海外・国産映画やTV番組。配信番組などの好評によって、改めて「怪獣」の魅力が
再確認されつつある「追い風」ゆえの恩恵か……この数年は目に見えて増えましたね、
過去の名作やキャラクターに真摯な光を当てる書籍の数々が。

テレビマガジン特別編集 ウルトラファイト&昭和ウルトラマンシリーズ 秘蔵スチール集【電子特典付き】 (講談社 Mook(テレビマガジン))
そんななかでも、個人的に楽しみで仕方がなかったこの一冊……
1970年に放映が開始され、過去のTVシリーズ『ウルトラマン』『ウルトラセブン』の
怪獣格闘シーンぬ抜き焼再編集映像、ならびに当時残っていた怪獣すーつの再活用で
屋外での新規撮影を行ったパートとの二本柱が、当時のTBSスポーツアナウンサー、
山田二郎氏による新録ナレーションの名調子とも絶妙な相乗効果を生んで人気を博し
翌年の完全新作『孵ってきたウルトラマン』を生む上での起爆剤の役割をも果たした
伝説のミニ番組『ウルトラファイト』、その「ファイト」にスポットを当てた写真集が
今、この2025年と言う時代とご時世の中で発売されるとあっては!
そりゃあ、買うよね(゚_゚)?

帯にある「(たぶん)最初で(おそらく)最後の写真集!」と言う触れ込みの惹句が
もう何と言いますか、本書が刊行され……る以前に、この企画が無事に「通った」のが
素晴らしい奇跡そのものなのだ、と改めて認識させてもらえますし……
超低予算のミニ番組と言う体裁から現存するスチール自体が極めて少ないであろう
『ウルトラファイト』新規撮影分のスチール写真を、大きな図鑑で臨場感たっぷりに
じっくり味わう事ができると言うだけで、もう心は自然にウキウキ、ワクワク弾んで
ページをめくる手が止まらなくなります。

で、蔵出し中の蔵出しを謳っているだけに、初めて見る貴重な写真も多々あって……
特に横合いからのセブンの蹴りやウーからの殴打を受けて大きくのけぞるテレスドンや
バルタンの攻撃で荒れ地の斜面を転がり落ちたセブンの姿などには興奮必至。
ただその一方、スチール撮影のカメラマンさんがロケに同行することもなくなった
(であろう)後期『ファイト』の登場怪獣たち、ケロニヤ、シーボーズ、ゴーロン、
キーラーといった個性的面々がどうしても割を食ってしまうのは、わかっちゃいたけど
やはりこう一抹の寂しさが(ほろり)。

とは言え、そんな『ファイト』のスチールだけで一冊の本を編集して世に問うのは
流石に無謀と感じましてでしょうか(承前)、今日まで講談社に秘蔵されていたという
1966年『ウルトラマン』~1974年『ウルトラマンレオ』までの”初出汁写真”の数々を
太っ腹な一挙公開しちゃおう、という形での二部構成によって、ビジネス面における
一種の「保険」をもかけておこうという趣向。
正直『ファイト』目当ての『ファイト』っ子な僕としましては、こっちの「初出し」は
割と素っ気なく流していた節もあったんですが……ごめんなさい、謝ります。
こっちのパートも、負けず劣らぬ宝の山です。
そもそも1970年代の『ウルトラ』は小学館が独占掲載権を獲得していたはずでしたので
そこで「講談社秘蔵の~」と言われても正直「?」マークが浮かんでしまったのですが
要は当時の”東宝チャンピオンまつり”紹介記事との兼ね合いで、第14話の撮影限定で
講談社の大島カメラマンがスタジオ入りを許可された、と言う事情があったそうで。
そこでの特写スチールの数々で改めて再確認できる、ウルトラマン役・菊池英一氏の
ポージング一つ一つに腰の入ったキマり具合と美しさに改めて陶然とさせられ、
あるいは超獣ファイヤーモンスを抱え上げ投げ飛ばしにかかるウルトラマンAの
パワフルなスチールには「こんな凄い写真が今なお未発表のママだったのか!」と
興奮とともに改めて驚かされ……。

雑誌掲載時に細かく「修正」が入れられる前段階でのウェットスーツの傷み具合。
塗装の剥がれやスーツ表面に寄った「皺」まで含めた、実写キャラクターならではの
「実物が、たしかにそこにある」ことの得も言われぬ実存の喜びと臨場感。
激しいアクションの決定的瞬間を焼きつけた、怪獣・ヒーローの「ブレ具合」まで
とてもエキサイティングな時間の中に心を遊ばせてもらえるこの一冊。
そして、そんな興奮が電流みたいに全身と全心を駆け抜けていくのも……
とりも直さず、その題材が『ウルトラ』であるからこそなんですよね。




