遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

巌のごとき君なりきの巻

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のどかな、のどかな、午後のひととき。

穏やかな時間の中にある、ここは北海道千歳市・ほんわか町。

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こちら、ご存じ千歳の「宙マンハウス」。

血相変えて訪ねてきたのは、これまたお馴染みの……。

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「ふぇぇん……宙マンさん、宙マンさ~んっ!」

 

岩石標本(岩石・鉱物標本100種) /3-657-10

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 宙マン「やぁやぁ、いらっしゃい、みくるんちゃんにながもんちゃん!」

落合さん「どうか致しましたか、そんなに慌てたご様子で?」

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みくるん「たっ、大変なんです、事件なんですぅ!」

ながもん「こんなこと、今まで……ありえ、なかった」

ビーコン「事件? そ~んな、またオーバーっスねぇ☆」

みくるん「ほ、ホントなんですってばぁ!」

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宙マン「まぁまぁ、みくるんちゃん。……

 まずは落ち着いて、何が起こったのかを説明してもらえるかな」

みくるん「(頷き)は……はい」

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みくるん「実は今朝から、私とながもんとで……

 千歳の原生林の中に、足を運んでたんですよね」

宙マン「ああ……近くに沼地も広がってる、あそこかな?」

ながもん「(頷き)そこで、採れる葉が……良い、煎じ薬の……元に、なる」

みくるん「で、その葉っぱを探してた途中なんですけどーー」

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みくるん「急に、地面から煙が噴き出したかと思ったら……

 沼の水が、ぶくぶく泡を吹いて沸き立ちはじめたんですぅ」

 ながもん「そう、まるで……温泉……みたいに」

ビーコン「(目を輝かせて)温泉!?」

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ビーコン「うひょひょ、だったらオイラは混浴きぼんぬっス!」

 

 げ し っ !

 

落合さん「真面目な話の流れをブチ壊すんじゃありませんっ!(怒)」

ビーコン「ハンニャラ、ヒ~っ……」

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落合さん「ビーコンさんの世迷言はさておき……

 お殿様、いかが思われますか?」

宙マン「う~ん、あのあたりに温泉が湧くなんて……

 そんな話は、今まで聞いたこともないからねぇ。

 もしも何かの異変の前兆だとしたら、確かに一大事だけれど」

ビーコン「……今のところは、そうだって確証もないっスもんねぇ」

宙マン「う~ん……」

 

と、一同がそれぞれの思案顔を見合わせた頃である。

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ちょうど、それと時を同じくして……

航空防衛隊の戦闘機隊が、千歳基地からスクランブルをかけた。

 

ピグモン「あ! 見て見て、防衛隊のヒコーキなの!」

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落合さん「あの方角は、確か……」

みくるん「さっき私たちがいた、原生林の方ですぅ!」

ビーコン「ひぇぇ、ってコトは、もしかして……」

ながもん「もしか、すると……」

宙マン「……もしかするかもしれないぞっ、本当にコレは!(汗)」

 

そう、正に宙マンたちの推察通り!

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防衛隊の優秀な地底探索用センサーは、千歳市郊外の原生林において

膨大な熱量を帯びた、未知の生体反応をキャッチし……

これを千歳の地底に潜伏した巨大怪獣のものと判断し、先制攻撃のため

航空防衛隊に出撃命令が下された、と言う次第であった。

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ズドドドド! ババババババっ!

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怪獣が潜伏していると思しき、千歳郊外の原生林へと向けて……

戦闘機からの掃討攻撃が、実際の戦争を思わせる激しさを伴って

雨あられと叩きこまれていく。

 

それは、息を呑むばかりの凄絶な光景であった。

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ゾネンゲ博士「お、おおうっ……ま、魔王様、地球人の攻撃が!

 さては、「奴」の存在を勘付かれましたかな!?」

イフ「わははは、うろたえるなゾネンゲ博士……

 気取られたところで、地球人どもに何が出来ようものか。

 いでよゴルゴス、あの蚊トンボどもを少し脅かしてやれ!」

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暗黒星雲からの、怪獣魔王の声に応え……

原生林の一角が爆発を起こし、そこから無数の岩石が飛び出して

さながらレミングの大群のごとく空中を移動していく。

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「(目を見張り)おおっ……こ、こいつは……!?」

 

おお、見よ! 驚愕せよ!

パイロットらの見守る前で、飛び散った岩石群は地上へ舞い降り

一箇所に集合・合体して、ひとつの「カタチ」を成していくではないか。

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「ぐおぉぉ~んっ!!」

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赤い発光体を中心に、無数の岩で形成された重量級のボディ。

その名を岩石怪獣ゴルゴス、もちろん怪獣軍団の一員である!

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「思った通りだ、やっぱり怪獣だったのか……

ようし、全機・一斉攻撃開始っ!!

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姿を見せたゴルゴスめがけて、怒濤のような猛攻撃!

だが、その凄まじいばかりの弾着にも、岩獣ゴルゴスの巨体は

ひるむどころか小揺るぎもしない。

 

ゴルゴス「ぐおぉぉ~、やめとけ、やめとけ~いっ!」

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「ど、どわぁぁぁぁ~っ!?」

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ゴルゴスの口から吐き出される、超高圧・超高温の蒸気!

その熱波をまともに食らってしまい、戦闘機隊は次から次に撃墜され

あっという間に総崩れとなってしまう。

 

ゴルゴス「ぐおぉぉ~、ど~んな、もんだ~いっ!」

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イフ「うむうむ、上出来だ、素晴らしいぞゴルゴス!

 千歳の地底で蓄えたお前のパワー、存分に奮う時は今ぞ。

 徹底的に街を破壊して、地球侵略の拠点とするのだ!」

ゴルゴス「ま~かしといて、下さいよ、魔王様!」

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ゴルゴス「待ちに待ってた、オイラの出番……

 このゴルゴス様の威力、魔王様にとくとご覧頂きましょう!

 ぐおぉぉ、千歳の街などひとたまりもなく……」

 

 

「待った待った、そうはいかないぞ!?」

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凛として響いた声に、ゴルゴスがびっくりして足元を見やれば……

そこには異変を察して駆けつけた、ご存じ・宙マンの雄姿が!

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ゴルゴス「ぐおぉぉ~、そのツラ……お前が噂の宙マンだなぁ!?」

宙マン「そう言う君は、富士山生まれの岩石怪獣・ゴルゴスだったね。

 悪い事は言わない、バカな考えは今すぐ捨てて……

 さっさと暗黒星雲に帰るがいい!」

ゴルゴス「ぐおぉぉ~、そう言うワケには、いかんのじゃぁぁ~っ!」

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宙マンを踏み潰さんと、猛然と迫ってくるゴルゴス!

我らがヒーローは、間一髪でその巨大な足をかわして――

 

宙マン「おおっと、危ない! 宙マン・ファイト・ゴー!!

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閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。

華麗な空中回転とともに、岩獣ゴルゴスの前に舞い降りる!

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宙マン「まずはこいつが、名刺代わりの挨拶だ――

 エイヤァァーっ! 宙マン・ミラクル・キック!

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いきなり出ました、電光石火の必殺技!

ラクルキックの先制打に、不意を突かれて倒れるゴルゴス。

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ゴルゴス「ぐおぉぉ~、やってくれたな、くれちゃったな~!」

宙マン「どうだ、悪事をやめる気になったかね!?」

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ゴルゴス「コンニャロ~、ナメやがって!」

宙マン「むむっ……あくまでやると?」

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ゴルゴス「(鼻で笑い)そう言うのをな、「愚問」ってんだァ!」

宙マン「聞く耳持たずか……ならば、やむを得ん!」

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ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――

さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ!

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ゴルゴス「ぐおぉぉ~んっ、行くぞ行くぞ、行くぞぉぉ~っ!」

宙マン「どこからでもかかって来い!」

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激突、宙マン対ゴルゴス!

巨大超人と巨大怪獣との死闘が、原生林狭しと展開される。

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宙マン「えい、やぁっ――どうだ、これでもか!?」

ゴルゴス「ぐおぉぉ~、屁ぬるいわぁ~っ!」

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鉄面皮ならぬ「岩面皮」が売りの、不敵な岩獣ゴルゴス。

宙マンの繰り出すパンチの連打にも、全く動じない。

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宙マン「くっ……ほとほと頑丈に出来てるんだな、君は!」

ゴルゴス「ぐおぉぉ~、ここからがお楽しみだぜェ~っ!」

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ゴルゴスの吐き出す高熱蒸気!

その威力が、宙マンの周囲に激しい爆発を生じさせる。

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 「う、うわあぁぁぁ……っ!!」

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宙マン「(苦悶)う……うう……っ!」

ゴルゴス「ぐおぉぉ~、金星はオイラが頂いちゃうぜぇ~っ!」

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重量級のボディにものを言わせ、のしかかってくるゴルゴス。

そのまま宙マンを押し潰し、とどめを刺すつもりなのだ。

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危うし、宙マン――

さしもの彼も、今度ばかりは命運尽きたであろうか!?

 

宙マン「なんの、これしき……負けて、たまるかッ!

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「怒れ稲妻! 宙マン・ボルトサンダー!!

 

ピカッ、ゴロゴロドドーンっ!

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宙マンの気合とともに、念動波で発生させる正義の稲妻!

眩い閃光とともに、ゴルゴスの急所を直撃したボルトサンダーが

岩獣の全身を猛然と駆け巡り、容赦なく痛めつけて――

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ゴルゴス「(フラフラ)こ、こりゃまたシビれちまったよぉぉ~!」

 

宙マン「とどめだ! マン・レインボーフィニッシュ!!

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胸の宝石に集中させたエネルギーを、一気に解き放つ必殺技。

レインボーフィニッシュの輝きが、ゴルゴスめがけて炸裂!!

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ゴルゴス「グハぁぁっ、まぶしすぎて痛すぎるぅぅ~っ!」

やったぞ宙マン、大勝利!

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イフ「ぐがぁぁぁっ……おのれぇ、またしても!

 いいか、覚えておけ、忘れるでないぞ宙マンよ……

 お前の悪運にも「次」は、決して「次」などないからな~っ!」

 

……などと言う、もはや毎度の負け惜しみはさて置いて。

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かくして、我らが宙マンの活躍により……

千歳襲撃を目論んでいた、岩石怪獣ゴルゴスは倒された。

 

ピグモン「はうはう~、やったの、宙マンが勝ったの~!」

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ながもん「これで、このあたりも……どうにか……やれやれ」

みくるん「これでまた安心して、煎じ薬の葉っぱ探しが出来るね~。

 ……ありがとうですぅ、みんな宙マンさんのおかげです!」

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宙マン「はっはっはっ、みんなも来ていたんだねぇ」

落合さん「えぇ、それはもう――」

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落合さん「お殿様の雄姿、しっかり目に焼きつけましたわ!」

ビーコン「いえっふ~、アニキ、サイコーっス!」

宙マン「はっはっはっはっ」

 

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今日も本当にお疲れ様、宙マン。

だが、未だ怪獣軍団の野望は尽きない……

さて、次回はどんな冒険が待っているのかな?