悲喜こもごも、様々な出来事のあった2022年が終わり……
どうにかめでたく、新たな年である2023年を迎えた日本列島。
そして、1月の北海道千歳市は、例年がそうであるように
深い雪に覆われて外はもう一面の銀世界。
そんな寒い千歳市の一角、ほんわか町5丁目の「宙マンハウス」。
宙マンファミリーのもとを訪れたのは、これまたお馴染み……。
みくるん「宙マンさんたち、あけましておめでとうございま~す!」
ながもん「……略して……あけおめ」
ピグモン「はうはう~、あけましておめでとうなの~☆」
宙マン「やぁやぁ、いらっしゃい、今年もよろしくね!」
みくるん「はいっ、こちらこそですぅ♪」
落合さん「実は、今ちょうどですね、私たち……
初売りもあちこちで始まっていることですし、街に繰り出して
外の空気に触れてこよう、ってお話していたところでしたのよ」
ビーコン「正月ならではのだらだらもいいし、おせちも旨いんスけど……
それでもそろそろ、何かシャバが恋しくなってくるっつーか。ねぇ?」
ながもん「おおっ。……わかる、わかる」
落合さん「おせちもいいけど何とやら……ではないですけれど。
再び日常生活を始めるうえで、何かお外で美味しいものを頂いてくることで
ひとつの区切りをつけつつ景気づけ、と言うのも有りではないか、と」
宙マン「みくるんちゃんたちも、よかったら一緒にどうだい?」
みくるん「わぁっ、いいんですかぁ?」
ピグモン「こー言うのは、大勢でワイワイの方が楽しいの~♪」
ながもん「(頷き)断る、理由も……見当たらない……かも」
ビーコン「よーし、どうやら流れは決まったみたいっスね!」
ピグモン「みんな揃って、お外でお食事なの~!」
落合さん「(にっこり頷き)では、早速お出かけの支度を――」
と、その時であった!
ゴゴゴゴ……グラグラグラグラッ!
落合さん「……あ、あらあらあらっ、これは!?」
みくるん「じ、地震っ!?(汗)」
宙マン「いや、この揺れ方はただの地震じゃなさそうだぞー―」
ビーコン「……ってことは、まさか!?」
そう、そのまさか。
千歳の街を激しく揺さぶる、異様な局地地震の正体は……
大地を引き裂き、巨大怪獣が姿を現わす前兆に他ならなかったのだ!
「デュガガガぁぁ~っ!!」
ビーコン「ずげっ! やっぱしこう来やがったっスよ!(汗)」
落合さん「あの姿、あの面構え、以前にも何度か……」
ピグモン「(頷いて)はう、ピグちゃんも見覚えあるの~」
宙マン「そうだ、貴様は……宇宙怪獣・ベムラーだな!?」
「ブッブー、不正解っ!!
俺の名前は大怪獣・コークラ、怪獣軍団の一員よ。
……良い機会だから、しっかり頭に叩きこんどいてね!?」
落合さん「あらまぁ……他人の空似、でしたのね」
宙マン「いやぁ、知らぬこととは言え……
お名前を間違えてしまい、どうも済みませんでした!」
コークラ「デュガガガ、いいのいいの、分かってくれりゃ――」
コークラ「……と、分かってもらえたところで。
怪獣軍団が地球を征服する、そのための第一歩としまして
派手に「ブッ壊し」、行かせてもらいますんで!」
ビーコン「どひ~っ、待った待った、それ無しっスよ!?」
みくるん「(怯えて)ああっ、それ、本気で勘弁して欲しいですぅ!」
ピグモン「せっかく楽しい気分だったのに、ぜんぶ台無しなの~!」
コークラ「デュガガガ~、そうかい、そりゃよかった!(ニヤニヤ)」
スライ「んー、ふふふ、いかがですか魔王様……
コークラ君の、あの張り切りようと言ったら」
スライ「私としても、極上海鮮丼をご馳走した甲斐がありましたよ!」
イフ「またお前はそうやって、目先の食欲で釣るような真似を……!(呆)」
イフ「……まぁよい、手順はどうあれ……
せっかく上がったモチベーション、有効活用せん手はあるまい。
さぁ行けコークラ、千歳の街を徹底的に蹂躙せよ!」
コークラ「デュガガガッ、お任せを、魔王様~!」
正月気分の千歳市に、ぴしゃりと浴びせられた痛烈なる冷水。
怪獣魔王の命を受け、進撃開始するコークラ!
落合さん「あらまぁ、大変なことになってしまいましたわねぇ!?」
ビーコン「飯食う前に、泡食わされるなんてないっスよ~!(汗)」
みくるん「あわあわ……何でもいいから、早く逃げなきゃですぅ~!(涙目)」
おお……北海道千歳市、またもや絶体絶命の大ピンチ!
だが、しかし。
怪獣のこれ以上の進撃を阻むべく、直ちに千歳基地の駐屯所から
陸の精鋭たちが出動したのであった。
「GO! GO! GO! GO!!」
勇ましい号令一下……
タクティカル・スーツに身を固め、おのおの得意の武器を携えて
続々と車両から飛び出してくる防衛隊員たち。
ビーコン「おおっ、今日も今日とて張り切ってるっスねぇ!」
落合さん「なんだかんだと申しますと……
あのお姿を見かけると、やっぱりホッと致しますわ」
ピグモン「防衛隊のおじさんたち、しっかりなの~!」
怪獣相手に一歩も退かず、勇敢に立ち向かっていく地上部隊。
専用の小型レーザーガンが、コークラを牽制し……
「3……2……1……ファイア!」
更に別の一方から、強力熱線銃の一撃を怪獣の急所へ叩きこむ。
隙のない、完璧そのものと言ってよい攻撃フォーメーション……
……それが通用していれば、の話だが。
コークラ「デュガガガッ、効かねぇ、効かねぇ!」
嘲笑とともに、コークラの角から放たれる破壊光線。
ビルも、車も、あらゆるものを一瞬で吹き飛ばすこの威力!
ビーコン「ど、ど、どひ~っ!(汗)」
ながもん「これは……本気の、本気で……超、ヤバし」
ピグモン「はわわわ……宙マン、宙マン、何とかしてなの~」
宙マン「(頷き)おのれ、もう許さんぞ!
宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、荒れ狂うコークラの前に舞い降りる!
宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上!
平和を乱す者には容赦しないぞ、思い知らせてやる!」
ズ、ズーンっ!!
ながもん「おお、今日もまた……ナイス……タイミング」
みくるん「頑張って下さいね、宙マンさんだけが頼りですっ!」
ピグモン「大丈夫なの、宙マンはぜったいまけないの~!」
コークラ「デュガガガっ、自分から殺されに出てきたか、宙マン!」
宙マン「(ニヤリ)ジョークとしては、あまり出来がよくないな?」
ファイティングポーズをとり、敢然と身構える宙マン。
さぁ、今日もまたスーパーバトルの幕開けだ!
コークラ「デュガガ~、だったらガチの真剣勝負だ!」
宙マン「さぁ来い、コークラ!」
真っ向激突、宙マン対コークラ!
巨大怪獣と巨大超人が大地を揺さぶり、戦いの火花を散らせる。
鋭利な爪で、チョップ攻撃を仕掛けてくるコークラ。
その切っ先をかいくぐりながら、宙マンも果敢に挑む。
両者とも、格闘戦ではほぼ互角!
お互いの鉄拳が拮抗し、戦いはいやが上にもヒートアップ。
宙マン「イエ、ヤァっ――どうだ、これでもか!?」
コークラ「デュガガガ、まだまだァッ!」
バッと離れた間合いから、猛然と雄牛のようなタックル。
コークラ必殺のメガトン頭突きが、宙マンの腹部めがけて炸裂!!
宙マン「ぐ、ぐわぁぁぁぁ……ッ!!」
ズ、ズーンっ!
みくるん「ああっ、ちゅ、宙マンさんが!」
ながもん「今の、頭突きは……かなり……効くやつ」
ビーコン「どひ~っ、単なるベムラーのパチモンじゃなかったんスねぇ!」
ピグモン「ふぇぇ、宙マン、まけないでなの~!(涙目)」
落合さん「(祈るように)……お殿様っ!」
宙マン「(苦悶)う……うう……っ!」
コークラ「デュガガガッ、今度こそ最期だぜ、覚悟しな宙マン!」
勝利を確信し、とどめを刺すべく猛然と迫るコークラ!
だが、宙マンも残された力を振り絞って立ち上がり――
「このくらいで……負ける、もの、かぁぁッ!」
宙マン、瞬間的にパワー全開!
コークラの破壊光線をひらりとかわして、大空高くジャンプする。
コークラ「(驚き)ぬ、ぬおおっ!?」
宙マン「くらえ、コークラ!」
宙マン「テリャァァーっ!
宙マン・南十字チョップ!!」
両腕を真っ赤に燃え上がらせて放つ、渾身のクロスライン!
正義の南十字チョップが、コークラの胸板めがけてヒット。
大怪獣の巨体が、ドドーッと崩れ落ちたところへ――
宙マン「とどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、コークラを直撃!!
コークラ「デュガガガッ……な、納得いかぁぁ~んっ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
ピグモン「はうはう~、やったのやったの、宙マンの勝ちなの~!」
みくるん「今年もやっぱり、宙マンさんでキマリですね!」
ながもん「…………グッジョヴ」
かくして我らが宙マンの活躍で、恐怖の大怪獣コークラは倒され
千歳市はまた平和を取り戻したのであった。
ビーコン「いえっふ~、アニキアニキ、どーもお疲れさまっした!」
宙マン「いや~、お待たせ、お待たせ。
……しっかし、戦いが終わって落ち着いてみると……
今日も今日とて、我が千歳市は冷えてるねぇ!」
ピグモン「(くしゃみ)「……くちゅんっ!」
ながもん「そんな、時こそ……あったまる……食べ物」
落合さん「道民的には、ここはやはりラーメンで決めたいところですわね」
みくるん「異議なしですぅ、急いで行きましょう、お店が混まないうちに!」
宙マン「よぉし、張り切って出発進行だ!」
と、平和が戻って和気藹々の宙マンファミリー+α。
こちらは暗黒星雲の奥深く……
虎視眈々と地球を狙い続ける、怪獣軍団の本拠地。
イフ「よいか、よく聞け、怪獣どもよ!」
イフ「今回のコークラは失敗したが……
それしきのことで、我らが地球征服の決意が揺らぐことはない。
お前たちの今年の働きぶりに、ワシは心から期待を……
……って、ちゃんと聞いておるのか!?」
……聞いているはずなどなかった。
「ぐぅ~、ぐぅ~、がごぉぉ~」
「むにゃむにゃ、もう呑めねぇって……うい~」
「ヒック、ういっぷ……
でへへ、魔王様もぐいっと、もう一杯いかがれすかぁ~?」
「こ、この、このっ……
この、大馬鹿者どもがぁぁ~っ!!」
イフ「どいつもこいつも、だらしなく酔いつぶれおって!
一体いつまで、正月休みのつもりだ~!?
……あ、それはともかく、ワシももう一杯……(ちびっ)」
敵も味方も、相も変わらず……
新たな年でも、この調子。
そんなこんなの、次回もお楽しみに!