遊びをせんとや生まれけり

全ての「面白がりやさん」へ――千歳より、愛をこめて。

海には海のあれやこれやの巻

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210502103843j:plain

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212193546j:plain

「空の玄関口」である新千歳空港に対しての、「海の玄関口」……

北海道を代表する、港湾・工業都市のひとつ。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210506234611j:plain

『宙マン』シリーズの舞台・千歳市の“おとなりさん”。

胆振総合振興局でも最大の都市規模を誇る苫小牧市である。

 

各種輸送船やフェリー等が数多く発着し、ホッキ漁をはじめとした

水産業も盛んなこの苫小牧市は、また同時に……

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210506234537j:plain

その地域条件ゆえに、大海原を根城としている海棲怪獣にとっては

千歳襲撃に際しての絶好の上陸ポイントでもあった。

 

 

と、それはひとまずさて置いて――

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212231654j:plain

こんち、毎度お馴染みの宙マンファミリー。

家族揃って、この苫小牧まで遊びにやって来ていたのであった。

 

ピグモン「はうはう~、苫小牧にとうちゃく~、なの~!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212231905j:plain

落合さん「歩いていると、潮の香りが仄かに漂ってきて……」

ビーコン「何かこう……いかにも港町、って感じっスよねぇ」

宙マン「あぁ、山あいの千歳じゃ味わえない情緒だね!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212232032j:plain

宙マン「そんな海沿いの街に、こうして遊びにきたからには……

 千歳じゃ味わえない、苫小牧ならではの旨いものっていうのも

 しっかり満喫したいもんだよ」

落合さん「となると……やっぱり、海鮮ですかしら?」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212232141j:plain

落合さん「海沿いの街と言えば、美味しいのはやっぱり海のもの。

 いささか安直だと言われてしまえばそれまでですけど……」

ビーコン「いやいや~、落合さん、結局はそこに落ちつくんスよ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212232206j:plain

ビーコン「丼飯の上を彩った、バラエティ豊かな生魚の切り身……

 そこにワサビ醤油をかけて、ガーッと一気にかっこむ!

 っかー、旨い! っかー、幸せっス!」

落合さん「えぇ、そうですわよね、そうですとも!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212232244j:plain

宙マン「最近は、何かと気が滅入るニュースが続いてるだけに……

 せめて個人レベルにおいては、思い切り旨いものを食べて

 うんと元気をつけておかなくっちゃね!」

落合さん「ごもっともですわ、お殿様」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212232358j:plain

ビーコン「いえっふ~、オイラも異議なしっスよ、アニキ!」

ピグモン「よ~し、そんじゃ、まずはご飯食べにレッツ・ゴーなの~」

 

……と、宙マンたちが勇んで出かけようとしたその時!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212232420j:plain

ぎゃあ! ぎゃあ!

さながら飢えた嬰児のように、けたたましい啼き声をあげて……

港に集まっていたカモメたちが、一斉に空高く飛び立つ。

 

落合さん「何だか、やけにカモメが騒がしいですわねぇ。

 ……あら、どうしましたの? ピグモンちゃん」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212232516j:plain

ピグモン「……なんか、やな感じがするの。

 背中がぞわぞわっとして、おっかないの……!」

落合さん「えっ!?」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212232537j:plain

ピグモンが指差した方向……

苫小牧港を間近に望む海面に生じた、不気味な白い航跡。

 

それこそは、怪獣軍団から送りこまれた新たなる使者が

海を泳いでやってきた証だ――

今、ブクブクと海面を異様に泡立たせて現れるのは!?

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212232629j:plain

「びゃるるるぅぅ~んっ!!」

 

ピグモン「ああっ、やっぱり怪獣だったの!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426230146j:plain

落合さん「……ウッ、何でしょう、この臭い!?」

ビーコン「腐った雑巾みてーな、ドブ板の裏側みてーな……」

宙マン「……そうだ、これはヘドロの臭いだよ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212232740j:plain

「びゃるるる……そして俺はヘドロ怪獣・ザザーン様だぁ!

 偉大なる怪獣魔王・イフ様の命を受け……

 この北海道を破壊し尽くすために、海からやってきたァ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212232810j:plain

ザザーン「この俺が本気になったら、マジで只じゃ済まねぇぞォ。

 もう“何にもできない おひとよし”とは言わせねぇ!」

落合さん「へ?……あの、何のお話でしょう?」

ザザーン「ゴホン……あぁ、何でもない、こっちの話だよ(赤面)」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426231846j:plain

ザザーン「とにかく……まぁ、アレだよアレ。

 とにかく、いつもみたいにやるんで、よろしくねぇ!」

ビーコン「どひ~っ、めっちゃ雑にまとめやがったっス~!」

ピグモン「えう~、全然よろしくしたくないの~」

宙マン「……うぬっ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426121145j:plain

イフ「さぁ、思い切り暴れろ、破壊するのだザザーン!

 軍団の怪獣たちも、大いなる期待をこめて見守っておるぞ!」

ザザーン「びゃるる~ん、お任せ下さいませ、魔王様~!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212233056j:plain

悪の命令を受け、猛然と進撃開始するザザーン!

迫り来る巨体を前に、人々は逃げ惑うより他に術がない。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212233133j:plain

ビーコン「どひ~っ、せっかく息抜きに来たってのに~!」

落合さん「苫小牧に着いた早々、これですものねぇ!?」

ピグモン「はわわ、とにかく逃げなきゃなの~!」

 

おお……苫小牧市、早くも絶体絶命の大ピンチ。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211183911j:plain

ヘドロ怪獣の暴虐、断じて許すまじ!

北海道の平和を守るべく、航空防衛隊が直ちに出撃した。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211211183935j:plain

ビーコン「おおっ、今日も今日とて航空防衛隊っス!」

落合さん「あぁ、いいところへ来て下さいました!」

ピグモン「はうはう~、おじさんたち、しっかりなの~!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212233349j:plain

「ようし……全機、一斉攻撃開始っ!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212233407j:plain

攻撃、攻撃、また攻撃!

怪獣めがけ、嵐の激しさで叩きこまれる一斉砲火。

……だが、それもザザーンには全く通用しない!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212233430j:plain

「なっ……まさか!
 効いてないって言うのか、これだけのミサイルの直撃が!」

 

ビーコン「えーと、それって毎度のことなんじゃ……?(汗)」

落合さん「(慌てて)……シーッ、お声が大きいですわよ、ビーコンさんっ!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426131117j:plain

……などと、やっている間にも。

怪獣ザザーン、持ち前の怪力にものを言わせての大暴れ!

 

ザザーン「びゃるるる、どんなもんだぁ~!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212233544j:plain

落合さん「あらあらまぁまぁ、どうしましょう!?」

ビーコン「このままじゃ、息抜きどころか……

 苫小牧の街そのものが、地図から消えちまうっスよ!」

ピグモン「はわわ……宙マン、宙マン、なんとかしてなの~」

宙マン「ああ、やるとも! 宙マン・ファイト・ゴー!!」 

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210430202106j:plain

閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。

華麗な空中回転とともに、ザザーンの前へと舞い降りる!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426145936j:plain

宙マン「トゥアーっ! 宙マン、参上!

  海の澱みの大悪党め、これ以上は好きにはさせんぞ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426150029j:plain

ズ、ズーンっ!!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212233811j:plain

ビーコン「うおお! 出たっス、アニキの十八番!」

落合さん「お殿様、今日もますます素敵です……♪(うっとり)」

ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212233857j:plain

ザザーン「びゃるる~んっ、出たな、宙マン!」

宙マン「ああ、出てきたともさ。

 こんな悪事を見過ごせるほど「枯れて」はいないものでね!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426151041j:plain

全身にみなぎる怒りを力に変え……

ファイティングポーズをとって、敢然と身構える宙マン。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212234002j:plain

ザザーン「びゃるる~っ、いい度胸だァ。

 その減らず口ごと、ヘドロの汚濁に引きずりこんでやるぞ!」

宙マン「いいや、正義の光でお前を天日干しだ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212234032j:plain

真っ向激突、宙マン対ザザーン!

人々が見守る中、今日もまたまたスーパーバトルの幕が開く。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212234106j:plain

全身の海藻を蠢かせ、パンチ攻撃をしかけてくるザザーン。

単純だが、それだけに当たればダメージも大きい怪力殴打だ。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212234129j:plain

宙マン「(ニヤリ)……だが、当たらなければどうと言うことはない!」

ザザーン「……ぐぬっ、どっかで聞いたような台詞をっ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212234214j:plain

宙マンの挑発にカッとなり、更なる連打を繰り出すザザーン。

……そこに生じた相手の隙を、見逃すような宙マンではない。

 

宙マン「そぉりゃッ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212234253j:plain

おもむろに、ザザーンの足元で回転し……

そのバネと勢いに乗せ、両足で脳天に見舞うカンガルーキック!

意表を突いたこの攻撃に、ザザーンもたまらずよろめいた。

 

ザザーン「の、のわァァッ……!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212234312j:plain

宙マン「どうだザザーン、これが正義の威力だ!」

ザザーン「びゃるるる、だ、だから何だってんだ……

 悪の威力も、まだまだここからだぜ~っ! それっ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212234346j:plain

ザザーンの体内で、何百倍にもその毒性が濃縮されたヘドロガス。

口から吐き出されたどす黒い気体が、宙マンを包みこんでいく!

 

宙マン「ぐ、フッ……ゲホ、ゴホ……っ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212234415j:plain

ズ、ズーンッ!

 

ビーコン「どひ~っ……あ、アニキっ!?」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210429162343j:plain

落合さん「いけませんわ、このままではお殿様が……!」

ピグモン「はわわ、宙マン、まけないでなの~っ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212234516p:plain

イフ「わはは……いいぞ、ザザーンよ、その調子だ!

 お前のヘドロガスで、宙マンの胃の腑を腐らせてしまえ……

 そしてお前の怪力で、奴めの五体を引きちぎってしまえ!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212234558j:plain

宙マン「(苦悶)うう……うっ……!」

ザザーン「びゃるるる~、潔く死んでもらうぜ、宙マン!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212234641j:plain

「なんの……負けて……たまるかッ……!

 怒れ稲妻! 宙マン・ボルトサンダー!!

 

ピカッ、ゴロゴロドドーンっ!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212234709j:plain

宙マンの気合とともに、念動力で発生させる正義の稲妻!

まばゆい閃光と共に、ザザーンの体を直撃したボルトサンダーが

怪獣の全身を猛然と駆け巡り、容赦なく痛めつけて――

 

ザザーン「ししししっ……しびっ、しびっ、しびびび~っ!」

宙マン「ようしっ、今だ!

  宙マン・エクシードフラッシュ!!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426152748j:plain

全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……

エクシードフラッシュの一閃が、ザザーンを直撃!!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212234820j:plain

ザザーン「びゃるるる~、悔しくてモウ……泣きそぉぉ~っ!」

やったぞ宙マン、大勝利!

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212234915j:plain

ピグモン「はうはう~、やったのやったの、宙マンの勝ちなの~!

落合さん「えぇ、こうでなくてはいけませんわねぇ!」

ビーコン「いえっふ~、宙マンのアニキ、流石っス!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20210426153009j:plain

イフ「うぐぐっ! おのれ、おのれ、またしても!

 だが、これしきで勝った気になるでないぞ――

 次なる使者が、必ずお前の息の根を止めてくれるわ!」

 

……などと言う、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212235046j:plain

我らが宙マンの活躍により、ヘドロ怪獣ザザーンは撃退され……

怪獣軍団の謀略は、今度も未然に防がれた。

 

ピグモン「はうはう~、宙マン、お疲れ様なの~」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212235129j:plain

宙マン「やぁやぁ、お待たせお待たせ!

 怪獣騒ぎの方も片付いて、一件落着したことだし……」
落合さん「落ち着いたところで、改めて。

 苫小牧ならではの美味しいもの、頂きに参りましょう!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212235258j:plain

ビーコン「うっひょ~、オイラもう、お腹ペコペコっスよ~!」

ピグモン「はうはう~、ピグちゃんもなの~!」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212235318j:plain

宙マン「苫小牧と言えば港町、港町と言えば海鮮丼!

 くぅぅ~っ、お腹が弾けるまで食べちゃうぞ~!」

落合さん「特にお殿様は、あれだけ激しく戦われた後ですものねぇ」

ピグモン「うん、宙マンにはそのケンリがあるの~」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212235359j:plain

ビーコン「ヒヒヒ、そしてそして……

 メインディッシュの後は、スイーツも味わいたいっスねぇ」

落合さん「えぇ、えぇ、それもまたようございますわねぇ!

 苫小牧と言えば、美味しいお菓子の名物も豊富ですし……」

ビーコン「や、それも確かに魅力的なんスけどね。

 それよりも甘いもん、もっと身近にあるじゃないっスか」

落合さん「へ? そんなもの、どこにございますの?」

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212235447j:plain

ビーコン「ほ~れほれ! ここっスよ、ココ、ココ。

 オイラのためだけの、あったか・柔らかミルク饅~☆」

 

むにゅん、ふにふにっ

 

落合さん「(赤面)……きゃ、きゃああああっ!?」

 げ し っ !

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212235534j:plain

落合さん「ねーいっ! セクハラには厳罰あるのみですっ!!(怒)」

ビーコン「どひ~っ、この一撃は超激辛っスぅぅ~」

宙マン「はっはっはっはっ」

 

f:id:KOUMEMYLOVE4794:20211212235623j:plain

来るなら来てみろ、怪獣軍団!

北海道には、宙マンがいるんだぞ。

……さァて、次回はどうなるかな?