ついこの前までの、雨天続きの肌寒さはどこへやら……
抜けるような青空の下、ポカポカ陽気に暖められている北海道。
そんなわけで今回も例のごとく、毎度お馴染みの舞台である
ここ・北海道千歳市からその幕を開けることとしよう。
ビーコン「いえっふ~! 良い子も悪い子も、元気してたっスか!?
みんなのアイドル、電波怪獣ビーコンちゃんっスよ~
それじゃいっちょ、今日のお話も明るく能天気に……」
と、ビーコンの明るい挨拶で始まった今回のお話だが……
こと今回に限っては、どうも千歳市内の雲行きが怪しい。
ビーコン「お、おろろろっ、どうなってんスかぁ!?」
ピグモン「はわわ~、なんだか街が大騒ぎなの~」
落合さん「これは一体、どうしたことでしょう!?」
そう、街がパニックになるのも無理はない――
今回はもうのっけから、あちこちでビルが崩れて市街地大混乱!
みくるん「ちょ、こんなの……いきなり、こんなのって!」
ながもん「って、ことは……つまり――」
宙マン「今日は……悪い怪獣も、のっけから来るってコトかな!?」
落合さん「あらまぁ……何とも、急ですわねェ!」
ゴゴゴゴ……グラグラグラグラっ!
宙マンの、そんな懸念をすぐさま裏付け証明するかのように…
市内が激しく揺さぶられ、大地がメキメキ音を立てて割れ裂ける。
そして、土砂を巻きあげ、爆風と煙の中から立ち上がる影は!
「うおぉぉぉ~んっ!!」
ピグモン「えう~、やっぱりなの、やっぱりぃ!(涙目)」
ながもん「やっぱり、今日は……展開が……テンポ、良い?」
みくるん「ふぇぇん、そんなの嬉しくないってば~!(汗)」
今回、千歳に恐るべき姿を現したのは……
過去に一度宙マンと戦ったこともある、怪獣ブラックキングの同族。
便宜上、ここでは”ブラックキングⅡ”と表記することにしよう。
ブラックキングⅡ「うぉぉ~んっ、親戚縁者が受けた屈辱……
この俺様が、まとめて一気に叩き返してやるぜ!」
ビーコン「どひ~っ、毎度のこととは言いながら……」
落合さん「何だか、無駄にヤル気まんまんでらっしゃいますわねぇ!(汗)」
ながもん「うん、それは……それとして……ちょっと、待って」
宙マン「……ん?」
ビーコン「どうかしたっスか、ながもんちゃん?」
ながもん「あの、怪獣の……ことだけど」
ながもん「ブラックキングって、名前なのに……
何処から、どう見ても……黒くない……!!」
ビーコン「(思わずドタこけ)ず、ズコ~ッ!!」
ピグモン「はうはう~、言われてみれば、確かにそうなの~」
落合さん「ですが、この際それは……
ぶっちゃけ、割とどうでもいいような……(苦笑)」
みくるん「……もう、ながもんったらぁ!」
ながもん「(ボソッと)……てへぺろ」
イフ「えぇい、そんな世迷言に付き合っている暇などないぞ!
ブラックキングよ、粛々とお前の使命を果たせ―
千歳の街を徹底破壊し、怪獣軍団の前線基地を築くのだ!」
ブラックキングⅡ「うぉぉ~んっ、お任せ下さい、魔王様!」
怪獣魔王の命を受け、進撃開始するブラックキングⅡ!
迫り来る巨体を前に、悲鳴をあげて逃げ惑う千歳の人々。
ビーコン「どひ~っ、こればっかりは何度味わっても……」
落合さん「どうにもこうにも、慣れそうにないですわねぇ~!(汗)」
危うし千歳、危うし北海道!
だがしかし、ブラックキングⅡの進撃を許さじとばかり……
落合さん「あらっ、航空防衛隊の皆様ですわ!」
ビーコン「今回こそは、バッチリ決めて欲しいっスねぇ!?」
ピグモン「はうはう~、おじさんたち、がんばってなの~!」
「ようし……全機、アタックだ!」
大怪獣めがけて、雨あられと叩きこまれるロケット弾!
だが、そんな猛攻にも、ブラックキングⅡの巨体はびくともしない。
ブラックキングⅡ「効かぬ、効かぬ、効かぬのずいっ!」
「う、うわぁぁ……っ!」
ブラックキングⅡが吐き出す強力熱線“ヘルマグマ”!
その直撃を受け、戦闘機は一機、また一機と撃墜されていく。
みくるん「や、やられちゃった!?」
ながもん「ブラックキング族……やっぱり、強いっ」
落合さん「ああっ、どうしましょう……
これは流石に、笑いごとで済む事態ではないですわ!」
ピグモン「はわわわ……宙マン、宙マン、何とかしてなの~」
宙マン「(頷き)おのれ、もう許さんぞ!
宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、ブラックキングⅡの前へ舞い降りる!
宙マン「トゥアーっ! 宙マン、参上!
兇悪怪獣、これ以上の悪さをするなら見過ごしてはおかんぞ!」
ズ、ズーンっ!!
ビーコン「ああ、やっぱここ一番で頼りになるのはアニキっスよねぇ!」
落合さん「えぇ、安心の度合いが全然違っておりますわ!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」
ブラックキングⅡ「うぉぉ~んっ、殺されに来たか、宙マン!」
宙マン「おおっと、勘違いをしてもらっては困るねぇ――
粋がる小悪党に、きついお灸を据えに来たのさ!」
全身にみなぎる怒りを力に変え……
ファイティングポーズをとって、敢然と身構える宙マン。
かくしてここに今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕。
人々が見守る中、真っ向から激突する宙マンとブラックキングⅡ!
ナックル星人やジュダなど、幾多の侵略者に認められた猛パワーは
このブラックキング亜種においてもしっかりと健在――
太い腕から繰り出す強力パンチは、どうにも油断がならない威力。
右に左に、嵐の激しさで繰り出される掌打のラッシュ!
その猛攻撃をかいくぐり、受け流して、宙マンも軽快なステップで
相手の隙を冷静に伺い、反撃を試みる。
そして、一瞬の好機を見出したその瞬間……
敵の懐に飛び込んで、猛然と攻勢に転じて行く宙マンである。
それ出た、正義の水平空手チョップ!
痛烈な一撃を食らい、ブラックキングⅡの巨体が後退する。
宙マン「どうだ、参ったか! これが正義の力だ!」
ブラックキングⅡ「うぉぉぉ~っ、甘く見るな、宙マン!」
怒り、ヘルマグマ熱線を吐き出すブラックキングⅡ。
宙マンの周囲に炸裂し……爆発! また爆発!
グワーン! ズガガガガーンっ!
「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」
みくるん「ちゅ、宙マンさんっ!?」
ながもん「いけない……これは、まずい……流れ」
ピグモン「はわわわ、宙マン、あぶないの!?」
ビーコン「あの熱線を、何度も食らったら……マジヤバっス!」
落合さん「お殿様……頑張って下さい、お殿様っ!」
連続爆発に吹っ飛ばされながらも、よろめきつつ立ち上がる宙マン。
そんな彼にとどめを刺すべく、ブラックキングⅡが非情に迫る!
宙マン「う……ううっ!」
ブラックキングⅡ「親類縁者の雪辱の時だ――死ね、宙マンっ!」
「なんの……負けて、たまるかッ!
どりゃぁぁーっ! 宙マン・ショット!」
裂帛の気合と共に放つ、不可視の衝撃波……
宙マン・ショットが炸裂して、ブラックキングⅡをよろめかす!
ながもん「おおっ。……ナイスっ」
ビーコン「っしゃあ! アニキ~、今がチャンスっスよ~!」
宙マン「(頷き)おうっ!」
ブラックキングⅡ「(足元がふらつき)お、おおうっ……」
宙マン「逃がすか! お次は宙マン・リフターだ!」
怪獣の巨体を軽々と持ち上げ、一気に投げ飛ばす豪快な技!
宙マン・リフターによって、ブラックキングⅡが地に叩きつけられ
多大なるダメージを受けたところへ、すかさず――
宙マン「とどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、ブラックキングⅡを直撃!!
ブラックキングⅡ「あぎゃらぁぁ~っ、俺様もダメでしたぁぁ~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
みくるん「わぁっ、やりましたぁ、宙マンさんの勝ちですぅ!」
ビーコン「いえっふ~、さっすがアニキ、そうこなくっちゃっス!」
落合さん「お見事でしたわ、お殿様!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、かっこよかったの~♪」
ながもん「……グッジョヴ」
イフ「うぐぐぐっ……またしても、またしても宙マンめが!
だが、この次こそはお前を必ず倒してやるからな!
覚えておれ、覚えておれ~っ!!」
……などと言う、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。
我らが宙マンの活躍により、大怪獣ブラックキングⅡは撃退され
千歳には再び、初夏の爽やかな平穏が戻ってきたのであった。
みくるん「宙マンさん、お帰りなさいですぅ!」
宙マン「いやぁ、今日は出だしから変にテンポが早かったから……
ここからは、ゆっくり一息入れたいもんだねぇ」
ながもん「(頷き)くたびれるのも……無理、なし……仕方なし」
ピグモン「はうはう~、宙マン、おつかれさまなの~」
落合さん「ふふ、何とも慌ただしい一日でしたけど……
お殿様のおかげで、ほっと人心地がつきましたわ」
ビーコン「そしてここからは、スローテンポで甘く蕩けるような……
ヒヒヒ、オイラと落合さんとのシッポリしなだれタイムっス~☆」
げ し っ !
落合さん「ねーい、寝言は寝てから仰いませっ!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、落合さんの制裁はいつでも急テンポっスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
恐怖の牙も、軽~く一蹴……
正義の宙マン・パワーは、ますます絶好調。
さて、次回はどんな活躍を見せてくれるかな?