ここに訪れたならば、決して素通りすることの出来ないラーメンの名店が
「ピッパラの森」さん。

「ラーメン嫌いの私でも食べられるラーメンを」と言うご店主の出自と動機からして
他の追随を許さず、そこからの着実に美味しい誠実さの積み重ねによって人気を博し
今や押しも押されぬ道内ラーメンの名店のひとつにまで成長したこのお店。

そして、そんなお店におきまして、敢えて一番の売りであるきのこラーメンではなくて
こちらのカツカレーを頂いてきた今回の訪問。
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……いえですね、以前の訪問時、お得なセットメニューを注文させてもらった際に
ラーメンと一緒に供されたハーフ・サイズのポークカレー、その味わいの深さに
思いがけず驚かされてしまったからこそ、次回「ピッパラ」さんへお邪魔する際には
こちらのカレーと改めて、真っ向から向き合いたいと心に決めていたんですよね。

黒い深淵かとも思えるほどじっくりと煮込まれ、旨味を称えたルーの美しい光沢……
その深さと奥行きも、スパイシーな辛さと凛たる品格さえ感じる馥郁たる芳香も、
全てをひっくるめて「渋い」と形容せざるを得ない一皿。
そこにですね、さっくりした歯応えと噛み応え、そして適度な柔らかさを併せ持った
適切な揚がり具合のトンカツが、この厚みでもって惜しげもなく載るわけですよ。

一皿が1600円、ラーメン一杯の1100円を大きく上回る価格設定でありつつも
堂々とメニューの一角を占め、それがしっかりと注文され好評を博している—―
ってことは間違いなく「旨い」、お店側の自身のあらわれなんですよね。

ルーの深み、カツの歯ごたえと食べ応え、辛みを爽やかに切ってくれるサラダ……
何拍子も揃った魅力的エッセンスが、混然一体となってお互いを高めあいながら
口中で豊かに広がっていく至福の体験。
ラーメン屋さんらしからぬ、と言う形容はもはや失礼でしょう。
まさにこの風格こそが「ピッパラの森」さんの持ち味そのものであり、堂々たる
お店の看板メニューそのものです!




