早や2月も下旬、もうすぐ3月……
とは言うものの、まだまだ寒さの厳しい北海道千歳市。
小春日和とも言うべき暖かさにまどろみ、つい油断をしていると
翌日にはまた凄まじい寒波とともに、大雪が降ったりするから
まったくもって侮りがたい北国のお天気なのである。
そんな中、今回も幕を開ける『宙マン』のお話。
寒い、本当に寒い……北海道千歳市から物語を始めよう。
と、まぁ、前置きはそのくらいにして。
こちら、毎度お馴染み千歳市ほんわか町5丁目……
「宙マンハウス」のリビングでは、暖房が効いてぬくぬくの中
気の置けないご近所さん同士が、楽しく談笑中なのであった。
みくるん「……と、まぁ、そう言うわけでですねー」
みくるん「虎杖浜の親戚が、うちに贈ってくれたタラコですぅ!」
ながもん「(ボソッと)宙マンたちにも……お裾分け」
宙マン「おおっ、これは……素晴らしいなぁ!」
落合さん「さすがに産地のものだけあって、新鮮そのものですわね!」
ビーコン「舌よりもまず、目が嬉しがっちまうっスよ!」
ピグモン「はうはう~、とっても美味しそうなの~♪」
宙マン「みくるんちゃん、ながもんちゃん、いつも有難うね!」
みくるん「いえ、そんなぁ……。
宙マンさんとファミリーの皆さんは、大事なご近所さんですし
これくらい当然ですよぉ!」
ながもん「これからも……よろ」
宙マン「ああ、勿論だよ、こちらこそ!」
ピグモン「はうはう~、ずっとなかよしなの~♪」
ビーコン「やー、しかし虎杖浜っスかぁ。
そのうち雪が溶けたら、また行ってみたいっスね!」
落合さん「えぇ、ビーコンさんには珍しいナイス提案ですわね。
産地で頂く産地の物は、やはり格別ですもの」
ビーコン「チチチ、それもいいんスけどねぇ……」
ビーコン「やっぱ海って言えば水着っしょ、水着ギャル!
オイラのカメラアイで、隅から隅まで……
舐めまわすようにじっくり鑑賞して、目の保養っス。
……ああ、出来ればホントにペロペロ舐め回す方向でも……」
げ し っ !
ビーコン「ハンニャラ、ヒ~っ……」
落合さん「ああ、もう、前言撤回っ!
所詮ビーコンさんは、どこまでもビーコンさんでしたわねぇ」
などと、そんな他愛無いやり取りも平和の象徴……
穏やかな日常を彩る、楽しいアクセントのひとつではある。
が、そんなひとときの平穏を破るかのように――!
突如として、天空の彼方から……
耳をつんざく飛来音とともに、轟然と飛来してきた赤い光球。
すわ何事と家から飛び出した宙マンたちの眼前で加速度を増し、
遂に、地上めがけて勢いよく激突した!
ズゴゴゴグワーンっ!
「ヒュクククク……!!」
みくるん「ああっ、またまた怪獣ですぅ!」
ピグモン「はわわ、今日も怪獣軍団なの~!?(涙目)」
ながもん「多分、そう見て……間違い……なさげ」
ビーコン「こんな現れ方するの、アイツらぐらいのもんっスよ!」
左様、全くもってその通り!
赤い煙の中から、空中にふわりと浮かび上がった異形の巨体。
それは、アンドロポフ星系から飛来した宇宙細菌に感染した
サカサクラゲがマキシマの超微粒子を浴びて突然変異した
わかったような、わからないような出自の大怪獣。
「ヒュククク、その名も人呼んで……奇獣・デスモン様だぁ!」
落合さん「はぁ、これは大変ご丁寧な自己紹介、痛み入ります」
ビーコン「だーっ、感謝してどうすんスか!?」
落合さん「メイドとしての性で、つい……(赤面)」
デスモン「ヒュクククク……
そんな呑気にしていられるのも、今のうちだけだぜ。
何しろ今から、この俺がやらかそうってのは……」
落合さん「どうせまた、ろくでもない事なんでしょう?」
デスモン「ヒュククク、だ~い正解っ!
説明を省けて助かったことだし、テキパキ進めようかね!」
みくるん「あ~ん、全然嬉しくないですぅ!(涙目)」
宙マン「……うぬっ!」
イフ「わははは! さぁやれ、やるのだデスモン!
言い訳はいらん、ただお前の威力をワシの眼前に示せ!」
デスモン「ヒュクク~、まァ見てて下さいな、魔王様!」
空中を浮遊しながら、悠然と移動を開始するデスモン!
その巨体を前に、悲鳴をあげて逃げまどう人々。
ビーコン「どひ~っ、虎杖浜のタラコは嬉しいスけど……」
落合さん「厄介ですわよねぇ、こういう「空の贈り物」!」
みくるん「はわわ、早く逃げなきゃですよぉ、早く~!(汗)」
奇獣デスモンの出現で、早くも街は大混乱!
怪獣軍団の暴虐、許すまじ!
千歳の平和を守るべく、航空防衛隊が直ちに出撃した。
ビーコン「おおっ、航空防衛隊が来てくれたっス!」
落合さん「毎度毎度、本当にタイミングは絶妙で!」
ピグモン「はうはう~、おじさんたち、がんばってなの~!」
「ようし……全機、一斉攻撃開始っ!」
奇獣めがけて、一斉に叩きこまれるロケット弾!
だが、その相次ぐ直撃を受けてもなお……
それをせせら笑うように、悠然と浮遊を続けているデスモン。
デスモン「ヒュククク、そろそろお返しといこうか!」
「……ど、どわぁぁぁ~っ!?」
デスモンの放つ赤い怪光線を受け、次々に撃墜されていく戦闘機。
みくるん「ああっ、やられちゃったぁ!」
ながもん「見た目に、似合わず……なかなか、やる」
ピグモン「はわわ、ホメてる場合じゃないと思うの~(汗)」
爆発! 炎上!
デスモンの怪光線攻撃で、炎に包まれていく千歳の街!
デスモン「ヒュククク……
この調子なら、千歳制圧なんて簡単なもんだぜ!」
ビーコン「どひ~っ、すっかり調子に乗ってるっス!」
ながもん「でも、このままじゃ……そう、なりかねない」
ピグモン「宙マン、宙マン、何とかしてなの~」
宙マン「(頷き)おのれ、もう許さんぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、暴れ回るデスモンの前へと舞い降りる!
宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上!
奇獣デスモン、お前の思い通りにはさせないぞ!」
ズ、ズーンっ!!
ながもん「おおっ……宙マンの、十八番」
ビーコン「こうなりゃもう、アニキだけが頼りっス!」
みくるん「頑張って下さい、宙マンさ~んっ!」
デスモン「ヒュククク……お前が噂の宙マンか!」
宙マン「ああ、怪獣退治が割と得意な、何の変哲もない千歳市民さ!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マンーー
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ!
デスモン「お前を倒して、このデスモンの名を上げてやる!」
宙マン「おおっと、そう上手くはいかないと思うよ!?」
真っ向激突、宙マン対デスモン!
落合さんたちが見守る中、両者の死闘が展開される。
空中浮遊と言う自らの特性を活かし、右に、左に飛び回るという
軌道の不規則性で宙マンを翻弄するデスモン。
デスモン「ヒュククク……そうら、そうら!」
宙マン「なんの、そう易々と惑わされるか!」
宙マンのストレートキックが唸りを上げる!
空中に浮かんだデスモンめがけ、見事に炸裂したぞ。
宙マン「どうだデスモン、正義の技の冴え、思い知ったか!」
デスモン「ヒュククク……大口を叩くな、宙マン!」
デスモン、光線発射!
その恐るべき一閃を、得意の回転戦法で回避していく宙マン。
デスモン「ヒュククク、ちょこざいな真似を……
そうら、死ね! 死ね! 宙マン、お前はここで死ぬんだ!」
ズガーン! グワーンっ!
みくるん「ああっ、宙マンさん!?」
落合さん「な、なんて凄まじい連射なんでしょう!?」
ビーコン「一発でも命中したら、いくらアニキでも……」
ピグモン「はわわ、宙マンは大丈夫なの~!?」
宙マン「大丈夫だとも、心配ご無用!
デリャアァーッ! 宙マン・ショット!」
気合とともに、不可視の破壊衝撃波を放つ宙マン!
炸裂一発、デスモンの動きが止まったところへ――
宙マン「とどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、デスモンを直撃!!
デスモン「……う、噂以上のこの強さぁぁ~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
みくるん「わぁっ、やりましたぁ、宙マンさんの勝ちですぅ!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、かっこよかったの~♪」
ながもん「……グッジョヴ」
イフ「うぐぐぐっ……またしても、またしても宙マンめが!
いいか、この仕返しは必ずしてやるからな――
次こそ必ず、お前をギャフンと言わせてやる!!」
……などと言う、怪獣魔王の負け惜しみはさて置いて。
かくして宙マンの活躍により、恐怖の奇獣デスモンは撃退され
千歳市はまたも壊滅の危機を免れたのであった。
みくるん「宙マンさん、どうもお疲れ様でしたぁ!」
ながもん「安心したら……おなか……すいたかも」
宙マン「そんな時にこそ、思いっきり丼メシをかっこみたいねぇ」
ピグモン「あ、だったらタラコがあるの!
みくるんちゃんも、ながもんちゃんも一緒に食べるといいの!」
落合さん「えぇ、それは良いご提案ですわ、ピグモンちゃん!」
ながもん「おお、何と、きれいな……オチの、着地点」
みくるん「うふふっ、有難く頂きますね~」
ビーコン「ヒヒヒ、そんでもって……
海の物を味わって、身も心もおさかな気分になったオイラは
今度は「女体」と言う名の海を華麗に泳ぎ回り……」
落合さん「(ジト目)……はぁ?」
ビーコン「ウッシッシッ、は? じゃないスよ、落合さん!
いいからいいから、早くぱんつを脱いで……」
げ し っ !
落合さん「ねーいっ、お調子に乗り過ぎですっ!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、タラコってより明太子な激辛ぶりっスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
寒さに負けず、元気いっぱい……
千歳のヒーロー・我らが宙マン、明日も行く!
さァて、次回はどんな活躍を見せてくれるかな?