北海道における「空の玄関」……
国際空港を擁することで知られる、北海道千歳市。
本シリーズの舞台ともなっている、豊かな自然に囲まれた美しい街。
そして今回もまた、この千歳市は――
「ひ~ら、ひらららぁぁ~っ!!」
かくのごとく、怪獣軍団の猛威に晒されていたのであった!
みくるん「ああっ、怪獣ですぅ!」
ながもん「(ボソッと)惜しい。……あれは、宇宙怪人・ササヒラー」
ピグモン「はわわ、ながもんちゃん、そんなのどっちでもいいの~!(涙目)」
ビーコン「怪獣だろうと怪人だろうと……とにかくヤバいのだけは確かっス!」
そう、そんなビーコンの言葉通り……
逃げ惑う人々を追い散らし、傍若無人に進撃してくる巨体!
ピグモン「(怯えて)きゃあぁん、どんどんこっち来てるの~!」
落合さん「もはや毎度のこととは言え、好き放題な暴れっぷりですこと!」
宙マン「(じっとササヒラーを見つめ)……」
ビーコン「とか言ってる間にアイツ、火を吐きやがったっスよ!」
ピグモン「ああんっ、街が火の海なの~!(汗)」
ながもん「ここは、一発……ヒーローの、出番」
みくるん「お願いです宙マンさん、いつもみたいに……!」
宙マン「(じっとササヒラーを見つめ)……」
みくるん「(不安げに)ちゅ、宙マン……さん?」
ビーコン「ちょ、アニキ、今日はどうしちまったんスか!?
地球が地球が大ピンチなんスよ、アニキの力が必要なんスってば!(汗)」
宙マン「(首を振り)……違う。何かが違う!」
落合さん「(怪訝そうに)どうかなさいましたか、お殿様?」
宙マン「(頷き)話すと長くなるから、要点だけ言うと――」
果たして宙マンは、このササヒラーの暴れぶりに何を感じとったのか?
が、ひとまずそれはさて置いて……
「ひ~ら、ひらひらぁ~っ!」
おお、何ということであろう!?
今まさに、市街地で巨大ササヒラーが暴れているのと時を同じくして……
等身大サイズのササヒラーが、千歳の原野にその姿を現したではないか!
ササヒラー「ひららら~、愚かな地球人ども!
俺の作り出した質量のある幻影と、いつまでも遊んでいるがいい。
そっちに注意が向いてる隙に……
賢い俺は悠々と、本来のお仕事バッチリ遂行ってワケさァ!」
イフ「ううむっ、見事な知略だササヒラー!
その調子で見事、お前の本来の使命を果たしてみせよ!」
ササヒラー「ひぃ~ら、ひらひら……お任せを、魔王様!」
そう、これこそササヒラーの恐るべき「囮作戦」!
本物に限りなく近い、自身の“質量のある幻影”を作り出し、暴れさせる事で
人々の注意を引き付けている隙に、本物のササヒラーが新千歳空港を襲い、
完全壊滅させて北海道の交通網を大きく麻痺させようとしていたのである。
ササヒラー「その目的は、見事に図に当たりましてございます。
あとは空港を壊滅させるのみ、万事このササヒラーめにお任せを……」
「はっはっはっはっ……
果たして、そう思い通りにいくものかな!?」
ササヒラー「(ギョッとして)むむ、誰だっ!?」
不意に響いてきた凛たる声に、驚いて振り返るササヒラー。
次の瞬間、華麗な空中回転とともに舞い降りてきたのは……
もちろん、この男だ!
宙マン「トゥアーっ! 宙マン、参上!
怪獣軍団の悪の使者・ササヒラー、新千歳空港の破壊は私が許さん!」
ササヒラー「お、おにょれ宙マン……どうしてここが判った!?」
宙マン「決まっているだろう、現役時代からの長年の勘さ!」
ササヒラー「(呆れて)お、お前なぁ……
そういう独りよがりな展開は、漫画コンクールじゃ即・減点対象だぞ!?」
宙マン「はっはっはっ、何とでも吠えるがいいさ。
とにかく私がここにいる以上、怪獣軍団の好き勝手にはさせないぞ!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ。
ササヒラー「ひらひらぁ~、おにょれおにょれっ!
こうなりゃまずお前から叩きのめしてやるぞ、宙マン!」
宙マン「さぁ、来いっ!」
激突、宙マン対ササヒラー!
じりじりと相手の隙を伺いながら間合いを取り……
真っ向からぶつかり合い、しのぎを削る両者のパワーと格闘技!
両手を激しく打ち振り、チョップ攻撃を仕掛けてくるササヒラー。
それらを躱し、受け流して……
宙マンもまた果敢に相手の内懐へ飛びこんでいく。
宙マン「ぬうっ、なかなかやるな!」
ササヒラー「ひらひらぁ~、当たり前だ!
ここまで来といて、手ぶらで帰っちゃいい恥さらしだぜ!」
格闘戦は不得手と言っても、ササヒラーにだって意地がある。
粘り強いファイトと突進戦法で、歴戦の英雄をもたじろがす――
が、黙ってやられっ放しでいるような宙マンでもない、
得意の飛び蹴りで、ササヒラーを牽制する宙マン。
そして、再び両者の間合いが大きく離れたその瞬間……
宇宙人の口から勢いよく、恐怖のササヒラー光線が放たれた!
「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」
たちまち巻き起こる大爆発、叩きつける爆風!
大きく吹っ飛ばされ、したたかに地面へ叩きつけられる宙マン。
宙マン「(苦悶)う……うう……っ!」
ササヒラー「(嘲笑)ひらひらぁ~、ざまァないな宙マン!」
倒れ伏した宙マンにのしかかってくるササヒラー。
とどめを刺さんと、激しいチョップの連打を叩きこんでくる。
だが、窮地に追い込まれるほど、熱く燃えるのが宙マンの闘志。
地面を転がり、もみ合いながら、マウントポジションを取って形勢逆転!
お返しだとばかりに、平手打ちの連打でササヒラーをたじろがせる。
ササヒラー「(怯んで)……こ、こりゃたまらんッ」
宙マン「逃がすか! 宙マン・チョップを受けてみろ!」
手刀のダメ押しを食らい、ササヒラーがたまらずブッ倒れたところへ――
「受けてみろ――宙マン・超破壊光線!!」
両手の間にエネルギーを集中させ、激しいスパークとともに放つ大技。
「超破壊光線」の直撃を受け、火花を散らすササヒラーのボディ!
ササヒラー「ひららぁっ……
こ、今度こそは上手くいくはずだったのに~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
そして、それと時を同じくして――
ピグモン「(首を傾げて)……はうんっ?」
ビーコン「どうしたんスかね、急に……」
落合さん「(頷き)えぇ、動きが止まりましたわね」
そう、司令塔である本物のササヒラーが宙マンに倒されたことで……
市街地で暴れ回っていた、巨大ササヒラーの“質量を持った幻影”もまた
陽炎のようにスーッと姿が薄れ、消滅していったのであった。
ながもん「おおっ……やっぱり、幻影」
ピグモン「はうはう~、宙マンの言った通りだったの~
ビーコン「その幻影が、こうして消えたってことは……」
落合さん「本物の宇宙怪人を、お殿様がやっつけて下さった証拠ですわ!」
みくるん「宙マンさん、どうもありがとうですぅ!」
イフ「おのれ宙マン……よくも、よくもやってくれおったな!
やはり貴様こそ、ワシら怪獣軍団が全力で倒すべき最大の敵……
更に怖ろしい怪獣を送りこみ、次こそ必ず息の根を止めてくれるわ!」
……などと言う、毎度毎度の負け惜しみはさて置いて。
かくして、我らが宙マンの活躍により……
新千歳空港壊滅の野望は、宇宙怪人ササヒラーもろとも打ち砕かれ
千歳の街と空港に、再びのどかな平和が戻ってきたのであった。
宙マン「さ~てと、騒動も無事におさまったことだし……
空港ターミナルビルで、何か美味しい物でも食べて帰ろうっと♪」
これからも頼むぞ、頑張れ宙マン!
さて、次回はどんな冒険が待っているのかな?