全国的にその名を知られた、北海道の「空の玄関」……
このシリーズにおけるメインの舞台でもある、北海道千歳市は
もっかのところ、のんびりした平和の中にあった。
だが、暗黒星雲の怪獣軍団が、常にこの街を狙い続けている以上
そんな平穏が、永遠のものである保証はどこにもないのだ。
おお、今まさに、この瞬間――
のどかな平和の歌声は、荒々しく破られようとしていた!
ゴゴゴゴ……グラグラグラグラっ!
落合さん「……あ、あらあらあらっ!?」
ビーコン「どひ~っ、何か今日はいきなり来たっスねぇ!(汗)」
凄まじい揺れとともに、次々と崩壊していく建物!
これこそが、千歳を襲う恐怖の序曲であった。
激しく大地を揺さぶる局地地震とともに……
天高く土砂を吹き上げながら、地上に姿を現した者とは!?
「クェクェクェェ~ッ!!」
ビーコン「ずげっ! やっぱりっスよ、やっぱり~!」
落合さん「毎度ながら、懲りない方たちですこと!」
「クェェ~ンっ、有難う、どうも有難う!」
落合さん「(呆れ)……褒めてませんからっ、一ミリたりとも!」
異様な咆哮とともに這い出てきたのは、全身を堅い殻で覆い……
幼虫から成虫への二段変身を遂げ、“変幻怪獣”の異名をとる
怪獣キングマイマイの幼虫態。
koumemylove4794.hatenablog.com
先日、千歳の山の中において宙マンと一戦交えたキングマイマイが
今度は街のド真ん中にその姿を現したのだ!
落合さん「そのキングマイマイ様が、今日はどのようなご用向きで?
……まぁ、どうせロクな事じゃないんでしょうけど!」
キングマイマイ「クェェ~ンっ、なぁんだ、分かってるんじゃねぇか!
それなら話が早ぇや、説明が省けて助かるぜ!」
ビーコン「……どひ~、いけしゃあしゃあと抜かすっスねぇ!(汗)」
何はともあれ、今や千歳の大ピンチ!
そんな危険な存在を、防衛隊が見過ごすはずもなく……
空の精鋭らが、最新鋭機で直ちにスクランブルをかけた。
落合さん「あらまぁ、今日も今日とて航空防衛隊の皆様!」
ビーコン「なんか今回は、一段と早いお着きっスねぇ!」
キングマイマイ「クェクェクェ……来やがったか!」
「ようし……全機、一斉攻撃開始っ!」
戦闘機隊のミサイル攻撃!
度重なる爆発の中……ただただミサイルが直撃するに任せて
されるがままになっている、ように見えるキングマイマイ。
ビーコン「……あ、ありゃりゃっ?」
ビーコン「う~ん、なんか気のせいっスかねぇ?
今日は、珍しく防衛隊の攻撃が「押してる」ような気が……」
落合さん「……奇遇ですわね、私にもそう見えますわ。
やはり何かの間違いか、光の加減ですかしら?」
「いやいや~、何の不思議があるものですか!」
「これもひとえに、我々航空防衛隊が積み重ねてきた努力……
地道な性能改良と研究の成果が、実を結んだ証拠ですとも!
これこそ科学の勝利! そして人類の勝(利)――」
「クェクェクェ……と、思うじゃん!?」
「(驚愕)……な、ナヌッ!?」
戦闘機隊のパイロットたちが、機内で面食らったのも無理はない。
それまで微動だにしなかったキングマイマイの赤い目が……
不意に青い光を放ち、そして次の瞬間!
「クワァァァーオっ!!」
おお、見よ! 驚愕せよ!
幼虫キングマイマイの殻が、頭から左右へ真っ二つに割れ……
その内側から、全く別のキングマイマイが姿を見せる様を!
グロッケン「ケッケッケ……ご覧いただけましたかァ、魔王様
幼虫の殻を脱ぎ捨てて、成虫へと変態する……
これぞ、キングマイマイの“変幻怪獣”たる所以でさ!」
イフ「うむ、久しぶりにその瞬間を見せてもらったが……
やはり良い物よのぉ、あやつの脱皮は!」
グロッケン「幼虫の殻の中で、じっくり蓄えてきたエネルギーとパワー。
……成虫へと脱皮変身することによって、全てが解き放たれ
その戦闘力は、幼虫時代の比じゃございませんぜ!」
イフ「素晴らしい!」
キングマイマイ「クワァァ~オっ、その通りだぜ、グロッケンのアニさん!
気持ちよく脱皮も済んで、すっきりしたとこで……」
キングマイマイ「思い切り暴れて、更に気分爽快っと。
千歳の街を、すっきり更地にしてやろうかねぇ!」
ビーコン「……どひ~っ、そう来るっスか!(汗)」
落合さん「そう言う「すっきり」は、色々感心しませんわよ!?」
イフ「ようし……さぁ行け、成虫キングマイマイよ!
沸き立つお前の生命力を、地球の奴らに叩きつけてやれ!」
キングマイマイ「クワァァ~オっ、俺はやりますぜぇ、魔王様~っ!」
怪獣魔王らの命を受け、改めて進撃開始するキングマイマイ!
迫り来る巨体を前に、悲鳴をあげて右往左往、逃げ惑う人々。
ビーコン「どひ~っ、エライことになっちまったっスぅぅ~!」
落合さん「防衛隊の方たち、今一度のご活躍を……!」
「了解、任せておいて下さいよ!」
再び開始される、戦闘機隊の猛烈アタック!
だが、今度は……
成虫になったキングマイマイに、全く通用しないのである。
キングマイマイ「クワァァ~オっ、無駄、無駄!
さっきまでの俺と同じだと思うなよ~っ!?」
「……ど、どひゃあぁぁ~っ!?」
キングマイマイの口から、勢いよく吐き出されるロケット弾!
その連射によって、戦闘機隊は次々に撃ち落とされていく。
ビーコン「アチャ~、今回はイケそうだと思ったっスのに!」
落合さん「こうなると、頼れるのはお殿様だけなのですが……」
「ん、私を呼んだかね?」
落合さん「あぁ、お殿様にピグモンちゃん!」
ビーコン「やー、お帰りなさいっス、マジお帰りっス!
いいタイミングで、散歩から帰ってきてくれたっスねぇ!」
ピグモン「はうはう~、ただいまなの~♪」
宙マン「それにしても、一体何の騒ぎだね?」
落合さん「えー、私たちが詳らかにご説明致しますよりも……」
ビーコン「あれ見てもらった方が、手っ取り早いと思うっス~」
ビーコン「……ねっ!?(汗)」
宙マン「うん、一発で納得できてしまったよ」
落合さん「お殿様、どうにかなりませんでしょうか!?」
宙マン「仕方ない、やるしかないか!
宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
荒れ狂うキングマイマイの前へ、敢然と立ちはだかるこの雄姿!
ビーコン「いえっふ~、頼んだっスよ、アニキ~!」
落合さん「やはりお殿様こそが、千歳の街の救い主ですわ!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」
キングマイマイ「クワァァ~オっ、出たな宙マン!
悪いが、今の俺はノリにノッてるんだ――
あの日の借りをここで返してやる、倍返しだ!」
宙マン「そうか、その声……姿は違うが、あの時のキングマイマイか。
いいだろう、だったら今日こそ思い知らせてやる!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ。
キングマイマイ「クワ~、余裕ぶっこきゃがって! ムカつくぜ!」
宙マン「どこからでも来い、キングマイマイ!」
激突、宙マン対キングマイマイ!
人々がハラハラと見守る中、巨大な正邪の死闘が展開される。
ぶっとい腕の怪力と、カッターのように鋭利な両肘の鰭……
持ち前の凶暴さで、これらを自らの「武器」としてフル活用し
宙マンめがけて猛然と襲いかかってくるキングマイマイ。
一撃でもまともに食らえば、いかな宙マンでも危険極まりないが
我らがヒーローの闘志は、それしきの事では衰えない。
キングマイマイの猛攻もなんのその、冷静に相手の出方を伺い
隙を見つけるや、すかさず反撃に転じて行く宙マン・スタイル!
宙マン「そぉれっ、これでもくらえ!」
一閃炸裂、宙マン得意の回し蹴り!
鞭打のような痛撃に、さしもの怪獣も大きくよろめく。
宙マン「どうだ、まだ参らないか!?」
キングマイマイ「クワァァ~オっ、聞くだけヤボだぜぇ!?」
キングマイマイの怒りとともに、連射されるロケット弾。
宙マンの周囲へ次々に炸裂し、凄まじい炎が吹きあがって……!
グワーン! ズガガガガーンっ!
「う、うわぁぁぁぁ……っ!」
ピグモン「はわわわ……ちゅ、宙マンっ!?」
ビーコン「っか~、なんつー悪あがきっスか!」
落合さん「えぇ、同感ですが……
悪あがきで片づけるには、あまりに厄介な威力ですわ!」
グロッケン「ようしッ、いいぜェ、キングマイマイ!」
イフ「そのまま気を緩めず、宙マンにとどめを刺すのだ!」
宙マン「(苦悶)う……うう……っ!」
キングマイマイ「クワァァ~オ、いよいよ最後の時がきたようだな。
死んでもらっちゃうぜ、宙マン!」
「いいや、まだまだ……勝負は、これからだッ!」
宙マン、パワー全開!
キングマイマイのロケット弾を、ひらりとかわして大空に舞う。
キングマイマイ「(狼狽)う、うおおっ!?」
宙マン「行くぞ、キングマイマイ!」
宙マン「エイヤァァーッ!
宙マン・ミラクル・キック!!」
出た、電光石火の必殺技!
ミラクル・キックの一撃に、大怪獣がブッ倒れたところへ――
宙マン「とどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、キングマイマイを直撃!!
キングマイマイ「け、結局こうなっちゃうのねぇぇ~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
落合さん「お見事です、お殿様!」
ビーコン「アニキ、やっぱアニキはサイコーっスよ!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、かっこいいの~♪」
イフ「おのれ、またしても……またしても宙マンめが!
だが、怪獣軍団にはまだ無数の強者どもが控えておるわ……
今に見ておれ、思い知らせてくれる!」
……という、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。
怪獣軍団の恐怖の使者、キングマイマイを撃退し……
かくてまたまた、見事に北海道の平和を守りぬいた宙マン。
そんな彼を讃えるように、降り注ぐ陽の光もひときわ眩しかった。
落合さん「お殿様、今日もまたお疲れ様でした!」
ビーコン「ホント、アニキのおかげでみんなが救われたっスよ~」
ピグモン「はうはう~、宙マンはやっぱり強いの~」
宙マン「いやぁ、そう言ってもらえると有難いけど……
だけど正直、今回はかなり危なかったかもしれないなぁ」
落合さん「全く、恐ろしい怪獣さんがいたものですわね。
幼虫から成虫に、変態を遂げてパワーアップするなんて……」
ビーコン「ヒヒヒ、変態だったらオイラだって負けてないっスよ!
ほ~ら、落合さん、もそっとこっちへ……
ベッドルームで、生命の神秘を教えてあげるっス~☆」」
むにゅんっ、ふにふにっ
落合さん「(悲鳴)……きゃ、きゃああああっ!?」
げ し っ !
落合さん「ねーい、変態違いも甚だしいですっ!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、上手い事言えたと思ったのにっスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
巡る季節の中で変わりゆく時代と
いつまでも変わらぬ平和のために……
千歳の宙マン、次回も大活躍だよ~!