遥かなる宇宙の彼方、暗黒星雲の奥深くから……
今日も虎視眈々と、地球を狙い続けている恐怖の怪獣軍団。
幾度も宙マンにしてやられ、それでも地球征服の野望は捨てない彼ら。
はてさて、今度はいったいどんな刺客を差し向けてくるのやら?
イフ「わははは……さぁ行け、怪獣軍団の戦士よ!
お前の力で千歳を攻め落とし、邪魔な宙マンを倒すのだ」
イフ「地球を我がもの、怪獣軍団の占領地とする。
夢にまで見たその瞬間は、もう目前にまで迫っておるぞ……!」
ズゴゴゴグワーンっ!
今日もまた、新たなる悪の使者が地球を目指して飛び立った。
赤い光球と化して地上に激突し、炎の中から姿を現したのは!?
「ボフフフフ……!」
炎の中から忽然と姿を現した、不動明王を思わせる巨体――
怪獣軍団の一員、「火炎宇宙人」の異名をとるサザン星人だ!
ピグモン「ああっ、おっきな宇宙人なの!」
落合さん「えぇ、いわゆる「ジャンボ星人」枠の方ですわね」
ビーコン「毎度毎度のこととは言え……
今回もまたまた、かなり早めに出てきてくれちゃったっスねぇ!」
ピグモン「えう~、せっかくみんなでお食事するところだったのに~」
宙マン「あぁ、まったくもって迷惑な話さ!」
「……あぁ、えぇと、いえいえいえ!」
サザン星人「今回はですね、私、そういう目的じゃないんですよ」
落合さん「(目がテン)……へっ?」
ビーコン「それじゃ、何か他に理由でもあるんスか?」
サザン星人「(頷き)ズバリ、今回は観光目的で来ましたっ」
サザン星人「北海道は景色も美しく、旨いものも盛り沢山……
その上、春になって気候も穏やかですからね!」
落合さん「なるほど……わかります、とてもよく分かりますわ」
宙マン「(頭かきかき)いやぁ、そうとは知らず……
失礼なことを申し上げました、心からお詫びします!」
サザン星人「いえいえ、誤解が解ければ問題なしですよ(ニッコリ)」
サザン星人「北海道の春、満喫して母星(くに)へ帰ろうかな、と。
どうぞ、そちらさまも楽しいお食事とご歓談を!」
宙マン「有難うございます、ようこそ北海道へ!」
ピグモン「はうはう~、うんと楽しんでってね、なの~♪」
と、言うわけで……
誤解からの戦火があがることもなく、穏健な話し合いで円満解決。
宙マン「さーてと、ほっとしたところで……」
落合さん「改めて私どもは、ゆっくりお食事を楽しみましょう」
ビーコン「いえっふ~、レッツラ・ゴーっスよ!」
ピグモン「はうはう~、ピグちゃんとっても楽しみなの~♪」
さて、このたび、宙マンたちが向かったのは……
千歳市内の一角に位置する、こちらのレストラン。
ピグモン「わぁ~、とってもきれいなお店なの~」
落合さん「えぇ、それはとりも直さず……
御店主のお気遣いが、隅々まで行き届いている証拠ですわ」
ビーコン「さすが本職・専業メイド、チェックも細かいっスねぇ!」
宙マン「う~ん、これは期待できそうだぞ!」
かくして、まずは前菜からのスタートとなるコース料理。
地元、および近隣町村からの新鮮野菜をふんだんに用いた一皿は
見た目からして美しく――
宙マン「素晴らしいねぇ、どれも実に味が濃厚だよ!」
ビーコン「オイラ、この前菜だけ腹いっぱい食いたい気分っス!」
落合さん「(苦笑)……お上品にですわよ、ビーコンさんっ」
宙マン「はっはっはっはっ」
と、そんな感じでレストランの食事を楽しむ宙マンファミリー。
さて、もう一方……
宙マンたちと円満に分かれたサザン星人もまた、今頃はさぞかし
のんびりと北海道観光を満喫中なのであろうか?
「ボフフフ、どアホが……
そ~んなワケ、ないじゃろがぁ~っ!!」
……へっ!?(汗)
スライ「んー、ふふふ、まんまと騙されてくれましたよォ!
宙マンのお人よしときたら、いっそ清々しいレベルですな」
イフ「ううむっ、なるほど……流石だぞ、“魔導の”スライ!」
スライ「いつも邪魔する宙マンの注意を逸らしてさえしまえば……」
イフ「もはや、怖れるものは何もないと言うわけか」
スライ「鬼の居ぬ間に何とやら、宙マン居ぬ間に地球征服です!」
スライ「さぁ、頼みましたよ、サザン星人くん!」
サザン星人「ボフフフ、万事この俺に任せとけ~っ!」
おお、何ということであろう!?
ピグモン「はうはう~、ピグちゃんの大好きなグラタンなの!」
宙マン「ん~、この香ばしい焼き色……」
ビーコン「ヒヒヒ、この香りも堪んないっスよ!」
……などと、宙マンたちが呑気に食事中のあいだにも。
逃げ惑う人々をあざ笑い、追い散らすように……
傍若無人の大進撃を開始した、サザン星人の巨体!
が、そうとは露知らぬ宙マンファミリーは……。
宙マン「何といってもアレだね、チーズの質がいいんだね。
とろりとして、濃厚なコクがあって……」
落合さん「その濃厚さに、具材が決して負けておりませんわ」
ピグモン「はうはう~、海老もホタテも美味しいの~」
ビーコン「そして、ニョッキの食感がいいアクセントっスよ。
……っとっと、もう次の皿っスか?」
ピグモン「わぁ~、次はハンバーグなの~!」
落合さん「うふふ、ピグモンちゃんの大好物ばかりですわね♪」
「ようし……全機、攻撃開始っ!」
こちらでは大バトル、そしてあちらでは……。
宙マン「もぐもぐ、何がいいかと言って……
使われている挽き肉からして、すごくいいものだよ」
落合さん「えぇ、素材がじっくり吟味されてる証拠ですわ」
ピグモン「もぐもぐ、とっても柔らかいお肉なの~」
ビーコン「口ン中に、ジュワッと肉汁が溢れるっス!」
宙マン「ハンバーグの旨味、そして付け合せの野菜の旨味。
どちらも退かず、お互いに渡り合って素晴らしいねぇ!」
「……ど、どわぁぁぁ~っ!?」
恐るべきは、サザン星人の口から吐き出される火炎!
その威力の前に、戦闘機隊は次から次へと撃墜されていく。
と、千歳の街が大変なことになっている間……。
全くそんなこととは与り知らぬ宙マンたちは、デザートとドリンクまで
しっかり味わって大満足。
落合さん「料理の冴え、堪能させて頂きましたわ」
宙マン「ご馳走様でした、いやぁ大満足です!」
ピグモン「はうはう~、とってもおいしかったの~♪」
ホクホク顔で、お店を出たその瞬間……
宙マンファミリーの視界に飛び込んできた、その光景は!?
落合さん「(驚愕)……ンなっ!?」
ピグモン「はわわ、街が大変なことになっちゃってるの~」
ビーコン「どひ~っ、こりゃシャレんなんないっス!」
そう、彼らの目の前においては、今まさに……
サザン星人が千歳の街を蹂躙し、炎の海に変えていたのだ!
宙マン「おーい、君、君……そこのサザン星人っ!」
宙マン「君、確か観光目的で来たんじゃなかったのかね!?」
サザン星人「ボフフフ……ありゃ、嘘だ♪」
宙マン「……嘘!?」
サザン星人「ボフフ、まんまと引っかかりやがって、このバァカ!
お前らが呑気に、レストランで飯食ってる間にな……
俺は心置きなく侵略活動、進めさせてもらってたぜ!」
落合さん「(唇を噛み)……外道っ!」
ビーコン「とにかくこのままじゃ、街が大ピンチっス!」
ピグモン「はわわ……宙マン、宙マン、なんとかしてなの~」
宙マン「ううむ、どうにも許せんぞ!
宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、サザン星人の前へと舞い降りる!
宙マン「トゥアーっ! 宙マン、参上!
サザン星人……この卑怯者め、ぶっちめてやる!」
ズ、ズーンっ!!
ビーコン「アニキ~、頼んだっスよ~!」
落合さん「そんな悪者宇宙人、やっつけちゃって下さいませ!」
ピグモン「宙マン、頑張ってなの~!」
サザン星人「ボフフフ、カッカしちゃって、まぁ……。
だが世の中、騙される奴がバカなんだよ、宙マン!」
宙マン「あぁ、そう来ると思ったよ――
古今東西、それが詐欺師の常套句だからな。
だから余計に腹が立つ、人を騙す奴は断じて許さん!!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ。
激突、宙マン対サザン星人!
千歳の街を揺るがし、ふたつの巨体が鎬を削る。
サザン星人「ボフフフ、サザン・チョップを受けろ!」
宙マン「何の、それしき!」
幾度となく拮抗する力と力、技と技。
宙マンとサザン星人、格闘戦の力量はほぼ互角か。
サザン星人「ボフ~ッ、だったら飛び道具で勝負してやる!
宙マン、お前の最後は地獄の炎でバーベキューだ!」
サザン星人が吐き出す火炎!
恐るべき灼熱の洗礼を、得意の回転戦法で回避していく宙マン。
何とか宙マンを焼き尽くさんものと、ムキになって火炎を放つ星人。
だが、その攻撃パターンは既に宙マンに見切られていた――
宙マン・プロテクションが、火炎噴射を受け止めて無力化する!
ビーコン「いよっしゃ! さすがアニキ、上手いっス!」
ピグモン「はうはう~、宙マンにはそんなの効かないの~☆」
落合さん「お殿様、今がチャンスですわ!」
宙マン「おうっ!」
サザン星人が怯んだ隙に、すかさず大空へとジャンプする宙マン。
ダイナミックな空中回転とともに、繰り出すその技の名は!
宙マン「エイヤぁぁぁーっ!
宙マン・ミラクル・キック!!」
電光石火の必殺キックが、サザン星人の胸板に炸裂!
星人がもんどりうって倒れ、大ダメージを受けたところへ――
宙マン「とどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、サザン星人を直撃!!
サザン星人「ぐわぁぁっ、この強さがいちばん卑怯だ~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
落合さん「お見事です、お殿様!」
ビーコン「やったやった、ウチのアニキは大したもんっス!」
ピグモン「宙マン、ありがとうなの~!」
イフ「おのれ、またしても……にっくき宙マンめ、よくも!
だが、覚えておれよ、この借りはきっと返してやるぞ!
更に怖ろしい怪獣を送りこみ、次こそは必ず……!」
……という、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。
かくして――
今回もまた宙マンの活躍によって、恐るべきサザン星人は
見事に撃退され、千歳の平和は守り抜かれたのであった。
ピグモン「はうはう~、宙マン、お疲れ様なの~」
ビーコン「それにしても、卑怯で小ずるい奴だったっスねぇ」
落合さん「えぇ、ですがそれも、お殿様の活躍で倒されましたわ」
宙マン「やはり、正直に勝る美徳はないってことだねぇ」
ビーコン「ヒヒヒ、さっすがアニキ、いいコト言うっスね。
そんじゃオイラも自分の気持ちに正直になって、落合さんの
無駄に豊満なおっぱいを全力で揉みしだき……❤」
げ し っ !
落合さん「ねーいっ、二重・三重に失礼なっ!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、ただ素直に生きたかっただけなのにぃぃ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
大怪獣も星人も、卑怯な罠も何のその……
元気いっぱい、宙マンファミリー。
次回は、どんな活躍を見せてくれるかな?