遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

衛星への招待の巻

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日本列島の最北端、毎年の今頃がそうであるように……

今年もやっぱり一面の銀世界、寒気に覆われた凍てつく日常。

そんな北海道千歳市、ほんわか町5丁目――

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今回の『宙マン』も、またいつものように「宙マンハウス」から

物語を始めることにしよう。

落合さん「お殿様、お殿様っ!」

 

宙マン「んー、どうしたのかな落合さん?」

落合さん「今ちょうど、お殿様宛のお手紙が届いて参りましたわ」

宙マン「私あてに? ほう、どれどれ?」

落合さんから、宙マンに手渡された一通の封筒。

さっそく開封して、書面に目を通した宙マンの目が……

「思いがけないものを見た」とばかりに、きょとんと丸くなった。

落合さん「……あら、お殿様、どうかなさいまして?」

宙マン「はっはっはっ、いやいや……

 なんだか私、懸賞に当選してしまったみたいでねぇ。

 いつ応募したのか、自分でもすっかり忘れていたんだけど」

落合さん「はぁ……懸賞、ですか?」

宙マン「(手紙を見せて)……ほら」

手紙の本文に曰く――

宙マンの大好物・鴨せいろ蕎麦を、好きなだけ無料で食べられると言う

「マル特食べ放題賞」に当選したので、期間中に本書簡を持参の上で

木星の第二衛星・エウロパまでおいで下さい、とのこと。

 

ビーコン「(苦笑)たはは……あっからさまに、っスね!」

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宙マン「う~ん、やはりそう思うかね?」

ビーコン「思うもなにも、それしか有りえないじゃないっスか」

落合さん「(苦笑)信州・長野や東京・浅草と言うならともかく……

 わざわざ木星の衛星を指定して来ると言うのが、ねぇ?」

落合さん「これで引っかかる人がいると、本気でお考えなのでしたら……」

ビーコン「さすがに、手紙の差出人はアニキをナメすぎっスよねぇ!」

宙マン「あぁ、うん、全く全く――

 いやはや、出来の悪い冗談にも困ったものさ。はっはっはっはっ」

 

……と、ひとまずその場を取り繕ってはみたものの。

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その後、「ちょっと用事を思い出した。行ってくる」とだけ言い残して

何故かそわそわと、家を出た宙マン。

右を見て、左も見て、周囲に誰もいないことを確認し――

宙マン「ううう、やっぱり気になる……気になるから、行っちゃおう!

 宙マン・ファイト・ゴー!!

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まばゆい閃光に包まれて、みるみるうちに巨大化する宙マン。

そのまま一気に飛びあがって、大空の彼方へと急上昇!

宙マン「鴨せいろ蕎麦、鴨せいろ蕎麦、そして食べ放題……

 ああ、何て心ときめく、魅惑的なフレーズなんだろう!

 どうせ悪戯なんだろうけど、ちょっと確認するだけは……ねぇ?」

ありとあらゆる真っ当な警戒心も、常識的な判断も……

それら全てを上書きして余りある、「鴨せいろ蕎麦食べ放題」の誘惑。

地球の引力圏を抜け、宇宙に飛び出した宙マンの向かう先は……

勿論手紙での指定先、木星の第二衛星・エウロパであった。

エウロパは、木星の第2衛星。

氷で覆われた地殻の下に地球の2倍もの量の液体の海(内部海)が存在すると

考えられており、太陽系で地球外生命が存在する最も有力な場所の一つとして

地球の研究者からも注目されている星である。

反射率の高い純白の地表に、ひらりと舞い降りた宙マン。

凍てつく空気と静寂の中、衛星地下のあちこちから噴き上がる水蒸気が

この星の地下にある「水」の存在を無言のうちに伝えている。

宙マン「名水は、美味しい蕎麦の必要条件のひとつ……

 と言うことは、蕎麦屋オープンの可能性もゼロじゃないわけだ。

 さ~てと、蕎麦屋蕎麦屋……

 どこに行けば、美味しい鴨せいろにありつけるのかな~?」

 

一面の氷原に立ち、蕎麦屋をきょろきょろ探し回る宙マン。

……ここではっきりと断っておかねばなるまいが、この時の宙マンは

紛れもなく、100%の「本気」である!

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そして、その様子は……

暗黒星雲に根城をもつ怪獣軍団に、しっかりモニターされていた。

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グロッケン「ずげっ! 宙マンの野郎、マジで来やがった!(汗)」

ジャタール「う~ん、こう言ってはナンだが……

 あんなあからさまな「誘い」に、みすみす釣られるとは!」

スライ「あらゆる理性も常識も、好きな物への興味が上回る。

 趣味の世界に生きる者は、得てしてそうなのです――

 他の誰にわからなくとも、この私には分かるのですよ!」

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イフ「道楽者同士のシンパシー、か……。

 まぁよい、とにかく宙マンを引っ張り出したのはお手柄だ。

 あとはこのまま、エウロパを宙マンの墓場とせよ!」

スライ「お任せ下さい魔王様、準備は抜かりなく既に!」

おお、やはりこの一件は、怪獣軍団の陰謀であった!

そうとは知らず、第二衛星で蕎麦屋を探し求める宙マンであったが

当然、氷原の中にそれらしい店構えは見当たらない。

宙マン「う~ん、もしやと思って来てはみたが……

 やはり、とんだ無駄足だったかな?

 まぁいい、それならそれで長居は無用――」

 

と言いつつ、エウロパを飛び立とうとした時!

ブァシュウゥゥーッ!

 

宙マン「(驚き)!?」

「グひゃひゃひゃ……!!」

エウロパの地下から、勢いよく噴き上がった間欠泉の水蒸気。

その、もうもうたる煙の中から……

怪獣軍団の一員、宇宙怪獣アンチマターが忽然と姿を現した!

アンチマター「グヒャヒャヒャ……まぁ、そう慌てるなよ、宙マン。

 せっかく来たんだ、もっと楽しんでいってくれよ――

 ただし、遊びのお代はお前の命だがな!」

宙マン「おのれ……怪獣軍団め!」

アンチマター「グヒャヒャ、まんまと釣られやがって、いいザマだ!」

宙マン「よりによって、私の大好物を使って罠をしかけるとは……

 断じて許さんぞ、覚悟するがいい!」

アンチマター「さァ来いっ、このアンチマター様が相手だ!」

かくして激突、宙マン対アンチマター!

衛星エウロパの大氷原を舞台に、両者の死闘が展開される。

怒りに燃え、次々にパンチやチョップを繰り出す宙マン!

だが、“魔導の”スライの肝入り・アンチマターもさるもの……

持ち前の不気味な軟体で、それらの攻撃を受け止め、受け流す。

だが、それでもなお、宙マンの闘志が衰えることはない。

鴨せいろ蕎麦の恨みとばかりに、執拗な打撃技の連発!

とらえどころがなく、不気味なアンチマターにも怯まず猛攻。

宙マンの連続攻撃の前に、さしもの宇宙怪獣もじりりと後退する。

宙マン「どうだ、参ったか、これが正義の力だ!」

アンチマター「グヒャヒャ、なめるなよ宙マン!」

ビビビビビビっ!

 

おお、何という事であろう!?

アンチマターの頭部から放たれた怪光線が、宙マンを直撃!

「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」

 

スライ「んふふふ、ご覧いただけましたか、魔王様!」

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スライ「地球からの移動と、エウロパの寒気によって……

 宙マンは、自分が思っている以上に疲れが溜まっております。

 そこを狙って叩けば、今度こそ勝利は我ら怪獣軍団の頭上に!」

イフ「ううむっ、見事じゃ! やってしまえアンチマター!」

アンチマター「グヒャヒャヒャ、お任せを、魔王様!」

宙マン「(苦悶)うう……うっ!」

アンチマター「正義の宙マン、いい子はそろそろねんねの時間だよぅ――

 この凍てつく衛星で、永遠にグッド・ナイトだ!

 さぁて、死んでもらうぞ宙マン!」

宙マン「なんの……負けて、たまる、かぁぁっ!

宙マン、パワー全開!

アンチマターの怪光線をひらりとかわし、エウロパの空へ!

アンチマター「(驚き)う、むむむっ!?」

宙マン「行くぞ、アンチマター!」

宙マン「エイヤぁぁぁーっ!

 宙マン・ミラクル・キック!!

出た、電光石火の必殺技!

ミラクルキックの一撃に、アンチマターが倒れたところへ――

 

「さぁ、受けてみろ! 宙マン・超破壊光線!!

両手の間にエネルギーを集中させ、激しいスパークとともに放つ大技。

「超破壊光線」の直撃を受け、火花を散らすアンチマターのボディ!

アンチマター「……き、効く、キクキクキクぅぅぅ~っ!」

やったぞ宙マン、大勝利!

イフ「ぐぬぬぬっ……おのれ、エウロパの罠を破るとは!

 だが宙マンよ、怪獣軍団の恐ろしさを知るのはこれからだ。

 いいか、覚えておれ、今に見ておれ~っ!」

 

……などと言う、いつもの負け惜しみはさて置いて。

かくして……

我らが宙マンの手で、怪獣軍団の待ち伏せ作戦は空しく水泡に帰し

木星の第二衛星には、再び元の平和な静寂が戻ってきた。

宙マン「たはは、もしやと思って来てはみたけれど……

 結局は、とんだ無駄足で終わってしまったなぁ。

 ああ、それはそれとして、お腹がすいたなぁ……」

 

エウロパから木星を見上げ、一人ごちる正義のヒーロー。

だが、そこはそれ、世の中よくしてくれたもので……

千歳の「宙マンハウス」では落合さんが、宙マンの大好物である

鴨せいろ蕎麦を拵えて、彼の帰りを待っているところであった。

さぁ、急いで地球へ帰るのだ、宙マン。

せいろ蕎麦の麺がのび、おつゆが冷めきってしまうより早く……

何より、食い意地の張ったビーコンに食べ切られてしまう前に!

 

宇宙の寒風、吹雪も越えて……

行くぞ宙マン、正義の味方。

さぁ、次回はどんな活躍を見せてくれるかな?