

遥かなる宇宙の彼方、暗黒星雲の奥深くから……
美しい緑の星・地球を我が物にせんと狙い続けている怪獣軍団。


今日も配下の怪獣たちに向かって、怪獣魔王・イフの檄が飛ぶ。
また恐るべき侵略の魔の手が、僕らの母なる星に迫るのだ!

イフ「今に見ておれ地球人どもめ、そしてにっくき宙マンよ……
今度こそ必ずお前を倒し、地球をこのワシのものにしてくれる!」

イフ「怪獣軍団のつわものどもよ、誰ぞ使命を果たす者はないか!?」
「はいはいはーいっ!
この俺にお任せ下さい、魔王様!」

そう言って、元気よく名乗りをあげたのはこちら……
丹沢山中の地獄谷出身、「透明怪獣」の異名を持つゴルバゴス。

イフ「おおっ、気合が入っておるな、よい心がけだぞ!
だがしかし、宙マンは強いぞ――
何か必勝の策でもあるのか、ゴルバゴスよ?」
ゴルバゴス「ハイなっ、そりゃあもう抜かりなく!
まァ見てて下さいよ、そーれっ♪」

おお――見よ! 驚愕せよ!
ゴルバゴスの姿が、みるみる周囲の岩山に溶けこむかのように薄れ……
やがて、完全に姿を消してしまったではないか。

イフ「おおっ、これは!」
ゴルバゴス「ハイなっ、そうです魔王様。
俺は岩そっくりの全身を利用することで、回りの岩山と完全に同化して
ご覧の通り、姿をくらますことが出来ちゃうんです~!
俺のこの力があれば、宙マン打倒もお茶の子サイサイ……」

「いや、そうもいかんぞ、ゴルバゴスよ!」

ゾネンゲ博士「お前のその能力、山奥であれば威力絶大だろうが……
お前の攻めるべき千歳市はそれなりに拓けている地方都市で、そのうえ
今の季節は冬、つまり一面の真っ白い雪景色ときている」
イフ「ふむ……と言うと、つまり?」
ゾネンゲ博士「ゴルバゴスの能力……完全に、宝の持ち腐れかと」

「……しょ、しょんにゃぁぁ~っ!!」
ゾネンゲ博士からの鋭いツッコミに、ガーンと効果音つきでショックを受け……
すっかりいじけて、隅っこでうずくまってしまうゴルバゴス。

ゴルバゴス「ううう、いいんです、最初から判ってたんですぅ。
どうせ俺なんてマイナーだし、地味で今いちパッとしないデザインだし
たったひとつの取り得の、透明能力まで役立たずってんじゃ……
こんなダメダメな俺は、穴掘って埋まってますぅぅ~(涙)」
イフ「こ……これ、ゴルバゴスよ、そう卑下するものではない!(汗)
まだお前には火炎弾と、岩をも砕く怪力があるではないか。
透明能力が使えないことなど、ハンデのうちにも入らん些細な瑕だ!」

ゴルバゴス「うう……ホントですか、魔王様ぁ?」
イフ「そうとも、お前はやれば出来る子だ!
さぁゴルバゴスよ、今こそワシにお前の底力を見せくれ!」

ゴルバゴス「うぉぉ~っ、やる気沸いてきたっ、見てて下さい魔王様!
宙マンの奴は、この俺がギッタンギッタンにしてやりますぜ~!」
イフ「よ~し、その意気だ! 行けぃゴルバゴス!」
ゴルバゴス「ハイなっ!」
大いに勇んで、暗黒星雲から出陣していくゴルバゴス。
その背中を見送って……
ふっと肩を落とし、怪獣魔王が小さく溜息をついた。

イフ「ふ~、やれやれ……
手下どものメンタル管理も楽じゃないわい!(汗)」
ゾネンゲ博士「……心中お察し致しますです、魔王様」

そんなこんなで、またまた……
我らの故郷・宇宙のエメラルドに、怪獣軍団の魔の手が迫る。
危うし地球、危うし宙マン!
が、ひとまずそれはそれとして――。

冬・真っ盛り、一面の雪景色となっているここ、北海道千歳市。
気温の低下に伴って、しんしんと雪が降り積もり……
そうなってくると、生活圏維持のためには雪かきの作業が欠かせない。

ここ、ほんわか町5丁目の「宙マンハウス」もその例外ではなく……
もっか、ビーコンが雪かきの真っ最中であった。

ビーコン「ふう~、毎度のことながらしんどいっスねぇ、雪かきは。
ちょっとこの辺で一時休憩、ひと休み……
お~い落合さん、熱燗で軽く一本つけて欲しいっス~☆」
落合さん「ねーい、シャラップ! お黙りんこっ!」

落合さん「なぁ~にが熱燗ですか、寝言は寝てから仰いなさいませ!
雪かきのアルバイト料を前払いしたんですから、しっかり働いて下さいね。
さもないと、今すぐ全額返金してもらいますわよ!?」
ビーコン「ちょ、そんなご無体なっス、落合さん!」

ビーコン「その仕打ちはあんまりっスよ、オイラ耐えらんないっス!
いくらそれが、ツンデレな落合さんの愛情の裏返しだと判っていても……」
落合さん「っがー! 止して下さい、縁起でもないっ!
……全くもう、ビーコンさんの思考回路ときたらどうなってるんでしょうね!?」
ビーコン「知りたいっスか? そんなに覗いてみたいっスか、オイラの秘密?
ヒヒヒ、や~っぱ落合さんはオイラに興味津々なんスね~♪」
落合さん「ちょ、そういうワケではなくって……」
ビーコン「ベッドの海で見せてあげるっス、オイラの“秘密の珊瑚礁”!」
落合さん「……いえ、全然うまくないですからっ!(呆)」
ゴゴゴゴ……グラグラグラグラッ!

例によって例のごとくな、極楽コンビの実のないやりとりを遮ったのは……
不意に起こった地震であった。
ビーコン「う、うおおおっ!?」
落合さん「あっ、あらあらまぁまぁ!」

宙マン「いやぁ、びっくりしたよ……今のは結構大きかったね!」
ピグモン「二人とも、大丈夫だった~?」

ビーコン「アニキにピグモン、オイラたちは大丈夫っスよ~」
落合さん「わざわざのお気遣い痛み入ります、お殿様。
でも、ここまでのお話の流れでもって、この地震……
これはひょっとして、また怪獣が出てくる前兆なのかもしれませんわ」
ビーコン「だーっ、なんたるメタ発言っスか!」
落合さん「まぁ、杞憂であってくれればよいのですけど……」

……と、落合さんが言いかけた時。
再び地面が大きく揺れ、地震の第二波が激しく大地を引き裂いた!

「びゃあああ~んっ!!」
ピグモン「はわわ、怪獣さんなの、ほんとに出てきちゃったの!」

ビーコン「ホラぁ! 落合さんが余計なこと言うからっスよぉ!」
落合さん「……ちょ、私のせいだって仰りたいんですの!?(汗)」
宙マン「いやいや、そこで揉めてる場合じゃないよ、二人とも!」

地底からその巨体を現したのは、もちろん透明怪獣ゴルバゴス。
岩石のような全身を唸らせ、重々しく足音を響かせ、逃げ惑う人々を尻目に
悠々と千歳市内へ突き進んでくる。

ビーコン「どひ~っ、どんどんこっちへ向かってくるっスよ!」
落合さん「あらまぁ大変、どうしましょう!?」

ピグモン「はわわわ、ピグちゃん怖いの~(涙目)」
宙マン「いかん、みんな、早く逃げるんだ!」

イフ「行け、ゴルバゴス! お前はやれば出来る子だ――
今こそ地球の者どもに、お前のド根性を見せてやれ!」
ゴルバゴス「ハイなっ、魔王様~!」

怪獣魔王の命を受け、猛りたつゴルバゴス!
悲鳴をあげて人々が逃げ惑い、平和な街はたちまち大パニックに陥る。

ゴルバゴス「びゃああ~んっ、とびきり熱いのをお見舞いしててやるぜ!」
シュボッ! シュボボボッ!

怪力を奮い、口から火炎弾を連射しての大暴れ。
ゴルバゴスによって次々と建物が破壊され、街が炎に包まれていく。

ゴルバゴス「びゃああ~んっ、イイ感じだぜ、エンジンかかってきたぜ~!」
ビーコン「どひ~っ、なんてハタ迷惑なやる気モードっスか!?(汗)」

落合さん「やる気は結構ですが、巻き添えを食わされては堪りませんわっ」
ピグモン「はわわ……宙マン、宙マン、なんとかしてなの~」
宙マン「おのれ、もう許さんぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!」

閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、荒れ狂うゴルバゴスの前に舞い降りる!

宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上!
怪獣ゴルバゴス、これ以上の乱暴狼藉はこの私が許しはしないぞ!」

ズ、ズーンっ!!

ビーコン「おおう、出たっス、アニキの十八番!」
落合さん「お殿様、今日も今日とて素敵です……♪(うっとり)」
ピグモン「宙マン、がんばってなの~!」

ゴルバゴス「びゃああ~んっ、出たな宙マン、ギッタンギッタンにしてやるぜ!」
宙マン「(ニヤリ)出来ると思うか、ゴルバゴス?」

ファイティングポーズで敢然と身構える宙マン。
さぁ、またまた世紀のビッグファイトの幕開けだ!

ゴルバゴス「びゃああ~んっ! ニャロー、なめやがって!」
宙マン「さぁ、どこからでもかかって来い!」

激突、宙マン対ゴルバゴス!
千歳の人々が見守る中、巨大怪獣と巨大超人が真っ向からぶつかり合う。
ゴルバゴス「びゃああ~ん、くらえっ!」

口からの火炎弾連射で攻めるゴルバゴス!
が、それらは全て、宙マン・プロテクションで受け止められる。

ゴルバゴス「びゃああ~ん、このヤロがっ!」
宙マン「今度は力比べか――だが負けるものか、それっ!」

宙マン、パワー全開!
角を振りかざして突進してきたゴルバゴスにストレートキックを放ち
その巨体をみごとに蹴り倒してしまう。

ビーコン「いよっしゃ! 上手いっスよ、アニキ!」
落合さん「さすがですわ、お殿様っ!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、今がチャンスなの~!」

ゴルバゴス「ぐががが、なめやがって! こうなりゃお返しに……」
宙マン「おっと、させるか、これでもくらえ!」

宙マンの指先から放たれるブリットフィンガー!
曳光弾の連射によって、ゴルバゴスの突進を牽制したところへ――
宙マン「とどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」

全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、ゴルバゴスを直撃!!

ゴルバゴス「お、俺はやっぱりダメなのかなぁ~!?」
やったぞ宙マン、大勝利!

ゾネンゲ博士「ああもう、ゴルバゴスめ……
だから言わないことではないっ!(汗)」
イフ「いいや、ゴルバゴスよ……お前はよくやった! 頑張ったぞ!」

イフ「そして我が怪獣軍団には、まだまだ数えきれんほどの強者が揃っておる――
そやつらがゴルバゴスの無念を晴らし、地球を征服する日はもうすぐだ!
にっくき宙マンよ、首を洗って待っているがいい……!」
……などと言う、例年通りの負け惜しみはさて置いて。

かくして宙マンの活躍により、千歳を蹂躙したゴルバゴスは撃退され
街には再び、のどかな時間が戻ってきたのであった。

ピグモン「はうはう~、宙マン、おつかれさまなの~♪」
ビーコン「さっすがアニキ、納得の一戦だったっスね!」
宙マン「いやぁ、みんなが応援してくれたおかげだよ」

ビーコン「にしても、さっきのあの怪獣……
実力はともかく、気迫だけはなんか物凄いモノがあったっスね~」
宙マン「ああ、実を言うと、私もちょっと圧倒されそうだったよ」
落合さん「気迫にヤル気、ですか……
ああ、まさにビーコンさんにこそ必要な言葉ですわよねぇ!」

ビーコン「ちょ、な~にを言ってるっスか、落合さん!
気迫とヤル気の固まりなオイラに、よくもそんな事が言えたもんっスね!?」
落合さん「な~にが気迫ですか、自堕落そのものの居候がッ」
ビーコン「チチチ、判ってないっスねぇ落合さんは!
どれだけ鉄拳制裁を受けても、セクハラを諦めない不屈のド根性こそ……」

げ し っ !

落合さん「そんなド根性、ドブ川に叩き捨てておしまいなさいっ!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、それでもオイラは諦めないっスよぉぉ~」
宙マン「はっはっはっはっ」

宙マンファミリーの行くところ……
今日も、笑顔の花が咲く。
さて、次回はどんな活躍を見せてくれるかな?




