遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

魚が出てきた日の巻

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210502103843j:plain

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211171229j:plain

木々の草も生い茂り、溢れんばかりの生命力を滾らせるこの季節――

北海道は今や、生命の輝く初夏であった。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426221322j:plain

そんな大前提のもと、今回の『宙マン』もまた、毎度おなじみの舞台である

千歳市ほんわか町5丁目の「宙マンハウス」からその幕を開ける。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210730120542j:plain

宙マン「ふぅ~、さっぱり、さっぱり!

 庭仕事で一汗かいた後のシャワーは、格別の気持ちよさだねぇ」

 

 

ピグモン「はうはう~、宙マン、お疲れ様なの~」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210730120642j:plain

ビーコン「ヒヒヒ、毎日毎日ご精が出るっスね~、アニキ。

 オイラ、思わず感心しちまうっスよ~」

落合さん「(ジト目)感心するのは結構なんですけどね。

 ビーコンさんも、少しはお殿様を手伝われてはいかがです?」

ビーコン「いやいや~、オイラは風のような自由人っスから☆」

落合さん「(呆れて)……これですものねぇ!」

宙マン「はっはっはっはっ」

 

そんなこんなの軽口も含めて、いつも通りの平和な団欒。

と、そこへ――

 

 「おお~い、宙マンさん、宙マンさ~んっ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210428214024j:plain

落合さん「あら、熊澤様ではございませんの!」

宙マン「こんにちは、今日もまたいい日和で!」

ビーコン「ヒヒヒ、もしかして初夏の山菜、お裾分けっスか?」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211172056j:plain

熊澤さん「や、そうするつもりだったけどねぇ。

 でも、でもでも、今日はそれどころじゃないんだよ――!」」
宙マン「(察して)……山の中で、何かありましたか!?」

熊澤さん「……(こくこくっと頷き)」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210717114420j:plain

落合さんの淹れた紅茶を飲んで、ひと心地ついた熊澤さん曰く……

フキや蕨、筍などと言った山菜類を求め、勝手知ったる山の中へ

足を踏み入れたところ、不意に立ち込めてきた濃い霧に混じって

不気味に生臭い、魚の臭いが濃密に漂ってきたのだ、と言う。

 

落合さん「はぁ、魚の臭い……ですか」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210428230858j:plain

宙マン「海辺ならともかく、千歳の山の中で魚の臭いとは……」

熊澤さん「ねっねっ、変でしょ、奇妙でしょ!?」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210427212336j:plain

ビーコン「……どう思うっスか、落合さん?」

落合さん「そうですわねぇ、俄かには信じがたいですけど……

 普通では考えられないことですもの、魚の臭いなんて」

ビーコン「んじゃ、普通じゃない出来事だとしたら、どうスか?」

落合さん「……普通じゃ、ない?」

ビーコン「(頷き)そうっスね、例えば――」

 

と、その時である!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210427212641j:plain

ゴゴゴゴ……グラグラグラグラっ!

 

ビーコン「おおおっ、これこれ! 正にこんな感じっスよ!!」

落合さん「……って、喜んでる場合ですかっ!(汗)」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210719144928j:plain

突如として千歳市を襲った、激しい局地的地震

大地が揺れ、めきめきと音を立てて道路が割れ裂ける。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211172737j:plain

そして、巨大な水の柱を立ち上げて……
濛々たる蒸気の中から、姿を現わした異形の巨体とは!?

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211172815j:plain

「ピギャアアア~んっ!!」

 

熊澤さん「どわぁぁ~っ! さ、魚だよ、バカでかい魚っ!(汗)」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211172939j:plain

落合さん「魚どころではございません、あれはもう怪獣ですわ!」

ビーコン「そう言えばあの怪獣、確か……」

宙マン「(頷き)ムルチ。……巨大魚怪獣・ムルチだ!」

ピグモン「ピグちゃんも前に、ながもんちゃんの御本で見せてもらったの~」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211173129j:plain

宙マン「そうか、これで腑に落ちたぞ。

 熊澤さんが山で嗅いだ臭いは、ムルチ出現の前兆だったのか!」

落合さん「確かに……そう考えるのが妥当でしょうね」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211173216j:plain

ムルチ「(怪訝そうに)……ピギャアァァ~ッ、あァん?

 俺の臭いがどうかしたってのかぁ、オラぁ?」

宙マン「あぁ、いやいや、何でもないよ!」

熊澤さん「そうそう。こっちの話、こっちの話!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211173417j:plain

宙マン「と言うわけで、ふとした疑問も綺麗に解決したところで……

 今回のお話はこれにて、って事で!」

落合さん「また、次回のお話でお目にかかりましょうね♪」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211173459j:plain

今日も本当にありがとう、宙マン!

さて、次回はどんな活躍を見せて……

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211173523p:plain

「……って、コラ!

 か、勝手に終わらすなやぁぁ~っ!!(汗)」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426130014j:plain

イフ「えぇい、奴らのペースに惑わされるな、ムルチよ!

 連中の疑問が解決しようが、そのまま残ろうが……

 お前の成すべきことはただひとつ、千歳の徹底破壊じゃ!」

ムルチ「ピギャアァァ~ッ、ですよね、そうですよねぇ魔王様!

 えぇもう、張り切って行かせてもらいますともさ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211173727j:plain

怪獣魔王の命を受け、進撃開始するムルチ!

迫り来る巨体を前にして、悲鳴をあげて逃げ惑う人々。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211173858j:plain

ビーコン「どひ~っ、なんつーハタ迷惑な魚っスか!(汗)」

落合さん「全くもう、怪獣軍団の方々はコレだから……!」

ピグモン「はわわ、ボヤいてる場合じゃないの~!(汗)」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211183911j:plain

巨大魚怪獣の暴虐、許すまじ!

千歳の平和を守るべく、航空防衛隊が直ちに出撃した。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211183935j:plain

落合さん「ああ、何て頼もしい真紅の機体でしょう!」

ビーコン「なんつーか、通常の三倍くらい強そうっス!」

ピグモン「はうはう~、防衛隊のおじさんたち、がんばってなの~!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211184002j:plain

「ようし……全機、一斉攻撃開始っ!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211184037j:plain

激しいアタックをかける、真紅の戦闘機隊!

持てる火力の全てが、怒濤のごとくムルチめがけて叩きこまれる。

 

ムルチ「ピギャアァァ~ッ、小うるさい奴らめ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211190505j:plain

大きく裂けた口が、グワッと勢いよく開かれた次の瞬間……

ムルチの口から吐き出された熱線が、戦闘機隊めがけて迸った!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211190528j:plain

「……ど、どわぁぁぁぁ~っ!?」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211161015j:plain

げに恐るべきは、怪獣ムルチの熱線照射!

戦闘機隊は勇戦空しく、一機、また一機と撃墜されていく。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426231846j:plain

熊澤さん「あぁっ、やられちゃったぁ!」

ビーコン「色が赤けりゃ、強いわけでもなかったんスねぇ!?」

落合さん「正直、割と期待はしていたのですけど……(汗)」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211190816j:plain

落合さん「そんなことより、このままでは……」

ビーコン「千歳が、千歳が、大ピンチっス!」

ピグモン「はわわわ……宙マン、何とかしてなの~」

宙マン「(頷き)おのれ、もう許さんぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430202106j:plain

閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。

華麗な空中回転とともに、荒れ狂うムルチの前に舞い降りる!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426145936j:plain

宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上! 

 巨大魚怪獣、悪ふざけはそのくらいにしておくがいい!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426150029j:plain

ズ、ズーンっ!!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210428215906j:plain

ビーコン「いよっしゃ! アニキの十八番が出たっスよ!」

落合さん「ああ、やはり素敵ですわ、お殿様っ!(うっとり)」

熊澤さん「宙マンさん、よろしく頼んだよぉ……!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211191132j:plain

ムルチ「ピギャアァァ~ッ、出たな宙マン!」

宙マン「ああ、本当ならば隠居らしくノンビリしてたいところだが……

 君らのヤンチャのせいで、そうもいかない有様さ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426151041j:plain

全身にみなぎる怒りを力に変え……

ファイティングポーズをとって、敢然と身構える宙マン。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211191257j:plain

ムルチ「ピギャアァァ~ッ、行くぞぉ、宙マン!」

宙マン「聞き分けのない奴め、どこからでも来い!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211191332j:plain

真っ向激突、宙マン対ムルチ!

人々が見守る中、今日もまたまたスーパーバトルの幕が開く。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211191351j:plain

両腕の鰭によるチョップ攻撃と、大きな口の噛み付き殺法。

そこに持ち前の凶暴性が加わった時、巨大魚怪獣ムルチの威力は

怪獣軍団でも屈指の破壊力となって爆発するのだ。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211191412j:plain

だがしかし、力と技ならば宙マンだって負けてはいない。

両者、格闘戦での勝負はほぼ互角!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211191443j:plain

宙マン「ふふん、なかなかやるじゃないか!?」

ムルチ「ピギャアァァ~ッ、こんにゃろ~っ!

 無駄に余裕ぶっこきやがって、超ムカツク~っ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211191518j:plain

バキィィッ!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211191544j:plain

ムルチ、怒りの体当たり!

抑えこみにかかっていた宙マンの巨体を弾き飛ばし、逆に地面めがけて

勢いよく叩きつけてしまう。

 

ムルチ「ピギャアァァ~ッ、まだまだ! どんどんいくぞ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211191621j:plain

ムルチの熱線放射!
宙マンの周囲に凄まじい爆発を生じさせ、そして……!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210604232059j:plain

グワーン! ズガガガガーンっ!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210508155037j:plain

「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」

 

熊澤さん「げげぇっ、ちゅ、宙マンさん!?」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210428224718j:plain

落合さん「いけませんわ、このままではお殿様が……」

ビーコン「どひ~っ、マジでシャレになんねぇ事態っス!(汗)」

ピグモン「はわわわ……宙マン、負けないでなの~!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211204223859j:plain

ジャタール「ひょほほほっ! これは――」

グロッケン「このまま、今度こそはマジでいけるかもしれやせんぜ!

 ねぇっ、魔王様!?」

イフ「いいや、「かも」ではないぞ、いけるのだ!

 さぁ、一気にやってしまえ、ムルチよ!

 怪獣軍団は最強だと、全宇宙に向けて知らしめるのだ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211192325j:plain

宙マン「(苦悶)うう……うっ!」

ムルチ「ピギャアァァ~ッ! 悪く思うなよ、宙マン!

 今日がお前の命日だ、潔く死んでもらうぜ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211192355j:plain

「なんの、これしき……負けて、たまるかッ!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211192535j:plain

宙マン、起死回生のパワー全開!

ムルチの熱線をひらりとかわして、大空高くへとジャンプ!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211192557j:plain

ムルチ「(驚愕)うぉ、おおおっ!?」」

宙マン「さぁ、今度はこっちがお返しする番だな!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211128132650p:plain

宙マン「セイヤァァーっ!

 宙マン・トルネード・キック!!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211193243j:plain

空中で全身を高速回転させながら、敵めがけて突っ込む必殺技……

トルネードキックの一撃が、ムルチの胸板に炸裂!

 

宙マン「とどめだ!

 宙マン・エクシードフラッシュ!!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426152748j:plain

全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……

エクシードフラッシュの一閃が、ムルチを直撃!!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211193358j:plain

ムルチ「ま……まな板の上の、ムルチのごとくぅぅ~っ!」

やったぞ宙マン、大勝利!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210428215906j:plain

熊澤さん「おおっ、やったやった、さすがは宙マンさんだねぇ!」

ビーコン「そりゃそうっスよ、なんたってウチのアニキっスもん!」

落合さん「現役引退後も、銀河連邦の英雄は未だ健在なりですわ!」

ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~♪」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210503104342j:plain

人々の笑顔と歓声が、宙マンの勝利を讃える――

青空の下に立ちつくす巨体は、どこまでも雄々しく、逞しかった。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426153009j:plain

イフ「ぐぬぬぬ……何という、何ということだ!

 宙マンめが、またしてもワシらの邪魔だてをしおって……

 だが、覚えておれよ、この次こそは思い知らせてくれる!!」

 

……などという、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211200137j:plain

我らが宙マンの大活躍によって、巨大魚怪獣・ムルチは撃退され

千歳の街には、再び元の平穏が戻ってきたのであった。

 

 熊澤さん「やぁやぁ、宙マンさん、ありがと!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210428230858j:plain

 熊澤さん「ありがと、ありがと、ホントにありがとっ。

 これでまた安心して、山菜採りのために山へ入れるよ!」

宙マン「はっはっはっ、オーバーだなぁ、熊澤さん。

 私はね、ただ……

 地域の一住民として、当然のコトをしたまでですよ」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210428213603j:plain

 熊澤さん「いやいや~、それがなかなか出来ることじゃないんだよぉ」

落合さん「(苦笑しつつ)えぇ、確かに……

  それもひとえに、お殿様の超能力あったればこそ、ですものね」

ピグモン「はうはう~、宙マン、かっこよかったの~♪」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211200617j:plain

ビーコン「ヒヒヒ、さ~て、さてさて……

 騒動が一段落して安心したところで、熊澤さんは山へ山菜採りに。

 そして、オイラと落合さんは――」

落合さん「(ジト目)……私と、ビーコンさんは?」

ビーコン「ベッドルームで、しっぽり命のお洗濯っス~☆」

 げ し っ !

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210428011630j:plain

落合さん「ねーいっ、このエロ怪獣っ!

 せっかくの余韻をブチ壊すんじゃありませんっ!(怒)」

ビーコン「どひ~っ、6月も落合さんは容赦ないっスぅぅ~」

宙マン「はっはっはっはっ」

 

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210603225548j:plain

怪獣・怪人、どんと来い……

千歳の平和は、渡しやしない。

次回もまたまた、宙マン大活躍だよ~!