太陽系第三惑星、地球。
この青く美しい星を、自らの物にせんと侵略の手を伸ばし続ける
悪の勢力は数多い。
暗黒星雲に陣取る「怪獣軍団」の頂点に立つ、怪獣魔王イフ。
我々の目に見えない四次元世界に巣食う悪魔、異次元人ヤプール。
そして……別宇宙から来た悪の帝王、ロード・ゼッド!
このロード・ゼッドが自ら地球に飛来、巨大化して猛威を奮い
我らが宙マンとの間に凄絶な戦いが繰り広げられた五月の大型連休、
小樽市での出来事は、読者諸氏の記憶にも新しいところであろう。
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……と、言う前置きのもと。
一面を氷に閉ざされた極寒の星。
「だーっはっはっはっはっ!!」
ロード・ゼッド「……えぇいっ、そう笑うもんじゃないぞ、イフちゃん。
いかに完全無欠な我輩とて、時にはああして不覚を取ることもだな……」
イフ「(ニヤニヤ)うむうむ、分かっておるとも、ゼッドちゃん」
イフ「だからこそ、こうして幼馴染のよしみでだな。
そなたを心配して、わざわざ超空間通信で連絡を……」
サンドロス「をほほほ……ゼッドちゃん、お大事にドロス~♪」
ロード・ゼッド「うがーっ、サンドロス、そなたまでっ!(赤面)」
地球征服の野望を互いに競い合うライバル関係、であるのと同時に
5万6千年前、宇宙幼稚園で同じ組になって以来の「腐れ縁」でもある
怪獣魔王とロード・ゼッド。
そんな両者は今、お互いの本拠地を「超空間通信」によって結んで
「悪の世間話」の真っ最中なのであった。
ロード・ゼッド「……えぇい、もうよい、もうよいわっ!」
イフ「ゼッドよ、これで分かったであろう。
……片手間でどうにかなるほど、宙マンは甘い相手ではないと!」
ロード・ゼッド「(憮然と)わざわざそれを言いに、超空間通信か……
そなたの怪獣軍団も、よくよく暇と見えるわい!」
イフ「ぬははは、そう不貞腐れるものではないぞ!」
ロード・ゼッド「……何っ?」
イフ「先の戦いの仇、ワシらがとってやろうと言うのじゃ。
そのために我が配下の怪獣は、既に地球で行動を開始しておる――」
サンドロス「をほほほ、ゼッドちゃんはゆっくり見物しているドロス!」
イフ「地球征服の暁には、北極ぐらいは分けてやるぞ! がははは……」
ロード・ゼッド「ぐ、ぐぬぬぬっ……!」
と、そんな物騒すぎる茶飲み話の流れの中で……
今日もまた刻一刻と、美しい我々の故郷に危機が迫り来るのである。
危うし地球、危うし宙マン!
が、ひとまずそれはそれとして。
千歳市からほど近い、自然豊かでのどかな景観……
北海道内「道の駅」でも、2019年4月19日にオープンしたばかりの
まだまだ比較的歴史の新しいニューフェイス……
それがここ、『道の駅あびら D51ステーション』。
落合さん「で、こういう流れですので……」
ビーコン「今日はオイラたち、揃って安平まで遊びに来てるんスよ~!」
ピグモン「はうはう~、みんなでおでかけなの~♪」
宙マン「必要なことは、みんながすでに説明済みですが……
改めまして、どうもこんにちは!」
道の鉄道・石炭発掘の歴史とともに歩んだ安平町らしく、同町の往時を偲ばせる
数多くの貴重な展示物が常設展示されている本施設。
落合さん「本当に、何度見返しても圧倒される内容で……」
ビーコン「ヒヒヒ、鉄っちゃんならずとも必見っスよねぇ!」
宙マン「そうとも、そして「必見」と言えばだね……」
ピグモン「なんてったって、汽車ポッポなの~!」
そう、ここは正に……
全国屈指の静態保存を誇っていた「D51 320」の展示が最大のウリな
“蒸気機関車に会える道の駅”なのである。
宙マン「う~ん、やっぱりこう言うのは……
現物を直に、間近で見ると「違う」よねぇ!」
落合さん「(頷き)迫力と申しますか、華とでも申しましょうか……」
ピグモン「とっても力持ちさんなのが、すっごく伝わってくるの~」
宙マン「鉄道ファン、と言うほど詳しいわけではないけれど……
これを目当てに全国から集まって来る人の気持ち。
この存在感を目の当たりにすると、「分かる」ような気がするねぇ」
ビーコン「ヒヒヒ、そー言うことならもうひとつ……
決して見逃せないモンが、ここにはあるんスよねぇ!」
落合さん「あら、D51以外にも何か?」
ビーコン「ほらほら、アレっスよアレ……!」
宙マン「安平……さき、さん?」
ビーコン「ヒヒヒ、オイラの嫁っスよ~!」
落合さん「またビーコンさんは、そんな世迷言を……(呆)」
人気イラストレーター・つるしまたつみ氏のデザインによる、安平町・道の駅の
イメージキャラとして、オンラインショップなどで大活躍の安平さき嬢。
ビーコン「ここに来れば、さきちゃんに会えるってワケっスよ!」
落合さん「色遣いと言い、煽情的になり過ぎないポージングや
トータルでのまとまり具合の品の良さ……」
落合さん「なるほど、これはビーコンさんが食いつくのも道理ですわ」
ビーコン「おおっ、ありがとうっス、分かってくれたんスね!
それじゃ落合さんの理解も得られたところで、ここからは堂々と
安平さきちゃんの等身大パネルに抱き着いてペロペロペロペロ……」
落合さん「……やったら、鉄拳制裁じゃ済みませんわよっ!?(怒)」
などと、相も変わらず実のないやりとりだが……
そんな極楽コンビのやりとりもまた、ある意味では平和の証拠。
だが、その時であった!
ゴゴゴゴ……グラグラグラグラっ!
落合さん「あ、あらあらあらあらっ!?」
ビーコン「おろろろっ、なんかヤバげなのが来たっスよ!?」
激しく揺れる大地、割れ裂ける舗装道路。
土砂を撒きあげながら、地中よりその姿を現した巨体とは!?
「ギシャウゥゥ~ッ!!」
ピグモン「ああっ、おっきな怪獣が出てきたの!」
落合さん「あのお顔、以前にもどこかで見たような記憶が……」
宙マン「そうだ……巨大星獣・ゴルゴザウルスだ!」
怪獣軍団の一員、巨大星獣ゴルゴザウルス。
スーパーヒーローを苦しめた、怪獣界の隠れた古豪である。
宙マン「また、懲りずに出てきたってわけか……」
落合さん「今度はいったい、何がお望みですの!?」
ビーコン「もしかして……D51見物、っスかねぇ?」
ゴルゴザウルス「ギシャウゥゥ~ッ、悪いがそっちの趣味はねぇ!
俺のやる事と言えば、もっと単純明快でド派手だよ――
手あたり次第のブッ壊し、それ以外に何もあるわきゃねぇやな!」
落合さん「(頭を抱えて)……あー、もう、やっぱりそう来ましたか!」
ビーコン「迷惑度合いじゃ、一部撮り鉄の比じゃねぇっス!(汗)」
サンドロス「をほほほ……さぁやるドロス、ゴルゴザウルスちゃん!」
イフ「地球征服の手始めに、まずは安平町の「道の駅」を叩き壊せ!
千里の道も一歩からじゃ、しかと成し遂げてみせよ!」
ゴルゴザウルス「ギシャアァ~ッ、お任せ下さい、魔王様に奥方様!」
怪獣魔王らの命を受け、進撃開始するゴルゴザウルス!
のどかだった「道の駅」の空気が、たちまち恐慌一色に染まって
パニックに陥った人々が、悲鳴をあげて逃げまどう。
ビーコン「どひ~っ、こっち見てる、こっち来てるっスよ~!」
落合さん「このままでは「道の駅」が破壊されてしまいますわ!」
ピグモン「えう~、宙マン、宙マン、なんとかしてなの~」
宙マン「ああ、どうやらそれしかなさそうだね。……
さぁ行くぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
さぁ、今日もまた正義の味方のお出ましだ!
ビーコン「いよっ! 出たっス、アニキの十八番!」
落合さん「お殿様、ますます磨きがかかって素敵です……♪(うっとり)」
ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」
ゴルゴザウルス「ギシャウゥゥ~っ! 出たな宙マン……
だが、この俺を、以前の俺と同じだと思うなよ!?」
宙マン「何度来ても同じだ、正義の力を思い知れ!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ。
真っ向激突、宙マン対ゴルゴザウルス!
落合さんたちがハラハラと見守る中、巨大戦が展開。
かつて……
影の国・惑星Xの住人、インベーダーらに使役された宇宙怪獣は
いずれも劣らぬタフネスと、力自慢の猛者揃い。
それについては勿論、このゴルゴザウルスとて例外ではないのだ。
ゴルゴザウルス「ぐっへっへ、だからどうだィ、この強さ!?」
宙マン「ううむっ、無駄に手こずらせてくれるなぁ!」
鋭利な爪を振りかざし、宙マンを切り裂かんとし……
更に隙あらば、自慢の牙で噛みつかんとするゴルゴザウルス。
その猛攻をかわしつつ、宙マンも決死の接近戦を挑んでいくが
敵もさるもの、そう簡単には有効打を許さない。
宙マン「くっ……!」
ゴルゴザウルス「オラオラオラ、どんどん行くぜぇ!」
持ち前の剛腕で、押しに押しまくるゴルゴザウルス!
勢いに乗った猛攻に、さしもの宙マンも苦しい戦いだ。
宙マン「相変わらず、なんて馬鹿力だ!」
ゴルゴザウルス「ギシャウ~っ! 馬鹿は余計だ、これでもくらえ!」
ゴルゴザウルスの吐き出す火焔!
その威力が、宙マンの周囲に凄まじい爆発を生じさせる。
「う、うわぁぁぁぁ……っ!!」
落合さん「ああっ、お殿様!?」
ビーコン「う~ん……
再登場ともなると、さすがに鍛え直して来てるっスねぇ!」
ピグモン「はわわわ、宙マン、負けちゃいや~んなの~!」
宙マン「(苦悶)うう……うっ……!」
ゴルゴザウルス「ギシャウゥゥ~っ、これでリベンジ達成だぁ!」
宙マン「なんの……負けて、たまる、かぁぁっ!」
宙マン、起死回生のパワー全開!
ゴルゴザウルスの火焔をジャンプでかわし、空へ舞いあがる。
ゴルゴザウルス「(驚き)ぎ、ギシャルルッ!?」
宙マン「くらえ――宙マン・閃光波!」
ピッキュイィィーンっ!
高らかな音とともに、宙マンの手にストロボ状の発光が生じ……
次の瞬間、ゴルゴザウルスのボディで激しい爆発が起こる。
そこに生じた一瞬の隙を見逃さず……
遂に宙マンは伝家の宝刀、伝説のスーパー剣を抜き放った!
宙マン「よし、今だッ――正義の刃、受けてみろ!
秘剣・スーパー大波崩し!!」
ズバァァッ!
スーパー剣の刀身にエネルギーを集中させ……
怒涛のような突進の勢いに乗り、斜め一文字にひるがえる光の刃!
宙マンの「大波崩し」が、ゴルゴザウルスを見事に切り払った。
ゴルゴザウルス「うがががっ……無念、残念、くちおしやぁぁ~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
ピグモン「はうはう~! やったのやったの、宙マンの勝ちなの~!」
落合さん「お見事でしたわ、お殿様!」
ビーコン「いえっふ~、やっぱりアニキはこうじゃなきゃっス!」
イフ「ぐ、ぐぬぬぬっ……おのれ、またしても宙マンめが!
だが覚えておれよ、このワシがおる限り……
怪獣軍団の在る限り、地球は必ず手に入れてみせるぞ!」
……などと言う、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。
我らが宙マンの活躍により、巨大星獣ゴルゴザウルスは撃退され……
安平町は、いや地球は、再び平和を取り戻したのであった。
落合さん「お殿様、どうもお疲れ様でした!」
ピグモン「宙マン、ありがとうなの~♪」
落合さん「お殿様のおかげで、皆様もほっと一安心ですわ」
宙マン「はっはっはっ、いやぁ、テレるなぁ♪」
ビーコン「いやいや、アニキのパワーは凄まじくって偉大っス!
だからこそね、オイラもアニキを見習って……」
落合さん「……お殿様を、見習って?」
ビーコン「震える安平さきちゃんの体を、優しく抱きしめてあげるっス~!
さぁ、さきちゃん、恥ずかしがらないで……声を出してもいいんスよ?
そしてオイラの体温を、その柔肌で存分に感じて……」
げ し っ !
落合さん「ねーいっ、世迷言も大概になさいっ!!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、そいじゃ皆さん、また次回っスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
襲い来る敵は尽きないけれど……
何にも負けない、正義の雄姿。
我らが宙マン、次回もバッチリ頼んだぞ!