遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

怪力バカ一代ふたたびの巻

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210701220114j:plain

地球侵略に飽くなき執念を燃やし続ける、暗黒星雲の怪獣軍団……

今日も今日とて懲りもせず、怪獣魔王とその配下がめぐらす悪だくみ。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426115252j:plain

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426115259j:plain

イフ「ぐぬぬぬっ……それにつけても、憎むべきは千歳のあの男。

 「銀河連邦」の一員、プラネット星人の宙マンだ!

 奴のために、今までどれだけワシらが煮え湯を飲まされてきたことか――」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426115412j:plain

イフ「どうすれば、どうすれば宙マンに勝てる。

 どうすれば奴をギャフンと言わせ、地球を征服できるのだ!」

スライ「んー、ふふふ、そう問われたなら答えはひとつ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20220226134526j:plain

スライ「趣向を凝らした緻密な戦略、全てはこれに尽きるかと。

 ダークネスファイブが一人、“魔導の”スライにどうぞお任せを!」

イフ「ううむっ、なるほど――」

 

 

「いいや、スライも叔父貴も甘いぜ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211202065229j:plain

どこか嘲るような怒号とともに、ずいっと前に進み出てきたのは……

スライと同じく怪獣軍団の幹部候補生「ダークネスファイブ」の一員である

テンペラー星人“極悪の”ヴィラニアス。

 

スライ「……少々聞き捨てなりませんね、ヴィラニアス。

 一体、この私のどこが甘いと――」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211202065724j:plain

ヴィラニアス「戦略だの、絡め手だの、相手の裏をかく罠だの……

 そんな真似ばかりしてるうち、だんだん発想が先細っていくもんさね。

 怪獣の本分は今も昔も真っ向勝負のブッ壊し、これに尽きるぜ!」

イフ「うむっ、それもまた大いに頷ける意見じゃの。

 だがヴィラニアスよ、ワシの前でそこまで言うからには――」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211202065708j:plain

ヴィラニアス「(頷き)俺様の選んだ怪獣は、既に地球に潜伏中さ。

 そして間もなく、そいつが行動をおこそうとしている――

 ガハハハッ、まァ見ててくれや、イフの叔父貴!」

イフ「よかろう、ワシも何だかワクワクしてきたぞ!」

ヴィラニアス「ガハハハハハッ……!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426121441j:plain

おお、何ということであろう?

新たなる地球の危機は、もうすぐそこまで迫りつつあったとは!

 

が、ひとまずそれはそれとして。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426221322j:plain

こちらは毎度お馴染み、北海道千歳市ほんわか町5丁目。

そんなこととは露知らぬ「宙マンハウス」の住人たちと、そのご近所さんたちは

静かでのんびりした、初夏の午後を満喫中であった。

 

ピグモン「はうはう~、フキがいっぱいなの~!」

当地・北海道の様々な大自然の恵み……

5月下旬から6月にかけては、やはりどうしてもフキは外せない。

 

ビーコン「こいつが山のそこかしこに自生してるってんスから……」

落合さん「えぇ、それはもう、この土地柄ならではの有難さですわね」

ビーコン「油炒めに味噌汁、肉詰め、煮つけ……っかー!

 オイラもう、想像しただけで口ン中に唾が沸いて止まんないっスよ!」

ピグモン「えう~、ビーコンちゃん、お上品に。なの~」

宙マン「はっはっはっ、でもビーコンの気持ちも分かるよ。

 ……落合さん、今夜はとびきり旨いフキ料理、頼んだよ!」
落合さん「お任せ下さいお殿様、腕によりをかけまして。

 ……みくるん様たち、このたびは結構なものを有難うございました!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211129024939j:plain

みくるん「いえいえ~、いっぱい採れたからお裾分けですぅ」

ながもん「美味しく、食べてくれたら……私たちも、うれしい」

ビーコン「やー、持つべきものは気配り上手のご近所さんスねぇ。

 んじゃオイラ、料理が出来るまでのんびり昼寝でもしてるっス~」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211129024802j:plain

落合さん「(ジト目)ちょっと、ビーコンさんったら。

 調理の準備を手伝おうとか、そういう殊勝なお気持ちはございませんの?」

ビーコン「いやいや~、アナタ作る人、オイラ食べる人。

 役割分担ってのは何気に大事っスよねぇ、ヒッヒッヒ~♪」

落合さん「(呆れ)ンーまっ、いけしゃあしゃあとッ!」

宙マン「(苦笑)たはは、まぁまぁ、二人とも……」

 

ゴゴゴゴ……グラグラグラグラっ!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211129025441j:plain

みくるん「きゃ、きゃああぁぁんっ!」

落合さん「こ、これはまた……例によって、いつも通りの展開ですかしら!?(汗)」

ビーコン「……な~んかネェ、猛烈にそういう予感がするっスよ!(汗)」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210524004119j:plain

のどかな、平穏な時間を破るかのように……

不意の局地的大地震が、またまた千歳の街を襲った。

大量の土砂を天高く柱のように撒き上げ、舗装道路をも容易く引き裂いて

地の底から今また新たに、その姿を現わさんとしている邪悪な影。

……果たして、それは!?

「ぐわぉぉぉぉーんっ!!」

 

みくるん「ああっ、レッドキングさんですぅ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210427233353j:plain

ピグモン「力がものすご~く強い、乱暴者の怪獣さんなの~!}

ながもん「(無表情に)オウ……ぜんぶ……先に、言われちゃった」

「怪獣博士」ならずとも、その姿と名前を広く知られた怪獣界の大メジャー。

多々良島出身の暴れん坊、どくろ怪獣レッドキング……

“極悪の”ヴィラニアスの命を受け、地球に送りこまれた破壊の使者だ!

ビーコン「何てこったっス、相手がレッドキングとなると……」

落合さん「……どうやら今回も、只では済みそうにないですわねぇ!」

レッドキング「ぐわぉぉ~、もちろん俺もタダで済ます気なんてないぜ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426231846j:plain

レッドキング「この俺の力で、千歳の街を全部ブッ潰して更地にしてやる!」

宙マン「ううむっ……なんてハタ迷惑な宣誓だ!」

ピグモン「(怯えて)はわわわ、ピグちゃん怖いの~!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211202065305j:plain

ジャタール「何だ、ヴィラニアス……

 お前が言っていた強豪怪獣、誰かと思えばレッドキングのことかね?」

ヴィラニアス「(頷き)腕っぷし一本でのしあがった、怪獣界の怪力バカ一代……

 小細工抜きの分かりやすさと強さ、そこがいい!」

イフ「よぉし……行け、レッドキング! 思い切り暴れろ!」

レッドキング「ぐわぉぉ~、任せといて下さいや、魔王様!

 レッドキングの怪力ここにあり、ニンゲンどもに見せつけてやるぜ!」

怪獣魔王の命を受け、猛然と進撃開始するレッドキング

荒々しく迫るその巨体を前に、慌てて散り散りに逃げ惑う千歳の人々。

 

ビーコン「どひ~っ、結局今回もこうなっちまうんスねぇぇ~っ!」

落合さん「落ち着いてお料理どころではございませんわ、これじゃ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211209214846j:plain

持ち前の野獣性と凶暴さを全開にして、人々の恐怖と混乱を鼻で笑いつつ

千歳市街を我が物顔で突き進むレッドキング

この猛威を阻止すべく、直ちに防衛隊の戦闘機がスクランブルをかけた。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211209215000j:plain

ピグモン「あっ、あれ……戦闘機なの!」

落合さん「(頷く)防衛隊のお歴々、今日も勇んでお出ましですわねぇ!」

ビーコン「いいトコロに来てくれたっス、頼んだっスよ~!」

「ようし――全機、攻撃開始っ!

レッドキングめがけて、雨あられと叩きこまれるロケット弾!

だが、その相次ぐ直撃にも、全く怯むことなく前進を続けるどくろ怪獣。

怪力ばかりではなく、その肉体の頑健さもまた折り紙つきなのだ。

レッドキング「ぐわぉぉ~、効かねぇ効かねぇ、こそばゆいぜ!」

「ううむっ……なんて奴だ!(汗)」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210508155243j:plain

みくるん「そんな……あれだけ撃って、ちっとも効いてないなんて!」

ながもん「これは、いよいよ……切羽、つまって……きたかも」

ビーコン「どひ~っ、ここは一発、ヒーローの出番スよ、アニキ!」

落合さん「お殿様、今日もまた……お願いできますか!?」

宙マン「(頷き)ようし、やるとも! 宙マン・ファイト・ゴー!!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430202106j:plain

閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。

華麗な空中回転とともに、猛り狂うレッドキングの前に舞い降りる!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426145936j:plain

宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上! 

 レッドキング、これ以上の乱暴狼藉は見過ごせないぞ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426150029j:plain

ズ、ズーンっ!!

ながもん「おおっ。……この、安心感」

ビーコン「こうなったらもう、アニキだけが頼みの綱っス!」

ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」

レッドキング「ぐわぉぉ~、出たな宙マン! 泣きっ面にしてやるぜ!」

宙マン「いいや、そうなるのはお前さんの方さ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426151041j:plain

ファイティングポーズを取り、敢然と身構える宙マン――

さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ。

激突、宙マン対レッドキング

千歳の人々が息を呑み見守る中、巨大な正邪の死闘が展開される。

持ち前の怪力で、猛然と挑みかかってくるレッドキング

もはや宙マンも駆け引き抜きで、真っ向からパンチ連打で対抗。

レッドキング「ぐわぉぉ~、つまんねぇ小細工なんていらねぇぜ!

 この力と腕っぷし、俺にはコイツがあるからな!」

宙マン「……ただそれだけで、私を倒せると思ったら大間違いだ!」

どくろ怪獣の一瞬の隙を突き、回し蹴りを炸裂させる宙マン。

レッドキングが怯んだところへ、更にダメ押しのストレートパンチ一発!

レッドキング「ぐ、ぐふぅぅっ!?」

宙マン「どうだ、参ったか! これが正義の宙マン・アクションだ!」

宙マン「これに懲りたら、大人しく暗黒星雲へ帰るがいい!」

レッドキング「ニャロオッ……なめんな、コラァッ!!」

バ キ ィ ィ ッ !

大きくふりかぶって勢いに乗った、レッドキングのパンチが炸裂!

その「たった一発」によって大きく吹っ飛び、地面に叩きつけられる宙マン。

 

みくるん「ああっ、宙マンさんが!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210428003116j:plain

ながもん「さすが、レッドキングの……超、怪力」

ビーコン「ああ言う馬鹿力一辺倒の攻撃は、当たればダメージがデカいから

 色んな意味で厄介っスよねぇ!(汗)」

落合さん「あれを何発も食らえば、流石にお殿様でも……(汗)」

ピグモン「はわわ、宙マン、負けないでなの~!(涙目)」 

宙マン「(苦悶)うう……うっ!」

レッドキング「ぐわぉぉ~、ザマぁねぇな、宙マン!」

イフ「おおっ、いいぞいいぞ、その調子で押しまくれ!」

ヴィラニアス「ガハハハッ、お前の勝ちだぞレッドキング!」

レッドキング「ぐわぉぉ~んっ、捻り潰しちゃるぜ、宙マン!」

宙マン「なんの! 宙マン・サンブライト・スパーク!

宙マンの胸から周囲に迸る、太陽光のごときまばゆい閃光!

その正義の光に、思わず目がくらんで動きが止まるレッドキング

レッドキング「ぐ、ぐわぉぉんっ!?」

宙マン「よし、今だ!」

宙マン「エイヤァァーっ! 宙マン・ミラクル・キック!

怯んだレッドキングの隙を突き、必殺キックが炸裂!

燃える足先をまともに喰らい、大怪獣がよろめいたところへ――

 

宙マン「とどめだ! 宙マン・エクシードフラッシュ!!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426152748j:plain

全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……

エクシードフラッシュの一閃が、レッドキングを直撃!!

レッドキング「……く、悔しいけど、アンタが一枚上手ぇぇ~っ!」

やったぞ宙マン、大勝利!

 

みくるん「わぁっ、やりました、宙マンさんの勝ちですぅ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210428005645j:plain

ながもん「さすが、宙マン……ヒーローは、こうじゃ……ないと」

ピグモン「はうはう~、宙マン、ありがとうなの~♪」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211202065229j:plain

ヴィラニアス「ぐぬぬぬっ……おのれ宙マン、よくもレッドキングを!」

スライ「ふふん……だ~から、言わないことじゃない!」

ヴィラニアス「(ムカッ)……何だと!?」

イフ「ええいっ、仲間内でつまらぬ喧嘩はよさんか!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426153009j:plain

イフ「それにつけても、それにつけても……

 どこまでもにっくき宙マン、よくもワシの顔に泥を塗ってくれたな!

 今に見ておれ、この仕返しは必ずしてやるぞ……!」

 

……などと言う、いつもの怨嗟と負け惜しみはさて置いて。

我らが宙マンの活躍によって、テンペラー星人“極悪の”ヴィラニアスの肝入りこと

どくろ怪獣レッドキングは撃退され、千歳には再び平和が蘇ったのであった。

 

落合さん「改めまして……お疲れ様でした、お殿様!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210604220917j:plain

みくるん「宙マンさんのおかげで、私たちもほっと一安心ですぅ」

ながもん「ほっとしたら……お腹……すいてきた」

宙マン「ああ、私もさ、今からお腹がぺっこぺこだよ。

 落合さん、美味しいフキ料理、楽しみにしているからね!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210604235909j:plain

落合さん「はいっ、お殿様、それはもう!」

ビーコン「ヒヒヒ、オイラもめっちゃ楽しみっス~。

 そして「山菜」つながりで、オイラの股間にも季節外れの小粋なキノコが……」

 げ し っ !

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210428011630j:plain

落合さん「ねーいっ、言うに事欠いてッ!!(怒)」

ビーコン「どひ~っ、皆さん、また次回お目にかかりましょうっス~」

宙マン「はっはっはっはっ」

 

今日も本当にありがとう、宙マン。

さて、次はどんな活躍を見せてくれるかな?