真冬の寒さ厳しい北海道千歳市を、突如襲った恐怖と戦慄……
異次元人ヤプールの科学力と、恐るべき「ベリアル因子」によって
恐るべき悪魔の生を受けたベリアル融合獣・スカルゴモラ。
そのスカルゴモラを辛くも打ち倒した千歳のヒーロー・宙マンであったが、
彼に勝利を喜ぶ余裕はない。
間髪入れずに、第二の敵――
スカルゴモラを背後から指揮していたヤプール・エージェントの一人が
自ら巨大化して、宙マンに挑戦状を叩きつけてきたのだ!
宙マン「(身構え)……むむっ!」
「デュハハハハ……私の名は地底超人・アングラモン!
ヤプールの使者にして、超獣たちを指揮する幹部のひとり――」
「さぁ宙マン、今度はこの私が相手になってやる!!」
ピグモン「はわわ、また何か出てきたの~!(汗)」
ビーコン「ひぇぇ、間髪入れずに新手っスかぁ!?」
ながもん「連戦は……かなり……厳しい、かも」
みくるん「ふぇぇ、宙マンさん、どうなっちゃうんですかぁ!?」
落合さん「大丈夫ですとも……お殿様が、負けたりするものですか!」
スカルゴモラが倒された喜びに沸いていたのも束の間……
新たな脅威・巨大アングラモンの出現に、右往左往して逃げ惑う人々である。
宙マン「地底超人アングラモン、今度はいったい何が狙いだ!」
アングラモン「狙い?……随分と判り切ったことを聞くものだな、宙マン。
破壊と混乱、恐怖と絶望、そのコーディネイト以外に何がある?」
アングラモン「そして、我々にそうさせるのは……
他でもない宙マン、お前のせいでもあるんだよ」
宙マン「……なンだと!?」
アングラモン「デュハハハ、今さら白ばっくれてもダメさ。
完全復活のためには、もっと多くのマイナスエネルギーが必要にも関わらず
お前が邪魔してくれるおかげで、それも叶わず……
そのおかげで我らが盟主、異次元人ヤプールはひどくご機嫌斜めでいらっしゃる」
アングラモン「そう、こんなものはただのお遊びさ。
爽快な破壊で、我らが盟主・ヤプールに気晴らしをして頂くための……な!」
宙マン「(ワナワナ)……言いたいことは、それだけか……!?」
宙マン「手前勝手な快楽のために、大勢の人々を苦しめるその所業……
貴様のような奴だけは、断じて許しておくものか!!」
アングラモン「デュハハハ、大口を叩くな、宙マン!」
落合さん「そうですとも! よくぞ仰って下さいましたわ、お殿様!」
ビーコン「そんなやつ、いつもみたいにボイ~ンとのしちゃって下さいっスよ!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、頑張ってなの~!」
全身にみなぎる怒りを力に変え……
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン。
激突、宙マン対アングラモン!
人々の声援に支えられ、果敢に第二ラウンドへと向かっていくヒーロー。
だが、アングラモンもさるもの……
宙マンの繰り出した渾身のストレート・パンチを、巨大な爪によるガードで
完全に受け止め、無力化してみせたではないか。
アングラモン「デュハハハ、宙マン、お前の力はその程度か。……
元「銀河連邦」の英雄も、今となっては只のロートルだな!」
宙マン「(歯噛みして)……何をっ!」
怒りに燃え、猛然とアタックをかけていく宙マン!
その勢いの前に、アングラモンもじりじりっと後退を余儀なくされる。
宙マン「どうだ、まだまだ現役時代の勘は衰えちゃいないぞ!」
アングラモン「おのれェェ、宙マン……地震光線を、くらえーッ!!」
宙マン「(よろめき)!?」
アングラモンの胸から、激しいフラッシュとともに迸る緑色の光線……
それは、周囲に激しい振動を生じさせる恐怖の“地震光線”なのである。
グラグラグラグラ……メリメリメリメリっ!
ビルが崩壊し、大地が割れ裂け……
その衝撃波の凄まじさは、さしもの宙マンさえ立っていられないほどである。
宙マン「う、うあぁぁぁぁ……っ!?」
ズ、ズーンっ!
みくるん「ああっ、宙マンさんが!」
ながもん「足元からの、攻撃……これは……予想外」
ビーコン「まずいっスよ、連戦の疲れが確実に出てきてるっス!(汗)」
ピグモン「はわわ、宙マン、負けちゃいやーんなの~(涙目)」
落合さん「(拳を握りしめ)お殿様……お殿様っ!」
アングラモン「デュハハハ、どうやら私の勝ちのようだな、宙マン!
お前の素っ首、盟主ヤプールへのまたとない土産物だ――
さぁ、いさぎよく死んでもらうぞっ!」
「いいや、せっかくだが……ご辞退させてもらうッ!」
宙マン、額からのヘッドビームで反撃!
胸にその直撃を受けて、苦しみもがきながら後退するアングラモン。
アングラモン「(悶絶)ぐううう……がぁぁぁっ……!?」
ビーコン「うは、なんかメッチャ効いてるっスよ!?」
ながもん「そうか。……地底超人の、急所は……胸……!」
アングラモン「おおおお……おのれおのれ、おのれェェ~っ!!」
逆上して、再び地震光線を発射するアングラモン。
しかし宙マン、今度は冷静にその一閃をかわして大空へとジャンプ!
宙マン「エイヤァァーっ!
宙マン・ミラクル・キック!!」
出た、電光石火の必殺技!
ミラクル・キックの一閃に、アングラモンがもんどりうって倒れたところへ――
宙マン「とどめだ! 宙マン・フラッシュボンバー!!」
シ ュ ッ パ ァ ァ ー ン ッ !!
右手に集中させた闘気を、裏拳とともに勢いよく解き放ち……
赤いエネルギー弾として、敵めがけて叩きこむ荒技。
フラッシュボンバーの一撃が、アングラモンに大炸裂!!
アングラモン「こ、恋でもないのに……胸がキュンキュン、痛いほどぉぉ~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
みくるん「やったぁ!!」
ながもん「今度こそ……ほんとに、宙マンの……勝ち」
ビーコン「どんなもんだい、正義のパワーを思い知ったっスか!」
落合さん「(呆れ)……って、どうして、何もしてないビーコンさんが得意顔なんですの!?」
ビーコン「ありゃ、バレてたっスか?」
落合さん「バレバレですわよっ(軽く頭をコツン)」
ビーコン「……でへへ~」
宙マン「はっはっはっはっ。
さぁ、一件落着したところで、みんなでラーメン食べに行こうじゃないか!」
ピグモン「はうはう~、ラーメン、ラーメンなの~♪」
かくしてここに、ひとつの戦いは終わりを迎え……
北海道千歳市には、再びうららかで優しい平和の時が帰ってきた。
だがしかし、その一方で――
聞くだけで胃が痛く、重たくなるような幾つかの邪悪な思惑が動き出しているのを
知らずに済んでいたのは、これからラーメンを食べに行こうという宙マンたちには
むしろ幸運であったのかもしれない。
「ふふふふ、敗れはしたとは言うものの……
ベリアル融合獣のテストとしては、なかなか上々の首尾だったではないか。
この調子ならば、もはや超獣など問題に――」
「お、お待ちください、創造主様!」
「超獣は、創造主様の異次元科学によって生を受けた……
いずれ劣らぬ、一騎当千の競合ばかりでございます!」
「ベリアル融合獣の力など、当てにするまでもありません!」
「我ら超獣の忠誠を、ここにきて蔑ろにするなどとは……
あまりにも哀しく、また情なく思えますが!」
「黙 れ っ !!」
「忠誠心などと抜かすならば……
これまでの戦いにおける、お前たち超獣の失態の数々は何だ!
宙マンに遅れをとり、この私に何度恥をかかせてきた……!?」
「ぐっ……ぬ、むむむっ……!(汗)」
「よいか、超獣たちよ……
私への忠誠心が本物であると言うのなら、その証をたてよ。
言い訳は要らぬ、結果で示せ!」
「多くの悲鳴、絶望、恐怖……
そして宙マンの首を、我が供物として捧げよ……!!」
異次元人ヤプール、そのどす黒い怨念!
いや、ヤプールばかりではない。
怪獣軍団がいる、ロード・ゼッドの一味がいる――
次なる「危機」はもう、すぐそこまで迫っているかもしれないのだ。
平和に仇なす新たな脅威……
その名も怖ろしき、ベリアル融合獣。
油断するな宙マン、奴らは手強いぞ!