ポカポカの陽気、気持ちよく晴れ渡った青空。
日本全国津々浦々を、春の薫風が爽やかに駆け抜けて行く――
それは、列島の最北端に位置するここ・北海道においても
幸いにして例外ではない。
今回の『宙マン』は、そんな三月の太陽に優しく暖められた
千歳市の中心部から物語を始めることにしよう。
ピグモン「はうはう~、今日はとってもあったかなの~♪」
落合さん「えぇ、こんな風にお天気がいいと……
それだけで気持ちが弾んできますわね!」
ビーコン「ヒヒヒ、全くっスよねぇ~。
オイラ秘蔵のつくしん棒も、春風に誘われてにょっきり!
あ、この場合の「つくしん棒」が何の比喩かっつーと……」
落合さん「だーっ、そんな説明いりませんからっ!(赤面)」
宙マン「はっはっはっ……まぁまぁ、二人とも♪」
みくるん「うふふふっ、ほ~んと、毎日おだやかでいいですよねぇ」
ながもん「なべて、世は……こともなし」
宙マン「あぁ、全く全く!」
宙マン「こんな日が、ずっと続いてくれれば言うことなしなんだけど……」
落合さん「(苦笑)……なかなか、そうも行かないのでしょうね~」
ビーコン「だーっ、アニキも落合さんも、ダウトダウトっ!
そんな話をしてたら、とたんにまた、事件とかが……」
落合さん「またまた、ビーコンさんったら。
フラグがどうとか、そう言うことを仰りたいんでしょ?」
ビーコン「な~んだ、判ってるじゃないっスか!」
落合さん「(ふっと鼻で笑って)そんな発想……
いかにもゲームのし過ぎ、アニメの見過ぎですわよっ。
世の中そうそう、大きな騒ぎなんて起ころうはずも……」
……と、その時である!
ズゴゴゴグワーンっ!
落合さん「(思わず目がテン)……あ、あらっ?」
ビーコン「ど、ど、どっひぃぃ~っ!(汗)」
おお、何と言うことであろう!?
街のあちこちに爆発が生じ、平和な光景がたちまち大混乱!
ビーコン「ほ~ら、ほ~ら、言わんこっちゃないっス!」
落合さん「……ちょっ、私のせいじゃないでしょうに!?(汗)」
みくるん「はわわ、口喧嘩してる場合じゃないです~!(涙目)」
ながもん「おお……それに、つけても……一大事」
ピグモン「どうして、どうして、こんなことになっちゃったの~?」
宙マン「……むむっ!」
次々と追突し、横転する自動車!
そのたびに、派手に吹き上がって街を呑みこんでいく火柱!
今や千歳の街は、戦場そのものと言ってよかった――
そして、その混乱に更なる拍車をかけるがごとく!
ながもん「(空を見上げて)……おおっ」
宙マン「えっ?」
ビーコン「どうしたっスか、ながもんちゃん!?」
ながもん「…………(無言で、空の一方を指し)」
おお、見よ! 驚愕せよ!
ながもんの指差した大空の彼方……千歳市の上空に忽然と現れた
地球外の超科学の産物、巨大なる未確認飛行物体を!
ピグモン「は、はわわ……空飛ぶ円盤なの~!」
落合さん「と言う事は、あれには宇宙人さんが乗っていらして……」
ビーコン「(頷き)でもって、今度の黒幕に決まってるっス!」
宙マン「ううむっ……いったい、何物なんだ!?」
「ヒャハハハ、それは勿論この私……
アルファケンタウリ第13番惑星に住む、ペガ星人デ~ス!」
みくるん「ぺっ、ペガ星人さん……ですかぁ!?」
ながもん「(頷き)別名……催眠、宇宙人」
ペガ星人「ヒャハハハ、我々ペガ星人からの……
いいえ、暗黒星雲の支配者・怪獣魔王イフ様からのご挨拶。
気に入ってもらえましたデスかぁ~?」」
宙マン「そうか、今度もやっぱり怪獣軍団の……!」
そう、まさしくその通り!
怪獣軍団の支配者・怪獣魔王イフの命を受け……
空飛ぶ円盤に乗り、はるばる地球へやって来た侵略者。
それが、このペガ星人だったのである。
落合さん「えぇ、どうせそんな事だろうと思ってましたわ!」
落合さん「それにしても、貴方……」
ビーコン「随分とまた、ド派手にやってくれたっスねぇ!」
ペガ星人「ヒャハハハ! 素晴らしいでしょ、素敵でしょ?
我々の催眠光線にかかれば、ざっとこんなもんデス!」
宙マン「催眠……光線だって!?」
ペガ星人「ヒャハハハ、いかにも。つまりデスね――」
……と、ペガ星人が説明モードに入りかけたとき。
轟音とともに、飛んできたのは最新鋭戦闘機!
市民からの通報を受け、航空防衛隊が直ちに出撃したのだ。
ながもん「おおっ。……あれは」
ビーコン「いえっふ~、頼んだっスよ、航空防衛隊~!」
落合さん「応援してますわ~、頑張って下さいませ!」
「宇宙人め、これ以上好き勝手にはさせないぞ――
ようし、攻撃開始だ! 徹底的にぶちかませ!」
ペガ星人「ヒャハハハ、ちょうどよかった、論より証拠。
我が催眠光線の威力、とくとご覧あれデス!」
ペガ円盤から放たれる光の渦……
それは、あらゆる生命体の自由を奪う恐怖の催眠光線だ。
その威力たるや――
「わぁぁぁっ……ど、どうなってるんだぁっ!?
腕が、腕が勝手に動いて……!(汗)」
そう、パイロットたちの意思とは全く無関係に……
彼らの体が勝手に動いて、地上への攻撃を開始したではないか!
ズガーン! グワーンっ!
落合さん「……あらあら、まぁまぁ、何てことでしょう!?」
ピグモン「きゃああん、おっかないの~!(涙目)」
ビーコン「どひ~っ、タンマタンマ、それ無しっスよぉ!?(汗)」
みくるん「(ハッとして)さっきの事故も、もしかしたら……」
ながもん「(頷き)間違いなく……あの、光線の……せい」
宙マン「そうだったのか……くそっ、ペガ星人め!」
……などと言っている間にも。
ペガ星人の催眠光線で体の自由を奪われ、意のままに操られ……
侵略者の尖兵と化して、地上攻撃を繰り返す戦闘機隊。
ビーコン「どひ~っ、えらいこっちゃ、えらいこっちゃっス~!」
落合さん「あぁもう、せっかく平和を満喫中でしたのに!」
ペガ星人「ヒャハハハ! せいぜいボヤくがいいです、愚かな地球人たちよ。
我々ペガ星人の勝利、ペガ星の科学の勝利デースっ!」
爆発! 炎上!
防衛隊のロケット弾で、千歳の街は紅蓮の火炎地獄と化していた!
みくるん「ふぇぇん、早く何とかして、防衛隊を止めないと……」
ながもん「それが、できるのは……あなただけ」
宙マン「(頷き)ようし、やるとも! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、ペガ円盤の前へと舞い降りる!
宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上!
これ以上の悪辣な振る舞いは、私が許さんぞ!」
ズ、ズーンっ!!
「だ、ダメだぁっ、手が……指が言う事きか~んっ!」
ズガガガガガッ!
ロケット弾の炸裂に、大きくよろめく宙マンの巨体!
みくるん「ああっ、宙マンさん!」
ビーコン「同士討ちなんて、趣味悪すぎっス!(汗)」
落合さん「どうすれば……一体、どうしたら……!?」
宙マン「やむを得ん……申し訳ないが、正義のためだ!」
サッと腕をL字に組み、エクシードフラッシュを発射する宙マン。
虹色の一閃が、上空の戦闘機を直撃!
「う、うわぁぁぁぁっ……!?」
宙マン得意の必殺光線、狙いは百発百中。
一機、また一機、エクシードフラッシュで撃ち落とされていく戦闘機。
落合さん「……場合が場合です、これもやむを得ませんわ」
ビーコン「しっかしアニキ、随分また強引な……!」
宙マン「なぁに、パイロットのことなら大丈夫……
例によって峰 打 ちさ!」
ビーコン「……もう、いちいちツッコまないっスよ!?(汗)」
そう、無粋なツッコミなど入れている場合ではない――
今、それほどに事態は緊急を要しているのだから!
ペガ星人「おのーれッ、宙マン、小癪なヤツめ!
あくまで、この私の邪魔をするつもりデスかぁ!?」
宙マン「(頷き)でなけりゃ、巨大化なんてするものかね!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ!
ペガ星人「ムキーッ、潰す! 潰れろデス、宙マン!」
宙マン「さぁ来いっ、ペガ星人!」
真っ向激突、宙マン対ペガ円盤!
落合さんたちが見守る中、迫り来るペガ円盤に一撃加えんものと
果敢に接近戦を挑み、掴みかかっていく宙マンである。
だが、ペガ星人の科学力の結晶たる円盤も一筋縄ではいかない。
宙マンの接近戦を臆することなく受けて立ち、ジグザグ飛行や
体当たり攻撃などでヒーローを翻弄する。
宙マン「……くッ!」
ペガ円盤の思わぬ勝負強さに、ずずっと後退する宙マンの巨体。
両者の間合いが、再び大きく開いたところへ――
ペガ星人「ヒャハハハハ! なかなかやるデスね、宙マン――
だが、お遊びはここまでデス!」
ペガ円盤から放たれる催眠光線!
光の渦が宙マンの全身に作用して、体の力を奪っていく。
宙マン「いかんっ、手足が痺れる……目が痛いっ……!」
ペガ星人「ヒャハハハ、この勝負いただきデスっ!」
催眠光線で、宙マンの動きが鈍ったその隙を逃さず……
ペガ円盤から地上めがけて、今度は破壊光線が放たれた!
グワーン! ズガガガガーンっ!
「う、うわぁぁぁぁ……っ!」
ピグモン「はわわわ……ちゅ、宙マンっ!?」
ながもん「敵ながら……見事な……連続、攻撃」
みくるん「って、感心してる場合じゃないよぉ、ながもん!(汗)」
ビーコン「あの光線、次にまともに食らった日にゃあ……」
落合さん「いかに、百戦錬磨のお殿様であっても……!」
イフ「わはは! 惚れ惚れする連続攻撃、さすがだぞペガ星人!
そのまま勢いに乗って、宙マンにとどめを刺すのだ!」
ペガ星人「もとよりそのつもりデス、魔王様!」
宙マン「(苦悶)う、うう……っ!」
ペガ星人「ヒャハハハ、宙マン! 今日がお前の命日デースっ!」
「なんの、やられてたまるか……!
怒れ稲妻! 宙マン・ボルトサンダー!」
ピカッ、ゴロゴロドドーンっ!
宙マンの気合とともに、念動力で発生させる正義の稲妻!
まばゆい閃光とともに、ペガ円盤を直撃したボルトサンダーが
円盤のメカニズム内を猛然と駆け巡り、機能を麻痺させ――
ペガ星人「(狼狽)う、うぉぉぉぉぉっ!?」
ペガ円盤の制御装置に狂いが生じた隙を逃さず……
今、宙マンは伝説のスーパー剣を抜き放った!
宙マン「正義の刃、受けてみろ!
秘剣・スーパー旋空斬り!!」
シュバァァァッ!
スーパー剣を大きく振るい……
刀身に蓄積したエネルギーを、鋭い光刃に変えて放つ大技!
宙マンの「旋空斬り」が、ペガ円盤を横一文字に切り裂いた。
ペガ星人「あぎゃあぁぁっ、こ、これは痛烈ぅぅ……
……ちゅ、宙マンめ、覚えてろデスぅぅ~っ!」
炎に包まれ墜落し、大音響とともに砕け散るペガ円盤。
やったぞ宙マン、大勝利!
みくるん「わぁっ、やりました、宙マンさんの勝ちですぅ!」
ながもん「やっぱり、ヒーローは……こうじゃ、ないと」
ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~♪」
イフ「う、うぐぐぐっ……おのれおのれ、おのれっ!
恨み重なる宙マンめ、またしてもワシらの邪魔立てを!
今に見ておれ、この仕返しは必ずしてやるぞ!!」
……などと言う、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。
かくして宙マンの活躍により、ペガ星人は円盤もろとも退けられ……
千歳の街に、再び平和が蘇ったのであった。
落合さん「お殿様、今日も本当にお疲れ様でした!」
ビーコン「や~、一時はどうなることかと思ったっスけどねぇ」
ながもん「ハラハラ、ドキドキ……おまけに……ヒヤヒヤ」
みくるん「でも、無事に事件が解決してよかったですぅ」
ビーコン「っスね~、おかげでまた存分に平和の尊さを……
……お、おろろろっ?」
落合さん「あらビーコンさん、急にどうなさいましたの?」
ビーコン「ヒヒヒ、さっきの催眠光線の影響で、体が勝手に……
あ~、オイラの心とは裏腹に……
落合さんの胸へと手が伸びて、そして揉みしだき……!」
げ し っ !
落合さん「ねーい、その手に乗るものですかっ!(怒)」
ビーコン「ひょえ~っ、催眠も一発で解けそなパンチっスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
今日も本当にありがとう、宙マン!
次回は、どんな冒険が待っているのかな?