遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

魔の山めがけてぶちかませ! の巻

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210502103843j:plain

寒く、厳しいのは、もはや毎度のことである北海道の冬。

降り積もり、永遠にその場所にありつづけるかのようにも見えた雪の壁も

3月も半ばに差し掛かると、目に見えて急速に溶け去りつつあった。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210904232305j:plain

そう、暦の上だけのことではなく……

北のさいはての地も、ようやく名実ともに春を迎えることとなったのだ。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210904232322j:plain

そんなわけで、ここ・千歳市ほんわか町5丁目にある「宙マンハウス」もまた

何時にも増して、のんびり、ゆったりな空気に包まれていた。

 

 

 

だが、その一方で……

航空防衛隊・千歳基地の動きは、俄かに不穏な慌ただしさを見せていた。

爆音を響かせ、編隊を組んで、次々に飛び立っていくジェット戦闘機。

その勇壮な飛行っぷりは、「宙マンハウス」の庭先でも容易に見てとれた。

ピグモン「あっ、防衛隊のヒコーキなの!」

ビーコン「訓練飛行っスねぇ、やってるやってるっス!」

落合さん「でも……それにしては、しょうしょう仰々し過ぎませんかしら?」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210429165645j:plain

宙マン「うん、それは私もそう感じたよ。

 何て言うのかな……殺気がこもってる、って言ったらいいかな?」

ビーコン「殺気……つーことは、今感じても、さっき!?」

落合さん「(ジト目)おバカなこと仰ってるんじゃありません、ビーコンさん。

 それはさておき……ではまた、どこかに怪獣出現の気配が!?」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210904232712j:plain

宙マン「かもしれないね。

 ……気になるんで様子を見て来る、夕飯までには戻るよ!」

ビーコン「おりょりょ、唐突っスね、アニキ!」

落合さん「お気をつけて行ってらっしゃいませ、お殿様!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210904233004j:plain

穏やかな春風の中、全速力の宙マン・ダッシュ

自動車をも上回るスピードで駆け抜け、戦闘機隊の向かっていった方角へと

疾風のように突っ走っていく我らがヒーロー。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210904232938j:plain

そして、そんな宙マンの向かった先……

千歳市郊外の山中で、今まさに怪獣軍団の悪企みが始まろうとしていた。

 

そう、「悪い予感」はまさに的中したのであった!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426122119j:plain

イフ「さぁ、今こそ立ち上がれ、怪獣軍団の勇猛なる戦士よ!

 北海道を最初の足掛かりに、地球を征服する時は今ぞ!

 行け! 行け、行けーいッ、宇宙凶険怪獣ケルビムよ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426124850j:plain

ゴゴゴゴ……グラグラグラグラっ!

 

怪獣魔王の不気味な声が響き渡るとともに……

山奥の原野に、時ならぬ局地地震が沸き起こる。

大地を引き裂き、煙を吹き上げ、地中から巨大な姿を現したのは!?

「グァウウウ~ッ!!」

イフ「おおっ、元気いっぱいではないかケルビム、実に良いぞ!

 早速だが、今、お前が成すべきことは……」

ケルビム「グァウウ~、判っておりますともさ、魔王様!

  このケルビム様の力で、今度こそ千歳の街を瓦礫の山に――」

 

おおっと待った、そうはさせないぞ!

ケルビム「(驚き)グァウッ、だ、誰だ!?」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426145936j:plain

不意に響いてきた凛たる声に、慌てて振り返るケルビム。

体操選手顔負けの空中回転とともに現れたのは……

勿論この男・宙マンだ!

ケルビム「ちゅ、宙マン、どうしてここに!?」

宙マン「胸騒ぎがして来てみたら……案の定、またまた怪獣軍団か!」

宙マン「いい加減に懲りて、大人しく暗黒星雲に帰ったらどうなんだね。

(ボソッと)……どうせ、今回もまた失敗する悪企みなんだし!」

ケルビム「グガァーッ、こいつムカつく! 「どうせ」とか言いやがったぞ!?」

ケルビム「そうまで言われちゃ、俺様も黙って退くわけにはいかねェんだよ。

 オラ、さっさと巨大化しやがれ、ケルビム様と勝負しろィッ!」

宙マン「ああ、いいだろう、受けてやる!

 宙マン・ファイト・ゴー!!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426232617j:plain

閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。

さぁ、今日もまた正義の味方のお出ましだ!

ケルビム「グガァーッ、出たな! ギッタギタにしてやるぜ!」

宙マン「なんの、今日もまた返り討ちだ――

 夕飯までには帰る約束だからね、そう悠長にもしてられないんだよ」

ケルビム「ナメてるな? ナメてんな、この野郎っ!?」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426151041j:plain

ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――

さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ!

真っ向激突、宙マン対ケルビム!

北海道の原野を舞台に、巨大な両者の攻防戦が凄絶なる火花を散らせる。

持ち前の獣性を全開に、荒々しく宙マンに迫ってくるのはケルビム。

その牙を、爪をかいくぐりながら、宙マンは務めて冷静さを保ちつつ

相手の隙を伺い、果敢に敵の懐へと飛びこんでいく。

ケルビム「グァウウウ~、どうよ宙マン! 

 これでもまだ、さっきみてェな軽口が叩けるか!?」

宙マン「いいや、まだまだ……その程度で倒れる私じゃない!」

ケルビム「(ムカッときて)……野郎っ!!」

鋭い舌鋒でケルビムを挑発し、相手を怒らせる――

そこに生じた隙を突くことこそ、もとより宙マンの狙いなのだ。

猛然と怪獣めがけて躍りかかり、反撃へと転じる宙マン。

だが――そうやすやすと叩きのめされるようなケルビムではなかった!

ブァウンっ!

 

破壊的な威力を秘めた、ケルビムの“超音速クラッシャーテイル”が唸る!

星球状の物騒なコブが、二度、三度と宙マンを叩きのめし……

ついに、全身に受けたダメージで地面に倒れこんでしまうヒーロー。

宙マン「う、うわぁぁぁぁ……ッ!」

ケルビム「グァウウウ~、どんなもんだィ宙マン!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211202133933j:plain

スライ「ほほう……なかなかやりますねェ、ケルビム君!」

ジャタール「今度こそは……期待してよさげな感じ、ですかねぇ!?」

イフ「よしよし、その調子だケルビム! 

 今度こそお前のその力で、恨み重なる宙マンにとどめを刺すのだ!」

宙マン「(苦悶)うう……う、ううっ!」

ケルビム「グァウウウ~、お前のドタマ、かち割ってやるぜ!」

とどめの一撃を、宙マンめがけて叩きつけんと迫るケルビム。

だが、そんな危機切迫の中でこそ……

我らがヒーローの闘魂もまた、メラメラ燃え盛る!

「なんの……負けて、たまるかっ!

空間そのものを湾曲させて形成する防御壁、宙マン・プロテクション!

“超音速クラッシャーテイル”の一撃を、見事に無力化してみせる。

 

ケルビム「グァウウウ~、野郎っ、味な真似を!」

ケルビムの口から、断続的に吐き出される“弾道エクスクルーシブスピット”。

だが宙マンは、三千度の火球攻撃をひらりとかわして大空へ!

ケルビム「ぐ、グァウウウっ!?」

 

宙マン「正義の刃、受けてみろ!

 秘剣・スーパー滝落とし!!

ザシュウッ!!

スーパー剣を抜き放ち、刀身にエネルギーを集中させ……

豪快な空中回転とともに、真っ向から振り降ろされる光の刃!

宙マンの「滝落とし」が、大怪獣ケルビムを唐竹割りに切り裂いた。

ケルビム「グァウウウ~、ムカつくほどに……強すぎるぅぅ~っ!」

やったぞ宙マン、大勝利!

ジャタール「ああっ、ケルビムが!」

グロッケン「惜しかった、あと一歩のところだったのによォ!」

イフ「ぐぬぬ……おのれ宙マン、次はないぞ! 覚えておれ~っ!!」

 

……などと言う、怪獣軍団の負け惜しみはさて置いて。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211119103924j:plain

かくして、我らが宙マンの活躍によって、山奥に出現したケルビムは

その野望もろとも粉砕され、千歳襲撃は未然に防がれたのであった。

 

そして、ケルビムとの戦いを終えた宙マンの前に姿を見せたのは……。

「あれれっ、誰かと思ったら宙マンさんじゃないですか。……

 ……この近辺に怪獣反応があったので出動したんですが、お怪我は!?」

宙マン「ご心配なく、怪獣ならもう私がやっつけてしまいましたよ。

 お仕事、いつもお疲れ様です!」

「(苦笑)たはは……ご丁寧に、痛み入ります!」

航路を変更し、そのまま千歳基地へと帰還していく戦闘機隊。

遠ざかるそれらのシルエットを、静かに見送りながら――

宙マン「よしっ、私も帰ろう。

 ……ふふ、今夜のおかずは何だろうなぁ~!」

 

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211119105108j:plain

瑞々しい生命の萌え出ずる季節……

だからって、悪い怪獣はご勘弁。

頼むぞ宙マン、さァて次回の活躍は!?