遥かなる宇宙の彼方、暗黒星雲の奥深くから……
美しい緑の星・地球を我が物にせんと狙い続けている、恐怖の怪獣軍団。
今日も配下の怪獣たちに向かって、怪獣魔王・イフの檄が飛ぶ。
またまた恐るべき侵略の魔の手が、緑の地球に迫るのだ!
イフ「時は来た! 今こそ地球征服の時だ!
怪獣軍団の威力の前に、抗えるものは何もなし……
屈強の戦士よ、さぁ行け! 行け! 行けーいっ!!」
と言ったところで、場面は変わって……
こちらは毎度お馴染みの舞台、12月の北海道千歳市。
だが、そんな表向きの平和の中に紛れ……
怪獣軍団からの使者は、人知れず暗躍を続けていたのである。
鮮やか過ぎるほどに黒い、暗闇色のドレスに身を包んだ美女。
まさに彼女こそが、千歳市に恐怖をもたらす悪の使者なのだ!
「ふふふ、全ての準備は整い……今こそ、機は熟した」
「さぁ、私の力を見せてやる……!」
美女の目が、クワッとスパークを放ち……
毒々しい妖光に包まれ、その全身が急速に膨れあがっていく。
そう、今まさに、「彼女」は本来の姿に戻らんとしているのだ――
「ギャウォォーンッ!!」
ピグモン「ああっ、怪獣なの!」
落合さん「ながもん様の怪獣図鑑で、以前に拝見したことのある顔ですわ。
えぇと、えぇと……お名前は何と申しましたかしら……」
宙マン「影の国・惑星X出身の……暗黒怪獣・ダークロンだな!?」
ダークロン「ギャウォォーッ、ご名答~!」
ビーコン「どうでもいいスけど、ホント登場がいきなりっスねぇ!?(汗)」
ダークロン「ギャウォォ、それもまた正解さ、驚いてくれてありがとうッ。
工作員は人知れず潜み、即座に行動を起こしてナンボだからな――
敵側に驚いてもらわない事には意味がないのだよ、ふふふ!」
宙マン「……ううむっ、それは確かに正論だ!」
落合さん「って、お殿様、そこで納得なさらないで下さいまし!(汗)」
ダークロン「……と言うわけで、よろしくゥ!」
ビーコン「だーっ、突然な上に強引ときたっスよ!(汗)」
ピグモン「えう~、何だかとっても嫌~んな感じなの~」
イフ「わははは……わめけ、騒げ、実に心地よいぞ!
だが、一番の甘露は、何と言っても人間どもの絶望よ――
頼んだぞダークロン、大いに暴れて地球を征服するのだ!」
ダークロン「ギャウォォーッ、仰せのままに、魔王様!」
怪獣魔王の命を受け、進撃開始するダークロン!
迫り来る巨体を前に、悲鳴をあげて逃げ惑う人々。
ビーコン「どひ~っ、話がどんどん勝手に進んでるっス~!」
落合さん「いつもながら、勝手放題して下さいますわねぇ!」
ピグモン「きゃああん、怖いの~!(涙目)」
宙マン「とにかく逃げるんだ、早くこっちへ!」
おお、早くも大ピンチの北海道千歳市!
だが、しかし。
怪獣のこれ以上の進撃を阻むべく、直ちに千歳基地の駐屯所から
陸の精鋭たちが出動したのであった。
「GO! GO! GO! GO!!」
勇ましい号令一下……
タクティカル・スーツに身を固め、おのおの得意の武器を携えて
続々と車両から飛び出してくる防衛隊員たち。
ピグモン「あっ、防衛隊のおじさんたちなの!」
ビーコン「うおっ、いつもながら気合入ってるっスねぇ!」
落合さん「そして、良いタイミングで来て下さいました!」
怪獣相手に一歩も退かず、勇敢に立ち向かっていく地上部隊。
専用のレーザーガンが、ダークロンを牽制し……
「3……2……1……ファイア!」
更に別の一方から、バズーカ砲撃をダークロンへと叩きこむ。
勇猛そのものの地上戦、であったが……
……それらの攻撃をものともせず、荒れ狂う暗黒怪獣!
ビーコン「どひ~っ、あの怪獣が強いのか、それとも――」
落合さん「シーッ、それ以上は言わぬが華ですわよ、ビーコンさん!(汗)」
……などと言っている間に、ダークロンの目から迸る破壊光線が
街々を薙ぎ払い、次々と爆発を巻き起こす!
ビーコン「ひぇぇ~、ボヤいてる場合じゃないっスねぇ!(汗)」
落合さん「ここはひらすら。逃げの一手ですわ!(汗)」
ダークロン「ギャウォォ~、怪獣軍団の力を思い知ったか!」
ピグモン「はわわ……お願い宙マン、なんとかしてなの~」
宙マン「(頷き)ああ、もう許さんぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、荒れ狂うダークロンの前に舞い降りる!
宙マン「トゥアーッ! 宙マン、参上!
暗黒怪獣ダークロン、おふざけもその辺にしておけ!」
ズ、ズーンっ!!
ビーコン「いえっふ~、アニキ~、よろしく頼んだっスよ~!」
落合さん「地域の平和は、全てお殿様にかかっておりますわ!」
ピグモン「宙マン、がんばってなの~!」
ダークロン「ギャウォォーッ、出たな宙マン!」
宙マン「正義の力で、今すぐお前を打ち砕いてやる!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
今日もまたまた、世紀のスーパーバトル開幕だ。
宙マン「さぁ行くぞ、勝負だ!」
ダークロン「串刺しにしてやるぞ、宙マン!」
激突、宙マン対ダークロン!
千歳の街を揺るがし、ふたつの巨体が鎬を削りあう。
怪獣としては、比較的華奢な軽量級でありながら……
その実、格闘能力に長けた武闘派でもあるダークロン。
両手の鋭利な一本爪で、鋭い突きを繰り出してくる。
ダークロン「ギャウォォーッ! それそれそれィッ、どうだァ!」
宙マン「――ぬッ!」
怒涛のように繰り出される猛攻、地獄突きのラッシュ!
さすがの宙マンも、一瞬たりとも気が抜けない。
力と力、技と技。
両者、凄まじいばかりの打撃の応酬!
宙マン「正義は決して、悪の前に屈したりはしない!」
ダークロン「ギャウォォー! 愚かな奴め、真の恐怖はこれからだ。
教えてやろう宙マン、どうして私が“暗黒怪獣”と呼ばれているのかを!」
「秘技! ダークロン殺法・闇隠れ!」
おお、見よ! 驚愕せよ!
ダークロンの両目が、不気味なスパークを放つと同時に……
晴れ渡っていた真昼の青空が、みるみる暗闇に変わっていくではないか!?
ダークロン「ギャウォォーッ……ふふふ、ははははは……!」
宙マン「(驚き)――これはッ!?」
ビーコン「ど、どうなってんスか、こりゃ!?」
ピグモン「まだお昼なのに、夜みたいになっちゃったの~」
落合さん「こ、こけ脅しですわ、そうに決まってます!」
ダークロン「ふふふ、まだまだ、こんなものではないぞ!」
ダークロンの巨体が、周囲の闇の中にゆっくりと溶けこみ……
やがて、完全にその姿を消してしまう。
宙マン「……どう来る気だ!?」
油断なく身構える宙マンであったが……
次なる攻撃は暗闇の中から、全く気配を感じさせることなく唐突に訪れた!
び し っ ! ば し っ !
闇の中に深く溶けこみ、現れては消えるダークロン……
見えない連続攻撃が、激しく宙マンを痛めつける。
ダークロン「ギャウォォーッ! 次はこれを受けてみろ!」
ダークロンの両目から迸る破壊光線!
宙マンの周囲に炸裂し、次々と巻き起こる爆発――
その衝撃と熱波に煽られて、さしもの宙マンも大きくよろめかされる。
ピグモン「あぁん、これじゃ宙マンがやられちゃうの~!」
ビーコン「このまんまじゃ、圧倒的にアニキが不利っスよ!」
落合さん「ああ……お殿様っ……!」
ハラハラと見守る宙マンファミリーの思いをあざ笑うかのように……
暗闇に溶け込んで、終始戦いを有利に展開していくダークロン。
ダークロン「ふふふ、ははははは……死んでもらうぞ、宙マン!」
暗闇の中に足音を幾重にも反響させ、猛然と突進してくるダークロン。
ああ、宙マン危うし!
宙マン「なんの! 見ていろダークロン――
宙マン・サンブライト・スパークだッ!」
宙マンの組み合わせた両手から、周囲に迸る眩い閃光――
その光量たるや、まさに太陽の輝きにも匹敵!
ダークロン「ぐはぁぁっ……こ、これはっ……!?」
サンブライト・スパークの輝きに、思わず目がくらむダークロン。
「闇隠れ」の幻惑戦法は、暗闇もろとも打ち破られた!
ピグモン「はうはう~、よかったの、またお日さまが戻ってきたの~!」
ビーコン「いよっしゃ、これでもう敵のペースにゃ巻き込まれねっス!」
落合さん「今がチャンスですわ、お殿様!」
ダークロン「(苛立って)……えぇいっ、このダークロンをなめるなっ!」
ダークロンの目から放たれる怪光線!
その一閃をかわして、ひらりと大空にジャンプする宙マン。
ダークロン「(狼狽)……う、うおおっ!?」
宙マン「くらえ――宙マン・閃光波!」
ピッキュイィィーンっ!
高らかな音とともに、宙マンの手にストロボ状の発光が生じ……
次の瞬間、ダークロンのボディで激しい爆発が起こる。
たまらず、ダークロンがドドーッと倒れたところへ――
宙マン「ようし、とどめだ!
宙マン・ハイボルテージ・ウェイブ!!」
全身のエネルギーを、一気に解き放ち叩きつける荒技。
ハイボルテージ・ウェイブが、怪獣の全身で荒れ狂うように炸裂――
その凄まじくも美しい、超衝撃波の威力を見よ!
宙マン「――どうだッ!」
ダークロン「こ、こんな負け方、納得いかぁ~んっ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
ピグモン「はうはう~! やったのやったの、宙マンの勝ちなの~!」
ビーコン「いえっふ~、やっぱアニキは凄まじいっスねぇ!」
落合さん「えぇ……そこがまた、お殿様の魅力なのですわ♪」
イフ「ぐぬぬぬっ、またしてもか……またしても宙マンめが!
だが、覚えておれよ……
次なる破壊の使者が、この屈辱を必ず晴らすぞ!」
……などと言う、怪獣魔王の負け惜しみはさて置いて。
我らが宙マンの活躍によって、暗黒怪獣ダークロンは撃退され
千歳の街には再び平和が蘇ったのであった。
ビーコン「いえっふ~、どもどもアニキ、お疲れさまっした!」
宙マン「どうやら今日は、これにて一件落着でよさそうだね。
さぁ、改めてのんびり、ゆっくりできるぞ!」
落合さん「そんな時間のお供には、お茶と美味しいお菓子ですわね」
ビーコン「そしてそして、忘れちゃいけねーもんがもうひとつ!」
ピグモン「はう?」
落合さん「まだ他に、何かございましたかしら?」
ビーコン「ヒヒヒ、お茶とお菓子、それより甘く熱いオイラのベーゼ……」
げ し っ !
落合さん「ねーいっ、どうして毎度毎度、そう一言多いんですっ!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、でねーと読者さんが納得しねーんスよぉぉ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
正義よ輝け、がんばれ宙マン!
さぁ、次回はどんな活躍を見せてくれるかな?