遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

目覚めよと呼ぶ声ありの巻

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宙マン「行くぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!」 

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毎度おなじみの、あのかけ声も勇ましく……

まばゆいばかりの閃光の中で、みるみる巨大化する宙マン。

さてさて、今日の対戦相手は……

四次元世界と我々の地球とを自在に行き来することが出来ると言う

恐るべき岩石怪獣・ザガラウスだ!

 

 

 

ザガラウス「ブラぁぁぁ~っ、これでもくらえ、宙マンめ!」

ザガラウスが口から吐き出す熱線!

その攻撃をひらりとかわして、ヒーローの巨体が宙に舞う。

ザガラウス「(狼狽)ぬ、ぬおおおっ!?」

宙マン「行くぞ、ザガラウス!」

宙マン「エイヤァァーっ!

 宙マン・ミラクル・キック!!

出た、電光石火の必殺技!

燃える足先をまともに食らい、ザガラウスがぶっ倒れたところへ――

 

宙マン「とどめだ! 

 宙マン・エクシードフラッシュ!!

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全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……

エクシードフラッシュの一閃が、ザガラウスを直撃!!

ザガラウス「な、なんてこった……

 これじゃ四次元空間へ、逃げ込む暇もなぁ~いっ!」

やったぞ宙マン、大勝利!

 

かくして、千歳の危機はまたも救われたのであった。

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だが、そうなると……

面白くないのは当然、暗黒星雲の怪獣魔王に他ならないわけで。

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イフ「うぐ……うぐぐぐぐっ!

 おのれぇぇ……またしても、またしても宙マンめが!

イフ「だが、これしきのことで地球を諦めるワシらではないぞ――

 ……誰か、誰か宙マンを倒し、地球侵略の功をなそうという者はいないか!?」

 

「――ここは僕にお任せ下さい、魔王様!」

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高らかな声とともに、ずいっと怪獣魔王の前に進み出てきたのは……

初代バルタン星人の実の息子にして天才児、その将来を嘱望されている

怪獣軍団の筆頭幹部候補生・バルタン星人Jrである。

 

バルタン星人Jr「宙マンには、これまで幾度も痛い目に合わされました。

 既にその恨みは、僕の骨髄にまで達しております――」

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バルタン星人Jr「だからこそ今、この僕のために……

 長年に渡った屈辱を晴らす機会を、どうぞお与え頂きたいのです」

イフ「うむ、よくぞ申した、それでこそ栄えある筆頭幹部候補生だ!」

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イフ「お前のその執念、まとめて宙マンに叩き返してやるがいい。

 そして地球征服を成し遂げた勇者として、軍団の歴史に名を残すがいい!」

バルタン星人Jr「ははぁーっ、有難き倖せ!」

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かくて、復讐心に燃え……

大いに張り切って、暗黒星雲から出立したバルタン星人Jr。

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目指すは勿論、我々の故郷である青い惑星・地球。

宙マンファミリーが暮らす、日本列島の北海道千歳市だ!

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だが、その千歳市の一角・ほんわか町5丁目においては……

そんな脅威が迫っていることなど知る由もなく、毎度おなじみの

宙マンファミリーが、のどかで呑気な日常を満喫中であった。

 

落合さん「さぁ、皆様、落合特製アップルパイが焼きあがりましたわよ!」

ピグモン「はうはう~、おいしそうなの~♪」

宙マン「とっておきの紅茶と、落合さんお手製の美味しいお菓子……

 自宅で過ごす午後の時間は、やっぱりこれに限るよねぇ。

 ……んー、今日のダージリンも実に良い香りだ!」

落合さん「ふふっ、恐れ入ります、お殿様♪」

ビーコン「ヒヒヒ、何が贅沢かって言って……

 こうやって自由に浪費できる時間ほど、最高の贅沢ってないっスよね~。

 しかもお誂え向きに、いつでも手ェ出せるメイドさんもいることっスし……」

落合さん「ええ、どうぞご遠慮なく――命が惜しくないのでしたらねっ!(ジト目)」

ビーコン「おろろ~、ダメっスか? セクハラ駄目っスかぁ?」

落合さん「……判りきったことを聞かないで下さいな(呆)」

ビーコン「だと思うんスけどねぇ、常に未来への希望を失わない夢追い人としては

 1%でもセクハラの可能性があるなら、それに一縷の望みを託して……」

落合さん「そんな希望、ドブ川に叩き捨てておしまいなさいっ!(怒)」

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みくるん「うふふっ、相変わらずピッタリ息が合ってますね~、お二人とも」

ながもん「気の合う、同士の……たわいない……会話。

 それこそ……午後の、お茶の……最高の、調味料?」

みくるん「だよね~、ながもん♪」

落合さん「……って、そこでイイ話っぽくまとめないで下さいまし!(汗)」

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ビーコン「ヒヒヒ、今更照れることないじゃないっスか、落合さん!

 オイラと落合さんが名コンビだってことは、誰もが認める周知の事実……」

落合さん「私にとってはむしろ羞恥ですわっ、罰ゲームです罰ゲーム!

 お殿様とならともかく、何が悲しくてビーコンさんなんかと……」

ピグモン「はわわ、またはじまっちゃったの~(呆)」

宙マン「はっはっはっはっ、まぁまぁ二人とも……」

 

 

ゴゴゴゴ……グラグラグラグラっ!

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みくるん「きゃ、きゃああああんっ!」

落合さん「こ、これはまた……例によって、いつもの展開ですかしら!?(汗)」

ビーコン「……な~んかネェ、猛烈にそういう予感がするっスよ!(汗)」

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不意打ちのように千歳市を襲った、唐突すぎる局地地震

ビルを崩し、大地を引き裂いて、地中からその姿を現わしたものとは!?

“ヴィィィィー……ンッッ!!”

 

みくるん「(驚愕)あ……蟻っ!?」

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ピグモン(涙目)はわう~、アリさんにしてはおっきすぎなの~」

ビーコン「だーっ、もう! 

 落合さんがオイラを邪険にするから、こう言うコトになるんスよぉ!」

落合さん「(汗)……ちょっ、何ですの、その豪快過ぎる論点のすり替え!?」

宙マン「ただの蟻じゃないぞ……こいつはロボット蟻だ!」

ピグモン「な、ながもんちゃん、知ってる?」

ながもん「(首を振り)こんな、ロボット……はじめて……見た」

 

「フォッフォッフォッ……そうだろう、何しろ全宇宙初公開だからな」

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バルタン星人Jr「鉄獣メカ・スカベンジャーD3

 僕の持てる頭脳とバルタンの科学力を結集した、最高傑作さ!」

軍隊蟻のスタイルを模した恐怖の鉄獣メカ・スカベンジャーD3。

操縦するのは、当然のようにバルタン星人Jrだ!

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バルタン星人Jr「フォッフォッフォッ、このスカベンジャーD3がある限り……

 もはや地球は、怪獣軍団のものになったも同然さ。

 そうとも、スカベンジャーD3に勝てる者なんて誰もいやしないんだ!」

宙マン「(拳を握り)ぬうっ……大きく出たな、バルタン星人Jrめ!」

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ゾネンゲ博士「おおっ、何と言う素晴らしいロボットだ!

 魔王様、これならば素晴らしい戦果が期待出来そうですぞ!」

イフ「ううむっ、流石は筆頭幹部候補生、大したものだわい。

 行け! 行動開始せよ、バルタン星人Jr!

 スカベンジャーD3の力を、地球の者どもに見せつけてやれ!」

バルタン星人Jr「かしこまりました、魔王様!」

 

無機質な機械音を響かせながら、進撃開始するスカベンジャーD3!

逃げ惑う人々を追い散らしながら、ずんずん市街地へと乱入していく。

ビーコン「(汗)どひ~っ、こっち来たっスよ、コッチへ!」

みくるん「(涙)やだ、もう~!」

落合さん「三十六計、逃ぐるにしかず……ですわ、皆様!」

宙マン「みんな、こっちだ、早く安全なところへ!」

触覚にあたる箇所からレーザービームを発射し、地上のものを悉く

なぎ払うように破壊していくスカベンジャーD3。

だが、そんな鉄獣メカの猛威を阻むべく……

千歳基地から、最新鋭戦闘機の編隊が緊急スクランブルをかけた!

 

落合さん「(表情が輝き)ああっ、あれは!」

ながもん「おおっ……ナイス、タイミング」

ビーコン「航空防衛隊のダンナ方、頼んだっスよ~!」

“ヴィィィィー……ンッッ”


「目標を確認。全機、怪ロボットに対して攻撃開始!」

スカベンジャーD3めがけて、戦闘機隊の攻撃開始!

機関砲の攻撃が雨あられのごとく、鉄獣メカへと次々に叩きこまれていく。

……が、スカベンジャーD3の進行速度は一向に落ちず、傷つくこともない。

 

バルタン星人Jr「フォッフォッ……小うるさいカトンボどもが!」

「う、うわーっ!?」

スカベンジャーD3、レーザービームによる空中掃射!

正確無比の一閃で、一機、また一機と墜落させられていく戦闘機隊。

バルタン星人Jr「フォッフォッフォッ……見たか、この僕の偉大な科学力を!

 このスカベンジャーD3の力には、宇宙の誰も勝てやしないのさ。

 ……ああ、宙マン、たとえお前が相手だろうとな!」

爆発! 炎上!

炎の地獄と化した千歳市内を、傍若無人に突き進む鉄獣メカ。

まさしく悪鬼、機械仕掛けの悪魔そのものだ!

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ビーコン「どひ~っ、あんなコト言ってるっスよ、アイツ!」

落合さん「悔しいですけど……

 地球人の力では、とても歯が立つ相手ではございませんわっ」

ピグモン「はわわわ、宙マン、何とかしてなの~」

宙マン「おのれ、もう許さんぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!

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閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。

華麗な空中回転とともに、スカベンジャーD3の前に舞い降りる!

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宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上! 

 バルタンJr、危ないおもちゃ遊びはその辺にしておくがいい!」

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ズ、ズーンっ!!

バルタン星人Jr「フォッフォッフォッ……出たな宙マン、待ってたぞ。

 この僕とスカベンジャーD3が、地獄へ叩き落としてやる!」

宙マン「それはどうかな――さぁ、来いっ!」

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ファイティングポーズで敢然と身構える宙マン。

さぁ、またまた世紀のビッグファイトの幕開けだ。

巨体に似合わぬ敏捷さで……

宙マンめがけ、猛然と襲い掛かるスカベンジャーD3!

巨大ヒーローと鉄獣メカの凄絶なる死闘。

ロボットならではの重装甲とパワー、そして疲れを知らないタフネスさ。

バルタン星人Jrの頭脳と技術力とが惜しみなく注ぎこまれた「最高傑作」と

彼自身が豪語するだけあり、宙マンも苦戦は必至である。

それでも果敢に接近し、パンチ・チョップの連打を浴びせかける宙マン。


だが、鉄獣メカの重装甲はそれらの攻撃にも全くビクともせず……

宙マンを上回る怪力で、逆にヒーローを押し返してしまったではないか。

バルタン星人Jr「フォッフォッフォッ……

 不甲斐ないぞ宙マン、お前の力はその程度かァ!」

宙マン「なめるな! 宙マン・エクシードフラッシュだ!」

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全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線。

エクシードフラッシュの一閃が、スカベンジャーD3を見事に直撃……

……したかと、思いきや!?

みくるん「(目を疑う)あ……あれはっ!」

ながもん「(息を呑み)……光波、バリヤー……!」

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あらゆる光波・熱線を跳ね返してしまうエネルギーの膜。

バルタン星人のお家芸とも言える「光波バリヤー」は、半ば当然のごとく

このスカベンジャーD3にもしっかりと装備されていたのであった。

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バルタン星人Jr「フォッフォッ……

 どうだどうだ、ボクの最高傑作は凄いだろう!?

 ……だけど驚くのはまだ早いぞ、こんな武器だってあるんだからな!」

宙マンめがけて吹き付けられる、スカベンジャーD3の蟻酸ガス!

その溶解作用が、宙マンのスーパーボディをも容赦なく責め苛んだ処へ

間髪いれず、鉄獣メカのレーザービームが迸った!

「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」

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強し、スカベンジャーD3!

恐るべし、バルタン星人Jrの執念!

よもや宙マン、ここで一敗地に塗れるか!?