遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

『ウルトラマンデッカー』17話、見ました!

既に馴染んで、すっかり見慣れた幻覚宇宙人……

そのメトロン星人から女性の声が発せられた! と言うのが、これまでの概念に

軽く足払いを食らわされたようで、まず心地よい驚きだった『デッカー』17話。

さて今回、TPU内部調査局の局長として姿を現したメトロン星人ナイゲル。

アサカゲ博士ことバズド星人アガムスの離反とテラフェイザー強奪の一軒に伴って

ムラホシ隊長もその関係者であるとの疑惑をもって尋問し、隊の指揮権を剥奪して

内調の監視下におくことで、結果として怪獣ゴメス出現の非常時にもかかわらず

GUTS-SELECTを出動不可能にしてしまうという、あくまで職務に忠実でありつつも

物語的にはちょっと憎まれ役的ポジションも担わざるを得ない役どころ。

 

ウルトラ怪獣シリーズ 68 メトロン星人

ウルトラ怪獣シリーズ 68 メトロン星人

 

感情に流されず、過去のデータ蓄積から常に論理的に物事を判断する彼女(仮)。

その終始冷静な語り口とシリアスな立ち位置は、ともすれば劇中のギャグ担当として

オリジンの超然たるキャラクター性が蔑ろにされがちだった「ニュージェネ」以降の

ウルトラシリーズ宇宙人たちにおいては珍しいものでもあって……

そんな「地球外文明から来訪した存在」としての超然たるキャラクター・イメージを

かなりのレベルで回復しえたウルトラ宇宙人が、人類との共存を普通に果たしている

『トリガー』『デッカー』世界観の住人であり、かつTPU内部調査局と言う

「身内」でもあったと言うのが、また今回の皮肉な面白さです。

 

ウルトラマントリガー 渦巻変形 DXナースデッセイ号

ウルトラマントリガー 渦巻変形 DXナースデッセイ号

 

そんな内部からの危機的状況の中、ムラホシ隊長の窮地を救うことになるのが

そもそもの県議の理由の一つであった、TPU特殊部隊時代のムラホシが犯した

「10年前の命令違反」において、彼に救われた「あの日の少年」こと

現在のリュウモン・ソウマ隊員。

 

シリーズ開始時からの「TPUエンブレムの伏線」がここにおいて鮮やかに活きつつ

ドラマのテンションをも熱く盛り上げ、更に回を重ねるごとにとにかく美味しい

リュウモン株がまたまた急上昇しつつ、またまた深まるチームとしての熱い絆に

視聴者の我々も熱く拳を握ってしまうことは必至。

 

にしても、回想シーンとは言いながら……このエピソード用の辻褄を合わせるため

メツオロチも、ヒュドラムも、わざわざ今回用に新規撮り足しがなされてしまうのが

如何にも『ウルトラ』らしい、こまやかで嬉しい気配りです。

 

 

ウルトラマン ウルトラ怪獣シリーズ 138 ゴメス

ウルトラマン ウルトラ怪獣シリーズ 138 ゴメス

 

さて、そんなドラマ面での盛り上がりの分、キャラクターとしての掘り下げでは

どうしても一歩引いた立ち位置にならざるを得なかったゴメス君ですが。

今回は「猛威を振るって暴れまわる凶暴な怪獣」、あくまでも劇中の登場人物が

乗り越えていかなければならない障害、もっと言ってしまえば「標的」に徹することで

そのクールさゆえの「いぶし銀」とも言うべき渋い存在感が、ナイトシーンと相まって

むしろ光り、パゴス回と異なって今回の敵役がこのゴメス一頭に絞り込まれることで

バトル物としての焦点がブレたり、ぼやけたりすることもなく、終始緊張感に満ちた

今回のエピソードを側面から引き締めてくれた名敵役に成りえていたと思います。

 

『帰マン』初期1クールの地球怪獣的な……と例えれば、ご納得頂けますでしょうか?

 

ウルトラQ 大怪獣シリーズ 毎日新報 江戸川事件簿 ウルトラQ ゴメス

ウルトラQ 大怪獣シリーズ 毎日新報 江戸川事件簿 ウルトラQ ゴメス

 

また、そのフィニッシュにおいて……

デッカーが敢えてとどめをナースデッセイ号に譲り、ムラホシにとどめを刺させたのも

ドラマに一本筋を通すという意味で実に的確であり、粋でしたねぇ!

 

ウルトラマンデッカーとあそぼう! (講談社 Mook(テレビマガジン))

ウルトラマンデッカーとあそぼう! (講談社 Mook(テレビマガジン))

 

さて、ムラホシ隊長の嫌疑は解け、ナイゲル局長も誠実に詫びを入れつつ去って

GUUTS-SELECTの内部からの危機は去り、絆もさらに深まりつつ……

次回はまたまた特別総集編と謳いつつ、こちらにもやはり先のテラフェイザー強奪が

色濃く不穏な影を落としている模様。

 

それだけの大事件ですから、そうなるのも仕方のないことだとは思いますし……

そんな「当然あって然るべき」ことを丁寧に拾ってシリーズ構成に盛り込んでいく

巧みさと誠実さもまら『デッカー』ならではだな、と感じる土曜朝でした。