早や8月、ギラギラと眩しく照りつける太陽……
日本列島津々浦々、今まさに夏・まっさかり!
落合さん「ふぅ~、今日も今日とてお暑うございますわね!」
ビーコン「ここにきて、今年も一気にプロミネンスが本気出して来てるっスね~」
ピグモン「えう~、ピグちゃん、寝苦しいのは嫌~んなの~」
宙マン「こんな時こそ、何かすかっと気分転換したいねぇ」
みくるん「すかっと……ですか?」
ながもん「おおっ。……
だったら、いい方法が……ある」
ビーコン「おおっ、ながもんちゃん、その方法ってのは?」
ながもん「みんな……聞いた、こと……ない?
こないだ、千歳に……新しい、アイスクリーム屋さんが……
オープン、したって……ニュース」
ピグモン「あ、ピグちゃん聞いたことあるの!」
落合さん「確か、富良野のメロン農場さんと提携しているとか……」
ピグモン「メロンいっぱい載ってて、おいしそうだったの~」
ながもん「……(頷く)」
ビーコン「う~ん、いいっスねぇ、アイスで暑気払い!」
落合さん「いかがでしょう、お殿様?」
宙マン「うんうん、反対する理由も見当たらないね!」
ながもん「……決定」
と、言うわけで。
こんち、毎度おなじみ宙マンファミリーとコロポックル姉妹。
暑気払いと話のタネになればと、千歳市の市街地まで揃って出かけ
新しく出来た、評判のアイスクリーム屋さんへ。
宙マン「う~ん、なんだかワクワクしてきたぞ!」
落合さん「あらあら、お殿様ったら……。
でも、そんな風に……
少年の心を忘れないお殿様も、素敵です……♪(ぽっ)」
ビーコン「だーっ! 全くもう、このオネーチャンときたらっ!
毎度ながら、オイラの時とえらい違いじゃないっスか、態度が!」
みくるん「うふふふっ、アイス……楽しみですね~♪」
ながもん「(一方を指し)あ。……あれ」
ピグモン「はわわ、どうしたの!?」
おお、何ということであろう!?
突如、何の前触れもなく……
不気味な震動とともに、高層ビルが次から次へと轟音を立てて
地中へと沈み、崩壊していく、この恐るべき光景!
落合さん「(驚愕)ちょ……なっ、えぇぇっ!?」
ゴゴゴゴ……グラグラグラグラっ!
コンクリートの道路舗装もろとも大地を引き裂き、地中から現れた影。
……そう。
それこそは、怪獣軍団から送り込まれた新たなる使者なのだ!
「チュカカカカーッ!!」
みくるん「ああっ、なんか出て来たですぅ!」
ながもん「(ボソッと)あれは……白蟻怪獣・バクラー」
ピグモン「はわわ、何でもいいけど、とにかくおっかないの~(涙目)」
宙マン「全くもう、毎度ながら勘弁して欲しいなぁ……」
落合さん「少しは私どもの迷惑も考えて頂けませんと!」
ビーコン「せめてこう、前置きっつーか、挨拶っつーか……」
バクラー「テュカカカっ……うン? 挨拶?」
バクラー「まぁいいさね、しろって言うならしてやるぜィ。
“白蟻怪獣バクラーが、暑中見舞い申し上げます。
時節柄 ご自愛のほどお祈り申し上げます。”
……っと、これでいいのかな?」
バクラー「よ~し、挨拶も済んだことだし、暴れるぞ~っ!!」
ビーコン「(ドタこけ)……そ、そう言う問題じゃないっス~!」
落合さん「(呆れて)……全く、もう!」
イフ「わははは! この盛夏こそ、まさしく昆虫型怪獣のための季節……
しっかり、元気よく頼んだぞ、バクラーよ!」
バクラー「テュカカカッ! 魔王様、万事この俺ちゃんにお任せを~っ!」
バクラー、進撃開始!
迫り来る巨体を前に、悲鳴をあげて逃げ惑う人々。
ビーコン「どひ~っ、このクソ暑い盛りだってのに……」
落合さん「冷や汗までかかされるなんて、聞いてませんわ!」
みくるん「ふぇぇん、とにかく逃げなきゃですよぉ~!(涙目)」
白蟻怪獣の暴虐、許すまじ!
千歳の平和を守るべく、航空防衛隊が直ちに出撃した。
みくるん「あっ、防衛隊の皆さんですぅ!」
落合さん「どうか、どうか今回こそは頑張って下さいませ!」
ビーコン「くれぐれも、意気込みだけで終わらねーように……!」
「ようし……全機、一斉攻撃開始だッ!」
激しいアタックをかける戦闘機隊!
持てる火力の全てが、怒濤のごとくバクラーへ叩きこまれる。
バクラー「チュカカカっ、ちゃんちゃら可笑しいぜ!」
「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」
バクラーの吐き出す蟻酸で、次々に撃墜されていく戦闘機!
そして、その洗礼は千歳の市街地にも容赦なく及び……
おお、見よ! 恐怖せよ!
バクラー蟻酸の威力で、高層ビルとでご覧の通り!
バクラー「チュカカカっ、ど~んなもんだイッ!」
みくるん「ふぇぇん、千歳の大ピンチですぅ!(涙目)」
ながもん「ここは、一発……ヒーローの、出番」
宙マン「ああ、やるとも! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、暴れ回るバクラーの前に舞い降りる!
宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上!
怪獣バクラー、夏休みだからと言ってヤンチャが過ぎるぞ!」
ズ、ズーンっ!!
ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」
ビーコン「こうなったらもう、アニキだけが頼みの綱っス!」
落合さん「私たちがついておりますわ、お殿様!」
バクラー「チュカカカッ、出たなァ宙マン!
俺ちゃんに食いちぎられて、全身ボロボロになっちまえ!」
宙マン「なんの、私は木造建築とは訳が違うぞ!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
今日もまたまた、世紀のスーパーバトル開幕だ。
バクラー「チュカカカッ、その減らず口ごと地獄へ行けぃっ!」
宙マン「さぁ来い、バクラー!」
激突、宙マン対バクラー!
落合さんたちが見守る中、巨大な両者の打撃戦が展開される。
四本の腕をぶん回し、猛然とパンチ攻撃を仕掛けてくるバクラー。
予測困難なその攻撃のランダム性に手こずらされつつ……
宙マンも持ち前のテクニックで、巧みにそれらと渡り合う。
宙マンのボディアタック、続けざまの肘打ち!
連続攻撃の前に、ずずっと後退させられるバクラーである。
宙マン「どうだバクラー、これが正義の力だ!」
バクラー「チュカカカッ……調子に乗るなよ、宙マン~っ!」
バクラーの口から吐き出される破壊光線!
宙マンの周囲に凄まじい爆発が生じ、そして……!
「う、うわぁぁぁぁ……っ!」
みくるん「ああっ、宙マンさんが!」
ながもん「昆虫の季節……夏だけ、あって……気合、入ってる」
ビーコン「ひぇぇ、感心してる場合じゃないっスよ、ながもんちゃん!」
落合さん「このままでは、いくら無敵のお殿様でも……」
ピグモン「はわわわ、宙マン、負けないでなの~!」
宙マン「(苦悶)う……うう……っ!」
バクラー「チュカカカッ……ざまぁカンカン!」
スライ「おおっ! もはやバクラー君の勝利、疑う余地もなし!」
イフ「(頷き)さぁバクラーよ、一気に宙マンへとどめを刺すのだ!」
バクラー「チュカカカッ、全てこの俺ちゃんにお任せを!」
「なんの、これしき……負けて、たまるかッ!」
宙マン、パワー全開!
バクラーの吐き出す蟻酸を、ひらりとジャンプでかわして大空へ。
バクラー「ちゅ、チュカカカッ!?」
宙マン「これでもくらえ、バクラー! 宙マン・ミラクル・キック!」
出た、電光石火の必殺キック!
ミラクルキックの直撃を受け、バクラーがブッ倒れたところへ――
宙マン「とどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、バクラーを直撃!!
バクラー「テュカカカッ……も、もうちょっとだったのにぃぃ~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
ながもん「おおっ。……さすが」
ビーコン「やっぱアニキの威力は、いつ見ても凄まじいっスね~!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~♪」
人々の賞賛と拍手喝采を受け、夏空の下にすっくと立つ巨体。
まさに宙マンこそは、千歳の街における正義と平和の守護者であった。
イフ「うぐぐぐぐ……おのれ宙マン、またしてもやってくれたな!
だが、怪獣軍団のある限り、お前に決して安息の時はない。
もっと凄まじい新怪獣で、次こそは必ず……!」
……などと言う、いつもの負け惜しみはさて置いて。
かくして、宙マンの活躍により……
白蟻怪獣バクラーは撃退され、また千歳市は救われたのであった。
宙マン「いやぁ、この暑さの中で一汗かいたものだから……
喉が渇くわ、お腹がすくわで、もう大変だよねぇ」
みくるん「うふふっ、それじゃ改めて……」
ながもん「(頷き)……アイスで、クールダウン」
宙マン「いいね、いいねぇ、その言葉を待ってたよ!」
ビーコン「ヒヒヒ、でもまぁ……
暑いからって、冷たいものばかりでも良くないんスよねぇ」
落合さん「あら? ビーコンさんにしては、随分まともなご発言を……」
ビーコン「ヒヒヒ、だからっスよ、だ・か・ら。
落合さんはこのオイラが、身も心も熱くねっとり抱いて……」
げ し っ !
落合さん「ねーいっ、前言撤回ですっ!!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、8月の風は生暖かいっスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
みんなの笑顔、みんなとの絆……
天下無敵のヒーローに、更なる「力」をくれる源。
さァて、次回はどんな活躍を見せてくれるかな?