気温も上向きになり、食べ物もまた美味しく……
この日の北海道千歳市は、抜けるように青い夏晴れであった。
宙マン「いやぁ~、いい天気になってくれたねぇ!」
ピグモン「はうはう~、風もすっごく気持ちいいの~」
落合さん「お出かけするもよし、家でのんびりするもよし……」
ビーコン「そして、まさに平和そのものっス!」
さてさて、こんちお馴染み・宙マンファミリー。
こんなゴキゲンな日に、家にこもっているテはないと言うわけで
「宙マンハウス」を飛び出し、街まで出てきたのであった。
ビーコン「ヒヒヒ、これがホントの「飛び出せ!! 宙マン」っス~」
落合さん「まぁ、ビーコンさんったら、妙に上手いこと仰って……。
それはそうと、まずはこれから何処に参りましょうか?」
宙マン「う~ん、そうだねぇ……
何をして遊ぶにも、まずはしっかり腹ごしらえが肝心!」
ピグモン「はうはう~、ごはんなの、ごはんなの~」
ビーコン「(頷き)……っスよねぇ!」
と言うわけで、まずは何か美味しいものなどを。
本シリーズ恒例の食ルポの流れになるかと思われた時……
そう、ちょうどその時であった!
ズゴゴゴグワーンっ!!
ビーコン「ど、ど、どひ~っ!!」
落合さん「い、いきなり何ですの!?(汗)」
突如として、千歳の街に巻き起こる大爆発!
それも、一つや二つだけではない。
次から次への爆発! 炎上!
パニックに陥り、悲鳴をあげて逃げ惑う千歳の人々。
そして、そんな混乱をあざ笑うかのように……
千歳の街に忽然と、巨大な宇宙人がその姿を現した!
「ギャルルゥゥゥ~ッ!!」
ピグモン「あっ、怪獣なの!」
ビーコン「や、どう見ても怪獣にしか見えないっスけど……」
落合さん「私の記憶に間違いがなければ……
確かあの方も、れっきとした宇宙人さんでしたのよねぇ!?」
「ギャルルゥゥゥ~ッ、そうとも、その通り!
俺様はワイリー星人、人呼んで“殺し屋宇宙人”!
よく怪獣と間違わなかったな、褒めてやるぜ!」
落合さん「いえいえ、粗相がなかったようで何よりです!」
ワイリー星人「かんら、からから、俺様ァすこぶるご機嫌よん!?」
ビーコン「いや~、そりゃ何よりっス!
だったら、そのご機嫌な気持ちのまま、どーぞ粛々とお帰りに――」
ワイリー星人「ギャルル~、うんうん、だからね!
機嫌がいいから、このまま暴れ回っちゃうよ~んっと!」
ビーコン「どひ~っ、それじゃ普段とおんなじじゃないっスか~!」
落合さん「ご機嫌がどうあれ、結局はコレですものねぇ!(汗)」
スライ「んー、ふふふ、ご覧いただけましたか魔王様!
機嫌が良ければ暴れ、機嫌が悪ければまた暴れる……
これこそ、我が怪獣軍団の「模範的な怪獣・宇宙人像」!」
スライ「そうやって、どちらに転んでも大いに暴れてくれる彼。
ワイリー星人こそ怪獣軍団の模範生、無法星人の鑑でございます」
スライ「これから彼が見せてくれる、傍若無人の大暴れ。
他の怪獣たちにとって良い見本となり、刺激にもなりましょう!」
イフ「うむっ、文句のつけようもない素晴らしい人選だ!
流石は“魔道の”スライと言わねばならんな」
イフ「さぁ行くがよい、大いに暴れろワイリー星人!
そなたの双肩には、軍団の全怪獣の期待がかかっておるぞ!」
ワイリー星人「ギャルル~、魔王様、どうぞ俺様にお任せを~っ!」
怪獣魔王の命を受け、進撃開始するワイリー星人。
迫り来る巨体を前に、悲鳴をあげて逃げ惑う千歳の人々。
ビーコン「ひぇぇ~っ、いろいろ我儘すぎるっスよ~!」
落合さん「全く、これだから怪獣軍団の方たちは……!(汗)」
ピグモン「きゃあぁんっ、おっかないの~!(涙目)」
が、星人の暴虐を断じて許さじとばかり、航空防衛隊・千歳基地の
大空の精鋭たちが、最新鋭戦闘機でスクランブルをかけた。
ピグモン「わ~、防衛隊のおじさんたちなの!」
ビーコン「頼んだっスよ~、毎度のことながらマジで!」
落合さん「頑張って下さいませ、皆様方!」
「ようし――全機、攻撃開始っ!」
激しいアタックをかける、防衛隊の戦闘機!
持てる火力の全てが、怒濤のごとく叩きこまれる……
……が、ワイリー星人は全く動じない!
ワイリー星人「ギャルル~、失せろ、カトンボどもっ!」
「う、うわぁぁぁっ……!!」
ワイリー星人が口から吐き出す、火花状のスパーク熱線!
その威力によって、戦闘機は奮戦空しく次から次へ撃墜されていく。
ビーコン「……あちゃ~っ、やっぱりっスかぁ!?」
ピグモン「もー、ビーコンちゃん、「やっぱり」とか言っちゃダメなの~!」
宙マン「そうだぞ、防衛隊の皆さんだって一生懸命なんだから!」
落合さん「(ボソッ)……まぁ、言いたくなるお気持ちは分かりますけれど……」
などと言っている間にも、ワイリー星人の大暴れは続く――
街へと向けて、無差別に吐き散らすスパーク熱線!
その直撃を受けた建物は、ことごとく木っ端微塵に吹き飛ばされていき……
平和な千歳の街は、みるみる紅蓮の業火へと包まれていった!
ビーコン「ひぇぇ、どうしましょったら、どうしましょ!?」
ピグモン「このままじゃ、ホントに千歳の大ピンチなの~!」
落合さん「……お殿様っ」
宙マン「(頷き)おのれ、もう許さんぞ! 宙マン・ファイト・ゴー!!」
閃光の中で、みるみるうちに巨大化する宙マン。
華麗な空中回転とともに、荒れ狂うワイリー星人の前に舞い降りる!
宙マン「トゥアーっ! 宙マン、参上!
宇宙の殺し屋ワイリー星人、これ以上の好き勝手はさせんぞ!」
ズ、ズーンっ!!
ビーコン「いえっふ~、アニキのお出ましっス!」
落合さん「ああ、やっぱり頼れるのはお殿様ですわねぇ!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、がんばってなの~!」
ワイリー星人「ギャルルゥゥゥ~ッ、出たなァ宙マン!
俺様のスパーク熱線の餌食になるがいい!」
宙マン「なんの、正義は決して悪には負けない!」
ファイティングポーズとともに、敢然と身構える宙マン――
さぁ、今日もまた、世紀のスーパーバトル開幕だ。
ワイリー星人「ギャルルゥゥゥ~ッ、舐めくさりやがって!
今日と言う今日こそ、そんな減らず口を叩けないようにしてやる!」
宙マン「さぁ、来るなら来いっ!」
激突、宙マン対ワイリー星人!
落合さんたちが見守る中、宇宙人同士の死闘が展開される。
宙マン「えい、えいっ……どうだ、参ったか!?
ワイリー星人「なんだ、そんなもの!」
宙マンの首締めを振りほどき、豪腕によるパンチ一閃!
クロスガードで辛くも受け止めるが、その威力に宙マンの巨体が
ズズッと大きく後退を余儀なくされる。
ワイリー星人「ギャルルゥゥゥ~ッ、お次はコイツだ!」
スパーク熱線を吐き出すワイリー星人!
その威力が大爆発を生じさせ、さしもの宙マンをも怯ませる。
ビーコン「どひ~っ、ヤバいっスよ、あの武器は強力っス!」
ピグモン「アレが当たったら、いくら宙マンでも危ないの~」
落合さん「ですが……当たらなければ、どうと言うことは!」
宙マン「(頷き)ああ、そうとも。……その通りさ!」
ワイリー星人「さぁさぁさぁ、今日こそ死んでもらうぜ、宙マン!」
宙マン「――おおっと、そうはいかないさ!」
勢いに乗り、あたり構わず吐き散らされるスパーク熱線!
周囲に生じる大爆発を、宙マンは得意の回転戦法でかわしていく。
宙マン「トゥアーっ!」
さぁ、ここからは宙マンの反撃。
一瞬のチャンスを見出し、大空高くジャンプ!
ワイリー星人「(驚き)ぎゃ、ギャルルルッ!?」
宙マン「そうれ、こっちだ、こっちだ!」
ズ、ズーンっ!!
華麗な空中回転で敵の頭上を飛び越え、着地を決める宙マン。
慌てて振り返るワイリー星人に、反撃の隙など与えまいと――
宙マン「とどめだ!
宙マン・エクシードフラッシュ!!」
全身のエネルギーを極限まで凝縮して放つ、虹色の必殺光線……
エクシードフラッシュの一閃が、ワイリー星人を直撃!!
ワイリー星人「ぎゃいいんっ……何だかとっても、ヤな感じぃぃ~っ!」
やったぞ宙マン、大勝利!
ビーコン「いえっふ~、さっすがアニキ、そうこなくっちゃっス!」
落合さん「お見事でしたわ、お殿様!」
ピグモン「はうはう~、宙マン、かっこよかったの~♪」
仲間たちの歓声を受け、すっくと立つ宙マンの巨体。
陽の光を浴びた精悍なる雄姿は、どこまでも頼もしかった。
イフ「うぐぐぐっ……またしても、またしても宙マンめが!
だが、この次こそはお前を必ず倒してやるからな!
覚えておれ、覚えておれ~っ!!」
……などと言う、怪獣魔王のいつもの負け惜しみはさて置いて。
我らが宙マンの活躍によって、恐怖のワイリー星人は撃退され……
千歳には再び、過ごしやすい平穏が戻ってきたのであった。
ピグモン「はうはう~、宙マン、おつかれさまなの~♪」
ビーコン「にしても、とんだお騒がせの宇宙人だったっスね~」
落合さん「一日を楽しむはずが、興を削がれてしまいましたわねぇ」
宙マン「はっはっはっ、なぁに……
それくらいは、今から幾らでも取り返しが効くってものさ。
これからうんと楽しんで、埋め合わせしようじゃないか!」
ビーコン「いえっふ~、さっすがアニキ、良いコト言うっスねぇ!
そうなりゃオイラの成すべき事は、もちろん落合さんへのセクハラ一択……」
落合さん「(困惑&赤面)……は、はぁっ!?」
ビーコン「ちょ、「はぁ?」じゃないっスよ、「はぁ?」じゃ!
さぁモタモタしてねぇで、いつものようにパンツを脱いで……」
げ し っ !
落合さん「ねーい、勝手に既成事実化しないで下さいっ!(怒)」
ビーコン「どひ~っ、いつものようにお仕置きされちまったっスぅぅ~」
宙マン「はっはっはっはっ」
今日も本当にありがとう、宙マン。
だが、未だ怪獣軍団の野望は尽きない……
さて、次はどんな活躍を見せてくれるかな?