵ではないのだと!」
ヤプール「さぁ行け、我が超獣連合軍、戦いの嬰児たちよ!
地上の全てを焼き尽くし、破壊し尽くして……
我ら異次元人の悪魔の力を、全宇宙に見せつけてやるのだ!」
キングクラブ「ギニャニャ~、お任せ下さい、創造主様!」
かくて始まる、超獣連合軍の恐怖の進撃!
キングクラブの吐き出す泡が、一瞬でビルを溶解したかと思えば……
一方ではベロクロンの生体ミサイルが、地上を炎に包んでいく。
巻き起こる爆発の中、人々がなすすべもなく逃げ惑い……
今や北海道千歳市は、阿鼻叫喚の地獄絵図と化しつつあった!
ブラックサタン「ゴワゥウゥゥ~、思い知ったか、我らの力を!」
宙マン「(苦悶)うう……うっ!」
燃え盛る炎の中で、憎々しげに勝ち誇る超獣連合軍……
ああ、今まさに千歳市と宙マンは絶体絶命の大ピンチ!
だが――
大宇宙の摂理と正義の意志は、異次元人の理不尽な侵略の魔手に晒された
太陽系の第三惑星とその住人たちを、決して見捨てることはなかった。
おお、見よ!
遥かな宇宙の彼方から……真っ赤な闘志の光とともに、流星となって
一直線に地球を目指して飛んでいく、一人のヒーローの雄姿を!
騎士甲冑を思わせるプロテクターと、赤い体の鮮烈なコントラスト……
誰もが知っているその姿は、正に真紅のファイターである。
急いでくれ、戦士よ!
宙マンと北海道千歳市の命運は、まさに風前の灯なのだ!
地球へ向かう真紅のヒーロー。
強力な助っ人を得て、超獣連合軍への反撃なるか?
疾風怒濤の次回を待て!!