「さぁ行くぞ！ 宙マン・ファイト・ゴー！！」
宙マン「トゥアーッ！ 宙マン、参上！
千歳の平和を乱す怪獣め、それ以上やるなら容赦しないぞ！」
山を砕き、大地を裂いて、次々に現れる大怪獣。
その猛威に立ち向かい、平和を守り抜くことが出来るのは……
プラネット星からやって来た、彼をおいて他にはいない。
ズ、ズーンっ！！
幸か不幸か、戦う相手に不自由はなし。
我らが宙マン、果たして今日の相手や、いかに！？
「しゃぎゃぎゃぎゃ～、大見得なんぞ切りやがって……
勝てる気で来たらしいな、宙マン！」
体の真上にはスクリュー状の巨大な地獄花「剣輪草」……
加えて、下半身からにょっきりと頭部の突き出た奇怪なスタイル。
宇宙の彼方からやって来た、植物怪獣ケンドロスだ！
ケンドロス「しゃぎゃぎゃ、だが残念だったな。
今日この日を命日に……宙マン、お前はここで死ぬんだ！」
宙マン「いいや、悪党の思い通りにはいかないさ！」
ファイティングポーズを取り、敢然と身構える宙マン。
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトルの幕開けだ！
落合さん「しっかり、お殿様！ 私たちがついておりますわ！」
ビーコン「今日も頼りにさせてもらうっスよ～、アニキ！」
ピグモン「はうはう～、宙マン、がんばってなの～！」
ケンドロス「しゃぎゃ～っ、行くぞ宙マン！」
宙マン「どこからでもかかって来い！」
激突、宙マン対ケンドロス！
人々に見守られ、ふたつの巨体が真っ向から激突する。
猛然たる突進戦法で襲いくるケンドロス！
その重量級ボディそのものが、既に恐るべき凶器である。
並みの相手なら、たちまち押し潰されそうなところだが……
そこはそれ、経験豊富な我らの宙マン。
沈着冷静な判断と、力と技とでケンドロスと渡りあう！
ケンドロス「しゃぎゃぎゃ～っ、死ね、死ねぇいっ！」
宙マン「なんのっ、これでもくらえ！」
ケンドロスへと叩きこまれる浴びせ蹴り！
宙マンからの痛烈な一撃に、たまらず倒れるケンドロス。
ビーコン「っしゃ！ 上手いっス、さっすがアニキ！」
落合さん「今がチャンスですわ、お殿様！」
ピグモン「はうはう～、宙マンすごいの～！」
宙マン「どうだ、参ったか！」
ケンドロス「しゃぎゃるるる……調子に乗るなよ、宙マン！
俺にはまだ、とっておきの奥の手があるんだ！」
植物怪獣ケンドロスの奥の手……
ボディの上部で、異様な存在感を示す地獄花「剣輪草」。
果たしてこの剣輪草に、いかなる威力が秘められているのか！？
ケンドロス「しゃぎゃぎゃ、そいつを今から教えてやるぜェ！？」
宙マン「いいや、結構、お断りだ！
宙マン・エクシードフラッシュ！！」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、ケンドロスを直撃！！
ケンドロス「ひょんげ～っ、しょんなぁ……宙マンのいけずぅぅ～っ！」
やったぞ宙マン、大勝利！
ビーコン「いえっふ～、さっすがアニキっス！」
落合さん「今日もますます素敵です、お殿様……♪（うっとり）」
ピグモン「はうはう～、宙マン、ありがとうなの～☆」
かくして、我らが宙マンの活躍によって……
楽しい昼餉時を脅かす、怪獣ケンドロスは撃退されたのであった。
落合さん「改めまして……どうもお疲れ様でした、お殿様！」
宙マン「いや～、全く……参った、参った。
怪獣ときたら、こんな時間に出てくるものだからねぇ……
一戦交えたおかげで、すっかりお腹がすいちゃったよ」
ピグモン「はうはう～、何か美味しいもの食べるといいの～」
ビーコン「ってコトなら、アニキ！
ランチタイム限定で、海鮮ちらしが安く食える店あるんスけど
今日はそこで遅めの昼飯、どうっスか？」
落合さん「あぁ、あそこのお店ですわね――」
落合さん「回転寿司店ながらも、吟味された良いネタの数々を
求めやすい価格で供してくれると言うことで、観光客にも
地元民にも等しく評判の良いお店なんですのよねぇ」
ピグモン「う～っ、ピグちゃん……
お話聞いてるだけで、お腹が減ってきちゃったの～」
宙マン「うんうん、いいねぇ、海鮮ちらし！
ランチタイム限定ということなら、こうしちゃいられない。
急いで行って、みんなで丼ものにありつこうじゃないか！」
落合さん「はい、お殿様♪」
と、言うわけで……
宙マンファミリーが、件の寿司屋へ向かおうとしたその時！
ズゴゴゴグワーンっ！！
ビーコン「（呆然）……へっ？」
落合さん「な、何ですの……今のは一体なんなんですの～！？（汗）」
火の元不注意か、それとも天変地異か？
千歳市内のあちこちで、火の気もないのに連続して巻き起こる爆発、また爆発。
そして、ひときわ大きな爆発とともに……
紅蓮の炎を身にまといながら、地中よりその身をゆっくり起こした巨体とは！？
「ぐわぉぉぉ～んっ！！」
ピグモン「あっ、またまた怪獣が出てきたの！」
ビーコン「ずげっ！ 今日、二回目……ってコトっスか！」
落合さん「ちょ～っと、大盤振る舞いが過ぎませんかしら！？（汗）」
ケンドロスに続き、またまた千歳に現れた異形の巨体。
全身からの超高熱で、何でも焼き尽くしてしまうデマーガ……
「熔鉄怪獣」と言う別名の通りに、その体の79%が
熱く溶けた鉄によって形成されているというトンでもない奴だ！
デマーガ「ぐわおォォ～ンっ、今日の地球攻撃はここからが本番だぜ。
……デマーガ様の強さを見せてやる、ケンドロスとは訳が違うぞ！」
落合さん「あぁもう、また無駄に張り切っておしまいになられて！」
ビーコン「怖いのもそうスけど、とにかく暑苦しい奴っスねぇ！（汗）」
宙マン「……うぬっ、何てことだ！」
バルタン星人Ｊｒ「フォッフォッ……いかがでございましょうか、魔王様！」
バルタン星人Ｊｒ「まず最初の怪獣との戦いで、相手を消耗させ……
同時に安心で気が緩んだところへ、すかさず次の二番手を送りこむ。
二段構えの時間差攻撃、宙マン打倒の秘策でございます！」
イフ「うむっ、見事である！」
イフ「実に良い目の付け所だ、それでこそ我が軍団の幹部候補生。
これからの戦い、楽しみに見させてもらうぞ！」
バルタン星人Jr「おおっ、有難きお言葉！……
……聞いたかいデマーガ、魔王様もあのように仰せだ！
くれぐれも粗相のないように、しっかり頼んだよ！」
デマーガ「ぐわおぉぉ～っ、おうよ、任せとけや！
魔王様が見てるなら尚のこと、俺様、気合入れて頑張っちゃうもんね～！」
バルタン星人Jr「フォッフォッフォッ、そうだ、その意気だよ！」
暗黒星雲からの声に奮い立ち、暑苦しくも恐ろしい大進撃を開始！
迫り来るデマーガの巨体を前にして、悲鳴をあげて逃げまどう人々。
デマーガ「ぐわぉぉ～んっ、見ろ！ これが俺様の力だぜィ！」
デマーガの背鰭が赤熱化し……
次の瞬間、その口から吐き出されたのは煮えたぎる熔鉄熱線！
更に、「生きた溶鉱炉」とでも言うべき全身からは、煮えたぎった熔鉄の塊が
絶えず断続的に噴出し、火の玉となって地上へ降り注いでいく。
建物も、乗り物も、薙ぎ払うよう熔鉄噴射で瞬時に焼き尽くされ……
平和だった千歳の街は、たちまちのうちに大パニック！
ピグモン「えう～、ひどいの、まるでジゴクみたいなの～！（涙目）」
落合さん「ああ、やはり……
この事態が収まらない限り、外食どころではなさそうですわッ」
ビーコン「となると、やっぱりアニキだけが頼りっスよ～！（汗）」
宙マン「（頷き）やむを得ないね……やるしかないか！
行くぞ！ 宙マン・ファイト・ゴー！！」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
暴れ回るデマーガの前に、正義の怒りをこめて敢然と立ちはだかる！
ビーコン「いよっしゃ！ アニキの十八番っス、これで勝ったも同然っス！」
落合さん「ああ、この瞬間は何度見てもやっぱり素敵です……♪（うっとり）」
ピグモン「はうはう～、宙マン、がんばってなの～！」
デマーガ「ぐわぉぉ～ん、何だテメェは！？」
宙マン「私の名は宙マン。
プラネット星で生まれ、この街で暮らす……何の変哲もない、平凡な一市民だ！」
デマーガ「ウホッ、何か色々ツッコミどころ満載だな！
後悔するなよ、俺様のツッコミは強烈過ぎて……一瞬で消し炭だぜ！？」
宙マン「そうはいかんぞ、負けるものか！」
デマーガ「ぐわぉぉ～んっ、だったら勝負だッ！！」
真っ向激突、宙マン対デマーガ！
落合さんたちがハラハラと見守る中、巨大なパワーが戦いの火花を散らす。
燃え滾る熔鉄エネルギーを全開に、突進攻撃をかけてくるデマーガ。
その猛烈さ前には、さしもの宙マンもジリジリ後退させられてしまうほど。
デマーガ「ぐわぉぉ～んっ、コイツを受けてみやがれ、宙マン！」
デマーガの背鰭が赤く発光し、口から吐き出される熔鉄熱線。
だが、恐るべき地獄の劫火を、宙マンはひらりとかわして大空へ！
デマーガ「む、ムムッ！？」
宙マン「行くぞ、デマーガ！」
空中から舞い降り、デマーガめがけて躍りかかっていく宙マン。
組んずほぐれつ、凄絶な肉弾戦が展開されていく。
土砂を巻き上げ、大地を揺さぶり……
ふたつの巨体の戦う響きが、千歳の街を大いに震撼させる。
デマーガ「ぐわぉぉぉっ……宙マンてめぇ、やりやがるな！？」
宙マン「なんの、まだまだ――私の力はこんなものじゃないぞ！」
宙マンの水平空手チョップが、デマーガの胸板めがけて一閃！
痛烈な手刀を喰らって呼吸が詰まり、ぐらりとよろけるデマーガの巨体。
宙マン「どうだ、参ったか！？」
デマーガ「（怒り）ニャロォォッ……なめんじゃねーぞ、この野郎がッ！！」
激しい怒りに昂奮しつつ……
頭頂部の黄色い角を、激しく何度も明滅させながら迫るデマーガ。
宙マン「（ハッと気付きを得て）……あそこかッ！」
力強く頷くや、勢いよくジャンプ一閃！
デマーガを見下ろす超高空へと、一気に跳び上がる宙マン。
デマーガ「ムムムーっ、何の真似だぁ！？」
宙マン「エイヤァァーっ！
宙マン・ミラクル・キック！！」
デマーガ頭部の黄色い角めがけて、電光石火の必殺キックが炸裂！
全身の神経と熱源が集中している箇所に一撃を受け、たまらず悶絶のデマーガ。
デマーガ「（悶絶）うぐぅっ！ ぬ、お、おおおっ……」
宙マン「やっぱりそうか、そこが急所だったんだな！」
更に豪快な投げ技、宙マン・リフターのダメ押し。
デマーガの巨体が勢いよく空を舞い、激しく地面に叩きつけられたところへ――
宙マン「とどめだ！ 宙マン・エクシードフラッシュ！！」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、デマーガを直撃！！
デマーガ「ぐ、ぐわぉぉんっ……お、俺様が負けるなんてぇぇ……っ！」
やったぞ宙マン、大勝利！
落合さん「やった……やりましたわね、お殿様！」
ビーコン「それでこそオイラたちのアニキっス！」
ピグモン「はうはう～、宙マン、やっぱり二重丸なの～♪」
人々の歓声が、宙マンの勝利を讃える――
青空の下に立つ雄姿は、どこまでも凛々しく、頼もしかった。
バルタン星人Jr「そ、そんなぁぁっ……
僕の二段構え・時間差攻撃作戦が、まさか破られるなんて！（呆然）」
イフ「ぐがががっ……またか、またしても宙マンめ！
もう一歩、あと少しで怪獣軍団の勝利だったものを！
だが覚えておれ、この次こそは必ず……！」
……などと言う、怪獣魔王の負け惜しみはさて置いて。
かくしてまたまた、我らが宙マンの活躍によって……
大怪獣デマーガも打倒され、千歳の街に平和が蘇ったのであった。
宙マン「ふぅ～、みんな、お待たせ！」
ピグモン「宙マン、今日はほんとにお疲れ様なの～！」
ビーコン「う～ん、でも、惜しかったっスねぇ……
ランチサービスの時間帯、さっき終わっちまったんスよぉ」
落合さん「どうしましょう、お殿様……
海鮮ちらしは諦めて、どこか他のお店にしましょうか？」
宙マン「いや、今日ばかりは舌と胃袋が寿司を求めてるんだよね。
ランチ価格じゃない、通常メニューだって構わないさ――
とにかく寿司を食べに行こう、お寿司っ！」
落合さん「えぇ。お殿様の仰せなら……喜んでお供致します♪」
ピグモン「はうはう～、お寿司、お寿司なの～♪」
と、言うわけで……
ランチの予定は外れたものの、当初の予定通りに件の回転寿司屋にて
遅めの昼食兼・早めの夕食にありついた宙マンファミリー。
回転寿司店ながら、吟味されたネタを庶民的な価格で供してくれる
観光客にも、地元民にも等しく好評を得ている優良店。
その寿司に舌鼓を打ちながら、決意を新たにする宙マンであった――
……「この次こそ必ず、ランチの海鮮ちらしを食べよう」と！
今日も本当に有難う、宙マン！
さぁて、次回はどんな活躍を見せてくれるかな？
