気持ちのよい日本晴れの空の下……
今や北海道は、名実ともに初夏の装いに包まれている。
そんなのどかな、とある7月の一日。
こちらは毎度おなじみの北海道千歳市・ほんわか町5丁目である。
その一角にある、これまたお馴染み「宙マンハウス」。
今回もまた、ここ・宙マンハウスの庭先から物語を始めよう。
みくるん「わぁ~、キレイに咲きましたね~!」
ながもん「今年のは……また、一段と……見事」
宙マン「はっはっはっ、ありがとう、みくるんちゃんにながもんちゃん。
そう言ってもらえると、家主としても鼻が高いよ」
宙マン「春から初夏にかけて、今年は例年にないほどの温暖さだからね~。
ツツジに限らず、総じて早めで元気な開花っぷりだよ」
ピグモン「はうはう~、見てるだけでピグちゃんも元気になっちゃうの~♪」
ながもん「……(頷く)」
ビーコン「いえっふ~、なんのなんの、元気ならオイラも負けてないっスよ!
元気ゲンキ、元気な子どもは股間が鉄砲百合!」
落合さん「なんですかビーコンさん、のっけから下品なっ!
大体アナタは、この季節に限らず年がら年中発情期みたいなものでしょう」
ビーコン「チチチ、甘いスね落合さん! スイーツ落合!
ケモノ的本能を類まれな知性で裏打ちした、オイラのエロさは一味違うっスよ!
さぁいらっしゃいっス、どこまでもクレバーに抱いてあげるっス~☆」
落合さん「いけしゃあしゃあとッ。警察呼びますわよ!?」
……などと言う実のない会話も、日常を彩る絶妙のスパイス。
だが、そんな平穏を破るかのように!
市内の中心部が激しく揺さぶられ、大地がメキメキ音を立てて割れ裂ける。
大量の土砂を天高く柱のように撒き上げ、舗装道路をもやすやすと引き裂いて
地の底から今また新たに、その姿を現わさんとしている邪悪な影。
……果たして、それは!?
「ヒャルルゥゥ~ンっ!!」
みくるん「(涙目)ああっ、またまた怪獣さんですぅ!」
ピグモン「はわわわ、全然お呼びじゃないのに……なの~!」
ながもん「向こうも、それが……ショーバイだから」
ビーコン「って、納得してる場合っスか!?(汗)!」
ハリネズミとモグラをかけ合わせ、そのまま巨大化させたような姿。
怪獣軍団からの新たな刺客、毒ガス怪獣モグネズンだ!
落合さん「あの、この際ですので、単刀直入に申しますが……
何にも仰らず、黙ってお帰り頂けません!?」
モグネズン「ヒャルルル~、や~なこった!」
みくるん「ああっ、単刀直入に返されちゃったですぅ!」
落合さん「ん~まっ、何てことでしょう!」
ビーコン「とほほ、こりゃまた毎度の流れっスかねぇ!?(汗)」
イフ「わはは! さぁ行け、思い切り暴れろモグネズン!
地球征服の手始めに、千歳を死の街に変えるのだ!」
モグネズン「ヒャルルゥゥ~ンっ、やらせてもらいやすぜ、魔王様!」
怪獣魔王の命を受け、猛然と進撃開始するモグネズン!
迫り来る巨体を前に、悲鳴をあげて逃げ惑う千歳の人々。
ビーコン「どひ~っ、結局今回もこうなっちまうんスねぇ!」
落合さん「怪獣軍団のお客様は、これだからタチが悪くって!」
ピグモン「はわわわ、ピグちゃん怖いの~!」
おお、千歳市が洒落にならない大ピンチ!
大怪獣の暴虐、もはや断じて許すまじ。
千歳の平和を守るべく、航空防衛隊が直ちに出撃した。
ビーコン「おおっ、航空防衛隊のお歴々っスよ!」
落合さん「タイミング「は」、いつも良いんですけど……(汗)」
ピグモン「はうはう~、おじさんたち、しっかりなの~!」
「ようし……全機、一斉攻撃開始っ!」
戦闘機隊、モグネズンめがけて一斉攻撃を開始!
無数のロケット弾が、凄まじい勢いで叩きこまれるが……
怪獣は傷つくどころか、それに対して怯む様子さえも見せない。
モグネズン「ヒャル~っ、あっち行ってろ雑魚ッ!」
上空めがけて黄色い煙を吐き出すモグネズン!
それは、旧日本軍により開発された秘密兵器にその由来を持つ、
きわめて殺傷力の高いイエローガスである。
「……ど、毒ガスだとっ!?」
「ヒャルゥ~、ねぇ驚いた? 驚いちゃった!?」
ビーコン「やばいっスよ、あんなガス吐き散らかされちゃ……」
みくるん「千歳の街は、あっという間に全滅ですぅ!」
落合さん「うっかり刺激したり出来ませんわね……!(汗)」
スライ「んーふふふ、それこそ私の狙い通りっ!」
スライ「イエローガスの放出を怖れ、攻撃をためらっている間にも……
モグネズン君は着々と、粛々と千歳の破壊を進めていく。
これぞ私の狙い、この“腫れ物作戦”のキモでございます!」
イフ「ううむっ、流石に見事な悪知恵。
それでこそ、ダークネスファイブのリーダーと言うものよ!」
そして今、“魔導の”スライの狙いはまんまと図に当たり……
防衛隊が攻撃をためらっている間にも、モグネズンは我が物顔で
千歳を蹂躙しつつあった!
ながもん「これは、いろいろ……シャレに……なってない」
ピグモン「はわわわ……宙マン、宙マン、何とかしてなの~」
宙マン「(頷き)おのれ、もう許さんぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、荒れ狂うモグネズンの前に舞い降りる!
宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上!
平和を乱す者には容赦せんぞ、思い知らせてやる!」
ズ、ズーンっ!!
ビーコン「いよっ! 出たっスよ、アニキの十八番!」
ながもん「お……いつもながら……頼もしい」
みくるん「宙マンさーん、頑張って下さーいっ!」
モグネズン「野郎っ、また出しゃばりやがって!」
宙マン「平和を乱す者は、どうにも見過ごしておけんのだ!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ。
モグネズン「ヒャルルゥゥ~っ、邪魔するなら……腕づくだ!」
宙マン「面白い、受けて立ってやる!」
激突、宙マン対モグネズン!
落合さんたちが見守る中、巨大バトルは早くも白熱。
怪力でパンチ攻撃を繰り出してくるモグネズン!
その攻撃をかわし、宙マンも軽快なフットワークで動き回りながら
油断なく、相手の隙を伺い続ける。
モグネズン「どうだ、コンニャロ、これでもかっ!」
宙マン「なんの、それしき!」
敵の猛攻を冷静に見切り、猛然と反撃に転じて行く宙マン。
鋭い打撃技が、ビシバシとモグネズンにぶち当たっていく!
宙マン「どうだ、参ったか!?」
モグネズン「うぬっ、なめんなコノヤロ~っ!」
モグネズンの口が、グワッと大きく開き……
宙マンめがけ、恐怖のイエローガスが浴びせかけられた!
宙マン「(激しく咳こみ)げほ、ゴホッ……う、ぐふぅぅ……っ!」
イエローガスの毒素に冒され、呼吸困難とともに目がかすみ……
さしもの宙マンも、これはかなり苦しい。
「ぐ、ぐハぁぁぁ……っ!」
ズ、ズーンっ!
みくるん「ああっ、宙マンさんが……けほ、けほっ!」
落合さん「いけませんわ、ガスを吸い込んでは危険です……!」
ビーコン「(慌てて口と鼻を押さえ)……ど、どひ~っ!」
ながもん「これは、どうにも……堪らない」
ピグモン「はわわ……宙マン、がんばってなの~!」
宙マン「(苦悶)う……うう……っ!」
モグネズン「ヒャルル~ンッ、死んでもらうぜ、悪く思うなよ!」
宙マンめがけて、とどめのガスを吐きかけんとする怪獣!
だが、ここでやられっ放しのヒーローではない――
「なんの……こんなことで、負けて、なるものかッ!」
宙マン、パワーを振り絞って大ジャンプ!
モグネズン「(驚き)、ひゃ、ヒャルルっ!?」
宙マン「エイヤァァーッ!
宙マン・ミラクル・キック!!」
電光石火の必殺技がヒット!
その足先を食らって、モグネズンがブッ倒れたところへ――
宙マン「とどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、モグネズンを直撃!!
モグネズン「あら~っ、こんなハズじゃなかったのにぃぃ~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
ピグモン「はうはう~、宙マン、やったのやったの~♪」
みくるん「ありがとうございますぅ、宙マンさん!」
ながもん「(頷きながら)やっぱり……いろいろ……任せて、安心」
イフ「おのれぇぇ……またしても宙マンめが!
だが、次こそは必ず、更なる攻撃でお前の息の根を止めてやる!
覚えておれ、覚えておれ……!」
……などと言う、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。
我らが宙マンの活躍で、市街地を襲ったモグネズンは撃退され
千歳市には再び、静かな平穏が戻ったのであった。
落合さん「お殿様、どうもお疲れ様でした!」
ビーコン「や~、今日もまたスカッとする大活躍だったっスね~」
みくるん「これでまた落ち着いて、お庭のツツジが見られますね!」
ながもん「その後の……おやつタイムも……お楽しみ」
宙マン「(頷き)ああ、みんなで美味しく楽しく盛り上がろう」
ピグモン「はうはう~、ピグちゃんとっても楽しみなの~♪」
ビーコン「いえっふ~、アニキのおかげで万事、元通りっスね!
元気ゲンキ、元気な子どもは股間が鉄砲百合!
さぁ落合さん、どこまでもクレバーに抱いてあげ(る)……」
落合さん「…………ッ!!(ぶちっ)」
げ し っ !
落合さん「ねーいっ、そんな流れに戻す必要はありませんっ!!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、今日も落合さんは容赦なさすぎっスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
この青空のごとく爽やかに……
我らが宙マン、次回もまたまた大活躍だよ~!