この小さな山中の村の一角に、近年とみに評判のよいお蕎麦屋さんがあるのです。
それがこちらの「いし豆」さん。
羊蹄山を望む山林の中に、ひっそり隠れてしまうかのように小さな構えですが
休日ともなれば一時間待ちの行列は当たり前、と言う人気店。
この時の訪問時は平日につき、15分ちょいの並びで入れたのは幸運でした。
で、こちらが今回注文した「とりごぼうそば」。
打ちたて・茹でたての冷たい蕎麦を、鶏とごぼうのダシが出た温かいツユにつけ
するするっと爽やかに食します。
薄く、細く上品に切られた、たおやかな感じの麺でありながらも
ツユにつけてもその濃厚さに呑みこまれることもなく、四隅の角がしっかり立って
しゃっきり心地よい歯ごたえと喉越し、そして口中に弾ける馥郁たる香り。
薬味の生姜によって体が温まり、まだまだ厳しい残暑を体の内側から跳ね返して
爽やかに暑気払いをしてくれる、というのもこの季節には有難い限りです。
そして、そんな手打ち蕎麦の旨味の髄ともいうべき食後の蕎麦湯もまた
これまた一滴たりとも残せません(笑)――
わざわざ時間をかけて山奥まで分け入り、行列に並んででも食べるに値する
「価値ある一杯」です。